朽ちないサクラ

2024-07-05 09:13:39 | 映画
ぶっちゃけ、私の脳ミソではちゃんと把握しきれていませんが、

やはり、花ちゃんの演技には睡魔をも吹き飛ばすくらい惹きつけるものがあった。

というのも、実は広島で観てきました。いつもなら、墓参りと掃除してから夕方の大阪行きバスで帰っていたのですが、夕方のバスがなくなったため、夜行バスで帰ることに。ちなみに新幹線は使いません。新幹線片道でバス往復できるから。

だから時間がめちゃくちゃ余るので、映画を観ることにしたのであります。

しかも、映画の前に、予定してなかった山登りを2時間したがために、映画館までの道中疲れでずっと大アクビしてました。

だから、映画を観たら絶対寝ると覚悟していたのに、素晴らしい演技と頭を使う内容に完全に覚醒したわけてあります。

最初、これって、花ちゃんが主演じゃなくて、安田顕さんと豊原功補さんのバディもの?安田さんが主演じゃないの?花ちゃんお飾り??と思って観ていましたが、

はい、ちゃんと花ちゃんが主演の物語でしたね。

ラストの花ちゃんの演技はリアルなものがあってめちゃくちゃ良かった!

犯人を探す刑事ものではありますが、めちゃくちゃ社会派ドラマでもあり、とてもフィクションだとは思えないくらいリアルなものがありました。安田顕さんの役がね。

ぶっちゃけ、インファナル・アフェア要素(=スパイ)があって、それが作品のカギとなっていているので、ホンマ日本の闇を感じる内容だった。

映画を観たあとだと、タイトルの素晴らしさに気付かされる。めちゃくちゃ意味深。

大勢の命を守るために一つの命を犠牲にすることを厭わない現実。

一つの命の犠牲どころか、何百万の命を守るために何百人の命を犠牲にしても厭わない。

一体、正義とは何かを考えさせられる内容でしたね。

ぶっちゃけさ、犠牲という意味では、警察に限らず、政治も芸能界も、一般社会もそうだけど、誰かの犠牲で成り立っている部分は大いにあるはず。

ブラック企業は淘汰される時代にはなっているが、ブラック要素は、どの社会もまだまだ残ってると思う。残業代払い続けて会社は儲かるの?むしろ、残業なしで仕事が片付くの?

9時から17時でパンの生地を捏ねて焼いて陳列して販売して儲けでるの?ってことよ。ま、役割分担があれば成立するけど。

派遣で人数穴埋したら人件費減なるの?会社が存続させるためには、結局最終手段は、損切りとリストラでしよ?

本当にクリーンな会社は存在してるの?会社として成立するの?建前上、国の方針に従ってますとしか思えない。今田美桜ちゃんの「花咲舞が黙ってない」でも取り上げられたエピソードだけど。マジ、甚だ疑問。

皆仲良く楽しく頑張ろう!精神が通用するのは幼稚園くらいじゃない?

話が脱線しましたが、

命の犠牲は、まさに戦争。一体何人殺したら平和になるんですか?

この作品を上映することで、真実と虚構の境目があいまいになって、噂が独り歩きしSNS で拡散され、都合が悪い方がたくさんおられると思う。でも、よく映画化したと思う。

ホリプロが映画制作ってめちゃくちゃ珍しくない?なかなかやるやん!

警察でない広報職員役の花ちゃんが、親友の新聞記者に慰安旅行に言った話をする。その慰安旅行に行ってる間にストーカー殺人で女性が殺されていた。しかも、ストーカー被害届けを提出していたのに受理されていなかった。世間からのクレームの電話に警察は対応に追われる。その間も記者が真相を聞き出そうと野次馬取材で集まっている。

一体誰が新聞記者にリークしたのか?

花ちゃんは、親友を疑っていた。親友は、自分じゃない!と怒り、リークした人間を見つけると言って花ちゃんから去る。数日後、親友が殺害された。

死に追いやったのは自分のせいだと思い込む花ちゃん。

なんとかして犯人を見つけ出そうと、上司の安田顕さんと捜査一課の豊原功補さんの協力の許、犯人にたどり着く。

だが、一連の事件には真実という闇が隠されていた。花ちゃんは、真相を追求し、推理した内容を安田顕さんに聞いてもらうのだった。

犯人探しまでは、安田顕さんと豊原功補さんが大活躍。だけとこれはミスリードに過ぎなかった。本題は花ちゃんが覆す展開。

一見、安田顕さんと豊原功補さんが主役にしか思えなかったが、見事な伏線でした。

最初は、花ちゃんは受け身の存在だったのが、親友の殺害を機に警察の人間ではないが独自の捜査を行う。真相を解明?してからの演技が本当に自然で良かった。それまでも良かったけど。


