兵器の国産化は、ある意味王道である。
自国を守る兵器を輸入に頼っていては、なにかと不安である。まして日本のような島国の場合、海上輸送を封鎖されれば兵器の輸入に不安を覚えるのは当然である。
そのせいか、日本は明治維新以降、兵器の近代化を目指す一方、国産兵器の開発に余念がなかった。しかし、近代的な製造技術が未熟であったため、当初は輸入頼りであった。また、せっかく国産化に成功しても、その技術が低くて実戦に不向きなことも珍しくなかった。
特に銃や大砲の銃身に使われる特殊鋼は、どの国でも機密事項であり、現代でもその事情は変わっていない。ちなみに日本の最新型戦車である10式戦車の砲身は、ドイツのラインメタル社からの輸入である。
別に恥ずべきことではない。なにせあのアメリカ軍の最強戦車M1A2でさえ、その砲身はラインメタル社製なのだから。ちなみに、日本は以前イギリスのヴィッカース社の砲身をライセンス生産していたが、冷戦後アメリカの広大な演習場で連続射撃(国内ではできない)してみたら、砲身が過熱して曲がってしまったことがある。
設計図はもらえても、砲身の製造のノウハウまでは教えてくれない。これが国際社会の常識である。そのくらい、砲身の製造は難しい技術であることは、頭の片隅に置いて於いて欲しい、基礎的な軍事知識でもある。
そんな日本が戦後、国産の機関銃として製造したのが62式機関銃である。太平洋戦争でアメリカの最新式の機関銃にやられまくった日本軍、会心の新作である。
ところがどっこい、これがひどかった。まず、機関銃のくせに連続射撃が苦手、というか出来ない。すぐ弾が詰まるし、壊れるし、修理が面倒くさくそのせいで、機関銃の担当になりたくない自衛官続出の迷惑兵器であった。
私の知る限り、この62式機関銃を良く言う人をみたことがない。あまりに現場からの不満が多いので、幾度となく改修したのだが、最後まで改善されることはなかった。
つまり日本の軍隊は、機関銃を20年近く持っているだけであった。まァ正確にはアメリカ軍のお下がりの古い機関銃があったようですけどね。
ちなみに現在はミニミという世界的に知られたベルギーのFNハースタル社の名機関銃が配備されています。軽くて、使いやすく、故障が少ない、まさに名機です。ただし、日本では住友重機械工業がライセンス生産しているので、若干性能が低いそうです。それでも純国産の62式よりも遥かにマシだとか。
銃器に関する限り、日本の製造技術は決して高くないことが、あまり知られていないのはマスコミの怠慢としか言いようがないですね。