フレンチの老舗が閉店した。
かつて銀座といえばフレンチ料理の名店がしのぎを削っている最前線であった。銀座の街で30年働いていたが、師匠のS先生がお年に似合わず洋食好きであったので、フレンチ料理の名店によくご相伴させて頂いた。
まだバブルの残照色濃かった時代であり、マキシム、レカン、資生堂パーラー、木村屋本店、大石などの名店の味を堪能したものだ。ただ値段的なものもあり、プライベートで行くことは稀であった。でも、数店は私的に楽しませてもらった。
そんな店の一つに、電通通りの一本奥にある老舗のフレンチ料理店であるエスコフィエがある。戦後初のフレンチ料理店であり、私が初めて行ったのは創立55年の時の記念メニューが出ていた時だ。私が気に入っていたのは、シンプルにして豪勢であったからだ。
当時流行のお店は、少量のメニューを複数だして多様な楽しみ方をさせてくれる献立が多かった。しかし、この店は出される皿数は多くないがボリュームたっぷりであり、満腹感が半端なかった。流行に流されない頑固な味を守っている感じがして私は好きだった。
その後、70周年の案内もきたが当時私は心臓を病み減量中。泣く泣く諦めた覚えがある。減量に成功したら再び訪れたいフレンチ料理店の代表であったのだ。報道等によると、やはりコロナ禍での売上減少が大きく響いたようだ。
市場経済である以上、致し方ない現実である。ただ一言書き添えておくと、銀座の街にはまだまだフレンチの名店はあります。昨年も一店、なかなか魅力的な店を発見したばかり。どちらかといえばイタリアン全盛ですけど、たまにはフレンチを味わうのも良いものですよ。
ごく稀でもいいから、フレンチのフルコースは楽しみたいと思います。フレンチ、懐石料理、中華料理のフルコースは文化も楽しめるので、心が豊かになります。(財布は寂しくなりますが)
でも、体力がフレンチのフルコースには耐えられなくなってきました...
やはり欧米人の胃袋って凄いよ。