なんだか陸上自衛隊の武器のダメっぷりばかり取り上げてしまったので、ここらで航空自衛隊を取り上げよう。
なかでも地味にダメだった兵器の代表といって良いのがC1輸送機。国産初のジェット輸送機であるのだが、全てに中途半端という悲劇の機体であった。
なにせ輸送機の癖に搭載貨物量が中途半端、おまけに飛行距離も中途半端で、挙句に値段も半端に高い。実用性に乏しく、なんの目的で国産機として製造されたのか不明な機体でした。
もっとも、これは製造前からある程度分かっていたこと。防衛庁内におけう意見対立、ジェット機の製造ノウハウの蓄積、国防族と称するたかり政治屋の干渉など問題山積で、相互の意見の妥協の結果の中途半端な設計思想が産み出してしまったジェット輸送機第一号でした。
私に言わせれば、戦争での運用を考えず、その危機感なしで軍隊を持っているが故の贅沢です。
もともと軍事用輸送機と云う奴は、案外と難しい機体です。戦時における使用が前提であり、ろくに整備されていない空港での離発着が求められる上に、機体の整備もままならぬ状況下での酷使が想定される難儀な機体です。
タフな作りが故に、防音など快適性は無視されるので、民間機への転用が難しい。そのせいで、軍用輸送機は、一度作られると非常に長く使用されるし、新型機が作られることも少ない。
この特殊な性格ゆえに、アメリカでもソ連でも国内需要だけでは採算が取れず、多くの場合同盟国のみならず、中立国に至るまで幅広く販売される不思議な軍用機でもあります。
だから日本のように、日本一国で使用すること自体、軍用輸送機としてはあり得ない金の無駄遣いです。
C1が完成してからも、なぜに同様の輸送機をなぜ輸入しなかったとの論議が散々戦わされたのも当然です。C1よりも使い勝手の良い軍用輸送機はいくつもありましたから。
でも最終的には国産を目指すべきとの意見に押されて、使い辛いC1輸送機は20年近く使われてきました。でもPKOなど海外での使用は無理(航続距離が足りない)なので、アメリカのC130を使っていました。
唯一、良かったのはこの駄作機の製造ノウハウが活かされて、次のC2輸送機で大幅に改善されたことでしょう。
それでも私は言いたい。軍用輸送機を国産に拘ることに何の価値があるのかと。輸出する気はないので、当然にC2一機で250億円というコスト高だし、国連軍への協力だって、日本独自仕様のために使い辛い。
なれば、西側ではベストセラー機であり、補修も各国で受けられるC130とC17でいいではないか。そうすれば、余った予算を自衛隊の福利厚生に使える。なにせ自衛隊は生活雑貨すら不足しがちの慢性予算不足で悩んでいるのです。
無理に国産輸送機なんて作らず、その分組織としてまともな福利厚生が可能な組織にしたほうが良いと思います。先進国で上官が部下のためにトイレットペーパーや替えのボールペンを負担する軍隊なんて日本ぐらいです。
嗚呼、恥ずかし哉。