「バーバー吉野」を借りに行った時、「グリーンブック」が目に留まりいっしょに借りた。
先に「バーバー吉野」を見始めたが、重苦しく感じてきてしまう。
“「マイ・ブックショップ」 「ビリーブ 未来への大逆転」 と見終わり、”の流れで借りて来ておいて
そういう組み合わせで見ようとしているのは自分からなのに
見続けられなくなった。
では、と 「グリーンブック」 を再生した。
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「時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。…」(作品公式サイトより)
○ 実話を基にした
○ 1962年に南部へ向かう
その2点を心に留めて見ていくと
ストーリーの展開が ファンタジーや時代劇のように感じてくるところもあった。
その中で とてもリアルを感じたのは 手紙 だった。
ドクター・シャーリー/ドン・シャーリーの演奏ツアーに同行するため 2か月もの間家を空けるトニーが
妻ドロレスから釘を刺されたのは
「手紙を書いて近況を知らせて。電話では高くついてしまう。手紙で知らせて。」
その手紙書きを見るともなく見ていたドンは つい口を挟んでしまう。
通称トニー・リップの本名Vallelongaを 初めからきちんと発音していた、ドン。
文心もあふるるほどに持ち合わせ、何が気になるって トニーしたためたる手紙のほぼ全て(^_^)/。
トニーのは書き慣れないどころか 親愛なる を Deer と書いてしまうところから始まっているんですもん。
ドンの丁寧なる(多少おせっかい気味の)アドバイスの下、妻宛ての手紙は
「Deer(鹿さん)ドロレス」 から 「Dear(愛する)妻ドロレスへ」 と 進化?していく。
変しい変しい から 恋しい恋しい(←♪ わっかくあかるい…) へ程の 大変貌である。
本文に至っては 「…アイオワの美しいplains…」 とまで、 ♪ 運がよけりゃ! 水準まで達している。
ドロレスはその一大変貌した夫からの手紙を 大家族の女性陣を前に 音読して聞かせる。
うっとりと聞き入る 女性陣。
笑いを求めるシーンなのだろうが 私はスクリーンの中の女性陣といっしょに しみじみと聞き入ってしまった。
繰り返しますが ダーリンからの手紙が 鹿さんから愛するにまで 変貌しておるのですぞ。
それはそれは 感動することでありませう。
それをもたらした間接なる人の存在に
トニー一家の人々が じんわりと無意識にも感じ入っていく。
…そんなふうに思えた場面だった。