ヌマンタの書斎

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プロレスってさ キング・ハク

2021-11-10 11:51:00 | スポーツ

一般にプロレスラーの最強論議の大元は、マスコミが流す記事だ。

もちろん試合会場に足を運び、この目で見たプロレスファンの意見も貴重だが、やはりマスコミの影響力には及ばない。

しかし、それとは別に当のプロレスラー自身の談話などから生まれる最強レスラー伝説も存在する。それがキング・ハク、日本ではプリンス・トンガと名乗っていた。

とにかく、その喧嘩の強さは伝説的だ。なにしろ居合わせたプロレスラー達の証言が元だから説得力が違う。酒場でプロレスラーだと知って絡んでくる一般人の大男を軽く一蹴し、止めに入った警官たちとの大乱闘。手錠をかけられても、その手錠を怪力で引きちぎり、最後は十数人の警官たちに包囲されライフルで威嚇されての投降だから桁が違う。

ちなみに証言者は、あのダイナマイト・キッドである。彼も喧嘩の強さでは有名だが、キッドが俺以上だと認めていたのがキング・ハクであった。他にもあの裏番長ハーリー・レイスが「俺より強いぞ」と言い、アンドレが「なに、あいつ。怖いぞ」と怖気ずくほど。

実際、プロレスのリング上でもあのロードウォーリアーズを一人で蹴散らす暴君ぶりを発揮。太平洋のサモア人特有の分厚い骨格、屈強な筋肉、そして抜群のスタミナを持つ怪物でした。

元はトンガの国王から相撲取りになれと命じられて訪日。力士としてスタートするが部屋の分裂騒ぎに巻き込まれて廃業。その後、全日本プロレスに入り、ここで基礎を学びやがて渡米。

その持前のパワーで全米を席巻したキング・ハクですが、実はけっこうな常識人。サモア系レスラーは強いが、酒などに溺れやすく、それが原因で消えていくことが多い。

あまり書きたくないが、喧嘩の強いプロレスラーは暴力性癖が強く、力で欲望を押し通す乱暴な人が多い。日本に招聘される外人レスラーは、そのような暴力的な人を選別していることが多いので、あまり知られていないが、アメリカでは暴行事件の常習者が少なくない。

しかし、一人の人間として礼儀作法や社交性を備えたキング・ハクは怒らせなければ、業界きっての温和な常識人でした。実際、プロレスラー同士でつまらぬ諍いが起きると、間に入って仲介して穏やかに収める稀有な人でもありました。

そこを見込まれ、アメリカ東部のプロレス界でBOSSとして君臨していたアンドレが、引退を考えた時、その後任としてキング・ハクを指名したほどです。

相撲とプロレスの基礎を日本で学んだハクは、来日数こそ少ないが親日家の一人で、マサ斉藤が死んだ時も弔電を寄こしています。アメリカのプロレス界における顔役であるがゆえ、今も渡米する日本人レスラーがハクに挨拶に行くほどです。

その一人で、日本人プロレスラーとして全米のみならず世界でも有名な獣神サンダーライガーは「絶対に喧嘩しちゃいけない人」だと断言しています。ウソかホントか分かりませんが、彼は喧嘩の際に相手を頭上に持ち上げて振り回し、車(アメ車ですぜ)3台分くらいの距離で放り投げるとか。喧嘩相手は、これで戦意喪失だそうです。

同業者であるプロレスラーからその強さを認められ、それが公表されているキング・ハクは最強プロレスラー談義に欠かせない人なのです。

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