ヌマンタの書斎

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官製不況

2008-01-08 09:30:16 | 社会・政治・一般
日本の法律の大半は官僚が作る。立法府である国会は、官僚の作った法案を承認する場に堕しているのが現実だ。

日本の官僚は優秀だとされている。第二次大戦の敗戦後の荒野から、経済大国へと躍進した背後には、官僚主導による経済政策が大きな原動力になったことは、誇張されすぎの感はあっても事実に基づくものであることは間違いない。

しかしながら、近年誤りが目立つ。いや、間違いそのものは昔からあった。しかし右肩上がりの経済が、それを押し隠していたため、目立たなかった。しかし、バブル崩壊により土地神話が崩壊し、株価の大下落が官僚たちの失策を、次から次へと曝け出させる結果となった。

それでも、まだまだ官僚神話は健在だった。なぜなら、困った時のお役所頼りを止められない国民が、あいも変わらずお役所への陳情を止めないからだ。

頼られた官僚たちだって、元々真面目な人たちだ。困っている国民の声を受けて、一生懸命頑張った。大急ぎで法案を作り、規制を緩和したり強めたりと大わらわだった。

姉歯建築士による不正構造計算が明るみに出れば、新たな規制策を練り、大急ぎで法案を通して実施した。その結果、建築確認申請は大渋滞で、大幅な着工件数の減少が生じてしまった。理想は間違ってはいないが、建築業界の現場を知らぬ官僚たちの拙速な改正に、現場が対応できずに大混乱が生じてしまったのが原因だ。

建築業は日本で一番裾野の広い業界だ。その業界に大打撃を与えた改正は、まさに霞ヶ関発の不況そのものだ。大手マスコミは、記者クラブに支配されているから、なかなか官庁の失態を報じようとしない。既に昨年8月には建築の世界では大きく話題になっていたが、その頃マスコミは無視していた。年末になって、梼Yも出てようやくTV、大新聞が報じはじめた。もう手遅れだと思う。

手遅れになってから、ようやく報道するマスコミの節操のなさも腹が立つが、未だに所轄官庁で責任問題の声は上がらない。権限ふるえど、結果責任はとらない日本の官僚独特の特権は今も健在であることが良く分る。

官僚たちは、不況を目的に法改正したわけではない。国民を安心させるために、善意をもって法改正に望んだことは間違いない。で、この結果は何さ?

はっきり言います。試験の成績だけで優秀さを判定するキャリア官僚主導の行政は、大幅に機能低下していると認識すべきです。現場の経験なく、机上の知識と、殿様教育では、本当の意味での優秀な官僚は育たない。彼らは凄い知識をもっている。情報処理力ならずば抜けているのは間違いない。知性だって決して低くない。ただ、世間知らずで、高慢なだけだ。

日本人の気質からして、お役所頼りは治らないと思う。だからこそ、優秀な官僚の育成方法を再考すべき時期にきていると思う。そして、この育成再考案は官僚には作れない。現役の泥棒に、泥棒規制案など作れるわけない。作るなら退職官僚と国会議員、財界などが中心になって推し進めるべきだと私は考えています。
コメント
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