入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「冬」(22)

2023年12月04日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

                               
  県内の北部のある街にいた。4人だった。昼飯を食べようということで、車の中から携帯電話を使って、行ったことのないある店を予約しようとしたら、満席だという。それでも、しばらくすれば空席ができるだろうという返事で、30分ほどかけて行ってみた。
 思ったよりも狭い店で、10席もなかったと思う。あまり愛想のよくない、多分厨房で働いている料理人の女房、と思しき女性に案内されて席に付いた。
 料理が供されるまでビールを飲んで雑談していて、ふと、店内の中央に位置する二人掛けの席の男女の姿が目に留まった。ともに30歳前後と見た。昼休みを利用して食事をしながら楽しそうに会話していたが、その雰囲気が同じ勤めの同僚のようには思えなかった。
 
 二人が食事を終え、男が先に席を外して用を足しに立つと、女性の方がその間に会計を済ませた。戻って来た彼は会計が済んでいるのを知りちょっと戸惑い、しかしごく普通に礼を言ったように見えた。女性は嬉し気にそれに応え、そして二人は店を出ていった。それだけの話である。
 しかし、それだけのことなのに気持ちのいい印象が残った。彼女の容貌よりか、性格の良さが明るい顔に出ていた。先が細めの黒いズボンをはいていたせいか、これは余計のことながら、後姿の形の良い臀部が目を惹いた。

  愛しあえたかも知れない人よ 知らぬ顔に去った人よ

 詩の一節だが、偶々ある本を読んでいて、本の内容とはあまり関係のないこの部分に出くわし、あの時の女の人を咄嗟に思い出した。
 確かに二度と会うことはない。会えても、顔を覚えているわけではない。だが、あのわずかな時が、日常の諸々雑多の出来事中、一瞬だったが感情を波立たせてくれたことは明らかだった。たちまちのうちに去っていく、車窓から眺めたいい風景のようだった。

 朝はかなり寒くなってきたが、日中は外で作業をしていてもどうと言うことはない。家を留守にしていた間にフジヅルがやたらと増えた。根元からそれを切り、そこにスポイトで除草剤を見舞うという手の込んだことを、結構楽しんでやっている。
 
 本日はこの辺で。
 

 
   
 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«      ’23年「冬」(21) | トップ |      ’23年「冬」(23) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

キャンプ場および宿泊施設の案内など」カテゴリの最新記事