ヌマンタの書斎

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日本のあるべき国防とは

2022-07-01 13:19:56 | 社会・政治・一般

大切なことから目を逸らすのは愚者の証明であろう。

ロシアのウクライナ侵攻の最中に行われる参議院選挙だけに、国防についての議論が選挙の重要な争点となっている。これまでは、どちらかといえば国防に関する議論はタブー視(特に左派系マスコミ)する傾向があったので、これはこれで良いと思う。

しかし、中身のレベルが低すぎる。GNP比で2%だの、倍増などとお金のことばかり。どうも国防費の増大を嫌がる財務省が裏で手を引いているかのような一見まともだが、よく読むと中身のない議論が野党から出る始末。

これまで碌に戦争教育をしてこなかったつけだと思う。

日本の国防には二つの基軸がある。一つはアメリカ軍護衛部隊としての自衛隊である。別に馬鹿にしているつもりはない。日本にとって敵に回しては絶対にいけない国アメリカとの友好関係は必要不可欠であり、アメリカ様に「あいつに吼えかかれ、噛みついてもいいぞ」と云われたら、その通りにしなけらばならぬのが、日本の国防である。

もう一つの基軸は、国家として必要最小限の軍隊の保持である。適切な軍事力は、ただそれが存在するだけで敵の攻撃を躊躇わせる効果がある。日本の場合、広大な領海がある。排他的経済領域まで含めれば世界第六位の海洋大国であるから、これを守るためには適切な航空戦力と海軍力が必要となる。

実はもう一つ、国内治安の問題がある。警察の軍事力では対応しきれない武装テロリストなどへの対処は、最終的には陸軍の出番である。現状は公安警察が仕切りたがり、防衛庁の関与を邪魔しているので議論の俎上に載せること自体が躊躇われる。

いずれにせよ、日本と周辺国の事情を勘案しながらの国防力であり、時代により、また国際情勢の変化により具体的な国防策は変わる。それを議論するのが民主主義国家だと思うが、従来脳内お花畑で平和の舞に酔い痴れるだけの妄想的国防思想が横行していた。だからこそ、現実的で、実施可能な国防政策が求められる。

しかし、さすがに長年現実逃避の平和主義で、戦争の危機を見逃していた国だけに、その国防論議の稚拙なことは失笑ものである。しっかりと現実を見て欲しい。

現在の日本は老人大国であると同時に、子供の数が減少している。結果的に半世紀も持たずして人口は一億人を切る。22世紀に入る頃には、おそらく7千万人前後の中規模な国となっているはずである。

当然に経済規模も縮小しているし、なによりも社会資本を支える人員が不足しているはずだ。そのことを見据えた国防計画でないと意味がない。そりゃアメリカの意向も大事だが、自国の国防を自国で賄えなくては国家が成り立たない。

とはいえ、国防とは相手あっての概念である。覇権国アメリカと連携しつつ、ロシア、シナ、そしてコリアだけでなく東南アジアの諸国も考慮して、適正な軍事力を保持することが大切だ。

21世紀は水、食料、そして原油を求めて争う時代となる。その争いに対して、日本はどのように自国の平和を維持するのか。国防を考えるとは、兵器や予算だけの問題ではない。もっと多角的な視点が求められる。

考えなければいけないことは数多あるが、とりあえず早急にやるべきことがある。それは自衛隊と称する軍隊の福利厚生面での充実だ。自衛隊員は公務員ではあるが、その置かれた環境は決して十分ではない。なにせ宿舎内のトイレットペーパーを部隊長が私費で購入している有様である。

若者が就職先の一つとして進んで選ぶような環境を整える必要があるのだが、これまで散々後回しにされてきたのが実情だ。ただでさえ人員不足の自衛隊である。福利厚生の充実は、これまで放置されてきた課題だ。

いくら防衛費を上げようと、それが正面装備と云われる兵器だけに費消されているようではダメだ。それなのに、政治家候補者たちの言は、もっぱら予算と正面装備の充実だけである。

いくら立派な装備があっても、それを使いこなす兵員あっての軍隊です。なんで、こんな基本的なことが分からないのか、あたしゃ不思議でしょうがないです。


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