私は気に入った本は、何度も繰り返す読む癖がある。
今、はまっているのは昨年夏に読み終えた漫画「黒子のバスケ」藤巻忠俊だ。なんで、こんなに面白いのに、連載中途中で読むのを止めたのか疑問に思うぐらい、ドはまりしている。
当初は漫画喫茶で読んだのだが、全30巻を買い揃えて、じっくりと読んでいる。自分でもいささか呆れるが、この半年余りで4回再読している。色々と思うところはあるのだが、作者のインタビューなどを読むと、やはりあの名作「SLUM DUNK」の影響が見え隠れする。
バスケットボールを題材にした漫画は、「ダッシュ勝平」などあることはあったが、少年漫画の世界で大ヒットとはならなかった。だからこそ、あの「SLUM DUNK」の功績は大きい。
スラダン以降、各地にミニバス(ミニバスケット)が小学校で流行し、中学、高校で空前のバスケブームが起きた。かくも影響が大きかったスラダンだが、その熱心な読者であった私にも不満はあった。
その不満は藤巻氏も同様に抱いていたようだ。不満とは、スラダンの終わり方であった。あの試合の描写は、漫画史に燦然と輝く金字塔であったことは確かだと思う。しかし、物語は中途半端な終わり方をしてしまった。
あれが作者の精一杯であったことは、私は理解はしているが、だからといって不満がないわけではない。同様な不満を持った藤巻氏は、だからこそ「黒子のバスケ」の最終戦を全国大会決勝にもってきたのだろう。
しかも、30巻という切の良いところで完結させている。高校入学の4月から、ウィンターカップの決勝までのわずか8か月あまりを、30巻に書き込んだその力量には感服する。(帝光中学部分もあるけどね)
だが、あまりに完成度の高いエンディングゆえに、続編を望む声は高かったはずだ。しかし敢えて、続編を出さなかった藤巻氏ではあるが、自身もその後の黒子と、「奇跡の世代」たちを描きたい要求にかられて描かれたのが表題の作品である。
この続編は映画化されている。実は私が昨年夏に「黒子のバスケ」を再び読み始めたのは、このアニメ映画をネットで観たことが契機だった。ちなみに映画はExtraGameではなく、LastGameとの副題が付いている。
本編は原作の漫画と同じなのだが、エンディングが少し違う。
私は基本、原作派であるから漫画を支持している。ただ、このエンディングに関しては、アニメ映画のほうが出来が良いと考えている。もし、この映画を見たことがないのならば、是非観て欲しい。
奇跡の世代と同種のプレイヤーでありながら、そうならなかった光(火神)とその影である黒子との別れ。この場面は「黒バス」史上屈指の名場面であると確信しています。
もちろん本編を読んでいることが前提なのだが、このエンディング故に、私としては珍しく原作の「ExtraGame」よりも映画「LastGame」の方を高く評価しているのです。当然に作者も映画に関わっているので、なんで原作に入れなかったのか、それだけが不満ですけどね。