いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

防衛相とシビリアン・コントロール。 a minister of defense and civilian control

2017-07-26 20:14:45 | 日記
 (1)昨年の南スーダンでの自衛隊PKO活動で現地日報に「戦闘」という文言が記載されていた件で事実関係が公表されなかったのは、当初日報は公文書ではないので公表対象とはなっていないとの見解が示されて、事実関係の確認よりは文書の形式を問題にしたところに稲田防衛相の適格性に疑念、疑問が強かった。

 現地が戦闘状態かどうかは自衛隊PKO派遣条件の是非にかかわる重要問題だから、事実確認が本筋だった。

 (2)ところが稲田防衛相、防衛省がとった行動は、それまでの国会審議で政府機関責任者が疑惑を示す議事メモなどを公文書でないからと公表を拒み、また存在しないと否定した流れの中で、それに乗ったかのように稲田防衛相までが文書形式にこだわる変な解釈論を振りかざしてみせた。

 おまけに「戦闘」の意味、解釈について、稲田防衛相は憲法で定める法律上の意味(国と国との交戦を前提としたもの)での戦闘ではないとかわけのわからない禅問答まで飛び出して、現地日報に書かれた「戦闘」の事実確認はどうだったのかは二の次の言葉遊びに終始して、事が事だけにご愛嬌ではすまない不実ぶりであった。

 (3)防衛相は自衛隊組織者ではなく国民の負託を受けた政治家が就任するのは国防、防衛のシビリアン・コントロール理念によるもので、現地派遣隊員が日報に戦闘と記載(複数)した状況についてシビリアン・コントロールの責任者としてまず事実確認をして適切な判断、行動を示すことが必要であったが稲田防衛相はそうはしなかった。

 稲田防衛相と防衛省制服組は思想は近いものと考えられて、価値観の共有が日報問題の対応、シビリアン・コントロールで問題、疑念が残るものだ。

 (4)現在防衛省内の特別防衛監察で一連の日報問題の検証作業が進められているが、防衛省内でシビリアン・コントロールが利いているのか明確に示してもらいたい。
 防衛省組織は従来の背広組(官僚)の権限が利いていた状況から制服組(隊員)の権限が強化されて防衛相への影響力が増している組織構造になっており、一連の日報問題でも防衛相の判断(シビリアン・コントロール)に制服組の強い影響力が働いていたのかどうかはっきりさせなければ、日本の国防、防衛論(defensive theory)に危険な兆候、方向性を見逃すことになる。

 (5)防衛省内からは稲田防衛相は頼りないとの声も聞かれて(報道)、それが事実だとすれば日本の国防、防衛に対するシビリアン・コントロールの是非、機能性について重大な事態といえる。

 稲田防衛相は「派遣部隊の日報は私の指示で防衛省が公表した。(文民)統制は利いている」(報道)と閉会中審査で述べているが、あたりまえのこと、当然の大臣措置を強調しなければならないところに問題の深さがみえる。

 (6)当初、日報は公文書でないとして公表する必要がないとしたこと、それ以上に戦闘の意味、事実関係の確認が本質なのに法律解釈論に終始したことに稲田防衛相の主導性、シビリアン・コントロール、制服組の影響力がどう働いたのかが解明されなければならないことだ。

 稲田防衛相と防衛省制服組は思想は近いものと考えられて、価値観の共有が国防、防衛判断にシビリアン・コントロールが適切に働いたのかは日本の安全にとって検証が必要だ。

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テレワーク,週休3日制。 telework , 3 days off a week

2017-07-25 20:20:47 | 日記
 (1)政府は「働き方改革」を今夏にとりまとめるとしているが、加計疑惑で閉会中審査の安倍首相も内閣支持率急落危険水域の20%台突入で内閣改造を控える政府もそれどころではない模様で、話題にもならないどうなるのやらわからない様子だ。

 そもそも働き方改革など政治、政府からどうこういわれる話ではなくて、本来自由で自主的な国民の働く意欲、意思、能力にあわせた話で迷惑なことだ。

 (2)ということで、企業ではすでに週休3日制(3 days off a week)にテレワーク・デイ(telework day)を実施するところが出てきている。2020年東京五輪の開催日を3年後に控えた7月24日に開催都市の東京首都圏の混雑渋滞解消を目的としたテレワーク・デイが実施された。

 職場に出勤することなく各自が自由に自宅などでIT機器を使って仕事をするもので、この日は900以上の企業・団体、6万人が参加(報道)した。

 (3)都内の混雑渋滞緩和にどれほど貢献できたのか結果は出ていないが、仕事の性質上から向き、不向きもあり、テレワーク導入予定は企業の16.6%程度(報道)にとどまっている。

