日本人の食習慣って、ちょっと特殊かもしれない。
なんでも食べるといえば、やはりシナ人だろうと思う。そのシナ人でさえ食べることを止めたのに、何故だか日本人だけが食べている食材がある。それがコンニャクだ。
コンニャク芋の原産地はシナの南部からミャンマー、ヴェトナム界隈の山岳地帯である。日本にはかなり古くから入ってきた食材だが、はっきりと資料が残っているのは推古天皇の頃だ。その前にも入っていたらしいが証拠はない。
どうも仏教と共に入ってきたらしいのだが、当時は精進料理の食材としての扱いであり、後になると漢方等の薬剤としても利用されている。
もっとも現在もコンニャク芋を商用食材として活用しているのは日本だけだ。シナ深南部の少数民族などが自らの食用に供していることもあるかもしれないが、ほとんどの場合かの地では、工業用原材料などに使われている。
そのせいで輸出食材としては非常に値段が安い。日本ではコンニャク生産農家を保護する目的で、かなりの高関税が掛けられている。でも食べるのは日本だけだぞ。
実はコンニャク芋は毒性がかなり強い危険な食材である。丁寧に加工しないと食べられない。これが手間で、おそらくシナでは食べられなくなったと思われる。ところが日本だけは頑固に食べ続けた。
ちなみに黒いコンニャクと白いコンニャクがあるが、これは加工方法の違いによる。また関東ではシラタキ、関西では糸コンニャクとして売られているが、これはほぼ加工方法の違いだけで、事実上違いはない。
コンニャク芋の生産は、ほぼ群馬県が一手に握っているが、生産拡大を目指して輸出を思案している。ところが、これが難航している。過去には食べていたはずのシナの人でさえコンニャクには拒否反応を示す。ちなみに国内の中華料理店では日本人に合わせてコンニャクを使う店もあるが、本来は使わないそうだ。
いわんや西欧の方ともなると、まず食材として認めてもらいない。無理に試食してもらうと「スライミー~!」(スライムみたいだぁ)と悲鳴を上げる始末である。東南アジアや中近東でも評判は散々である。
ちなみにダイエット用で知られるコンニャクゼリーもあまり芳しくない。ほぼ日本が独占しているのが実情だ。私はコンニャクはあまり使わないが、それでも空腹時に便利なので、球コンニャクは常備してある。シラタキは肉じゃがなどで使うから、案外と食べているのだろう。
それにしても、現在シナ深南部の少数民族を除けば日常的に食べているのは、ほぼ日本人だけだとは思わなかった。ちょっと驚いたな。