本の小さな文字が見えずらい。視力が落ちているのだろう。時折、外の風景に目を向ける。大空を眺めている。
これだけの高齢だから、心身のあれこれの能力が衰えて来るのはやむを得ないかも知れない。
でも、聴力はあまり衰えを感じないですんでいる。耳に、聴力補強器具をはめ込まないでも聞こえている。
頭脳の知力はどうだろう。測るものがないが、推して知るべきか。記憶力はどうだろう。人の名前などは忘れていることが多い。
走る力はゼロだ。歩く力も弱っている。ほんの短い距離しか歩けない。それも杖を突いていないとぶざまに倒れてしまう。それでも歩かねばならないだろうが、怠け心が優先する。
悪い方にではなく、良い方に進んでいる能力はないだろうか。きっとあるはずだ。考えてみるが、思い当たらない。
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満足感能力などという能力があるとする。どれだけの量で満足が得られるかという能力。量が少なければ少ないほど、この満足能力指数は高くなる。これに頼れば年寄りでも少しは過ごし易くなるだろう。