ラストの安田顕さんとのシーン、親友の母親役の藤田朋子さんの会話シーンは本当に、これぞ杉咲花の真骨頂でした。

安田顕さんは、めちゃくちゃいい人なのに…からの展開が超ピカ一!あそこで終わってたら、完全に安田顕さんが主演作品になってたよ。

熱血捜査一課の豊原功補さんもよかった。冷静沈着な安田顕さんと熱血豊原さんの、おじさん2人の、ある種バディ感がなかなか新鮮でよい。

花ちゃん、安田さん、豊原さんの演技が本当に素晴らしかった。

彼らを引き立ててるわけではないが、萩原利久君の、大活躍するわけではないが若手巡査の純粋さが良い。

個人的には、巳之助君の闇を抱えた寡黙な演技がめちゃ際立っていて良かった。ラストは…。

この作品、カルト集団がキーポイントになっていて、インファナル・アフェア的オチ、こちらは闇ではあるが、ちゃんとどんでん返しがあるのは映画作品としは本当に良かった。

いくらフィクションといえども、実際にあり得る闇が本当にリアルだった。

ここからは全然関係ないこと…。

今回、広島で登った山は三滝山でした。

時間があるから、龍神様と関係がある三滝寺に行ったら、案内図に゙双子岩という文字に惹きつけられ、急遽山登りを決行。三滝寺に着いてから決めたから重い荷物を背負ったまま登ることに。

たった300メートル強のお山ですが、なかなかハードでした。

お寺から頂上、頂上からお寺まで引き返さず一周できるコースなのですが、

岩場はあるわ、標識なしの分かれ道があったり、道なき沢沿いを歩いたり、標識がないから正しいのかも分からず、一歩間違えると遭難しかねないわで、なんとか勘を頼りに無事お寺に戻ることが出来ました。

なかなかの修行でした。


↑どうしても見たかった双子岩。



↑そこからの登頂と眺め。

↑ほぼ真中に見えるのが宮島。

↑三滝寺の龍神堂。






関心領域

2024-06-12 01:48:40 | 映画
先ずは、

アーサ、雪組次期トップおめでとうございます!

順当でトップになってくれて安心した。

アーサで、ポーの一族をお願いします!!今の雪組なら絶対可能!


では、本題。

とても斬新で素晴らしいアプローチだった!

アウシュヴィッツ強制収容所の塀の外の物語。

塀の中の出来事は一切描かれていないのに、たったこの1文だけで、悲惨な状況が想像できるという見事な演出でした。

塀の外の幸せと裏腹に、塀の中から聞こえてくる不況和音。列車の音、銃声、叫び声、鳴き声、怒鳴り声…。

煙突から吹き上がる煙や炎。

観客には一切伝わってこない臭い。

ホロコーストの悲惨な現場は一切描かれていないのに、胸がざわつく。 

それにしても、「関心領域」のタイトルは素晴らしい。

誰が?どれだけ?ホロコーストに関心を持っているのか?いや、無関心なのか?

この作品において、ホロコーストに無関心なのは間違いなく主人公の奥さん。

実のお母さんですら、逃げ出す有り様なのに…。

奥さんが関心を持っているのは、家と、プールや温室がある広い庭。塀の反対側には都会にはない豊かな自然。ここには奥さんの理想がある。

だから、夫が転身になっても一緒に付いていこうとしない。むしろ、今の生活を維持するために夫に単身赴任することを勧める有り様。

ユダヤ人から搾取した毛皮や化粧品に興じる姿は、もはやナチスの加担者に他ならない。

塀の外の平和な日常を延々と見せられ、どういったラストになるのか、そもそもオチがあるのか、と想像していたら、

この奥さん、夫が戻ってくると連絡を聞いても、全く喜ぶ様子なし。夫に対しても無関心、関心領域狭狭だった。

そこがピカ一だった!

