先週の土曜日、18日の独り言には大きな反響があった。本当は、牧場閉鎖については今年度が終わる3月の末日までは黙っているつもりでいたが、すでに伊那市や連絡協議会など各方面に通達され、驚きの声なども寄せられていた。
また、冬季営業の問い合わせや来年度の予約も入るようになって、今後その対応には苦慮することも予想され、ために、当初の判断を変え、せめてこの呟きに耳を傾けてくれている人たちにはお知らせした方がいいと考え、実行した。
ただし、詳しいことは何も分からないし、何もこちらには伝わってきていない。原状復帰の問題ばかりか、放牧を止めた牧場跡地の管理、小屋は解体撤去したとしてもこれまで続けてきたキャンプ場の営業、すでに決定されている撮影、獣害対策などなど、一体どうするつもりでいるのだろう。
急に話を振られた地主である伊那市も当然困惑していると思うし、牧場の現状、実態などに関しては農協もだが、詳しいことはさらに分からないだろう。これまでも、知る限りではフィルムコミッション(「伊那フィルムコミッション」は行政内にある)以外、殆ど市政とのかかわりはなかった。
早晩農協が伊那に土地を返還することは予測できなかったわけではないが、さりとて一市民、一牧守としては、安易な観光策に走って欲しいとは思っていなかった。将来を見据え、じっくり時間をかけて調査、研究、検討を重ね、しっかりとした入笠の活用方法を考えてほしいと思っていた。それは、放棄された牧場がどのようになったかを、幾つも目にしてきたからだ。
いや、牧場ばかりか今やスキー場も、冬季の客だけではやっていけなくなっている。有名スキー場が、どんどんとその姿を変えていくのを実際に、あるいはテレビのCMなどで見るだろう。
「観光、観光」と言うけれど、都会が森の中へ移ってきたような豪華な観光施設を、多額な資金を呼び込んで作ることに何の問題もないかといえば、そうとは思わない。日本を訪問する外国人客の数が増えても、単純には喜べないことがたくさん起きているように、ただ人が来て金が落ちればそれでいいというわけにはいかない。
一過性の人気であったり、時代のせいもある。かつて栄えた観光地や別荘地が荒廃し、放置され朽ちかけた建物が無残な姿を晒しているのを見れば、それらは祭りの後の変わり果てた姿のようで、その後始末も大きな問題となってきている。
昨夜の散歩、(また消えた)、こうしたことが頭から離れなくも、瀬澤川のせせらぎ、福与の灌漑用水を流れ下る激しい水音、冷たく響く天竜川の聞き慣れた川音、どれも聞き逃さずに帰ってきた。
本日はこの辺で。