産業復興大臣が聞いてあきれる。
もちろん、あの西村大臣のことである。お上のいうことを聞かない飲食店に対し、金融機関を使って圧力をかけて、言い聞かせようとした御仁である。酒の卸問屋にも圧力をかけようとして、騒ぎになったので火消しに大わらわである。
東大出身で通産省に入省したエリート様から華麗に政治家に転身した御仁である。たしかに勉強は良くお出来になるのだろう。内心、下々の民を見下だしていたのだろうが、それを隠す世渡り上手であったようだ。
しかし、やっぱりエリート様の本性が出てしまった。
この手のエリート様は自分たちの命令に、下々が従えば理想の社会が作れると思い込んでいる。間違っても公僕なんて考えはない。一番勉強をして、一番よい成績を上げた自分たちが一番賢い。だから、下々は我々に従うべきだと本気で信じ込んでいる。
彼らには旧ソ連がなぜに失敗したかを学ぶ気はない。いや、どちらかといえば、数千万人を餓死させた毛沢東、あるいは国民の7割を虐殺したャ泣トに近いのかもしれない。
その理想が高ければ高いほど、実は現実から遠く離れる。その癖、現実と直に接する気がない。誰が西村大臣に提言したのかは知らないが、西村も、またこの暴挙を根回ししたエリート官僚たちも、市井の暮らしとは縁遠いことは確かだと思う。
四度目の緊急事態宣言に効果があると信じているのは、それを宣した政府の人間だけだ。共同通信の実施した緊急アンケートでは、「効果はない」が83%、「ほとんど効果がない」が7%と、国民のほぼ9割がもはや緊急事態宣言ではダメだと考えている。
もはやこの新型コロナウィルスは、緊急事態宣言やロックダウンでも抑えることは出来ない。それが現実であろう。だが、それでも出来ることがある。
この一年あまりで分かったことは、たとえ感染しても初期段階で適切な対応をすれば病状悪化は防げること。またワクチン接種は完全ではないが、それでも大幅に感染を抑制できること。ここまでは経験則により分かってきた。
だから、政府のやるべきことは緊急事態宣言ではない。及び腰の民間の医療機関が、新型コロナウィルスの初期対応を適切にできるように法制度を改めることであり、重篤化した患者の受け入れ先を増やす努力である。
でも、この一年間政府及び医師会は、緊急事態宣言に拘り、初期の成功にしがみ付き、新たな現実を直視することから逃げてきた。つまるところ、今回の緊急事態宣言は、やるべきことをやっているんですよとの政府の責任回避であり、余計な負担を負いたくない医師会の既得利権護持に過ぎない。
だから国民は冷めた目線で緊急事態宣言を受け入れている。政府の責任回避のやり玉に挙げられた飲食店と酒業界こそいい迷惑である。
以前ならば、官官接待の場で現場を知る一般の官僚たちが、上級官僚たちの過ちを、やんわりと正すことが出来た。上級官僚たちは不快であっても、酒の席での戯言だと表面上寛容に受け入れ、現場の知恵による修正を加味したものだ。
それを飲食を伴う接待に、税金を使うとはとんでもないとのバカが騒いだため、この世間知は廃れてしまった。その結果、世の中を統計数値でしか読めないボンクラなエリートが跋扈するようになった。
その一つの完成系が、エリート官僚から転身した西村経済破壊大臣である。官官接待を悪いことだと一概に決めつけた幼児の正義感をもう一度見直してもらいたいものである。
官僚はまずは賢いですし、その分野であれば並の業界関係者は勝てません。
そのはずなのですが、仕事はできないのに出世だけできる人が出てくるのが謎です。
国民のための仕事をせずに、ライバルの足元に穴ばっかり掘ることに長けた変な人がいます、あれとかあれとか。
医者でも名医とやぶと出てくるみたいなものです。
ただ今回のは難しい、どう転んでも貧乏くじだから。
失点といえば、都知事や幹事長に暗躍させずに野党も黙らせるくらいのスピードで動くという根回しができなかったことかな。それが政治家として一番大事という気もしますが。
安倍さんにできて西村さんにできなかったのは、そこかなあ。
また官僚はその人事考課が減点主義なので、功績を挙げることよりも、なにもしないほうがプラスに働く奇妙な面があります。それが行き過ぎると、ライバルの粗探しとなるから困ったものです。
安倍・前首相は最初の首相時に官僚に手ひどく裏切られているから、そこで学んだのでしょう。西村氏はその点、官僚出身ゆえに政治家としての機転が利かなかったのでしょう。