慰めて慰めて慰める。しばらく慰められている。が、其れがいつの間にか霞のように広がってやがてきれいさっぱり雲散霧消する。気圧が薄くなる。薄くなった分だけは気力を補ってやらねばならない。なんだかんだと言い繕ってまた慰めてみる。低下していたのが少し上がる。ほのぼのとする。どうしてこうもしょっちゅう慰めていなければならないのか。己というのはしんどい。あつぼったい。やけにくどくどしい。
「ハンニャハラミタは是れ大神呪なり。是大明呪なり。是れ無上呪なり。是れ無等等呪なり。能く一切の苦を除きて、真実にして虚しからず」 仏説摩訶般若波羅蜜多心経より
そう。「真実にして虚しからず」を欲しがって欲しがって。それを欲しがっているときには慰めが来ている。ところが煩悩が燃え盛る。いとしい人に会いたくなる。会ってどうにかなるのでもない。またもや虚しくなって滝壺へ飛沫となって堕ちていく。呪は呪文である。真言である。マントラである。唱えると明るくなる。唱えると忽ち神になる。
ぎゃあてーぎゃーてーはーらーぎゃあてーぱらさんぎゃあてーぼじーそばふぁ/ぎゃあてーぎゃあてーはーらーぎゃあてーぱらさんぎゃあてーぼじーそばふぁ/ぎゃあてーぎゃあてーはーらーぎゃあてーぱらさんぎゃあてーぼじーそばふぁ
もうこれでいい。もうこれでいいというマントラに浸って春にいる。