市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…当会が上告理由書と上告受理申立書を東京高裁第22民事に提出

2020-08-28 23:06:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■2019年10月31日に前橋地裁で全面敗訴となった東電グループの関電工による前橋バイオマス燃料・発電施設の差止を求める住民訴訟は、原告が直ちに控訴手続きを取り、この度、控訴人として、1月6日付で控訴理由書を東京高裁に提出しました。その後、高裁で手続きをとり、控訴審第1回期日が2020年3月9日(月)14時30分から東京高裁4階424号法廷でひらかれ、即日結審しました。その際、判決日は5月20日(水)13:10に言い渡される予定でした。しかし、4月から感染者が急増したため、裁判所の審理も一時中断を余儀なくされ、判決日は一旦取り消しとなりました。その後6月22日(月)13:10に判決が言い渡され、一審判決全面支持の原告敗訴が決まりました。
 そのため、地元住民の皆さんと相談の上、上告を決意し、7月6日に上告手続きを取ったところ、同9日に東京高裁第22民事部から上告提起通知書・上告受理申立て通知書が送られてきました。そして、本日、提出期限日の8月28日に東京高裁を訪れて、上告理由書と上告受理申立書の2件の書類を民事第22部に提出しました。



 当日は、高崎発13:54の上越新幹線とき320号で東京駅に向かいました。14:44東京駅到着後、丸ノ内線に乗り換え霞ヶ関まで行き、裁判所には炎天下の15時05分頃到着しました。

 なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html
○2019年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3073.html
○2020年1月18日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日が3月9日14:30東京高裁424号法廷で開催
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3113.html
○2020年2月26日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日3月9日が迫り群馬県から控訴答弁書
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3120.html
○2020年7月7日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月22日の控訴審敗訴判決により、7月6日最高裁に上告!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3178.html
○2020年8月8日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…なんと福島県でも除染を隠れ蓑にした木質バイオ発電計画が進行中
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3188.html

■地上に出ると、裁判所の前の歩道に大勢の人だかりが見えました。プラカードを見ると、神奈川アスベスト訴訟原告団及び支援者のかたがたでした。どうやら本日判決が言い渡されるようです。



 人だかりの間を縫って裁判所に入りました。いつものように玄関先でアルコール消毒液を手に振りかけた後、荷物検査を通過し、エレベーターで15階に高裁第22民事部を目指しました。

 受付で用件を告げると、書記官が直ぐに理解し、奥から分厚い裁判資料を持って来て、事件番号を照合し、添付された副本の部数が7部あることを確認すると、「確かにお預かりしました」と言い、理由書をファイルに綴じました。

 8月28日の午後3時20分頃、東京高裁に提出した上告理由書の内容はそれぞれ次の通りです。

*****上告理由書*****ZIP ⇒ 20200828rioocixij.zip
令和2年(行サ)第67号住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求控訴事件
上 告 人 小川 賢
被上告人 群馬県知事 山本一太

