ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

亀田vs内藤戦に思う

2007-10-16 09:28:21 | スポーツ
ひどい試合でしたねえ、先週の亀田vs内藤戦です。

老獪なチャンピオンである内藤に対して最終ラウンドまでKOされなかった程度の実力でしょう、亀田は。基礎的な能力は高いと思います。でも、これまで弱い相手としか試合をしていない為、試合の経験値が絶対的に低い。これじゃあ勝てない。

でも、金平会長にとっては、試合で稼げれば良い訳で、別に強い選手を育てる気はないので、あれでいいのでしょう。親父さんの代から、あそこのジムはそうでした。弱い選手と試合を重ねて実績を作り上げ、世界戦をぶちあげて判定で勝利を収める。箔をつけたチャンピオンで一稼ぎして、すぐに負けてベルトを返上。毎度、毎度のパターンを繰り返してきたものです。

今回は亀田というキャラを利用して、TBSとタイアップして付加価値を付けて売り出したところが、今までとの違いなのでしょう。今のところ、はっきり言えるのは、ボクシングの価値は貶められた。その一言に尽きると思います。

元々ボクシングという格闘技は、極めて不自然な形体をとります。拳による打撃だけの闘技であり、攻撃範囲は上半身限定という、実戦ではありえない制限を設けています。

限定されているがゆえに、その技術は極限まで高められ、狭い範囲に攻防を集中させることで威力を高める不思議な格闘技です。ルールにより制限を設けたがゆえに、そのルールの範囲内を徹底的に活用する高度な技量を要する格闘技でもあります。

基本的な右ストレートという技、一つとっても容易に身につくものではありません。踏み込んだ足の勢いを膝から腰に伝え、上体をひねるかたちで、右腕に力を伝えて拳に打ち出す。私は何度練習しても、なかなか出来ず、いつも手打ちになっていました。これだと力が十分に発揮されず、KOパンチにはならない。練習での静止状態でならともかく、実戦でまともに打てたことはありませんでした。どうも、私は才能ないみたい。

シンプルであるがゆえに、素人にも分りやすいのですが、実際には奥が深いものでもあります。単に技を覚えるだけでなく、筋力を含めて総合的に体力を高めるトレーニングの質の濃さは並大抵ではありません。食事から水分摂取にまで至る生活管理を要する格闘技ゆえに、求道的高尚さを感じることさえあります。

だからこそ、ルールを守ることが絶対に必要不可欠となるのです。そして、亀田選手にはこれがない。視聴率がとれればいいTBSや、金になればいい金平会長はこれでいいのでしょうが、ボクシング界にとって今の亀田選手は有害としか言いようが無い。

でも、私としてはこれ以上、ボクシングの価値を貶めて欲しくありません。私が若い頃、初めて出くわした格闘技がボクシングでした。喧嘩に強くなりたいのなら、ボクシングはその最短のコースだと今でも信じています。もう、当分亀田は観たくありません。
コメント (8)
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