ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

新型ミサイル

2019-03-20 11:44:00 | 社会・政治・一般

17日のことだが、防衛省が空対艦ミサイルであるXASM―30の開発を発表した。

もっとも新規開発ではなく、既存のASM3の射程距離を伸ばしたものである。航空機から海上船に対して攻撃をするミサイルは、イージス艦の登場により劇的に改良を余儀なくされた。

要はイージス艦の射程外から、安全に攻撃することを目指したのだが、国産のASMは射程が短く、完全に時代遅れであった。呆れたことに、ASM3は開発はしたものの、射程が短すぎて実戦配備に至らなかった失敗作である。

そこで射程を倍に伸ばした(400キロと推定される)XASMが必要とされたのだが、私が呆れるのは新聞やTVの報道の拙さである。

防衛省の記者クラブで配布される資料の丸写しに過ぎず、過去の失敗はもとより、現時点での能力不足についても触れていない。

私は兵器の国産化について完全に否定する気はない。だが、多額の開発費用および生産費用は税金で賄われる以上、その対費用効果や安価な外国製との性能比較などは絶対に必要だと考える。

ところが、日本のマスコミはこの点で、まったく役立たずであるのが実情だ。民主主義国家において、国家のなすことをマスコミが報じて、国民がそれを判断し、その是非を選挙を通じて表明する。

このプロセスが適切でないと、有権者は適切な投票行動が出来ず、結果的に国民は不利を被ることになる。だからこそ、マスコミの役割は重要となる。

しかし、日本のマスコミは知的水準が低い。適切な軍事知識がないから、政府の発表する軍事情報を適切に判断することが出来ていない。記者クラブで配布される資料を丸投げすることがマスコミの仕事なのか。

今回、発表されたXSAM-30は、島嶼防衛の要である。つまり尖閣諸島や沖縄などに展開するシナ海軍に対峙することを想定したものである。シナ海軍の艦対空ミサイルの性能は公表されていないが、XSAM―30の射程距離が十分なのか、実は少々怪しい。

アメリカの空対艦ミサイルは射程900キロと言われている。またノルウェー製のミサイルでも、500キロを超えているはずである。既成のミサイルがこの性能なのに、日本の最新ミサイルの射程が400キロってどうなの?

日本の多くのマスコミは、沖縄米軍基地に反対の姿勢を示すことが多い。その癖、海域防衛の基本戦略に関する知識はいい加減で、今回のXASMについても、適当な丸投げ記事で済ませている。

本気で沖縄の安全を考えるならば、今少し軍事に関して適切な取材をするべきではないのか。反対、反対と騒ぐだけで、平和が守れるとでも思っているのか。

安倍政権は、自衛隊の合憲化を目指しているようだが、日本に本当に必要なのは、一般教養としての軍事知識ではないだろうか。現状、日本の有権者は、軍事に関して適切な情報を与えられていないので、当然ながら適切な判断は出来ないと私は考えています。

新型ミサイルの開発に数百億円かけるくらいなら、安価な外国製に任せ、余った予算で大学に軍事学の講座でも設置したほうが良いのではないかと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする