二人は、AとK、K君が、
「1940年代のある日、ドイツを訪問した秩父宮一行を、あのヒトラーが迎える、その席上で、ソビエト‣ロシアのスターリンを批判した」
「犬猿の仲だったね」
「口をきわめてののしる、罵詈雑言の嵐だ、悪口は、ここに極まれり、それを、あのチョーシでやってのけた」
「ほーう」
「すると、すっくと立ち上がった東洋の貴公子が、Kings English で、
『いかなる事情、いかなる理由があるにせよ、かかる公(おおやけ )の席上で、一国の代表を批判するのはいかがなものか、それは、gentleman の礼儀にそむくものではないでしょうか 』 」
「やるね」
「いならぶナチス・ドイツの面々、ゲッペルス・ヒムラー・ルドルフ‣ヘス、シャハトはいたかな、そしてヒトラー、
『ポカーン』 」
「アーリアン民族を人類最高と信じるヒトラーが、ボーゼンとする」
「そんなエピソードがあったのか」
「だから、つい最近まで、秩父宮を尊敬し慕う人々が多かったんですね」
あの二人、
「明治は、どうなんだい」
「まあー、成功したかな」
「『まあー』が気になるね」
「アジアで最初の工業国になった、横浜の関内に日本で初めての鉄橋がある、鉄の大量生産こどが、近代社会の必要条件だろう、それを、やりとげた」
ずばりと、
「明治の社会の本質は、祭政かな」
「立憲君主制ということになっている、このケースの君主は、天皇陛下かな」
「たしか、政治は統治権で軍隊は統帥権、このふたつを統べるのが天皇陛下、抜群の能力が要請される」
「それだ、権力構造が、二つに分かれていた、政府は統治権だが、軍隊は統帥権による、したがって政府は、本質的には、軍隊を統御できない」
「警察と軍隊が仲が悪かった、大阪の交差点で一歩も引かない事件があった」
「二匹のヘビがからまっている、ただ、明治天皇という大力量人によってのみコントロールできたということかな」
「そうだったね、203高地の責任を取ろうとした乃木に、
『死んではならぬ』 」
「馬上の乃木が、皇居を振り返る写真がある、大恩を受けた今上陛下を思っていたんだろう」
「殉死を決意していたんだ」
「凛(りん)とした明治の空気が伝わってくる」
「その英邁な資質を受け継いだのが秩父の宮、ここにこそ昭和の悲劇いや無念がある・・・ 」
「今日は、それは、やめよう」
「政治の支配下にない軍隊は、やがて、暴走する、それと、軍人の無教養と横暴がひどかった」
ニヒルな中年、
「百年前のババアを利用して金もうけ、いかにもレンチューらしいや」
「おいおい、聞かれるぞ」
「かまやしない、ホントーなんだから」
「紙カップのソバが650円だよ、駅なら350円ぐらいだ」
「牛丼は500円、いや550円か」
「紙のコップのコーヒーが、300円、350円だったかな、それも、日によっちゃあ七分目だぜ」
「よく、見てるね」
「せめて、八分目は、入れろよ」
「ババアはダメだろう」
「深沢七郎は、もっと痛烈だね、
『くそったれババアーだよ』 」
「おいおい、そのくらいにしとけよ、どうして、そんなことを言ったのかな」
「深沢は山梨の出身でね、昭和初期の山村の現実を体験していた」
「・・・」
「生糸工場でね、16~17の娘がバタバタと倒れた、劣悪な環境と長時間労働だ」
「なるほど」
「深沢は、
『ジョコー(女工)という言葉を聞くと、ナミダがこぼれる』」
この二人は左翼思想の洗礼を受けているのかもしれない、
「この国の近代化のための犠牲か、一部の特権階級のための犠牲だったのか、
シャチョーさん
シャチョーさん
あなたのグラスに光るは
なんですか なんですか
シャンペーン
シャンペーン
いえいえ それはちがいます
いえいえ それはちがいます
かわいい ジョコーの
かわいい ジョコーの
血のナミダ 血のナミダ 」
「山梨や長野、栃木・群馬を行く時、ちいさな寺の前を通ったら、その寺の裏にある墓地を参拝してごらんなさい、きっと、
何々信女
行年 17歳
そんな文字を見ることでしょう 」
ニッポンのオトコは、
「なにひとつ不平をいうことなく、だまって消えていった少女たちのさびしげな笑顔が、見えるような気がするんですよ」
明治神宮の休息所のソバの値段が変わっていた、このケースは、ほとんど「値上げ」。
ふだんでも高い、それが100円アップ、どーしてか、昭憲皇太后の100年祭のためかな、となりにヒトクセありそうな男性二人、
「百年前のヒトを利用してカネ・モーケか」
「そんなとこだな」
ずいぶんきわどい会話である、
「どうなったんだろう」
「なにが」
「ここのトップが、自宅に数千万円の茶室を作ったり」
「そんなことがあったんだ」
「ギンザのおんなをここが経営する料亭のおかみにしたり」
「・・・」
「親族のひとりを理事にすえる、やりたいほうだいだった」
