入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「秋」(25)

2022年09月01日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨年、今年と山で暮らようになって、コスモスの花を見る機会がすっかり減ってしまった。山室川の流れる芝平の谷の中に一箇所、それと千代田湖を経由する場合にその手前の集落の松倉にもう一箇所、この花を目にするのにいかにも相応しいと思える場所があった。
 
 昨日用事で高遠へ下った折に、行きは松倉を通り、帰りは芝平を通って帰ってきた。松倉では、長年眺めてきたイチゴ畑の脇にあった一叢のコスモスは刈り取られてしまい、芝平では、元住人であった北原のお師匠も驚いていたように、目下のところ清流はオオハンガンソウの黄色い花に埋め尽くされ、コスモスの花は片隅に追いやられてしまっていた。
 それでも、どちらの集落でもコスモスの花を全く目にすることができなかったわけではないし、特に芝平の谷に繁茂した目立ち過ぎのオオハンガンソウに比べれば、この花の控え目に咲く楚々とした風情、趣は、却って良かったような気がする。
 そして、うしろ姿を一度目にしただけの、遠い異国で短い一生を終えたあの人のことも、その花の姿と重なった。シスターE。

 先程、小屋にいた撮影に関わる若い女性たちから、寒いからストーブを焚いても良いかと問い合わせが来た。気温は18度あった。標高1700㍍を越える山に半袖で着飾って来て寒いなどと、あまりに無知、もしくは思慮が足りないのではないかと思い、そう言った。
 しかし、考えてみればこちらも、都会の炎暑などもう覚えていない夏を忘れた者だから、暑い砂漠から来た彼女らへの配慮が足りないと言われればそうかも知れない。どっちもどっちのような話だ。
 寒いというのを駄目だとも言えず、窓を開けて大型の1台に火を点けてきた。それにしてもいつものことながら、気を遣わせる側と遣わせられる側がいて、何ともご苦労なことだ。

 秋はいい。その季節を象徴する一つがコスモスの花だと思う。ゆっくりと、静かに何かが終わっていく、そういう終幕の予感を感じさせる季節に、山室川の川辺に咲くコスモスの花は相応しく、美しい。

 キャンプ場を含む「入笠牧場の宿泊施設のご案内」は下線部をクリックしてご覧ください。
 本日はこの辺で。

 
コメント
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