「すべての見えない光」 アンソニー・ドーア 藤井光 訳 2016 を読んだ。
婦人誌書評にあった本。
第0章(ダイゼロショウ) から始まる。「第0章 1944年8月7日」、フランスのことのようだ。
“1942年7月。パリ。ユダヤ人一斉検挙の朝。フランス警察による。”の 「サラの鍵」 のことが頭をよぎる。程なく 主人公が二人いることに気付いていく。フランスの少女は目が見えない。少年はドイツ人二等兵、死ぬ覚悟ができている一千人のあるいは五千人かもっとかのドイツ兵の一人だった。ここはサン・マロ。ノルマンディー上陸は、二か月前のことだった。1944年8月7日のサン・マロの地は いかなる戦況の下にあったのだろう。
サン・マロがどこにあるのか分からない、こちら側の知識がそこから始まってしまった読書でしたが引き込まれた。今もドキドキが(それはまるで不安のような)続いている。
ラジオの向こうの 〈月の光〉 。
「そして、一台のピアノが、ひとつの音を三回奏で、そしてふたつの音になり、それからおだやかな和音が現れ、そのどれもがろうそくとなり、森の奥へと分け入っていく……。」