小さな伏線が生きる演出になっていて、主人公は愛妻家と思わせておいて実はそうでなかったり、

妻もまた召使い?と良い仲になっているのでは?と想像させるような演出になっていたり、

塀の内と外の温度差の見せ方が本当に斬新だった。

ユダヤ人は皆強制収容所送りになって虐殺されているだけではなく、労働力として使われている。

そして、主人公の家庭においても召使いとして雇われている。

最初は全く説明がないのでモヤモヤさせられたが、徐々に登場人物の関係性が分かる見せ方も上手かった。全て台詞だけどね。

一つだけどうしても分からない演出があって、夜中少女が、まるで蛍光塗料でも塗られていたのか白光りするシーンがあって、ずっと何をしてるのか分からなかった。

ついついパンフレットを購入して読んだら、ちゃんと説明されていて、めちゃくちゃスッキリした。と同時に、気付けなかったことにショックだった…。凄く重要なシーン。

あと、主人公が子供たちにヘンゼルとグレーテルを読み聞かせるシーンにおいても、物語がまるどホロコーストを正当化してるようにも見受けられたが、逆もしかりで、戦後処理の正当化にも思えた。これは上手く掛けてると思った。

映画の序盤はまだ焼却炉がなった(と思われる)が、後半に焼却炉建設の説明をするシーンがあって、台詞だけだけど、状況を想像させる演出になっていて、「オッペンハイマー」もそうだったけど、映像になっていないシーンを連想させる演出はお見事としか言いようがない。

グロいシーンもエロいシーンも一切ないのに想像を掻き立てる見せ方はマジ秀逸!

ラスト、主人公側の視点で、ついさっきまでパーティーで賑やかだった建物が何も無い虚無感漂う空間に様変わりしたり、その途中、戦後を表現してか今は博物館となっているかつての強制収容所を挿入シーンとして加えていたり、

まるで観客に、今起こっている戦争に関心ありますか?と問われているようにも思えた。

今だに終わることがないロシアとウクライナの戦争。そして、イスラエル戦争。戦争が終わる気配なんて一切なし!

最初イスラエルがテロ攻撃で被害者側で、イスラエルは悪くないとイスラエルの人たちは言っていたのに、今では加害者側になっている。第二次世界大戦では、ユダヤ人はホロコーストの犠牲者だったのに、今はガザ地区のパレスチナ人に対して虐殺を行っている。

ネタニアフ首相もハマスも、指導者が陣頭に立たない戦争なんて本当に馬鹿馬鹿しくて仕方ない!なんでお前らのために無関係な人間が死ななあかんねん!?

ぶっちゃけ、世界情勢に無関心の平和ボケも悪いことだと私は思っていない。

だが、巻き込まれてしまうなら話は別。巻き込まれてしまったら元も子もない。

そもそも、武器を製造するから使いたいなるねん!

親が子供にゲームをするなと叱っても、目の前にゲームがあったら、友達がゲームを持っていたら、子供はやりたくなるねん!と同じ。

目の前に人参をぶら下げたら、馬だって走りたくなるねん!ホンマかどうかは知らんけど…。

名だたる鉄鋼メーカーや企業よ、武器を製造するなよ!国も製造させるなよ!と言いたい。

かつて、政治家が、日本が外国に攻められたらどうする?とテレビの討論会で自衛隊を軍隊にするべきだと言っていたが、

だったら、お前が陣頭に立って戦ってくれ!と言いたくなった。

それよりも先ずは平和外交に努めろよ!外国の言いなりになるなよ!

かつて先進国が行った植民地政策に日本も便乗して真似し、結果、戦争が始まった。挙句の果ては原爆投下されて敗戦したやん。

また同じことの繰り返すんか!?

日本は、原発攻撃されたら終わりやねん。

やられる前にやり返すってか??

やられた者はいつか報復してくる。その繰り返し。イタチごっこや!

政治家より国民の方が平和外交しとるっちゅうねん!

って思うと、兵隊よ、武器を持つなよ、放棄してくれ!

と切に願いたくなる。

だが、目の前にあったら使いたいなる…。

これだと、悪循環は永久に終わらない。

色々想像と思考が働く素晴らしい作品でした。

そうそう、日本語字幕が松浦美奈さんたった!

言語はドイツ語だったので、英語翻訳からの日本語字幕だと推察しますが、まさか美奈さんだとは思わなかった!

途中、文字も台詞もないピアノを弾いているシーンで、字幕があった。まるでユダヤ人の教えのような。音楽には言葉はないが、メロディーには歌い継がれた歌詞がある、埋められたリンゴと同じように、ユダヤ人への哀歌かメッセージだと推察。

叢を間違いなくユダヤ人が連行されるシーンは、脱走して捕まったと推察。

説明がないから推察でしかないが、あの夜中の少女の行動の意味が分かると一つ一つの点が線になる。めちゃくちゃ良く出来てる!


