ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「悟空道」 山口貴由

2006-11-21 17:14:22 | 
孫悟空をモデルにした漫画は、けっこう多いと思う。古くは手塚治虫の「僕の孫悟空」があるし、諸星大二郎の「西遊妖猿伝」もなかなかに個性的だ。小島剛夕の華麗な筆が冴える「アクション・シルクロード」も侮りがたい。

最近、大いに楽しませてくれた孫悟空ものが、週刊少年チャンピオンに連載されていた表題の作品だ。この孫悟空は出来色だと思う。マッチョでワイルドで、ハードゲイばりの姿が目を惹く。腕っ節の強さで妖魔を束ね、天界に喧嘩を売って、お釈迦様に立ちションをかます悪たれぶりが、実に似つかわしい風貌だ。

絵柄もさることながら、科白にのけぞった。暴れる時の口上が「仏契切」(ぶっちぎり)である。お前は暴走族出身かと、思わず突っ込みたくなった。日本語というか漢字の使い方って、面白いと思う。

師匠の三蔵法師も個性的だ。女性なのはともかく、少年誌ギリギリの色っぽさ。当人に自覚はないが、まさに傾国の美女。人間も妖魔も惑わす、歩くフェロモン。あまりの艶っぽさに味方まで惑わすが、三蔵本人は至って真摯に仏の道を目指している。それにしても、妊娠出産シーンまで飛び出したのには仰天した。なんとも破天荒な三蔵法師だ。

そして、三蔵法師の行く手を遮る妖魔たちも、個性豊かな悪役揃い。彼等とのバトルも魅力だが、某○ャンプ誌のようにバトルを繰り返して連載を延ばすような手はとらず、すっきりとエンディングを迎えているのも好感が持てる。

最後の最後で、元不良(?)の悟空が、お釈迦様に向かって頼む我ままが、けっこう痺れる。「俺に寿命をくれ。このままじゃあ、師匠(三蔵)が先に行って(死んで)しまう。だから、俺にも寿命をくれ!」と。こんな一途で野放図な孫悟空も悪くないと思います。
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6 コメント

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Unknown (Nishitatsu1234)
2006-11-21 20:04:26
↓の中の一番上のリンク>「香取慎吾の映画『西遊記』」
http://diary.jp.aol.com/bbs/183220653/15585.htm
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Unknown (じんろく)
2006-11-21 21:08:45
私が いいなぁと思ったのは 最遊記ですね 三蔵は 史上最年少で 位をきわめながら 酒は飲む たばこは吸う 短銃は ぶっぱなすの破戒坊主です 中心となるのは この作品では 悟浄です 人間と妖怪のハーフです 女ぐせが悪いです 悟空は 思考のほぼ100パーセントを 食欲で占めています 八戒は 元は人間でしたが 妖怪に愛する人を陵辱され 千人の妖怪を殺して その返り血で 妖怪へと 変貌しました 普段は ものしずかで 温厚なのですが きれるとコワイです 肥満体型では ありません 観音さまも 一行をたすける様子もなく 苦難を見て楽しんでるような所があります

香取くんの映画 撮影快調のようです ドラマは 欠かさず見てました

ドラゴンボールも 西遊記を元にしてますが 里見八犬伝の要素も入ってますね 同じ作者の ドクタースランプのDVDーBOXが 発売されるそうです
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Unknown (じんろく)
2006-11-21 21:13:12
おおもとの 中国の西遊記にも 三蔵が 泉の水を飲んで 妊娠してしまうという話があります 気が動転してしまった彼は 堕胎してくれと 僧侶にあるまじき ことばを 発します
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Unknown (じんろく)
2006-11-21 21:18:55
最近 CMにも かえうたが使われてる 悟空の大冒険は 原作 手塚治虫ですが 原作とは 全然ちがった作品になってます 三蔵は 野沢那智さんが演じられましたが オカマキャラで ときおり ピンクの下着が見えてました 八戒を 途中下車のナレーターで おなじみの 滝口順平さん 悟浄を 愛川欽也さんが 演じてました 

それから ドリフターズも 人形劇で 西遊記を してましたね
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Unknown (ヌマンタ)
2006-11-22 12:42:58
ニシタツさん、こんにちは。かつて三蔵法師を夏目雅子が演じたTVドラマが日中協力の下で作られた頃は、まったく問題は生じなかったと記憶してますが、経済成長して自信をつけた現在は、日本のやることなすことケチつけたいのでしょうかねえ~

じんろくさん、こんにちは。最遊記は見鰍ッたことはありますが、読んでいません。本来は玄奘のお経探しの旅行記が、宋代に演劇化したものが原点ですから、いろんな解釈ができますね。ドラゴンボールもよくよく考えたら、たしかにそうですね。バトルの印象が強過ぎて忘れてました。
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Unknown (Nishitatsu1234)
2006-11-22 15:53:14
> かつて三蔵法師を夏目雅子が演じたTVドラマが日中協力の下で作
られた頃は、まったく問題は生じなかったと記憶してますが

検索して調べたら、「1978年10月1日~1979年4月1日」ですから、
まさにあの文化大革命が終了当時、中国はガタガタです。

> 経済成長して自信をつけた現在は、日本のやることなすことケチつ
けたいのでしょうかねえ~

文革のダメージは大きいですね。
現在、中国が経済成長しているとはいっても、GDPで世界に占める比
率で言うと、やっと5%かそこらでして、これは第2次大戦が終了し
た当時と同等です。なにしろ、満州には日本が国運をかけて育成した
重工業の基盤がそっくり残っていたからです(収穫するまえに負けた
日本は丸損という事です)。

それが文革のせいで、3%以下にまで落込んで(その間に日本は高度
成長)、ようやく 60年前の水準にまで這い上がったきた、という程度
です。まあ、為替の問題がありまして、元が対ドルで倍になれば、
10%になるし、3倍になれば GDPで日本を抜くわけですが、そんな事
になったら中国経済はもうもたないでしょう。

ヌマンタさんが「靖国問題について、中国はこんなはずではなかった
と今になって後悔しているはずだ」と言っていましたが、私も同意見
です。「日本の環境技術、省エネ技術」で助けて欲しくて欲しくてた
まらないはずでしょう。

マスコミは盛んに「日中関係が悪化して大変だ」などと言いますが、
困るのは中華帝国の方です。日本が相手に媚びへつらわねばならない
か、その逆であるかは、相手が日本より強いか弱いかで決まります。
GDPで8倍の米国に向かっていった太平洋戦争も、日本より弱い中華
帝国や小中華にペコペコするのも、どちらも極端です。
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