箱根駅伝

お正月の名物である箱根駅伝だが、ここ数年視ていない。

決して嫌いではない。しかし近年の異常人気に疑問を感じたことが、視なくなった原因である。

元々、駅伝という競技自体が日本オリジナルである。たすきをつないで走るリレー競技の長距離レース版だと思う。日本人の気質に合った競技であり、箱根に限らず全国で行われている。

ただし本来の目的は、陸上競技の底上げである。特にマラソン競技の強化を狙って、意識して行われている。そのはずだった。

ところが箱根駅伝が突出して人気が出てしまった。今や若い競技者の目標が箱根駅伝出場であり、この競技のために練習を重ね、無理に無理を積み重ねて怪我を重篤化させてしまう選手が続出した。

その一方、瀬古を最後に駅伝経験者で、マラソン競技で成功した者は減少する一方である。山の神とマスコミに持ち上げられた名選手も、マラソン転向後は鳴かず飛ばず。気が付いたら競技から引退している。

原因は選手自ら告白しているように大学時代に、箱根駅伝に向けての過激なトレーニングが原因となり故障をこじらせて、マラソンの成績に結びついていないことだ。

実は日本陸上競技団体の上層部も、このことに気が付いている節がある。しかし、現在スポンサー収入も含めて箱根駅伝のもたらす収益は巨額であり、止めることはできない。

仕方なく箱根駅伝に出場していない選手をマラソンに転向させているが、オリンピックでの日本選手のマラソンの成績に顕れているように結果を出せずにいる。

分かっていながら状況を改善せずに放置しているのは、日本のスポーツメディアも同罪だ。ＴＶ離れが著しい今日にあって、箱根駅伝は確実に視聴率を稼げるドル箱である。だから箱根駅伝に否定的な意見は潰してしまう。

駅伝というスポーツ自体に罪はない。過剰に入れ込む大学、マスコミ、広告代理店、そして日本陸上競技連にこそ責任がある。もちろん、選手たちが過酷な練習に潰れていく惨状を見て見ぬふりして、「感動をありがとう」などと美談に酔い痴れる視聴者だって同罪である。

多分、私は来年以降も箱根駅伝は視ないと思います。