ヌマンタの書斎

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チベットの惨劇

2006-10-24 14:18:26 | 社会・政治・一般
子供の頃の愛読書に、百科事典がある。毎月、一巻ずつ配布されるジャャjカの百科事典が家に届くのを楽しみにしていた。私の雑学趣味の原点でもある。イラストの奇麗な動植物の図鑑も、大好きだった。珍しい生き物の名前をやたらと覚えて、喜んでいた覚えがある。

世界各地の珍しい動物の一つに、ジャイアント・パンダがある。その黒と白の模様が面白くて、よく眺めていたものだ。その図鑑には、はっきり記載されていた。原産地 チベット高地だと。

おそらく、その図鑑が書かれた頃は、中国共産党率いる人民軍のチベット侵略以前だったからだと思う。そう、元々パンダはチベットの動物なのです。

チベットという国の歴史は古い。支那の漢民族の歴代国家と比較しうるほどで、しばしば中原まで侵攻して、時には中原の大地にチベット系の国家を築いたこともある。ちなみに中原とは、現在の西安、かつての長安や洛陽のあった地域を言う。漢王朝が崩壊して三国時代の後、五胡十六国の時代には、チベット系の国がいくつも建国されたものだ。要するに征服王朝である。少なくとも唐王朝の頃までは、チベットは常に侵略者であり、漢民族にとっては長年の宿敵の一つだったのです。

ところが皮肉なことに侵略王朝の一つ、清朝は一時期チベットを支配下に置いたことがある。そのことが、後の共産中国のチベット侵略の口実となった。一応言っとくが、清朝は漢民族の国ではない。

1960年代に人民解放軍は、「チベット解放」の口実の元、チベット侵略を行い、チベットを支配下に置いた。以後、パンダは中国の動物として認識されるようになった。それどころか、共産中国を唯一の中国だと認知させるための道具として、パンダ外交が繰り広げられた。

70年代に日本にやってきた「ランラン」と「カンカン」がそれだ。以来台湾政府は阻害され、中国のチベット侵略は押し隠された。一時期、TV朝日の人気番組「ニュース・ステーション」で久米宏がチベット侵略を公言したときなど、北京政府が公式に抗議を申し入れたほどだ。

現在、パンダは絶滅を危惧される状況にある。数千年にわたしチベットの高地で人間と共存していたパンダだが、残念ながらチベット人以外の人間の増加により、その生息域を大幅に狭められたことが原因だ。半農半牧のチベット人と違い、完全な農耕民族である漢民族は、パンダの生息域の苧ムを伐採して、そこを農地にしてしまった。パンダが飢えるのは当然だ。

パンダの熱烈なファンである、或る日本人芸能人は、可愛そうなパンダちゃんたちを救うと称して金集めをやっているが、本当にパンダを救おうと思ったら、中国のチベット撤退を主張すべきなはずだ。問題の本質を、見て見ぬふりして金集めに奔走する、馬鹿なタレントも腹が立つ。それ以上に腹が立つのは、そのタレントを平然と使うマスメディアだ。日経にせよ、朝日にせよ、相変わらず共産中国には甘い。甘すぎて、腐敗臭が漂うほどだ。

現在、世界中で話題になっている、人民解放軍の兵士たちが亡命チベット人の女子供を背後から射撃して虐殺した衝撃の映像がある。日本以外の国では、ずいぶん話題になっているが、なぜか日本では無視されている。日本のマスメディアは、記者クラブを通じた取材でしか、報道が出来ないのか?それとも、北京政府のお叱りがそんなに怖いのか?

海外のニュースに関する限り、日本のマスコミだけでは、本当のことは分からない典型的な事件だと、改めて認識した週末でした。
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1 コメント

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Unknown (ヌマンタ)
2006-10-25 00:40:34
にしたつさん、記事の紹介ありがとうございます。指示とおり削除しておきました。

それにしても、別に欧米のメディアが基準とまではいいませんが、今回のチベットの件は報じる価値がないと判断しているのかしらねえ、日本のマスコミは。
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