ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「クロスファイア」 宮部みゆき

2008-01-29 12:19:14 | 
今更だが、宮部みゆきはふところが深い。

ミステリー、社会問題、ホラー、SFと様々なジャンルを見事に消化する。節操がないというより、興味の方向性が多方面にわたっているのだろう。しかも、暖かく処理できる。

表題の作などは、下劣に過激化する青少年の犯罪を題材にとっている。多分、男性作家が同じネタで書けば、表現はもっと厳しくなると思う。過剰に煽情に走らず、走り出しても立ち止まって振り返る余裕を与えてくれる。

私は密かに、宮部を日本版クーンツと呼んでいる。安心して読める作家であることは間違いない。私はひねくれもので、ベストセラー作家は、あまり積極的には読みたくない。読むにしても、数年後に読むようにしている。時流に流されるのが嫌いなのだ。

その私をいつも悩ませる作家の一人が宮部みゆきだ。思わず、読みたいと手を出してしまう。実に憎たらしい作家だ。私の部屋の未読の本の山には、必ず一冊は宮部女史の作品がまぎれている。いつも、読もうか、読むまいか悩まされる。

更に問題がある。私はいつも本を通勤電車のなかで読む。滅多にないことだが、読書に夢中になって降りるべき駅を通り過ぎることがある。このような失態を犯させる作家は、そう多くない。マキャモン、マーゴリンそして宮部が上位3傑なのだ。困った作家である。

これから3月の確定申告に向けて、一年で一番忙しい時期である。こんな時期に宮部に手を出すとは・・・嗚呼、悩ましい。
コメント (6)
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