 社会全体で仕事の「取り組み」方改革、「意識」そのものを変えることも必要だ。もう相当昔の話になるが、特別な人材を指定して1年間出社する必要もないかわりに自宅などで商品開発、アイディアを考える、提案する労働形態が話題になったことがあったが、ストレスなどで結局は成功しなかった例もある。

 (4)職場以外の場所、自宅などでIT活用して仕事をすることは一時的には気分転換、めずらしさもあってあるいは自己都合の便利さもあっていいが、これが恒常化するとなるとノルマ達成、環境の変化に順応することはむずかしくなって、ストレスなどの弊害も考えなければならない。

 やはり人間社会ではIT活用社会ではあっても人と人とのつながり、コミュニケーションが大事な仕事の社会だ。

 (5)最近週休3日制を導入する企業も出てきている。その分労働時間を他の4日勤務日に上乗せして賃金は変わらないというものだが、ギュッと詰めた短期間集中労働で成果を高めたいというものだが、1週間4日働いて3日休むで気分転換、集中力が持続するのか、これが恒常化するとなると気分、集中力のコントロールに苦労すること、ストレスも考えられる。

 (6)労働賃金は変わらないものだから、週休3日制の効果は毎週まとめて自宅での負担、役割にあてられるという特殊事情に適したもので、仕事上は週3日休むことによるハンディ、不利はつきまとうことになる不規則性(irregularity)だ。

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マケインとオバマ。 McCain and Obama

2017-07-24 19:57:33 | 日記
 (1)米国の政治がどれほどのものかと書いたが、伝統的な理想主義(idealism)はいざという時には寛容で一体化、結束する、できるところにある。
 米国政治で強い影響力を持つ共和党マケイン議員が脳腫瘍と診断されて闘病中だが、共和、民主党議員からの激励の声(報道)が寄せられている。

 (2)今話題になっているのがマケイン議員がオバマ議員(当時)と08年大統領選を争った時の選挙動画で、マケイン支持者が「オバマは信用できない。彼はアラブ人だ」と揶揄(アラブゲリラに敵対的でないと)したのに対してマケイン候補(当時)が支持者のマイクを取り上げて「違います。彼は家族を愛するまっとうなアメリカ市民です。彼と私はたまたま基本的な事柄について意見が異なるだけです」と諭した(報道)とある。

 (3)今回のマケイン議員の闘病に対してオバマ前大統領はツイッターで「マケイン氏は米国の英雄で最も勇敢な闘士だ。誰と戦っているのか、がんは分かっていない。ぶっ飛ばしてやれ」(報道)とエールを送った。

 米国の理想主義を示す話題で、この精神性、寛容さが政治の世界にも十分活かされていれば世界政治、情勢ももう少しまともに変化していたのではないのかと残念でならない。

 (4)オバマ前大統領は中東紛争から撤退してシリア混迷によるIS増幅を加速させたとして、米国内では弱い大統領として評価も低く、その後の米国第一主義トランプ大統領誕生の引き金にもなったと考えられる。

 もちろん米国市民に広がるえん戦気分(戦争に嫌気)を考慮しての中東紛争からの撤退でもあったのだろうが、米国理想主義のオバマ流の解釈、判断だったのではないのか。

 (5)これまた伝統的な強い米国を願う米国民の期待には添えずに、国内的にはオバマ理想主義は医療保険制度改革のオバマケアを実現させた。
 米国伝統の自分のことは自分が責任を持つフロンティア精神社会の中では相容れない抵抗も大きかったオバマケアで、しかしその弱者救済制度はトランプ大統領が公約で即撤廃を主張しながら共和党内からも撤廃反対の声も出て、トランプ大統領が共和党議員に夏休み返上でワシントンに残ってオバマケア撤廃を指示しているのでどうなるのかわからないが、米国理想主義が試されている。

 (6)共和党マケイン議員がどういう見解で動くのかは闘病によりわからないが、これまでもトランプ大統領には批判的な立場を表明している。
 オバマケアを理念確執の中で何とか協力、成立させた議員としてどういう責任判断を示すのかは、米国理想主義の理念にかかわる問題だ。

 (7)冒頭の泣ける対立候補へのエールによる米国理想主義を見ると、とって返して日本政治の個人主義、政党主義の度量(magnanimity)の低さが何ともさみしくみえる今日的政治体制だ。

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政府機関説。 an opinion of the government organization

2017-07-23 19:55:08 | 日記
 (1)米国の政治がどれほどのものなのかは、正直なところわからない。トランプ大統領のことは例外として、これまでも強力な軍事力と情報捜査力(CIA)に経済力を背景に世界政治に強い影響力を示してきたが、仏、独、英のようにEU統一に高い政治的思想、影響力、理念を働いてきたようなこともなく、国内的にも人種差別問題や銃社会の危険性に対しても有効な政治的圧力を発揮することもなく問題は悲劇を繰り返し抱えながら、米政府ワシントンが何となく世界の中枢軸のように奉(まつ)られている感慨だ。

