令和5年4月25日
記者座談会 統一地方選を終えて
「コロナ後」問うも関心高まらず
岡山県内の統一地方選は23日に後半戦の5市町村議選が投開票され、幕を閉じた。
前半戦の県議選と岡山市議選を含めて計171議席を204人が争った。
新型コロナウイルス感染拡大後初の大型地方選であり、地域の将来像が問われたが、投票率の低下傾向に歯止めがかからず
、議員のなり手不足も改めて顕在化した。
担当記者が選挙戦を振り返った。
津山市は50・41%で前回より3・30ポイント下がり、落ち幅は県内6選挙で最大だった。
期日前投票(17~22日)は前回(1万6262人)から微減の1万5944人。
イオンモール津山(同市河辺)が新たに加わったにもかかわらず頭打ちとなった。
【投票率】ワースト相次ぐ
A 前半戦の投票率は県議選が39・73%、岡山市議選は37・29%と過去最低だった。
D 後半戦も新庄村を除く4市町村議選の投票率がワースト。
立候補者数が過去最少となった県議選では無投票区が相次ぎ、多くの有権者が投票機会すら得られなかった。
B コロナ禍からの地域再生にしても、人口減少にしても、有権者にとって身近で重要な課題だった。
各候補はそれなりに訴えを展開したのだろうが、結果として関心は高まらなかった。
E 有権者の政治離れという言葉で片付けてはならない。
公選法が認めている選挙公報を発行していない選管もある。掲げる政策が分からなければ、投票先は選びにくい。
C 主権者教育を受けている子どもたちはこの現状をどう受け止めるだろうか。
私たち有権者の側も地域を担う主権者ということをいま一度自覚したい。
【政党勢力】「自民1強」に変化
A 政党の戦いぶりはどうだったか。
B 「1強」状態の自民は県議選で改選前と同じ37人を擁立し、5人が敗れた。追加公認を加えても議席減は避けられない見込みだ。
岡山市議選でも改選前から1人減となった。ともに最大勢力は維持したが、風向きの変化を感じる。
E 公明は統一選で公認の20人全員が当選した。ただ、議席を増やした県議選の選挙区では自民候補と激しく争っただけに、
議会内での自公関係に影響が生じるかもしれない。
C 立憲民主は県議選、岡山市議選で各1議席増とし、手堅く戦ったように感じる。
共産は県議選で元職が返り咲いた一方、岡山、津山市議選は議席を減らし、伸び悩んだ。
D 昨夏の参院選で躍進した日本維新の会が岡山市議選で初の議席を獲得した。
県議選初参戦の参政も一定の支持を得たのでは。こうした新たな動きが県内政治勢力の変化の兆しとなるのか、注目したいね。
【女性躍進】均等には程遠く
A 女性候補の躍進が顕著だった。
D 県議選では13人が立ち、12人が議席を得た。立候補者、当選者ともに過去最多で4選挙区では女性候補がトップ当選だった。
全当選者に占める女性の割合は2割を超え、今回改選の41道府県議選では2番目に高い水準だった。
B 岡山市議選も前回より2人多い9人が挑んで7人が当選し、南区で初の女性市議が誕生した。
津山、玉野市も最多タイだった。コロナ禍によって続いた閉塞(へいそく)感もあって、政治に変化を望む有権者の意識が反映されたのではないか。
E とはいえ、政治分野の男女共同参画推進法が求める男女均等には程遠い状況だ。
C 民意をきめ細かく吸い上げるためにも、さらなる多様性の確保は必要だろう。
議員のなり手不足も深刻化している。
各議会や政党には多様な担い手がチャレンジできる環境づくりを求めたいね。