大学生の頃、九州と朝鮮半島の中間にある島・対馬へ渡ったことがある。港のある厳原から北の岬までの160キロあまりを歩いて縦断した。
戦争中の軍の地下基地やら、仏教の初渡来の寺とか、いろいろと見て回ったが、なかでも印象の強かったのがお墓だった。昔は火葬ではなく、土葬だったそうだが、驚いたのは墓が2種類あることだった。拝むためのお墓と、仏様を土葬する墓があり、現在も旧家では守られている風習だと聞いた。
縦に細長く、山と谷に遮られることの多い日本では、古来より様々な風習があり、それが現代にも残っていることは珍しくない。東京生まれの東京育ちの私には、そのような地方の風習には、恐れにも似た感情があり、つくづく興味深いと思う。
そんな地方の風習をアイディアに数多くの推理小説を発表したのが横溝正史だ。数多くの作品があり、どれも印象深い。一時期角川が、横溝作品を連続して映画化していたので覚えている方も多いと思う。たしか「犬神家の一族」が第一作だったかな?
私が一番好きなのが、表題の「八ツ墓村」です。非業の死を遂げた戦国武士の不気味な言い伝えや、地下の鍾乳洞、複雑な人間関係などが絡み合って、奇妙におどおどしい雰囲気をかもし出した作品でした。戦後に実際にあった事件をモチーフにしているので、当然に猟奇的雰囲気が刺激的です。
そして一番気に入っているのがエンディング。列車で街を去る金田一が、ホームで見送る警部さんに対して投げかけた一言が、おどおどしい雰囲気をすっと拭い去る感じがして、とても好印象でした。
戦争中の軍の地下基地やら、仏教の初渡来の寺とか、いろいろと見て回ったが、なかでも印象の強かったのがお墓だった。昔は火葬ではなく、土葬だったそうだが、驚いたのは墓が2種類あることだった。拝むためのお墓と、仏様を土葬する墓があり、現在も旧家では守られている風習だと聞いた。
縦に細長く、山と谷に遮られることの多い日本では、古来より様々な風習があり、それが現代にも残っていることは珍しくない。東京生まれの東京育ちの私には、そのような地方の風習には、恐れにも似た感情があり、つくづく興味深いと思う。
そんな地方の風習をアイディアに数多くの推理小説を発表したのが横溝正史だ。数多くの作品があり、どれも印象深い。一時期角川が、横溝作品を連続して映画化していたので覚えている方も多いと思う。たしか「犬神家の一族」が第一作だったかな?
私が一番好きなのが、表題の「八ツ墓村」です。非業の死を遂げた戦国武士の不気味な言い伝えや、地下の鍾乳洞、複雑な人間関係などが絡み合って、奇妙におどおどしい雰囲気をかもし出した作品でした。戦後に実際にあった事件をモチーフにしているので、当然に猟奇的雰囲気が刺激的です。
そして一番気に入っているのがエンディング。列車で街を去る金田一が、ホームで見送る警部さんに対して投げかけた一言が、おどおどしい雰囲気をすっと拭い去る感じがして、とても好印象でした。
マルクス主義と科学が限界を迎えつつある現代こそ、再び「そもそも分からないもの」が復活すると私はみています。
しかし、犬神家や獄門島など、一見、田舎を舞台とした土俗ものに思えめすが。よーく観ると…GHQによる土地解放など、 領主的な地主と小作の関係が壊れていく時を描いています。
だからこそ、古い伝説や怪談が共同体を騒がせる訳でしょう?
「鬼の造った国ニッャ刀vを読むと、幕末時には、
百鬼夜行などの、妖怪や怪異が世間では大手を振るって騒ぎの元となったといいます。
激動する時代に不安を持つと、「そもそも解らないもの」に問題をすり替えることで安心しようとするからです。
大日本帝国が解体されて日本国になるには、当時の民衆に大きなストレスになったに違いない…と私は考えるのですが、
そのストレスへの人々の反応を、東京でなく地方の土俗の中てを描いて見せたというのは、慧眼であったと思います。