悪は存在しない

2024-06-06 00:24:06 | 映画
体感時間、1時間もない。あっという間に終わり、そこで終わる!?的なラスト。

自然との共存と調和をテーマにした、とても現実味があり、リニア新幹線工事問題ともめちゃくちゃリンクしていた。

環境破壊という環境問題だけでなく経済を回すという意味でも社会問題を扱った作品だと思って観ていたら、

それだけに留まらず、未来の大人たち(今の子どもたちやこれから生まれてくる者たち)を憂う監督の警告にも感じた。

ほんと、現実的なストーリー展開だと思いきや、ラストのファンタジックな展開、いや、メタファーと解釈、は圧巻としか言いようがない。

そう、これはドキュメンタリー映画ではなくエンタメ要素がある映画作品であることを痛感させられるラストだった。

ということで、やっとこさ濱口竜介監督最新作を観てきました。

世界の映画祭や映画賞を席巻した「ドライブ・マイ・カー」の濱口監督の最新作なのに、なぜ大手のシネコンじゃなく、単館系、しかも単館系でも大きなテアトル系列ではない更に小さな単館系の映画館での上映であることに違和感しかありませんでしたが、

配給のことは全く分かりませんが、人を選ぶ作品であることには間違いないと思った。

あと、これは私の勝手な想像ですが、ま、どれも私の勝手な想像、というか、感じたことですが、単館系の映画館を盛り上げたいという意図を感じました。

なんせ、客層が全然違う。根っからの映画ファンが集ってる印象を受けた。

それはさておき、

作品としては、本当に、昨今のリニア新幹線着工問題とめちゃくちゃリンクしていて、めちゃくちゃリアリティーがあった。

私はてっきり、開通は間もないと思っていたので、まさか最近になって、前静岡県知事の発言だけなく、井戸水枯渇など急に問題が明るみになって驚いた。2030年開通も怪しくなっている。

リニア新幹線の問題は、まさに映画の中で住人が提起していることと何ら変わりはしない。

映画ではまだ着工すらしていないが、現実社会では、着工後に問題が発覚している。

映画では、グランピングの施設建設を巡って、生活排水が井戸水に混じり飲料水が汚染するのではないか問題が取り上げられている。舞台は長野県ではあるが、この長野県の川や地下水の水は愛知県や他県の生活用水になっているから、もはや長野県だけの問題ではないのではある。

関西なら琵琶湖の水と同じなのである。

水に限らず、観光客による山火事が起きるのではないか問題も提起されている。

生活用水を汚染させてまでグランピング施設を建てる必要性があるのか?都会からの客を呼んでまで経済を回す、潤す必要性があるのか?トンネルを掘るだけ掘って但し駅はなし、地元住民の経済はどうやって潤すの?と同じ。めちゃくちゃリアルな問題として描かれている。

なのに! 

もう片方では、ラストで明白になるが、鹿が作品の鍵を握る存在になっていて、

野生の鹿は人間を襲わない、絶対に。だが、仔を守るためなら親鹿は人を襲う。それを専門用語を使って言ってましたが聞き取れなかった…。

それがラストの伏線になっていた。

映画内では、主人公親子が住む土地では鹿狩りが行われている。彼らも、土地に住む住人もそこで生活しているわけだから排泄もすれば、生活排水も出す。

経済を回すためにグランピング施設を建てるのと何ら変わりはしない。見方によっては、住民の意見には矛盾が生じている。

そこを踏まえた上でのファンタジックなラストだと思うんですよ。

住民は、野生の鹿と同じ。この土地だから生活(生存)しているモノたちなのである。たとえ移住者であっても。

もはや、花ちゃんの失踪からのラストの展開は、濱口監督のメッセージとしか解釈できない。

あそこにリアリティーを求めたらただの理解不能作品になってしまう。え゙っ、そこで終わり???はぁ??!!ってなってしまう。

そういう意味でもエンタメ要素を感じて、私は凄く好き!

ま、濱口監督の意図はさっぱり分からんけどね…。

役者陣は、地元の方なのか素人ぽい演技が地元感が出ていて良かった。プロの役者さんだったらマジ天才!芸能事務所のマネージャー?役の方だけがプロっぽかった。あえて検索してないけど…。

あと、あんなに長回しを多用していたのに、体感時間がめちゃくちゃ短く感じた。「ドライブ〜」もしかり、これは濱口監督の映像マジックやね。マジ凄い!

