ヌマンタの書斎

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最近の軍事評論家

2021-09-28 11:46:00 | 社会・政治・一般

最近、ヤフーニュースでちょくちょく軍事関連の記事を書いている記者で高橋浩祐という人物がいる。

元朝日新聞の記者で、英国の軍事雑誌であるジェーンズ・デフェンス・ウィークリーの日本特派員を務めているらしい。かつてはあの江畑謙介氏も務めていたはずだが、伝統あるJDW誌も見る目がない。というのは高橋記者の書く記事には些か問題が多い様に思うからだ。

最近だと、朝鮮半島に関する記事が多いが、とても専門家とは思えないような記事を書く。一例を挙げたい。

先日、南コリアがミサイルの海中発射に成功したとの報があった。これに関する高橋記者の記事を読んでいると、表面だけというか、コリア側の主張丸写しで、少し丁寧に解説しているだけのものだ。挙句に南コリアが原子力潜水艦を持つ可能性と、その影響について書いているが、かなり現実離れした奇論に感じてならなかった。

まず、南コリアの軍の公式発表では、海中からのミサイル発射実験に成功したと書いてあるのみである。南コリアのマスコミが書いているような新型の潜水艦(多分、鳥山安昌浩級)から発射したとは書いていない。

多少でも南コリア海軍の実情を知っている者ならば、現在稼働している潜水艦はドイツから輸入した209型で、一応韓国でライセンス生産した214型は、大半が修理の為にドッグ入りしていることぐらい常識だろう。小型艦である209型にミサイルは搭載できない。

まして今年夏に就役し、現在来年の軍への引き渡しに向けて試験中の鳥山安昌浩は、まだ試験航海でさえ十分に済ませていない。ちなみにSLBNを発射できるのは、この新型艦だけだ。でも、まだ航行や潜航も試験段階。おそらくミサイル発射は、海中に沈めた埋設構造物からのものだと推測できる。

一応説明しておくが、海中からミサイルを発射する技術は、どの国でも軍事機密であり、様々な試行錯誤を得て実戦に活用できるように準備する。海中に沈めた埋設構造物からの発射は、必要な段階なので、ごまかしではない。

はっきり言うが、潜水艦からミサイルを発射させる機構は、非常に複雑であり、南コリアの技術では無理。おそらくスペインのインドラ社及び英国のパブコックインターナショナル社からの技術提供と思われる。ただ、管制システムは南コリアのハンファ社なので、異なる国のシステム統合が出来るのか、はなはだ疑わしい。

更に付け加えれば、高橋記者は南コリアが原子力潜水艦を保有した場合のことを書いている。その記事で指摘しているように最大の障害は、アメリカが原潜保有を認めないことだとの言は私も同意できる。

でも専門家ならば、まず第一に南コリアにそのような原子力潜水艦を製造できるか、出来たとして実際に運用できるかを指摘するべきだろう。1800トン級の潜水艦さえ満足に作れない現実を無視して、3000トン級が満足に作れるはずがない。

いや、もうこの夏に作っているではないかと思う方もあろうが、この国では作ってしまえば、それで万事解決。その作ったものが、実際に運用できるかどうかは別問題である現実を失念していると思う。

本当に記者として、日本国民に適切な軍事情報を届けようと思うのならば、単に南コリアの優位性を語るのではなく、その実態を報じて、日本の有権者にとるべき正しい外交姿勢を考えさせるべきではないだろうか。

私にはこの記者、朝日によくいるコリアを褒め称えることで日本を卑下するタイプにしか思えないのですよね。現状、ただ単に南コリアの願望を伝えるだけの伝書鳩ですね。


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2 コメント

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Unknown (大俗物)
2021-09-28 12:27:10
こんにちわ。いやぁ面白い。
ぜひとも原子力潜水棺を建造して欲しいです。
試験航海が試験後悔になると(笑)
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Unknown (ヌマンタ)
2021-09-29 13:08:38
大俗物さん、こんにちは。黄海で沈むならともかく、日本海側で沈まれると放射能の問題があるので困りますね。多分、独力では引き上げできないでしょうし。
アメリカは協力しないでしょうから、独自に勝手に作って、航海も潜水もできずに、ドックのお飾りと化す可能性が一番高いと思います。
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