杉咲花に主演女優賞!!
志尊淳君に男優賞!
小野花梨ちゃん、ゆうさん(真飛聖さん)にも女優賞!作品賞も監督賞も脚本賞も!
但し、私に権限があればね!
いやいやいやいやいや、12月までまだまだたくさん映画が公開されるけど、主演女優賞は確定やろ!作品賞も男優賞も獲って欲しい!
めちゃくちゃ良かった!めちゃくちゃ泣けた!
めちゃくちゃセンシティブな内容なのに、私の表現の仕方でイメージダウンしてしまったら本当に申し分ないですが、
まだ3月ですが、映画作品として断トツで素晴らしい!
一見意味不明なタイトルだけども、予告編でも語られているように作品のテーマでもあり核になっている。原作を読むべきか悩むな~。
ぶっちゃけ書いて申し分ないですが、市子の花ちゃんより何倍も素晴らしいキナコ像でした!
やはり、花ちゃんは、「花のち晴れ」や「おちょやん」みたいに等身大で喜怒哀楽を出せる役がピカ一!
役者だから役になりきったり、憑依するような役も確かに魅力的だけど、花ちゃんの場合は、市子のような感情を抑えた役よりも、感情をむき出しに出来る役柄の方が花ちゃんの魅力が最大限に活かされると思った。
志尊淳君演じる安吾役も難しい役どころなのにめちゃくちゃ素晴らしかった!
魂のつがい、これだけでも脚本賞もん!
映画作品としての見せ方もめちゃくちゃ良かった!
ということで、予告編を観た時から花ちゃんの演技に惹きつけられ、たまたまネットで、トランスジェンダー監修として作品作りに参加された若林佑真さんのインタビューを読み、早く観たくなって仕方なかったので、実はソワレの「テラヤマ・キャバレー」を観た後にそのまま梅田でレイトショーで観てきました。「テラヤマキャバレー」の感想は後日。
志尊淳君演じるトランスジェンダーの安吾の表現がめちゃくちゃ繊細に演じられていて、マジその人物にしか見えなかった。
安吾は、杉咲花ちゃん演じるキナコの闇に光を照らす存在。DVやヤングケアラーという自由のない生活から自由になる術を一緒に考え導く無償の愛しかない存在。
キナコは、安吾に出会うまでは狭い宇宙空間でしか生きる選択肢がなかった。ある種の洗脳によって彼女は支配されていた。
安吾との出会いによって、宇宙はもっと広いことを知る。あ、宇宙という表現は喩えです。安吾の導く様が素晴らしい。
だけども、
安吾は、ただただキナコの幸せだけ望んだ行為が逆に自分の首を締めることになってしまう。本当はキナコを愛しているのにキナコの理想の男になれない苦悩が故の選択が本当に泣ける。
ぶっちゃけね、私が安吾なら、どんなにキナコの幸せを望んでいても、キナコに拒絶された時点であの行動はやり過ぎだと思ってしまった。キナコの人生だからキナコ自身が学びと気付きを得ないことには、たとえ正論言ったところで行動したところでキナコには響かない。
私には安吾の正論行動は出来ないな。キナコが学びと気付きを得て、自分を必要とするならその時に救いの手を差し伸べられる存在になれたら…とは思うが、安吾はキナコの幸せしか考えられないから、余計なことではないが自分の正論を貫いてしまう。結果、自分の闇と向き合うことになり…。
安吾の闇は、宮沢氷魚君演じるキナコの彼氏と余貴美子さん演じる安吾のお母さんの一言によってどん底に突き落とされる。
結局、キナコが付き合う相手は、かつて自分が親にされてきたことと同じことをする相手だった。分かっていても今の裕福な生活が惜しいのか別れる気はなかった。でも、安吾の生き様と文章からキナコも学びと気付きを得るが自暴自棄になってある行動を起こす…。
そこからキナコの第3の人生が始まり現在に至る。
映像的には、今現在のキナコとかつての自分と瓜二つな境遇の男の子との出会いから、過去に遡ってキナコと安吾の出会いによって学びと気付きを描き、安吾から貰った無償の愛を次は男の子に与えようとする描写が、
実に素晴らしい!
トランスジェンダーだからとか、男たがら、女だからなんて関係なく、同性愛や異性愛といった性的指向云々以前にちゃんと人間を描き、更に、闇と気付きと学びと成長を描いていて、
本当に素晴らしかった!
ぶっちゃけ、LGBTQという表現が、私には差別用語にしか思えない。性自認に問題があるからといって、人間には変わりないからカテゴライズするのは私には違和感しかない。でも、性転換手術を受ける、性別を変えるとなるとちゃんとした専門分野の診断や助言が必要になるからカテゴライズしなければならないのは分かるが、それでもなんだかモヤッとする。
花ちゃんは丁寧にかつ力強く、受け身の演技も押し出す表現もお見事だったし、志尊淳君は本当に難しい役どころを丁寧にかつ繊細に役を演じられていて、2人とも賞を獲って欲しい!いや、絶対獲れるよ!
小野花梨ちゃんも等身大の役柄でめちゃくちゃ自然体で、めちゃくちゃ癒やされる存在だった。賞あげたい!
キナコが助ける男の子いとし役の桑名桃季君は、一言も話せない設定だったので目の演技がとても良かった。てっきり女の子だと思っていたから、キナコといとしがずぶ濡れで服を脱ぐシーンがあって、そこ見せて大丈夫なん?と心配になったが男の子だったから問題なかったんやね。ドラマ「不適切にもほどがある」で初めて知ったインティマシーコーディネーターさんがアドバイスされていたのかな?と推察。
ゆうさんは、御本人にとってもめちゃくちゃ辛い役柄で、「ミッドナイトスワン」のバレエの先生役と正反対の役柄でしたが、生半可な気持ちでなく本気で役を演じられており、ゆうさんの演技力の素晴らしさにマジ唸りました。
宮沢氷魚君がまたいい味出してた。役柄は最低ですが、表現は良かった。作品のうねりとなる重要な人物だけに、ゆうさん同様御本人にとっては辛い役柄でしたが、見事な引き立て役で晴らしかったです。
出番は少ないですが、余貴美子さん、池谷のぶえさん、賠償美津子さんも素晴らしい存在感でした。
特に賠償さんの役柄は、捻りのある見せ方をしていたのでラストシーンが出色でした。そうそう、賠償さんの役の訛が、大分県が舞台なのに、土佐弁みたいな訛だったので五社英雄監督作品「陽暉楼」の役がフラッシュバックされた。
去年のマイベストは石井監督の「愛にイナズマ」でしたが、「52ヘルツのクジラたち」はそれに匹敵するくらい映画作品としても愛がいっぱい詰まった素晴らしい作品でした。
やはり、若林佑真さんの監修効果によるものが大きいと思った。