入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’24年「春」(57)

2024年04月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 牧場内の指標木にしている山桜の花が咲いた。二日ほど前のことだ。落葉松の林の色も日毎に薄緑の色を塗り重ねるようにして、その色合いを濃くしつつある。森も草原も、冬の間の生気のなかった風景に代わって、新しい季節の息吹を感じられるようになってきた。
 これから約1ヶ月半くらいか、梅雨の始まるころまでの自然は美しい変貌を続け、その印象は生成と衰亡と真逆ながらも、1年の内では秋と競って最も見る者の心に沁みる。中でも、新鮮で多種多様な緑の色が一際目立つ。

 登山口へ行く道と、小黒川林道方面に分かれる三叉路の少し手前、右側の放牧地の真ん中に大きな落葉松が1本生えている。この老いた木が、この先の自らを案ずるかのように実生を撒き散らし、いつの間にか成長しかけた幼木が気になるようになってきた。恐らく、今後ここへ牛を出すことはないだろうが、放っておけばやがてそれらはさらに増え、背を伸ばし、草原は姿を消す。
 徒労のようなものながら昨日は刈り払い機とチェーンソーを使って、これらを始末した。今や無用に近い草原の同じく無用な老木の運命と、牧場の行く先とがどうしても重なる。

 便利と快適、それが牽引役となり、洞穴の暮らしからわれわれはここまで来れた。その恩恵は計り知れないが、より良きための評価がその過程で充分に行われていたかは分からない。というよりか、無いものをねだるようなもので、われわれにはそういう検証能力が元々備わってはいなかったかも知れない。
 この周囲の自然や牧場にも言えるだろう。

 今朝は早くから鳥の声がしていた。あの小さい生き物が、空を飛び、美しい声で歌う。正体は分からないままながら、それはそれでいい。仕方ない。
 灰色の樹幹からしなやかな枝を伸ばしたあの木も、目を吹き出したばかりながら、その正体を明かしてもらっていない。学ぶことにあまり熱心ではなかった18年と言えるだろう。

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 本日はこの辺で、

 
 
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