3年前、母が長期入院となり空き家となった実家での最大の問題は、近所の野良猫のし尿であった。
とにかく臭い。車のタイヤや、石垣はともかくも箒や塵取りの取っ手にまで放尿する意地悪さに頭にきた私は、猫の忌避剤を散布したりして対策に追われた。
もっとも野良猫の寿命は2~3年と知り、いずれいなくなると思うと急に面倒臭さくなり、途中から放って置いた。するとなぜか放尿は止まった。その代わり、車の屋根で昼寝しているらしく、車に猫の足跡がつくようになった。
まァ、これくらいイイやと思って、特段対策をとっていない。最近気が付いたのだが、どうも昼寝しているのは当初の放尿猫とは別の猫のようだ。
ところで空き家になった実家だが、当初ローンを組んで建て直すつもりであった。しかし今年の心筋梗塞による入院でローンを組むことが浮ュなり、簡単なリフォームで済ませて引っ越すことにした。
最初は五月の連休に引っ越すつもりであったが、退院後の激務が堪えたのか疲労感が取れずに休日は大半を寝て過ごしていた。気力も落ちて・・・というか怠け癖が復活してダラダラしていたので、GWの転居は早々に諦めた。
今は週一くらいで母の残した家財の処分に追われている。これが実はたいへんなものとなってしまった。既に45リットル入りのゴミ袋を10袋以上捨てているのだが、まだまだ2割程度。
昔の人らしく、とにかく物を大事に保管してある。その分別だけでも大変だ。とりあえず古着などは二束三文で売り払い、今は和服の処分とアクセサリー類の分別処理に入っている。この分別に時間がかかる。食器や家具類、本とまだまだ大量に残っている。まァ、少しずつやるしかない。
一階の和室の押し入れを整理していたら、奥の方にネズミの糞を見つけた。そういえば母がネズミが出ると騒いでいたことを思い出した。こりゃ不味いなと思ったが、よくよく観察してみると糞は既に乾燥していて、新しい糞は見当たらない。
特にネズミ対策をした覚えはないので、何故だろうと思ったら猫の存在に思い至った。そうか、あの猫、我が家に棲みついたネズミ目当てだったのか。ネズミがいたからこそ、ここは自分の縄張りだと主張するために放尿していたのだろう。
ネズミがいなくなれば、特に強く縄張りを主張する気もなくなったのかもしれない。
なるほど猫には猫の流儀があるのだと感心した。実は以前から実家に越したら犬を飼おうと思っていたが、猫でもいいかもと最近考え直している。理由は単純で、猫のほうが手間がかからないからだ。
犬は散歩したり、かまってあげたり、結構手間暇かかる存在だ。それは嫌ではなく、むしろ望んでいたことなのだが、今の私の生活には少しキツイかもしれない。一応、まだ当分は運動禁止だしね。
まァ、今は夏を目処に引っ越しのための片付けを優先しよう。