ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「大いなる旅立ち」 ディイビッド・ファインスタック

2006-05-30 17:14:05 | 

小説の面白さの一つに魅力ある主人公の存在は欠かせない。私が知る限り、これほど頑固で、自省癖が強く、面白みのない主人公は稀だと思う。どこが魅力的なのか、説明に窮するのが銀河の荒鷲こと、シーフォート。

一応、SF小説なのですが、異生物も宇宙船も革新的な未来技術も、この偏屈な主人公の前では影が薄い。遭難した宇宙船を無事帰還させ、侵略してくる異生物を撃退し、混乱する世界をまとめ上げ、その実績は十分ヒーローたる資格を有しているのですが、この主人公には重要なことではない。

ひたすら自己の信念と、己の愚かさへの反省に凝り固まる主人公。まあ、よくぞここまで変わり者の主人公を生み出したものです。私も自己への厳しさを至高の価値観と考える傾向はありますが、ここまでくると呆れてしまう。

こんな変わり者の主人公ですが、本国アメリカではもちろん、日本でもそこそこ人気があるから不思議です。アメリカでは、そのピューリタン的生き様に評価が集まるようで、日本ではその清廉潔白で自省的な生き様に共感するファンが多いとか。

現在までに10冊以上の刊行が続くシリーズものです。なんで面白いのだろうと不思議に思いながら読んでいます。


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3 コメント

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Unknown (jin rock)
2006-05-30 20:52:06
私は 主人公の性格は 通り一辺唐ナ いいと思ってます 主人公は いろいろと制約が 課せられますが まわりを サメ[トする人間 あるいは 敵対する人間の性格描写が 作品の よしあしを 決めると思います

ところで 汝 姦淫するなかれと 教えを説いていたはずの キリスト自身が 性欲に負けて 子供を作っていたなんてねぇ
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Unknown (jin rock)
2006-05-31 05:31:08
悩める主人公の心理描写は シェークスピアが得意でしたね リア王 マクベス オセロー ハムレット それぞれを 道化師 マクベス夫人 イアーゴー 父の亡霊が きわだたせます
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Unknown (ヌマンタ)
2006-05-31 09:53:09
シェークスピア、ロンドンの小劇場で現在もしばしば上演されてますね。私の英語のヒアリング能力はきわめて低いので、読んだはずの戯曲も、ほとんど分からなかったのが無念でした。でも一見の価値はあると思います。

私はカトリックの教えが、必ずしもイエスの御心に沿ったものだとは考えていません。姦淫することと、子孫をなすことは似て非なる概念だと思っています。
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