(1)陽性検査もせずに米国から沖縄米軍基地に入国する米軍人から数百人規模のコロナ、オミクロン株感染者が出ていることに、岸田首相は林芳正外相に「厳重に抗議」するよう指示したとされる。
林外相はブリンケン米国務長官との電話会談で在日米軍関係者の外出制限などを強く申し入れたとされるが、報道によるとブリンケン国務長官は「最大限努力する」と応えたといわれる。
(2)政治の世界で外交辞令の「最大限努力する」とは、一応聞いておくが何もしないで現状を維持するという認識、返事だ。岸田首相は問題のある日米地位協定を見直さないと言っており、米国から甘く見られている。外交かけ引き(diplomacy)は日米にとってもいつかは結束に問題となるだろう。
(3)その日米外務、防衛担当閣僚の安全保障協議委員会(2プラス2)がテレビ会議形式で開かれ、協議後林外相は「(他国による)現在そして将来の挑戦に効果的に対処し続けるかについて、重要な議論が出来た」(報道)とアピールした。
日本は前日にも豪との自衛隊と豪軍の共同訓練、災害救助に関する「円滑化協定」を同じくテレビ会議形式で署名している。
(4)日本は敵基地攻撃能力の検討を表明しており、日米豪の軍事協力強化で中国の台湾海峡圧力、海洋進出に対抗する安全保障体制の整備を進めている。日豪円滑化協定は不平等な日米地位協定と違って双方の部隊に適用される初めての署名協定であり(報道)、日本は2国間協定の先がけとして先例、範例になるものとして広がるものと自負しているが、冒頭のように日本には重大なことにも米国には適当な外交辞令のカラ返事をされてしっかりと米国の中国封じ込め軍事戦略には組み込まれるという仕組みだ。
(5)早速、日豪円滑化協定に中国の汪副報道局長は「中国の内政に乱暴に干渉した」と反発している。米国のブリンケン国務長官の外交辞令の適当なカラ返事に度あるごとに米国、日本に抗議、反発をくり返す中国の汪副報道官といい、政治外交世界での役者も揃って、そうであってはならいが多分そうでるだろうなのやり取りがおもしろい。
(6)米国が中国封じ込め対応に日本の役割、自衛隊の能力に期待(2プラス2協議)をするなら、日米地位協定、駐留米軍人の行動、日本側の米軍基地経費負担に対しても誠意ある良識対応を示すべきで、米国に踊らされる日本の軽さが問題だ。