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「あん」

2015-06-30 00:04:57 | 映画
はい、樹木希林さん、日本アカデミー賞ノミネート確定!!!

私に権限があればね(笑)

ということで、「二つ目の窓」の河瀬監督作品を観てきました。日にち的にもう観れないかと思った…。

もう、とっても良かったです!ラストはマジ泣けた(涙)

ハンセン病がテーマになっているからスピ要素はないだろうな~と思っていたら、とんでもないっ!

スピ要素だらけでした。希林さん演じる徳江さんは、まさに桜の精のような存在でしたね。そう、希林さんの女優魂に感動いたしました!

希林さんにこの役で主演女優賞あげなかったら、日本映画界終わってるで!と言っても過言でないくらい本当に素晴らしかった!

希林さんこそ、神様に生かされていると言っても過言じゃないかもね。

この作品はハンセン病がキーワードになっていて、以前NHKで、ハンセン病患者が隔離された島で生まれ育った(?)少年が、その島で生活を余儀なくされた方々の生活状況や隔離島としての歴史を伝えるべく少年なりに奮闘している姿を映し出したドキュメンタリー番組を観ていたし、ハンセン病がキーワードとなっている映画「砂の器」も観ていたから、私にはタイムリーな内容ではありましたが、隔離島とまではいかなくても、今もまだ療養地区があることにビックリしました。

ハンセン病は今では伝染病ではないにせよ、まだまだ風評被害のように差別される存在なんだと思うと、東北の震災後の作物や地域の風評被害と同じような差別を感じました。

知り合いが、風評を気にして東北には旅行したくない!でも、東京には遊びに行く!と言っていたので、「東京も変わらんで…。今食べてる料理だって、原材料がどこの産地か分かったもんじゃないで」とついつい脅かしてしまいましたが、そんな私だって差別心がないわけではない。ぶっちゃけ、ブログで依怙贔屓発言をしている時点で差別と一緒だと自分でも分かってる。

そういう意味では、私自身も永瀬正敏さん演じる千太郎でもあり、浅田美代子さん演じるオーナーであったりする。無意識に差別していたり、いつの間にか差別される側になっていたり…、そんなこと日常でも多々ある。

ハンセン病患者の方たちは、犯罪者じゃないのに隔離され、一生をそこで生きていかなくてはならない。自由のない牢獄と同じ。筐の中のカナリアと同じ。結婚は出来ても、子供が出来たら産むことが許されない。ホント筐の中の一羽のカナリアと同じ。

そりゃ、ひと昔に比べたら、日本国内の差別はかなり緩和されていると思う。差別も含め、まだまた生きにくい世の中なのかもしれないけど、私が関わったことのある人達は差別に関係なく自由に生活しているように見えた…。何処何処の出身だからといって負い目や引け目を感じている人はいなかった。堂々と生きていたよ。ただ、今分かるのは、職種は限られていたな…。それは言ってた。あ、私の目線はあくまで客観視であって差別視ではないので誤解なきように。

与えられた環境でどう生きていくかが大事で、辛い環境であっても、自分らしく楽しく生きていくことがとても大事だと思う。

誰かを恨んだり、疎んだり、蔑んだり、怒りを生きるエネルギーにするのは間違っていると私は思う。マイナスの感情を如何にプラス思考に変換して生きていくか?が、そっちの方が断然生きやすくなると私は経験から思う。

何度も書きますが、過去の過ちや失敗はタイムマシーンがない限り覆せない。過去の出来事は事実なんです。どんな過去を背負っても幸せに生きる権利は誰にでもある。ただ、罪があるからそれは償わないといけない。それはルール。相手を不幸に陥れておいて、自分だけ幸せになることは神様が許さないと思う。世の中はなんでもかんでも自由ではない。不自由の中から少しの自由や、小さな幸せや希望を持つことが生きる術だと私は思う。

いつもながら宗教チックなこと書いてますが、決して洗脳とか勧誘とかしてる訳ではないので誤解なきようにm(__)m

ま、ぶっちゃけ書くと、私のオカンは、私が小さい頃は、宗教にはまっていたのに、差別心は人一倍だった。○○人とは結婚したダメ!って平気で言ってたからね。親を見ながら宗教とは何かを小さいながらにも考えさせられたから今があるんだと思ってる。

ハンセン病を背景に河瀬監督が描く「あん」の世界観には、目には見えない力が人を引き寄せたり引き離したりと、まさにスピ要素が描かれていて、誰かへの想いは愛があれば必ず相手に届くことを監督は伝えたかったんだと思いました。

過去の事という心の束縛から、誰にも束縛されない自由ではなく、如何に魂の自由を得るか?それを丁寧に表現された素晴らしい作品だと思います。徳江さんが作るドラ焼きが食べたいっ!

希林さんは本当に素晴らしい表現者さんですね。女優魂を感じる役作りでした。必見です!

私にとっては実はお初かもしれないくらい久々(私にとって永瀬さんは映画「みゆき」から止まってる)の永瀬さんは、寡黙ながらも地味ながらも過去を背負う男を好演してました。なんか、希林さんとのやり取りが素に思えてならなかったので、地に近い役どころなのかな…?と思った。

そうそう、これは私の推測ですが、ワカナとのやり取りは台本に台詞がない自由設定の演出なのかな~と思った。前回の村上親子の会話に近い独特の間がありました。この演出好き!

で、ワカナ役の希林さんのお孫さんでもある内田伽羅ちゃんは、めちゃくちゃ自然体でめちゃくちゃ良かった!素人ぽさもありつつ、自分の役割をちゃんと分かっていてなかなか勘がいいと思った。目線・目配せが良かった!あれはプロでも難しいと思う。ちゃんと受けの芝居も出来ていてさすがモックンの娘さんだけはある。希林さんとは違う。希林さんは、どっちかというと西田敏行さんタイプで攻め上手やね。希林さんの永瀬さんを手のひらで転がす様は面白かった!

は、いいとして、おばあちゃんの希林さんの演技を間近で見た伽羅ちゃんは、おばあちゃんからの最高のプレゼントを貰ったと思う。あの希林さんの演技は、素の希林さんを知っている間柄なだけに刺激的だったと思う。伽羅ちゃんは、将来斎藤由貴さんみたいにのんびりタイプと思わせつつしっかりした芯がある女優さんになりそうな予感。もし女優さんになるならね。あ、なんか結婚も早そうなイメージ(笑)

この作品、素敵な台詞が沢山あって、脚色も担当した河瀬監督のチョイスが光ってました!私にとって“月”は人生のキーワードなだけに最高の使われ方でした!徳江さんの台詞は本当に素敵ですよ!

「二つ目の窓」を含めそれまでの河瀬監督作品は、お客を選ぶ内容ではありましたが、今回は原作があるだけに誰が見ても感動する内容に仕上がっていると思っているので、超オススメします!スピ要素があるのと宗教色が強いのとでは全く意味が異なるので安心してご覧下さい。“ナウシカ”ファンは超オススメ!

今日のまとめ:河瀬監督のスピ要素、わたくし大変大好物でございます!

どなたか、希林さんに賞をあげて下さい!!!