この作品、確かに、人を選ぶ。いや、映画館を選ぶ(シネコンしか知らない人には先ず到達しない場所という意味)

だけども、多くの方が観るべき作品であることには間違いない。

タイトルの、悪は存在しない、

確かに見方によっては、鹿目線(自然目線)なら、本能であったり自然現象であったりと、悪は存在していないかもしれないが、

人間目線だと、間違いなく悪は存在している

と私は解釈した。

追記:

昨日、YouTubeでLiLiCoさんがオススメしていたスウェーデン映画の「幸せなひとりぼっち」を配信で観た。

精神が弱っていたのか、最初から泣きっぱなし。

めちゃくちゃ良かった!

出会いと別れは必然。

人生は死ぬまで学びと成長を繰り返し。

そう、人間は、お役目と課題があって生まれてくるんだよ。そう簡単には死なせてはくれない。

何気ない登場人物や猫やアイテムが作品を盛り上げる伏線になっていて、伏線の意味を凄く考えさせられた作品でもありました。

トム・ハンクスの「オットーという男」のオリジナル版とのことですが、

オリジナルであんなに泣いたら、リメイク版なんて観れるかな~って感じ。

超オススメ!!

追記2:
浦井氏で「天保十二年のシェイクスピア」再演決定!!

初演の大阪公演は中止になって観られなかったからな~。でも、DVDで拝見済…藁

今度は、初演で高橋一生君が演じた三世次!

おー、悪役か!?

めちゃくちゃ楽しみ!!













異人たち

2024-04-28 00:54:51 | 映画
さすが、スピリチュアル大国イギリス作品だけあるなー!

まさか、幽霊?魂?にも気付きと学びを得る描写をするとはね!

大林宣彦監督の「異人たちとの夏」も良かったけど、アンドリュー・ヘイ監督版も良かった。

ぶっちゃけ、途中までは、主人公をゲイ設定にしたことで無茶振りというか、強引設定というか、

主人公がおネエキャラならいざ知らず、どう見ても第一印象ではノンケ(ゲイじゃない)にしか見えない主人公に、いくら少しは面識はあったとはいえ、ゲイバーで見かけたとかじゃないのに、いきなり家にやって来て主人公がゲイであること前提で話しかけるのはどうなん?と思ってしまった。

これってお国柄と文化の違いか???

お母さんに自分がゲイであることを打ち明けて拒絶されるって…、

いやいやいやいやいやいや、私なら2度とこんな家に帰りたくないわ!

大林監督版は、確かにゲイ設定ではなかったけど、大きくなった息子と再会した時の、息子の全てを受け入れているお父さんとお母さんの描写がぴか一だっただけに、アンドリュー版はあまりにも両親の描写が現実的過ぎて、正直ガッカリしていた。っていうか、イラッとした、

前半はね!

主人公が、母親に拒絶されながらも再び両親に会いに行ってからがもうぴか一!素晴らしかった。ちょっとウルッときた。

まさか、幽霊か魂のどちらか分からない母親が気付きと学びを得るなんて、「異人たちとの夏」を観たあとだけにさすがに思わんやん!?

お父さんも、自分が生きている時には気付けなかった息子の悩みを理解しようと努めるわけやん。

マジ、素晴らしい!としか言いようがない。

まんまと騙された!って感じ。

ラストに関しては、大林監督版はホラーだったけど、アンドリュー版はスピリチュアル。気付きと学びが描かれている。

主人公は、今まで他人に心を開けずに生きてきて、ましてや愛することも知らなかったが、同じマンションの住人(彼)との出会いによって、最初は彼を拒絶していたけども、体の関係を持つようになってから次第に愛することを学び始める。

最初は拒絶していた母親からも彼と恋愛を応援されるようになる。

そして、ラストは、ひょっとしたら主人公も死んでいたのかもしれないけど、既に死んでいた彼と魂で結ばれワンネスとなって星になる。

いやいやいやいやいやいやいやいや、

めちゃくちゃ、ええやんかいさ!!

最初はゲイ設定に無理があるんとちゃうん??と思っていたけども、

ゲイ設定だからこその親子の確執が、それぞれが学びと気付きを得ることでお互いを理解し合い、そして、生きていた時よりも親子の絆を深めていく。

大林監督版にはなかった描写がマジぴか一!


