小説の面白さの一つに魅力ある主人公の存在は欠かせない。私が知る限り、これほど頑固で、自省癖が強く、面白みのない主人公は稀だと思う。どこが魅力的なのか、説明に窮するのが銀河の荒鷲こと、シーフォート。
一応、SF小説なのですが、異生物も宇宙船も革新的な未来技術も、この偏屈な主人公の前では影が薄い。遭難した宇宙船を無事帰還させ、侵略してくる異生物を撃退し、混乱する世界をまとめ上げ、その実績は十分ヒーローたる資格を有しているのですが、この主人公には重要なことではない。
ひたすら自己の信念と、己の愚かさへの反省に凝り固まる主人公。まあ、よくぞここまで変わり者の主人公を生み出したものです。私も自己への厳しさを至高の価値観と考える傾向はありますが、ここまでくると呆れてしまう。
こんな変わり者の主人公ですが、本国アメリカではもちろん、日本でもそこそこ人気があるから不思議です。アメリカでは、そのピューリタン的生き様に評価が集まるようで、日本ではその清廉潔白で自省的な生き様に共感するファンが多いとか。
現在までに10冊以上の刊行が続くシリーズものです。なんで面白いのだろうと不思議に思いながら読んでいます。
ところで 汝 姦淫するなかれと 教えを説いていたはずの キリスト自身が 性欲に負けて 子供を作っていたなんてねぇ
私はカトリックの教えが、必ずしもイエスの御心に沿ったものだとは考えていません。姦淫することと、子孫をなすことは似て非なる概念だと思っています。