覚悟が足りない。 you are not enogh prepared

　(1)来年１０月の消費税１０％引き上げに向けて１年を残すところとなった。前回１５年１０月の引き上げ予定（３年間先送りされた）では軽減税率の導入が検討されて、コンビニ、スーパーなどのレジでの対応が複雑で実施されれば混乱、不公平感を生む状況で不安感が広がっていた。

　(2)消費税は収入、所得にかかわらずに消費者に一律適用されるもので、比較、高額所得者には負担は軽く低額所得者には負担が重い逆進性をともなうもので、一方で事業者に対しては売り上げが１千万円以下の小規模事業者には消費税の納付が免除されているという不公平税制だ。

　(3)消費税の収益性、公平性をを考えるならば事業者に対しても消費税分一律納入制度とすべきものであり、消費者の軽減税率に対して小規模事業者に対して相応の事業税で配慮するというわかりやすい税制度とすべきだ。

　軽減税率も３年前の論議のように複雑でわかりにくい、結局不公平、不公正感の残るものでないわかりやすい税制対策を検討すべきだ。

　(4)政府は消費税来年１０月１０％引き上げに対して、軽減税率の財源として小規模事業者の免税分（益税）を徴収して充てる検討（報道）に入った。
　財務省は国家財政赤字対策、プライマリーバランス実現のためにかねてから消費税１０％引き上げは実施すべきだと主張しており、いよいよ１年を残してそのための環境整備に着手したという印象だ。

　(5)消費税引き上げは増え続ける国家財政赤字、社会保障費の財源補てんとして考えられているものだが、安倍首相は昨年の解散総選挙ではこれを教育の無償化に充てると使途変更方針を示しており、１千兆円を超す累積国家財政赤字解消、プライマリーバランス実現は先送りされて遠のくばかりだ。

　欧州（消費税２０％台）と比較して日本の消費税は低いとの意見もあるが、社会保障、医療制度の違いもあり、日本は皆保険制で終身保険料負担もあり、一概に比較できるものではない。

　(6)消費税引き上げに迫られる原因がどこにあるのか、政府が何をしてこなかったためなのかの政治責任の問題はあり、これまでも言われてきているように国民、消費者に責任負担を強いるのであれば政治、政府、国会もそれ相当の覚悟、責任が必要だろう。

　麻生財務相は先ほどの自民党総裁選で劣勢が伝えられる石破議員に対して「覚悟が足りない」（報道）と強弁していたが、増え続ける国家財政赤字の解消、その財源としての消費税引き上げに対してこそ「覚悟が足りないんだよ」（you are not enogh prepared）とそっくりそのまま返したいところだ。

　(7)なにはともあれ、消費税１０％引き上げを回避できる方策があればそれで良し、ないなら消費税１０％引き上げはやむなしの来年１０月に向けて公平で公正なわかりやすい税制制度確立で対策、対応すべきだ。

　安倍首相は昨日に新内閣を組閣したが、得意の口先だけではないきちっとした責任ある対応、実行ができるのかがますます問われている。