またもや、霞ヶ関のエリートさんたちがやらかしてくれた。
なにがって、リース会計である。数年前より順次国際会計基準への擦り寄りが始まっている。その一環として導入されたのがリース会計基準だ。
従来のリース会計では、リース取引がオフ・バランス(帳簿外)となる弊害があり、注記などで補足していた。しかし、このやり方では投資家には不十分だ。
① 例えば、資本金1億、総資産10億負債9億で年間売上高100億円の会社があったとしよう。この会社の正味の価値は、10億マイナス9億で1億円となる。
② ところが、この会社が総額30億円(全額借入)の新たな設備投資をしたとする。すると総資産40億、負債39億となり、やはり正味の価値は1億円である。同じ数字だが、全体を考えてみれば、だいぶ印象は違うと思う。
この設備投資をリース契約ですると、まったく違ったものとなる。総額30億円で10年間(一年3億のリース料支払い)のリース契約となると、会社は支払ったリース料をそのたびに経費に落とせる。しかも、リース残債は会社の負債に計上されない。会社の中身は変わっているのに、会計上の表示は当初の①のままとなる。
投資家からすると、これでは会社の実情が正しく反映されない恐れがある。そこで、国際会計基準ではリース会計により、大幅に経理方法を変えた。上記のケースだとリース資産30億、リース負債30億を計上して、毎年3億円ずつリース負債を返済し、リース資産を減価償却することとなる。
正直、投資家には有益な改正だと思うが、リース会社は嫌がっていた。リース契約のメリットが大幅に減じるからだ。しかし、国際会計基準という正論のまえに肯かざるえなかった。まあ、中小企業会計は従来の扱いを継続する予定だし、小規模リースも従来の処理が認められるが、それでも大幅な減益は避けられまい。
ここまではいい。ここまでは。
しかし、いざ実務で適用しようと思うと、いろいろと不明な点が出てきた。消費税の処理なんかが典型だが、あまり一般的でないので省きます。問題はリース負債の返済の処理。返済するリース債務には、負債の元本部分と利息部分がある。この利息をどう計算するのか?金利の複利計算に慣れている人なら、エクセルの関数などを使って計算できるかもしれないが、やはり面倒だ。
当初の説明では、リース会社にこの計算をしてもらうはずであった。ところが、リース会社が嫌がった。実務上困難だと大半のリース会社が回答してきた。おい!どうやって利息相当額の算出をするのだ?
変に思われる方も多いと思うが、リース会社の立場に立てば分らなくもない。リースという金融商品の最大の魅力(支払うたびに全額経費に落とせて、しかもリース債務を計上する必要がない)を否定されて大幅減益を押し付けられた上に、その上利息相当額を教えろだと。そんなコストのかかること、誰がやりたい?
以上の話を下卑た表現で言うと、こんな話になります。
駅前繁華街で長年栄えた、キャバレー「リース」のマネージャーが、ホステスさんたちに告げました。お上の指導で、今後は補整下着や、きわどい衣装は禁止だと。そして、お客さんから尋ねられたらボディーサイズや年齢を正直に教えてあげろと。マネージャーは憤懣やるかたないようですが、ホステスさんたちの憤りはそれ以上。でも、お上には逆らえない。
さてはて、このキャバレー「リース」の今後は如何になるか心配ですが、真面目な話、リースにかかる利息相当額の計算は、どうするのだ?重要性の乏しい場合限定の簡便法で済ませるか?