「ほーう」
「それで、右翼がさわぎはじめ、おエライさんは逃げてまわった、重要な行事にも出られない」
「最近は、静かだね」
「ウラで、手をまわしたのんだろ」
なかなかの事情通だ、たしかにそんなことがあった、神宮の周りを大音量で走るクルマをおまわりさんがながめていた、あの時、神社本庁を脱会したのではなかったか、このくらいの神社になると年会費は何千万だったか、その後のコトを、新聞も報道していないようだ。
いつも行くカフェはテラスから原宿の十字路が見下ろせる、ところが、テラスの入り口に「カタヅケのため入れません」という張り紙、
「はてな」
当局の指導ではあるまいか、しかたない地下鉄の駅に向かう。
道の左側にカフェ、ブレンドが450円、
「特別な製法なんです」
一口、ゴクリ、なんのことはない、スタバのケニアのほうがいいくらいだ、450円はたかいなあー、センの細い女店員に、
「タイヘンな警備だったよ、あそこまでやる必要はあるのかな」
「なにがあったんです」
「両陛下が来ているらしい、まったく知らなかった、新聞やテレビで報道したかな」
すると、
「いつも、トツゼンなんですよ」
国技館で相撲を見たが、受付で持ち物検査、なかに入って天覧相撲であることを知らされた、前の列に黒人女性がいたのだが、皇后陛下にハクシュ・ハクシュ・ハクシュ、黒い顔を真っ赤にしていた、意外な発見だった、
なにやら、日本の社会が動き始めているようだ、政府の切れ者は、この動きをどう利用するのか、ところで、こういった重要な行事に参加できるのは崇敬会のメンバーなのだが、崇敬会は、地方の名士や資産家・県会議員たちで構成されているようだ。
この国の保守層の中核ということになる、神宮の休息所で彼らを観察する機会があった、ものを考えていない・ものを考える習慣がない、いや、ものを考える能力が欠落している、そんな人たちがいた、きっと先祖代々の名家に生まれて、恵まれすぎているんだろう、左のインテリがバカにする理由かもしれない。
どっちもどっちだ、左に揺れた振り子が、右に揺れているのだろうか、ほどほどのバランスがほしいものだ。
この国の実際は、どっちなんだろう、若い女の子が大声でわがもの顔でカッポする平等の社会、そして、こういうアタマごなしのやり方が横行してしまう社会、そこには、権威の横顔がチラチラする、権威の当主としての祭主はいいが、必ず、これに群がる利権の亡者や権力の亡者がいる、その末端が、町の名士で、お昼からら時価のスシをつまみ、一合900円の酒をたしなむ、その店のとなりの吉野家では一杯280円の牛丼をかきこんでいる、
「きょうから300えんだって、かんべんしてくれよー」
悪ビョードーでイライラし、特権クラスのオーボーにキリキリ、左にふれた振り子が右にもどる、どっちもどっちだ、
「ややこしいねー」
これから、どうなるのだろう。
4月2日の10時半、明治神宮の原宿側の大鳥居が封鎖されていた、なにがあったのか、胸にバッジをつけた180センチぐらいの茶色に日焼けしたオトコが、
「ワキの車道を お通りください」
それ以上は言わない、しかたない、右側の道を行く、今度は民間のガードマン、
「どーなってんだい」
「それが、あーた」
「あーた」ときた、
「天皇皇后両陛下がいらしゃってんですよ」
「そーだったのか」
これが、民間とお上(かみ)のちがいか、さっきのマッチョはSPか皇宮ケーサツだろう、
「シンブンかテレビでホードーした」
「しなかったんじゃあないですか」
事情がわかった、行けるとろまで行こう、外人のツアーのケツにつく、だが、拝殿前でストップ、かたわらの婦人が、
「外人さんがかわいそうね」
「タイワンの人たち 知らなかったんでしょ」
わたしが、
「なんのギョージなんです」
「昭憲皇タイゴーの記念の行事でしょー」
サンケイのブログが消去される、3月末で停止になるという通達があったが、まさに、そのとうりになったわけだ。
その日の朝には、まだあった、一応、エクスポートは取ってあるがコピーもほしい、プリンターが故障していて、動かない。
ネットカフェに、飛び込んで白黒のプリントの操作をする、これが結構ややこしかった、ナレなんだろう、1枚が20円で、カラーは50円、しかたない、とりあえず5回分をプリントする、残りは明日にしようか。
2-3日は、このままだろう、ところがである、夜アクセスすると、きれいにない、見事に消えてしまった、
「さすが、フジサンケイ・グループだな」
トータル数で77万7000をこえる、昼の3時には260人、だから、77万7260人、
「ひょとすると、77万7777人になるかも」
可能性はある、どれだけ増えていたか。ところが夜の8時には、すでに消去、だから、「永遠のナゾ」になった。
〝777777〝を、見てみたかったね。