二銭銅貨

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ファルスタッフ/昭和音大2018

2018-12-08 | オペラ
ファルスタッフ/昭和音大2018

作曲:ヴェルディ、指揮:ニコラ・パスコフスキ
演出:マルコ・ガンディーニ、演奏:昭和音楽大学管弦楽団
美術:イタロ・グラッシ、衣裳:アンナ・ビアジョッティ
出演:
ファルスタッフ:田中大揮、アリーチェ:中村芽吹
フォード:程音聡、クイックリー:宇津木明香音
フェントン:戴宸、ナンネッタ:中井奈穂
メグ:北薗彩佳、カイユス:髙橋大
バルドルフォ:駿河大人、ピストラ:山下友輔

女声4重唱や3重唱は女声のペチャクチャおしゃべりを連想させる凝った造りの重唱で上手に歌えていた。フィナーレの多重唱、合唱も凝った造りの重唱で華やかに終わる。全体に重唱に重点のあるオペラだ。

ファルスタッフは悪党だけれども、彼の言動には何か、体制とか時代とか偽善とかに対する風刺や批判が感じ取られる。自由を強く主張しているようにも感じる。原作のシェークスピアにもそれがあるとすれば、自由主義は西洋の文化、あるいはギリシャ・ローマから続く文化の根幹なのかも知れない。悪党は自由の読み替えなのかも知れない。

田中のファルスタッフは演者の若さを感じさせない堂々としたものだった。声は低く落ち着いて迫力があった。芝居もファルスタッフになりきっていた。戴は繊細な感じのテノールで、程はまじめな感じのバリトン。駿河はコミカルな芝居を頑張っていた。1人で歌うアリアが少ないため、他は特に印象に残らなかった。

演奏は力強く、特に歌手とのアンサンブルが良かった。オーケストラも重唱の一員なんだ。

2011年の昭和音大の公演と同じプロダクションで、その時に製作されたものと思われるが、2018年2月にスペインのセビリアにあるマエストランサ劇場でも上演された。2011年当時、3幕目で木が天井から吊り下げられてゆらゆらしていたものが、地面に固定されるなど若干の改定はあったようだ。衣裳も装置も本格的なプロダクション。

程、戴は日中韓 新進歌手交流オペラプロジェクトより参加した上海音楽学院OBと学生。

18.10.06 テアトロ・ジーリオ・ショウワ
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