ということで、大林監督版の「異人たちとの夏」のイギリスリメイク版を観てきました。

あまりにも大林監督版が素晴らしかったから、アンドリュー版も期待したら、最初は、えっ!?と思ってしまったけども、後半は反動でめちゃくちゃ感動した。

大林監督版は、ファンタジックホラーだったけど、アンドリュー版はファンタジー&スピリチュアルでしたね。

どちらも甲乙つけがたいくらい素晴らしかった。

大林監督版は、監督独特の照明、セピア風な照明の色がめちゃくちゃ幻想的でノスタルジックな雰囲気を醸し出していて、まさに古き良き昭和の東京の下町の雰囲気を見事に再現されていた。

大林監督カラーが、風間杜夫さん演じる主人公と、片岡鶴太郎さん演じるお父さん、秋吉久美子さん演じるお母さんの親子関係の描写がより一層郷愁に溢れる効果を担っていた。

風間さんも鶴太郎さんも秋吉さんも実年齢は変わらないのに、不思議なことに親子にしか見えない。風間さんが本当に鶴太郎さんと秋吉さんの息子にしか見えない。

風間さんが本当に少年時代にタイムスリップしたかのように、お父さんとお母さんに甘える様がめちゃくちゃ良い!

鶴太郎さんも、下町のお父さんの雰囲気がよく出ていて温かみがある。

秋吉さんも、映画のポスターを見た時は、エロい役なのかと思っていたのに、実際は、エロ担当はまさかの名取裕子さんで、秋吉さんは、良い意味で見た目のエロさに反して息子に対してめちゃくちゃ愛に溢れている下町のお母ちゃんを好演していました。

まさか名取さんが出てるなんて知らなかったので、エロ担当と書いたら失礼ですが、美しい名取さんが、エロ担当だけでなくまさかのホラー担当でもあったのでそのギャップにしてやられましたね。

秋吉さんも名取さんもイメージ的には逆の役だったので、そのギャップとキャスティングが絶妙だった!

タイトルに夏が付いているように、熱い夏、お盆の先祖帰りの時期といった日本ならではの風習?が背景にあるのが凄く活きている。

まさかのホラーテイストだったことも驚きましたが、YouTubeで秋吉さんのトークショーを観させてもらい、大林監督は元々ホラー作品を作りたかったとのこと。このホラーテイストが、賛否両論あったそうですが、私は大林監督の「HOUSEハウス」を思い起こさせる演出だったので結構好き。

加えて、郷愁漂う大林監督カラーが最高に好き!

「時をかける少女」や「さびしんぼう」「転校生」、私が大林監督作品で一番好きな「姉妹坂」も、大林監督カラーが活きているのであの色作りは唯一無二!

って書くと、「異人たちとの夏」は昔から好きなんだと思われるかも知れませんが、実は観たのはつい最近です。松竹のYouTubeで期間限定配信で観させもらいました。

30年以上前に封切られていたことは当時は知っていましたが、なんせポスターで、秋吉久美子さんが出ているからエロ作品だと思っていたのでm(__)m観てませんでした。当時の評判の良さは知ってましたが、まさか大林監督作品だとは知らなかった…。

たまたまYouTubeで観たら、名取裕子さんは出てるわ、秋吉さんは素晴らしいわ、世界観はまさに大林監督ワールド炸裂で、めちゃくちゃ素晴らしかった。

私も主人公同様に両親がいませんが、「異人たちとの夏」を観たら、せめて夢の中だけでも両親が出てきたら素直になりたいな~と思ったほど。

そう、私の夢に両親が出てくる時は、毎回亡くなっていることを忘れて生前同様に喧嘩してる。目が覚めて両親がいないことに気付く。いつもこのパターン。

で、「異人たち」を観たら、こんな親なら二度と会いたくないと思ってしまったけども(前半はね!←ここ強調)、後半からは、

原作を読みたくなるくらい、「異人たちとの夏」とは異なるシチュエーションとラストだったので、全くホラーテイストなし…、山田太一さんが描きたかった世界観を知りたくなった。

感想は最初に書いた通りですが、ゲイ設定に無理くり感は否めないけど、結果的にはスピリチュアル要素満載だったのでコチラも負けじと良かった!