 (2)たしかに組織的にはいまでも世界情勢に目を配って強い影響力のある巨大な政府機関を整備しているが、中身はよくわからない(機密性)伏魔殿を構成している。
 今回のように大統領が民主党から共和党に交代するとなると政府機関の職員も何千人と大異動するといわれて、行政機関の政策推進の「継続性」のない政治スタイルである。

 トランプ大統領が就任早々に次から次と大統領令を出しながら実効性がともなわなかった理由に、政府担当責任者(長官)やそれを実務推進する大量の政府機関職員の異動が順調に進まなかった(報道)ことがあげられている。

 (3)日本の政治ではまず考えられないことで、自民党首相の政権交代や一時連立政権、09年の民主党(当時)による本格的政権交代でも政府機関の職員が大量に異動するということはなく、政策ルーティンの「継続性」がはかられているのが常識となっている。

 せいぜい首相の理念、思想、意向が反映される政府機関のトップ人事が交代する程度のものだ。日米の行政組織、政府機関の構成、意思決定、執行システムの違いによるものだ。

 (4)日本の財務省人事で、森友学園国有地格安払い下げ問題の国会答弁で、記録がない、指示していない、消去されたとすべて実体の伴わない否定をしてみせて取り合わなかった財務局長が国税庁長官に就任したことが話題になっている。

 (5)世間では安倍首相、文科省への擁護の論功行賞との見方もあって、いろいろと取り沙汰されている。人事は政府機関内の問題であり周りがとやかくいうような問題ではないからどうでもいいが、記録がない、指示していない、消去されたということを平然と公言する感覚の職員が国税庁長官でどうなるのか、国民投資の納税者として不安、不信、疑念がつきまとう茶番だ。

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内閣改造の骨格と核心。 frame and core of reshuttle of the cabinet

2017-07-22 20:12:24 | 日記
 (1)安倍首相が通常国会後半で自己防衛、目的のさんざんデタラメな国会運営をやって内閣支持率が急落して、8月上旬に内閣改造(reshuttle of the cabinet)で人心一新をはかる。

 伝えられる内容はこれまでの安倍内閣、党役員人事の骨格(frame)は残してというもので、そこ(内閣、党支配)が問題(ほかにも大臣資質に欠けるものはけっこういるが)での内閣支持率急落なのを理解していない、国民意識と離反した現在の安倍政権の本質だ。

 (2)誰のための政治なのか、何のための政治なのかの民主主義政治の根幹、本質が見られない安倍政治だ。特に第2次安倍政権になってその前の民主党(当時)政権の失敗によるトラウマによる比較安定した内閣支持率に支えられて、衆参両院で憲法改正支持勢力で3分の2以上の議席を確保してからがまったくひどい国会運営となった。

 特定秘密保護法、安保法制、共謀罪改正と国民を敵に回して、国民を支配するかねてからの自らの理念、思想を実現するための野望政治を貫いての今回の支持率急落による人心一新内閣改造だ。

 (3)最後の仕上げのつもりの憲法改正は、今年中に自民党案の国会提出を目指しているが、ここにきての国民の反発により伝えられるようなこれまでの骨格を維持しての内閣改造、党役員人事では野望政治に変わりはなくて、憲法改正に対しても党内外の反発も強く慎重な配慮が求められて予定どおりとはいかないだろう。

 国民にも当初は実体のない株高効果による経済回復感、賃上げで比較安定した安倍内閣支持率を示してきたが、政治と言うものを自己利益主義でとらえて自分の身の回りさえよければそれでいいという小市民的国民意識(the petite bourgeoisie)が支配して、誰のための政治なのか、何のための政治なのかを忘れていた。

 (4)安倍政治、アベノミクスは大企業中心、富裕層に恩恵の大きい株高効果に支えられて企業業績の回復効果はみられたが、この効果は国民一般、中小企業、地方には回らずに一部国民ものであって国民全体のためのものとはならずに利益効果にはならなかった。

 安倍首相の経済効果主義でも都合のいい数字だけを並べて、効果の及ばない国民の多くに対しては経済の好循環とかこれまた都合のいい言葉を使ってそのうち効果が及ぶと強調してみせているだけだ。

 (5)ようやくこういった安倍首相の政治理念のいいかげんさが森友、加計学園問題での安倍首相関与の疑惑も出てきての内閣支持率の急落につながった。
 しかし内閣支持率回復のための安倍内閣、党役員人事の骨格部分を残したままの内閣改造の姿勢に、やはり誰のための政治なのか、何のための政治なのかの不信ははっきりみてとれて、こんな政治にごまかされていては国民もいつまでもだまってはいられないことを思い知らされている。

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