霞ヶ関のお偉いさんたちは、最近あまりに現場との情報交換が不足しているんじゃないでしょうかね。はっきり言えば、業界のとの接待飲食を避けて、きれいごとで仕事をしてきたツケだと思います。
日本では非公式な場でこそ、本音の情報交換がなされる現実を無視して、闇雲に接待飲食を否定してきたが故の、行政の機能低下だと思います。必要なものを無闇と否定すると、むしろ巧妙に隠れ、かえって性質の悪い結果になるほうが多いものです。防衛省の守屋なんざ、その典型でしょう。
建築基準法の改正もそうですが、あまりに現場との情報交換をやらない稚拙な法改正の問題の根幹には、接待交際の否定が大きく関っていると思います。そして、嫌な予想ですが、今後もこの手の現場混乱型の法改正は続くと思います。だって、誰も反省していませんから。
なにがって、リース会計である。数年前より順次国際会計基準への擦り寄りが始まっている。その一環として導入されたのがリース会計基準だ。
従来のリース会計では、リース取引がオフ・バランス(帳簿外)となる弊害があり、注記などで補足していた。しかし、このやり方では投資家には不十分だ。
① 例えば、資本金1億、総資産10億負債9億で年間売上高100億円の会社があったとしよう。この会社の正味の価値は、10億マイナス9億で1億円となる。
② ところが、この会社が総額30億円(全額借入)の新たな設備投資をしたとする。すると総資産40億、負債39億となり、やはり正味の価値は1億円である。同じ数字だが、全体を考えてみれば、だいぶ印象は違うと思う。
この設備投資をリース契約ですると、まったく違ったものとなる。総額30億円で10年間(一年3億のリース料支払い)のリース契約となると、会社は支払ったリース料をそのたびに経費に落とせる。しかも、リース残債は会社の負債に計上されない。会社の中身は変わっているのに、会計上の表示は当初の①のままとなる。
投資家からすると、これでは会社の実情が正しく反映されない恐れがある。そこで、国際会計基準ではリース会計により、大幅に経理方法を変えた。上記のケースだとリース資産30億、リース負債30億を計上して、毎年3億円ずつリース負債を返済し、リース資産を減価償却することとなる。
正直、投資家には有益な改正だと思うが、リース会社は嫌がっていた。リース契約のメリットが大幅に減じるからだ。しかし、国際会計基準という正論のまえに肯かざるえなかった。まあ、中小企業会計は従来の扱いを継続する予定だし、小規模リースも従来の処理が認められるが、それでも大幅な減益は避けられまい。
ここまではいい。ここまでは。
しかし、いざ実務で適用しようと思うと、いろいろと不明な点が出てきた。消費税の処理なんかが典型だが、あまり一般的でないので省きます。問題はリース負債の返済の処理。返済するリース債務には、負債の元本部分と利息部分がある。この利息をどう計算するのか?金利の複利計算に慣れている人なら、エクセルの関数などを使って計算できるかもしれないが、やはり面倒だ。
当初の説明では、リース会社にこの計算をしてもらうはずであった。ところが、リース会社が嫌がった。実務上困難だと大半のリース会社が回答してきた。おい!どうやって利息相当額の算出をするのだ?
変に思われる方も多いと思うが、リース会社の立場に立てば分らなくもない。リースという金融商品の最大の魅力(支払うたびに全額経費に落とせて、しかもリース債務を計上する必要がない)を否定されて大幅減益を押し付けられた上に、その上利息相当額を教えろだと。そんなコストのかかること、誰がやりたい?
以上の話を下卑た表現で言うと、こんな話になります。
駅前繁華街で長年栄えた、キャバレー「リース」のマネージャーが、ホステスさんたちに告げました。お上の指導で、今後は補整下着や、きわどい衣装は禁止だと。そして、お客さんから尋ねられたらボディーサイズや年齢を正直に教えてあげろと。マネージャーは憤懣やるかたないようですが、ホステスさんたちの憤りはそれ以上。でも、お上には逆らえない。
さてはて、このキャバレー「リース」の今後は如何になるか心配ですが、真面目な話、リースにかかる利息相当額の計算は、どうするのだ?重要性の乏しい場合限定の簡便法で済ませるか?
霞ヶ関のお偉いさんたちは、最近あまりに現場との情報交換が不足しているんじゃないでしょうかね。はっきり言えば、業界のとの接待飲食を避けて、きれいごとで仕事をしてきたツケだと思います。
日本では非公式な場でこそ、本音の情報交換がなされる現実を無視して、闇雲に接待飲食を否定してきたが故の、行政の機能低下だと思います。必要なものを無闇と否定すると、むしろ巧妙に隠れ、かえって性質の悪い結果になるほうが多いものです。防衛省の守屋なんざ、その典型でしょう。
建築基準法の改正もそうですが、あまりに現場との情報交換をやらない稚拙な法改正の問題の根幹には、接待交際の否定が大きく関っていると思います。そして、嫌な予想ですが、今後もこの手の現場混乱型の法改正は続くと思います。だって、誰も反省していませんから。