ノイバラ山荘

花・猫・短歌・美術な日日

「ゴーギャン展」@国立近代美術館

2009-08-18 23:22:33 | 美術
冷夏でよく眠れるので助かっていますが、
みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

夏休みの仕事の忙しさと週3のスパ通い(!)で
よろよろのノイバラです。
ずっと痛んでいる左足にスパの泡泡が心地よく、
仕事帰りに必ず寄るのですが、
体力がないので、癒されに行っているのか
疲れに行っているのか・・(・ω・;A

   * * * * *

カナダからご帰国中のF原さんと竹橋の近美「ゴーギャン展」に。
携帯をお持ちでないので不安だったのですが、
一目で分かり、無事に再会を果たしました。

昨年は7月からおみえだったので
万葉講座や歌会をご一緒したのですが、今年は8月のみ。
歌関係ではお目にかかれないので、
昨年お約束の美術観賞を果たしました。
昨年は日本の行き届いた細やかなサービスを
絶賛していらしたのですが、今年もいろいろと、
私には気付かない日本の良さを気付かせていただきました。

国立近代美術館本館「ゴーギャン展」

ゴーギャン(1848-1903)といえば、
フランスからタヒチに移り住んだ画家。
「ノアノア」の木版画連作26点、石膏像1点を含む
53点が展示されていました。



目玉は晩年の大作
「我々はどこから来たのか我々は何者か我々はどこへ行くのか」(1897-8)。

ゴーギャンについては常識程度にしか知らず、
まとめて間近で観るのは初めて。
まず、色の美しさに圧倒されました。
朱色と緑、青と黄色が対比して使われているのですが、
思ったよりシックな中間色も使われていて、複雑なハーモニーなのです。
これはごく初期の作品から見られる傾向で、彼の天性かもしれない。
形はフランスにいるころからすでに抽象化されていて、
単純化された形のリフレインが美しい。
色と形の音楽を目で聴く、という感じで心地よいのです。



この画はエヴァが楽園の林檎をもいでいるところを南国の花、
蛇を羽の生えたトカゲで表してあります。(羽のきれいなバーミリオン!)
登場する人物、人物のポーズ、動物、植物、事物には
思想がこめられていて、今日一日では
全部把握することはできませんでしたが、
繰り返し描かれる女性(エヴァ)、赤ん坊、黒い犬、馬、
すべてに意味があるらしいです。

知らなかったことですが、彼は幼少時6年間を
ペルーのリマに暮らしているのです。
いきなりフランスからタヒチへの道が開かれたわけではなくて、
後年水夫になったり、タヒチに惹かれる素地は
すでにそこにあったのだと思いました。

会場で一番好きな画をあげると言われたら、どの画がいいか。



私の「この一枚」は「ファア・イヘイヘ(タヒチ牧歌)」(1898)
楽園のエヴァと馬と人と黒犬。バックが金で装飾的、宗教画っぽい感じ。

F原さんの「この一枚」は「テ・パペ・ナヴェ・ナヴェ(おいしい水)」
(1898)(画像が見つかりませんでした)
エヴァと4人の登場人物。地面のバーミリオンが印象的、
水が画面の中央を横切り、暗い森、遠景の夕焼け空。

「この一枚」を中心に感想を話し合っていると、
通り過ぎてしまった画の違う面が見えてきて、とても楽しかった。
一人で見学することが多い私ですが、こういう観賞の仕方はいいと思いました。
F原さんは感覚がいい方で、「専門的なことは分からない」と
おっしゃりながらするどい指摘をなさるので、ぼんやりの私は
「ほおーー」と感心すること度々。
彼女の画の見方は、自分にひっかかりがあるところ、
惹かれるところを「何故」と他と対比しながら考えていくのですが、
これは私の歌集の読み方と似ていると思いました。

早かったせいか、ゆったりと見られる感じでしたが、
カナダの基準だと「大混雑」。
フジタのときの、黒山の人だかりに突進して人をかき分けて
見たことを話すと、仰天なさっていました。

お子さんのお迎えの時間が迫っているので、
常設展、工芸館は駆け足で見学。
工芸館のクラシックな建物も気に入っていただけたようで、嬉しい。

来年の再会をお約束して別れました。
短歌の「ボゥエン島通信」楽しみにしています。