コチラは、お父さん役のジェイミー・ベルもお母さん役のクレア・フォイも主人公のアンドリュー・スコットより若い役者さんなのに、ちゃんとお父さんとお母さんに見えた。

2人とも交通事故で亡くなっていることを分かっているのに、両親として、人間として、まだまだ成長しようとしている描写が本当に良かった。

アンドリューは、風間さんと違って、表現面で息子感というか少年感はなかったけど、自然体で息子を演じていた印象。見た目はオッサンやけど心は少年みたいな感じ。決して少年ぽく演じてはいない。

恋人役のポール・メスカルは、名取さんと違って主人公を呪う役ではなく、結果的には主人公を愛し愛されたいと思ってる役。寂しさを埋めてほしいと思ってる。至って人間。

名取さんの時は、ラストの匂わせを最初から伏線として描いていたけど、コチラは匂わせ一切なし。ラストで真相が明かされる。真相が明かされるだけでなく、主人公と魂で結ばれる。

名取さんの時は、完全に低級霊で除霊?されてしまう。私にとっては、この設定もリアルではあるんだけどね。弱った心に低級霊は憑きやすい。

それはさておき、

「異人たちとの夏」を観ていたからこそ楽しめた「異人たち」だったと間違いなく言える。

イギリスにはお盆がないから、夏は強調されていない英語タイトルも納得。

日本ではあり得ないが、欧米では幽霊が出る物件は高値がつくという文化なので(ひと昔はね。今は知らないけど…)、幽霊に対して恐怖心がないのも欧米文化だなと納得してしまった。

本当に本当に山田太一さんの原作が読みたくなった。

オッペンハイマー

2024-04-15 00:06:00 | 映画
むっちゃ胸◯悪っ!

あ、決して作品に対してではありません。

訂正:ストローズが矢面に立たされいるのは裁判じゃなくて公聴会の間違いでした。m(__)m

オッペンハイマーがソ連のスパイでないか詰問されていのは原子力委員会の聴聞会で合ってるよね??

描かれている内容と、描かれていない裏の内容(私の想像)に対して憤りを感じているだけです。

作品自体は、見終えたあとモヤっとして、スッキリしないわだかまりが残る内容。ちゃんと把握できていないからでもあるけどね。

ということで、アカデミー賞発表以前から、“バーベンハイマー” という造語がSNS上で話題になっていたり、日本で公開されるのか否か?映画ファンの間では常に話題で持ちきりの本作。

やっとこさ日本での公開も決まり、観てきました。

実は「メメント」以来のクリストファー・ノーラン作品。彼の作品はめちゃくちゃ話題になったり評価が高い作品が多いのに、私はほとんど観てない。

作品賞は納得!受賞シーンを見て以来、ぶっちゃけ認めたくないけどロバート・ダウニー・Jrのオスカーも納得。もちろん、キリアン・マーフィーのオスカーも文句なし。

正直なところ、テーマがテーマだけに監督のクリストファー・ノーラン目線で観たかったけど、最後まで日本人目線でしか観れなかった。

もう、日本人目線で観たらもう憤りしかない!

戦争を終わらせるための原爆投下?言いたいことは分かる。

なんで無実な市民を殺す必要があるねん!?

それは、アメリカに対してだけでない。日本も同様。日本も愚かすぎる。戦争自体マジ馬鹿馬鹿し過ぎる!

原爆投下以前に、原爆実験の裏で一体何人もの命が犠牲になってるねん!?

戦争なんて、領土拡大が目的じゃないから指導者含む上層部を殺しても意味ない。要は服従させることが目的やん。都合のいいように従わせたいだけやん。

こんな作品を観させられたら、人間魚雷、神風特攻隊…、一人一人の犠牲なんて犬死にとしか思えん。死んでいった者達は、自分の命を犠牲にして日本を勝利へと導くと信じて特攻してるわけやん?なんでお前らが犠牲になって死ななアカンねん!?観ていてずっと虚しさと憤りがせめぎ合ってた。

ほんま、誰のための犠牲やねん!?誰のための戦争やねん!?

マジ理解不能!!

原爆を作ったことに対する憤りもあるけど、それ以上に、原爆を落としてしまったこと、落とさせてしまったことに対する憤りが抑えきれない。

ドイツにも落としたかった…。

全くもって意味不明!

