令和6年5月12日
日本農業新聞(5月3日)
[どう変わる?基本法]④農業の持続的な発展 農地維持へ「多様な農業者」位置付け
食料・農業・農村基本法改正案は引き続き、「農業の持続的な発展」を基本理念に掲げ、
その実現へ「生産性向上と農産物の付加価値の向上」を明記する。
今後20年で基幹的農業従事者が4分の1に減ると見込まれる中、農業者の減少を見据えて基本的な施策も見直す。
26条1項では、担い手が農業生産の相当部分を担う農業構造を目指すこれまでの基本法の路線を維持する。
一方、同条2項を新設し、農地の維持に向け、担い手以外の「多様な農業者」の役割を位置付ける。
農業者が大幅に減る中、担い手以外にも農地保全を担ってもらう狙いがある。
生産性向上に向けては、新設した30条で、スマート技術の導入や、省力化につながる新品種の育成に必要な施策を講じるよう定める。
衆院では、日本維新の会などの提案で、多収品種の育成・導入の促進を加える修正が行われた。
さらに37条では、農家から農作業を請け負う「サービス事業体」の活動促進を掲げる。
サービス事業体はJAや企業などを想定しており、農業現場の人手不足に対応する。
27条では2項を新設し、農業法人の経営基盤強化へ「自己資本の充実」を規定。
今国会ではこの条文を根拠に、農業法人への出資規制を緩和する農地関連法の改正を審議する。
42条は農業資材に着目する。肥料原料や飼料を輸入に頼るリスクを踏まえ、国内資源への転換の推進を明記。
新設の同条3項では、資材の著しい価格変動時に影響緩和策を講じるよう定める。
多様な農業者の位置付けを巡っては、与野党から評価する声が多いが、その活動を支える具体策の設計が課題。
一方、日本維新の会は「構造政策が後退する」と削除を訴える。