1
もっともっともっとと思う。もっともっと生きたい。そう思う。元気でいたい。健康でいたい。あれこれ動き回って、さまざまに活動をして楽しみたい。
2
でもね、そうもいかない。それを予感する。いずれ死んでしまう。人である以上は。これはなんぴとも免れない。
3
人である以上は? だったら人でなくなればいいのだ。そう。人は肉体をしている。肉体を脱いでしまえば? もう死ななくてすむようになる。
4
肉体を脱がないでそれができないか。できる。死後でなくてはならないことはない。生きている内に永遠を勝ち取ることも出来る。これが現世成仏の思想だ。現世で安心を得ることだ。生命そのものは永遠だからである。
5
生き死にはその現象の泡だちに過ぎない。だから、生き死にそのものに全体重を乗せておかねばならないと言うこともないのだ。こうして解脱ができる。生き死にするという囚われから解き放たれる。
6
人から解き放たれる。すると? わたしはわたしたちになる。全体意識になる。神々と一つになる。大宇宙のダンマと合一する。わたしは大宇宙となる。わたしの中に大宇宙が展開をするようになる。
7
もっともっともっとと思う。もっとこうしていたい。生きていたい。青い海と空と緑の山と黄色い菜の花と赤い夕焼けを見ていたい。そう思っている。まだそう思っている。欲望の火の山が噴き上がって夜空を赤く染めている。
8
これまでそうしてきたのである。全部が叶っていたのである。願いがその場その場で成就をしてきた。だからもうすぐ完了のときを迎えてもいいのである。わたしはわたしを楽しんだのである。十分すぎるくらい楽しんで来られたのである。
9
次の人にそれをお譲りしたらいいのである。その人がわたしの立ち位置に来て座る。豊かな人生を送る。人に生まれて人を生きていることを楽しんでいる。それでいいではないか。それでいい。わたしに固執することはない。それをにこにこして見ていればいいのである。護って助けて導いていればいいのである。
10
わたしに固執することがなくなったら、そこをするりと抜けて出られるのだ。次の世界に出て行けるのだ。次の新しい次元に進んでいけるのだ。そこではそこの楽しみがあって、今度はそれを楽しむように誘われる。そうする。こうすることでわたしはもっともっともっとゆたかになっていくのだ。かがやいていくのだ。