久しぶりに徹夜しそうになった。
今年の確定申告は激務であった。15日が土曜日であったので、締め切りは17日の月曜日となった。少し日程に余裕があったので、いつものペースで大丈夫かと思ったら、そうは問屋が卸さなかった。
いつも最後は自分の申告なのだが、日常的な入力は既に済ませてある。例年のように後は売上と源泉税を照合させて申告書を作成するだけだ。ところが今年は、この照合に時間がかかった。原因は復興特別所得税の2、1%の上乗せである。この上乗せが処理されている売上と、そうでない売上があり、検算に予想以上に手間がかかった。
これは顧問先である弁護士数名の申告の際にも経験済みなのだが、うちの事務所の売上は少額が多く、端数処理など些細な手間がかかり、気が付いたら11時を過ぎている有様である。大急ぎで申告書を仕上げて24時間やっている郵便局に飛び込んで書留で税務署に送る。時計は既に11時40分である。
終電ギリギリで帰宅するが、昼からなにも食べてないことに気が付き、近所のファミレスまで車を走らせて食事を済ませる。さすがに作る気力がなかった。その後、家に帰って風呂を浴びて死んだように熟睡する。
これだけきつかった確定申告は久々だ。昨年は入院した都合、かなり忙しかったがスタッフの頑張りもあり、なんとかなった。しかし、今年はそのスタッフの一人が体調不良で休みがちとなり、戦力ダウン。おかげで昨年よりも仕事がきつくなったのも一因である。
だが、最大の理由は確定申告の内容そのものであったと思う。
近年まれにみる駄目政権であった民主党が去り、自公政権となりアベノミクスも華々しく宣伝された平成25年。たしかに円安効果はあったと思うし、株価も倍近く上がった。しかし、景気そのものは、やはり低調であったと言わざるを得ない。
それは個人の平成25年分の所得税の確定申告の内容を吟味するば、一目瞭然である。個別にみると前年(平成24年)を上回った申告も散見するが、多くの場合、前年割れの申告のほうが多かった。
目立ったのは、不動産賃貸における空き家、空きテナント、空き駐車場であり、飲食業サービス業の売上減少であった。その一方で、株取引が多かったのも確かで、売却益を出した納税者も少なくない。これこそアベノミクスの成果だと思うし、この売却益が高額商品の買い物や海外旅行の増加につながったのだろう。
もう一つ、目立ったのが不動産売買の増加である。うちの事務所で取り扱った件数も、前年の倍近いのだから、不動産業界は活況を呈したはずである。ただ、売却価額は低調で、小規模な売買が目立ったのも特徴である。その内容を吟味すると、虫食い状態の土地を整理するための不動産売買であったと思われる。
複数の地権者が小さな所有権を持ち合うような土地だと、再開発は非常に面唐ニなる。バブル期に高値で売り抜けた地権者はいいが、売り損ねた地権者が安値では売れないと意地をはり、結果虫食い状態となって再開発が止まっている土地はけっこう多い。
しかし、長引く不況に根負けし、安くても現金が欲しいと、売り損ねた土地を手放した地権者が出始めたのが昨年なのだと思う。だから、現在都下で再開発が始まったマンションやテナントビルの建築が多いのも、その結果を受けてのものだと推測できる。これもまたアベノミクスの効果だと云えなくもない。
ただ、全体としてみれば平成25年も又、不況の年であり、良く言っても低成長に留まった年であると言わざるを得ない。私自身は、前年を上回る売り上げを挙げたが、利益率からするとむしろ低下しており、資金繰りが苦しかった年でもあった。
頑張っても、その見返りが十分でないのは辛い。多分、私だけではないと思う。まァ、あの三年余りの民主党政権の低迷に比べれば遥かにマシだとは思うが、それでも安倍政権が十分結果を出したとは言えない。
今年がどうなるかは、まだ不透明だが消費税の増税が、景気にどの程度影響を与えるのか。その結果次第では来年の選挙に大きな影響を与えると思う。その意味で、平成26年は安倍政権の正念場だと思いますね。