原爆実験が失敗していたらどうなっていたんやろね…。

この作品、戦前戦後と大きく二部構成になっていて、白黒かカラー映像でしか時代が区別されておらず、最初は全くもって意味不明だった。

白黒映像が過去で、カラーが現在だと思ってたら逆だった。

前半からちょくちょく白黒映像で意味不明な会話が繰り広げられているシーンが挿し込まれていて、なんのことかさっぱり分からず、白黒映像だから過去のフラッシュバックだと思ったらその後(戦後)だった。後半で明るみになる流れ。

説明を加えるならば、原爆が投下されまるまでの前半がとその後のオッペンハイマーに関する聴聞会と裁判の後半。ちなみに裁判はロバート・ダウニー・Jr演じるストローズが被告人かつメインスポットになっている。そして、その裁判から数十?年後が描かれている。

もうさ、後半の戦後の聴聞会と裁判がマジ馬鹿馬鹿し過ぎる。

戦前の原爆が発明され投下されるまでは、映像で描かれていない世界状況(特に日本)を想像してイライラと憤りが募っていたが、後半はマジ、

何十万人という犠牲の裏で下らない聴聞会や陰謀や裁判が行われていたことに憤りしかなかった。

聴聞会の内容が、オッペンハイマーはソ連のスパイだったのではないかという…。

いやいやいやいや、原爆と関係ないやん!?

くだらな過ぎる!

あ、作品をけなしてはいません。あくまで内容です。

オッペンハイマーの弟や恋人?は共産党員。現妻は元共産党員だった。

オッペンハイマーは、原爆を発明しながら彼らと関わりを持っていた。弟に関しては、原爆実験のためにわざわざ呼び寄せたほど。

いかにもオッペンハイマーを黒に見せながら、オッペンハイマー自身は、戦争を終わらせるために原爆を発明していただけで、決してソ連のスパイではない。どちらかというと戦前エピソードは、オッペンハイマー目線で描かれているから観客には真相は明々白々。ま、理解不能な行為もあるけどね。特に恋愛に関して。

オッペンハイマー目線だから必然的に共産党関係エピソードも盛り込まれている。ちなみにオッペンハイマー自身は共産党員ではない。そこもちゃんと描かれている。

第三者目線だと、オッペンハイマーがソ連のスパイだと思われても仕方ない見せ方になっているだけ。

オッペンハイマーを良く思っていない人間がいて、陥れようと裏で策士していたのがロバート・ダウニー・Jr演じるストローズだったというオチ。

オッペンハイマー自身は、特別日本に恨みがあって原爆を作ろうてしていたのではなかった。自身はユダヤ人だから必然的にナチスを恨んでおり、ナチス(ドイツ)もまた原爆を作れる科学者がいるからナチスよりも先に作りたかっただけ。

あくまで戦争を早く終わらせるための原爆であり、これ以上アメリカ兵を犠牲に出さないため、平和を取り戻すためであった。

オッペンハイマーは、広島と長崎に原爆が投下されて20万人以上の犠牲者が出たことを後悔していた。原爆も水爆も要らないと訴え出ていた。だが、アメリカ政府としては、ソ連に対抗するためには原爆は必要不可欠だった。政府とオッペンハイマーと意見の相違があるのもポイント。

戦時中、アメリカの敵はもはやナチスでも日本でもなく、ソ連というのがなんとも言えない皮肉。戦時中から冷戦勃発。ほんま、馬鹿馬鹿しい。

原爆を作ったことに対して是非を問う聴聞会でも裁判ではなく、オッペンハイマーがソ連のスパイか否かの聴聞会。真相を知ると実に下らない!

ストローズは、過去にオッペンハイマーに侮辱されたことを執念深く根に持っており、原爆の父と称賛されたオッペンハイマーを陥れるために陰謀を企てていた。揚げ足をとって陥れる…。

あらすじを書いているだけでイライラが募ってくる。

頭がいいなら、もっと世のため人のためになることに知恵を働かせろよ!と言いたくなる。

今の日本もそうだけど、利益優先が当たり前になってない?慈善事業が優先じゃなくて、利益優先のためにわざと慈善事業を行うみたいな。慈善事業が本当にわざとらしく感じる。

ぶっちゃけ、クリストファー・ノーランが何をメッセージとして描きたかったのかは正直見えてこなかった。アメリカ批判をしたかったのかも正直なところ分からない。オッペンハイマーの功績を称えたいのかも分からない。少なくともソ連のスパイではないことを伝えたいのだけは明確。

自分の信じた道や信念が否定されたり、間違いだと気付くことがある。一度始まったこと(軍事開発やその競争)はもう終わらない、と言いたかったとは思うが、正直なところ私には分からい。 

決して否ではないが、賛でもない。憤りとモヤモヤが残る珍しい作品。

日本公開に関しては、やはり原爆被害者に配慮して公開を見送るべきじゃないのかと配給会社も買いつけるべきか悩まれたとは思いますが、公開して正解だと思います。

戦争シーンは一切ありませんが、戦争の虚しさがよく伝わる作品だったと思います。