
きょうの写真、ここまで接近すると、早くもこの3頭の和牛は最高の警戒態勢に入る。もう1歩前に進めば、この中で最も臆病な25番(左端)が浮足立ち、そして他の2頭をそそのかして逃げ去るといういつもの展開となる。
この中で、24番(右端)は一度だけだが給塩を試みたら、他の2頭から離れて10㍍ばかり上方のコナシの木の間から塩場まで下りてきたことがあった。その牛が、昨日のご馳走である配合飼料のことを覚えていたのか逃げずに、口からは涎を垂らし、1歩、2歩と草の上の飼料に近付いてきた。他の2頭はその様子を不安そうに見ながら遠巻きにして、次の行動に移れないでいる。やはり涎を垂らしていたから、何を持ってきたかは分かっていたのだろう。
昨日の段階ではとにかく牛に恐怖を与えて逃がさず、まずは飼料を食べさせ、つでに警戒心が少しでも緩めばいいわけで、それ以上求めずその場を立ち去ることにした。少し歩いて振り返ったら、3頭がすでにご馳走に夢中になっていた。
後を追わせるまでにはまだ時間がかかるが、3頭の中で24番を手懐けることができれば、他の2頭もいつまでも意地を張ってはいられなくなるだろう。言葉のない動物は、絶えず一緒にいる仲間の行動に影響され、必ずしも群を統率してない牛が、一群を動かすこともある。
この3頭の他に畜主が同じ牛が第1牧区に2頭いて、最初のころは5頭の中では24番が最も警戒心が強い牛だと思っていたが、こうして見ればどうも25番の方がもっと臆病のようだ。牛本来の性格もあるだろうが、里で手厚く飼育されていたからだろう。
帰りかけて、思いがけない場所で「小さな秋」を見付けた。ヌメリカラマツタケだ。近くに1本落葉松の木が生えていたがまだ小さく、日の当たる明るい山柴の中というのは珍しい。普通ならこのキノコは落葉松がつくる半日陰の、もっと湿った林の中に生えていることが多いはずだが。
部屋に持ち帰って、生け花を真似て飾ってある。なかなか秋らしい風情があって悪くない。

きょうから天気が回復するらしい。天気予報の際には、盛んに熱中症に気を付けるようにと言っているが、ここはもう、そんなことを気にする必要はない。夏はいつにか終わったのだから。
本日はこの辺で。