入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「冬ごもり」 (3)

2017年01月04日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日の続きになるが、田舎暮らしのできる”能力のある人”とはどういう人か、ということをもう少しだけ考えてみたい。
 その前に、これを書いている当人は、伊那こそがうさぎ追い、小鮒釣った故郷であり、都落ちしていく所がここにしかなかったこと、また牛守以外に仕事がなかったというだけの理由で、今の暮らし方を余儀なくされている者。以下のような、田舎暮らしに合いそうな諸能力など実は全く持ち合わせていないどころか、適応できる場所を辛うじて山奥に見付けたというほどの人間であることを、ご承知おかれたい。
 
 まず、地味な暮らしができる人。生活費全体に占める食費の割合(=エンゲル係数)が高くてもヨシ!と思える人。次いで、地域の慣習になじめ、農業や自然とのかかわりが好きな人、こんな人が”向いているという気がする。趣味のある人もいい。
 言い方を変えれば、あまり野心が強くなく穏便な性格で、ささやかな生活の喜びを認識でき、大切にできる人だとも言えるだろう。あの彼のように、女房には絶対なまでに頭が上がらず、浮気などサルのすることだと信じている家庭もいいかも知れない。
 田舎暮らしで、覚悟しておかなければならないことを挙げれば、子供の教育だ。将来子供を都会の大学にでも進学させることになれば、地方に暮らす親たちにとっては大変な負担・不利な条件となる。因業爺や婆、隣近所との人間関係もなかなか難しいかも知れないが、それはあなたの温和な性格が克服していくとして、こと子供のことに関しては、評判の高い音楽会や、美術展、書評に取り上げられたような本を我慢することとは、到底比較にならないだろう。
 と言って、残念ながら妙案などない。それが、田舎の暮らしだと言うしかない。もちろん、そんな心配のない人もいる。そして田舎の暮らしを満喫している人もたくさんいる。田舎暮らしの能力のある人は、意外に多いのだ。もっとも、こういう人はどこでも暮らせるだろうけど。

 酒酌んで ぐいと飲みほす 浮世かな  - O沢
 
もちろん、O沢さんも!

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    ’17年「冬ごもり」 (2)

2017年01月03日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 晴天の正月もいい、曇天雪催いの空もまたいい。

 ひところ、「地方創生」が声高に言われたが、その後どうしたかこのごろあまり聞かない。ところで、伊那市は都会の人々には人気があるようで、「ふるさと納税」では長野県々内ダントツの1番、「子育てにぴったりな田舎部門」では全国1位、「住みたい田舎」でも甲信エリアでこれまた1位だとのこと。東京23区よりも広い盆地に、6万9000人の人が住んでいる。まあ、山間部の占める割合も高いが、これだけでも余裕のある田舎暮らしが想像できるだろう。行政も、伊那市への移住希望者に対してはいろいろな施策を行っているようだ。

 唐突だが、金銭的なことを言えば、ネクタイを締めてる勤労者に、就農者の大半は勝てないと思う。働く上での肉体的な負担はネクタイ派を遥かに上回るはずでも、特に高学歴、一流企業で働く者、あるいは高級官僚にはいくら頑張っても、とても追いつかない。
 最近、100時間を超える残業が、将来ある若い人を自殺に追いやったかのように報じているが、農業従事者の労働時間はそんなものではない。それに、この事件の主因は拘束されている間の仕事の内容だったと思うが、それは措く。
 ネクタイ派と就農派の話だが、それでも農業に魅力や、やりがいを感じている人々の多くは自営農者で、彼らも、大小あるが、また経営者でもあるからだ。自分で努力し、工夫し、改良を重ね収益を増やす。借金も投資も自己責任だが、他人から命令されたり、拘束されたりということがない。しかも植えて、育て、収穫するという、人の歴史の中で培ってきた根源的ともいえる喜びがあるだろう。
 農業に生きることにはその向き不向き、あえて言えば能力が要る。誰でもできることとは違う。同様に、田舎で安い給料に甘んじて暮らすことも、能力がなければできない。その能力とは農業を、田舎を好きになれることである。
 
 金持ちが増えて、「セカンドハウス」などという言葉が流行り、別荘開発が盛んな時代があった。いま、そういう場所がどうなっているか。維持できずに放置され、夢の終焉した残骸が荒れるままに残っている。こうした家の持ち主は、気の毒だが別荘を持つには不向きで、住む能力のなかった人たちであろう。

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    ’17年 (冬ごもり)

2017年01月02日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 正月ふつか、外に出たら、田んぼの中で子供たちが凧揚げをしていた。
 まだ、2017年に辛うじて転がり込んだという思いだが、立ち上がろう。大分短く感ずるようになった365日だが、後ろを押されるように峠を下り、渓を渡り、そしてまた新たな峠を目指して登っていこう。年々一歩一歩が下りも、登りも、足の重さをこれまで以上に意識するようになったし、調子づけば足を滑らせ転ぶことにもなる。散々繰り返してきた過ちを、また道中で犯すかもしれないが、願わくばそれが人生の余白少なき身、お手柔らかに願いたい。
 時には清冽な水で喉を潤す時間も欲しいし、渓を渡る冷風に火照った身体を晒してもみたい。だが、もう歩くことに集中して、これまでのようにはあまり道草はしないつもりだ。

 年末、元気に越年登山に向かう若い男女の姿を、お馴染みの釜トンネルの前でテレビが報じていた。その様子を見て、一瞬だが、血が騒いだ。

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