ヌマンタの書斎

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プロレスってさ ヒロ斉藤

2021-02-09 14:39:00 | スポーツ

私、けっこう思いあがっていました。

小学生の頃からのプロレス・ファンであり、けっこうプロレスを観る目はあると自負していたのですが、どうやら節穴だったようです。

1980年代の新日本プロレスは、UWF勢の離脱と出戻り、長州力の維新騒動と全日本への転出、そして出戻りと波乱だらけ。プロレス的な演出ならまだしも、けっこう真剣な離脱劇であったせいか、必ずしも楽しめない試合が少なくなかった。

そんな混乱のなか、長州率いる維新軍団の一人がヒロ斉藤でした。正直言うと、私の印象というか当時の評価は低かった。小柄で小太りの金髪と、渋谷界隈で見かけるチンピラみたいな風情が気にくわなかった。

さして強い印象もなく、目立つこともなく、さりとて弱いようにも思えない。マイク・パフォーマンスも全くなかったし、インタビューさえ聞いたことがない。

でも重要な試合にはよく登場しており、それが訝しかった。ビートたけしの弟子たちの中に、グレート義太夫という芸人がいましたが、彼に外見が似ていたくらいしか覚えていないのです。

ところが、同業のプロレスラーのなかで非常に評価が高いことを最近知ったのです。

一番驚いたのは故・ジャイアント馬場です。馬場は小柄なレスラーにはきわめて辛いはずなのですが、ヒロ斉藤は別格だったようで「お前ならば、俺にジャーマン・スープレックスをかけても許す」とまで言ったとか。

また長州力や蝶野正洋らの評価も高く、常に身近に置いておく好待遇でした。いったい、どこが凄いのだ?そう思って、1980年代後半から90年代にかけての試合をユーチューブで観てみたのです。

あくまで素人目線ですけど、ヒロ斉藤は実に受け身が上手い。また技のつなぎもよく、なによりも相手の技を引き立つように見せる受け身が上手い。また自分で技を仕掛ける時も、一見派手だけど相手が怪我をしないような配慮がなされたものであるようです。

目立たなかったのは、ヒロ斉藤本人が目立つのが嫌いで、裏方に回りたがる気性が原因なようです。実際、テレ朝のアナウンサーからインタビューを仕鰍ッられたら、一目散に逃げているくらい嫌だったようです。

ただし、その実力は本物。長州が新日本に戻ってきたとき、橋本真也が一度、ヒロ斉藤にシュートを仕掛けた試合があったようです。橋本はヒロ斉藤個人には、なんの恨みも絡みもないようですが、裏でドン荒川が橋本をけしかけたようです。

要は勝手に出て行って、勝手に戻ってきた長州らを、新日本のベテランたちが不快に思っていたのでしょう。自分たちが手を出すと会社に睨まれるので、若手の橋本をけしかけたのが実情らしい。

相手を蹴り潰すつもりで橋本は、喧嘩ファイトを吹っかけます。驚いたヒロ斉藤ですが、さすがというか見事に受け切り、試合には勝って終えています。ただし、手のひらを骨折したので、試合後病院に直行。

これに怒った長州が、マサ斉藤と二人して橋本をしばいたのは有名な話。ヒロ斉藤本人は、特段怒った様子もなく、その後もリングに復帰して淡々と橋本と試合をしています。なんか毒気を抜かれたような橋本の表情が面白いですね。

幾つか試合を観てみて感じたのは、ヒロ斉藤がプロレスをよく理解していたこと。乱闘であろうと、リング上の技の攻防であろうと、つなぎが上手く、試合が平凡にならないように配慮していたようです。こりゃ、馬場が高く評価するはずです。

当時、けっこう試合を観ているはずなのに、私はヒロ斉藤の実力にまるで気が付かなかった。派手なプロレスだけでなく、地味でも大事なプロレスの仕方もあるのだと痛感した次第です。

コメント
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