前回の続きというわけではないが、1986年の「緑の党」と反核運動の顛末について一言。
反核運動と環境運動の初めてのコラボレーション。それが緑の党だった。ヨーロッパでは一躍ブームになり、西ドイツやフランス、ベルギーなどの国政選挙で大いに議席数を伸ばしていた。しかし、終焉は突然訪れた。
なんと緑の党の活動資金が、ソ連のKGBから拠出されていたとの報道がヨーロッパを駆け巡った。大騒ぎになったことは、遠く日本に居ても感じられた。
当時、ワルシャワ機構軍はNATOを圧唐オていたが、アメリカからのパーシング・ミサイルの配備は、そのバランスを崩す要因になると、当時のソ連指導部は危惧していたらしい。そこで西側において、反核運動を盛んにしてミサイル配備を阻害する計画を立て、その一環として緑の党に資金を拠出したらしい。
もちろん、単純に金を出すようなことはしない。幾人もの善意の第三者を迂回しての作戦であったので、緑の党の幹部たちも気がつかなかったようだ。事の次第が発覚したのは、パーシング・ミサイルが配備され作戦が失敗に終わり、その責任を取らされることを恐れて亡命したKGBのスパイからの情報が公開されたからだ。
あっという間に、緑の党に対する支持は激減してしまった。その後ベルリンの壁の崩壊と、それに伴い公開された東側社会の荒廃した姿は、穏健な左派政党にさえ大打撃となったのはご承知の通り。
ソ連が西側の反核運動を支援している噂は、前々からあったのは確かだった。それが白日の下に晒されたことは、たしかに反核運動に大きな打撃となった。
しかし、あのKGBスパイの自白は本当だったのだろうか。私はミステリー小説や、スパイ小説の大ファンだ。国際諜報の世界では、誰が味方で本当の敵は誰かなのさえ不透明だ。冷戦時代には「フィルビー事件」をはじめとして、事実は小説よりも奇なりを地で行く事件が数多くあった。
何を信じていいか分らない世界では、最後までたよりになるのは自分自身だけだ。だからこそ、表題のスパイ小説は面白かった。この作品には美味しいレシピが数多く記載されていることで有名だ。
敵も味方も信じられない世界に生きるスパイにとっては、自らの舌で味わえる美食の世界だけが信じられたのだろうか。そんな気がしてしまった、秋の夜長でした。
反核運動と環境運動の初めてのコラボレーション。それが緑の党だった。ヨーロッパでは一躍ブームになり、西ドイツやフランス、ベルギーなどの国政選挙で大いに議席数を伸ばしていた。しかし、終焉は突然訪れた。
なんと緑の党の活動資金が、ソ連のKGBから拠出されていたとの報道がヨーロッパを駆け巡った。大騒ぎになったことは、遠く日本に居ても感じられた。
当時、ワルシャワ機構軍はNATOを圧唐オていたが、アメリカからのパーシング・ミサイルの配備は、そのバランスを崩す要因になると、当時のソ連指導部は危惧していたらしい。そこで西側において、反核運動を盛んにしてミサイル配備を阻害する計画を立て、その一環として緑の党に資金を拠出したらしい。
もちろん、単純に金を出すようなことはしない。幾人もの善意の第三者を迂回しての作戦であったので、緑の党の幹部たちも気がつかなかったようだ。事の次第が発覚したのは、パーシング・ミサイルが配備され作戦が失敗に終わり、その責任を取らされることを恐れて亡命したKGBのスパイからの情報が公開されたからだ。
あっという間に、緑の党に対する支持は激減してしまった。その後ベルリンの壁の崩壊と、それに伴い公開された東側社会の荒廃した姿は、穏健な左派政党にさえ大打撃となったのはご承知の通り。
ソ連が西側の反核運動を支援している噂は、前々からあったのは確かだった。それが白日の下に晒されたことは、たしかに反核運動に大きな打撃となった。
しかし、あのKGBスパイの自白は本当だったのだろうか。私はミステリー小説や、スパイ小説の大ファンだ。国際諜報の世界では、誰が味方で本当の敵は誰かなのさえ不透明だ。冷戦時代には「フィルビー事件」をはじめとして、事実は小説よりも奇なりを地で行く事件が数多くあった。
何を信じていいか分らない世界では、最後までたよりになるのは自分自身だけだ。だからこそ、表題のスパイ小説は面白かった。この作品には美味しいレシピが数多く記載されていることで有名だ。
敵も味方も信じられない世界に生きるスパイにとっては、自らの舌で味わえる美食の世界だけが信じられたのだろうか。そんな気がしてしまった、秋の夜長でした。