       上  告  理  由  書

                          令和2年8月28日

   最高裁判所 御中

                 上告人 小 川   賢 印

 頭書の事件について,上告人は,次のとおり上告理由を提出する。

           上 告 の 理 由
1 憲法解釈の誤り
(1)憲法25条
   日本国憲法第25条は、(1)「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、(2)「国は、すべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と、規定している。これは国民には生存権があり、国家には生活保障の義務があるという意である。
   それまで赤城山の麓で平穏な生活を享受していた国民・住民らが、とつぜん強大な企業の子会社による営利目的の為にはじめられたバイオマス発電事業により、健康で文化的な生活が乱され、すべての生活部面におけるメリットが奪われた。なぜならば、放射能で汚染された森林から伐採した樹木由来の木質チップを大量に集荷し、燃焼させることにより、濃縮された放射能が灰や、排ガスや排水、さらに粉塵のほか、チップを粉砕・脱水・運搬・燃焼するための設備から発する騒音や振動、臭気等を通じて、わずか150mの地点に済む住民への生活環境の保全にデメリットを与えている。
   憲法に定めた国民の基本的な権利を担保するために、最小限の手段として設けられた環境アセスメントさえ行わず、東京電力の筆頭子会社の関電工主導による営利事業がなぜまかりとおるのか、これまでの原審、控訴審を通じて、裁判所はそうした見地からの判断を全く下さず、補助金の対象は前橋バイオマス燃料㈱であり、前橋バイオマス発電㈱とは別法人だから、国民の訴えは無効であるなどとする判断を司法が行ったとすれば、あまりにも憲法を無視しており、主権在民の国家とは到底言えない。
(2)憲法13条
   さらに日本国憲法第13条には、個人の尊重(尊厳)、幸福追求権及び公共の福祉について規定し、第11条・第12条とともに、人権保障の基本原則を定めている。このうち、幸福追求権は、東電の子会社のような強大な企業の利潤追求権よりも、決して劣ることはないはずである。本来、こうした企業VS住民の間に摩擦が生じた場合は、国や地方公共団体は、社会的弱者である一般国民・住民に対してより多くの配慮をすることが求められる。しかし、本事件においては、地方自治体である群馬県は、圧倒的に企業側(しかも原発事故の原因者である東京電力の子会社!)に配慮し、忖度し、企業側の都合のみを勘案し、以前から国民・県民・市民として納税義務を果たし、地元で営々と生活をしてきた住民側に対して裁判所はあまりにもひどい判決を言い渡した。
 2 上告人の主張
   たしかに、企業でも個人でも、活動する上にで、どうしても環境に対してはなんらかの影響を与えるものであるから、裁判所が、本事件で住民側が当初希望した絶対的な差止めを認めたくないのかもしれない。だからといって、控訴審で東京高裁から事前のアンケートが配られ、そこに上告人として「せめて環境アセスメントの実施を条件に和解に応じる用意がある」と記入した。なぜなら、住民側の最小限の生存権に配慮してほしい」と願ったからである。
   人間社会ではつねに利害の適正な衡量が必要であり、裁判所はそのために和解を勧めると聞いている。しかし、東京高裁の裁判長は、結局、強大な企業側と、あまつさえ、その企業が群馬県にやってきて放射能汚染の拡大事業を迅速に推進できるよう加担する、行政として強大な権限を有する群馬県の言い分のみに耳を傾け、判決に反映させた。
   原審の判決を言い渡した裁判長は、別訴(前橋地裁平成29年(行ウ)第8号)で、群馬県が社会参加費という税金に基づく交際費を使って、記者クラブと毎年1回、定時後に前橋市内の一流の宴会場を借り切り、県政懇談会と称して、その実、どんちゃん騒ぎをやっていた事件で、課長や課員まで参加して飲み食いしていた事実を把握し、県知事を相手取り、宴会参加職員の会費の返還を求める損害賠償請求を促して争っていた上告人に、和解を勧めたが、その際、概ね次のように語った。
  「我々裁判官は陪席も含めて3名しかいない。かたや群馬県の職員は正規職員だけでも6千人を優に超える。したがって、3名で6000人余を相手にしているのも同然。行政を勝たせないと後の影響(たぶん自身の出世のことと思われる)が心配なので、いちおう調書で小川さんら市民オンブズマン群馬の言い分を明記するので、請求を自主的に取り下げてほしい」
   上告人は「へえ、裁判官とはそのようなものか」とたまげたが、真剣なまなざしの裁判官の強い要請を受け入れ、「今回限り」ということで取り下げたことがある。
   このことから、住民訴訟で、裁判所が行政の肩をなぜ持つのか、そのためになぜ住民訴訟で勝訴の確率が極めて低いのか、痛感させられたことは事実である。
   しかし、そのような背景を以てしても、本事件では、あまりにも強大な企業と組んだ行政側に肩入れし過ぎた判決であることは明らかである。
   業者の利潤追求による裨益効果と、国民の平穏で安全・安心な生活享受とを全く比較考量せず、しかも本来適用されるべき排ガス量4万ノルマル立法メートルという大気汚染防止法にも定めた規模要件を上回っているにもかかわらず、特例としてなんら意味のない水分量という曖昧な物差しを用いて、排ガス量の計算を意図的に操作することで、特定の業者の思惑を優先した行政の横暴さを裁判所が看過することはあってはならない。
   上告人は、上記の業者の経済活動自由に基づく利潤追求欲求と、住民の生存活動における安心安全な生活享受欲求とを比較考量するための、環境アセスメントは少なくとも実施されるべきだと考えて、東京高裁に控訴した際にも、そうした配慮を裁判所にお願いした。せめて環境アセスメントを実施することにより、安心安全な住民の最小限の生存権が担保されることが、業者の利潤追求とのバランスにおいて、考慮されることが妥当な判断だと信じ、それを裁判所に期待したのであった。
   生存権にも大きく関連する環境基本法においても、国・地方公共団体・事業者・国民(=住民)の責務として、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築、国際的協調による地球環境保全の積極的推進、環境基本計画や環境基準の策定などを規定している。国を構成する法人・個人として、業者と住民は少なくとも対等な立場であるはず。にもかかわらず、原判決、二審判決智、100%業者側に都合よく相手方行政たる群馬県は主張し、その極めて偏った主張を裁判所はすべて容認した一方で、上告人ら住民側の主張は、ただのひとつも判決の中で認められず、判決内容は不当としか言いようがない。
   すくなくとも住民側の生存権に少しでも思いが至れば、条例に基づく環境アセスメントを実施させることが、公平な裁判を通じて、憲法で保障されている私たちの権利や自由を守る、大切な役割を担っているとされる裁判所の責務ではないか。
   また、裁判所の中でも国会でつくられる法律が憲法に違反していないかどうかを最終的に判断する役割を担っている最高裁判所においては、まさに、国民の生存権と幸福追求権の観点から、今回の極めて片務的な原審および控訴審判決を破棄するよう、賢明な判断をお願いしたい。
 3 以上によると、原判決は違法であり、破棄されるべきものである。

附 属 書 類
1 上告理由書副本              7通
**********

■続いて、一緒に提出した上告受理申立て理由書の内容は次の通りです。

*****上告受理申立て理由書*****ZIP ⇒ rioocixij.zip
令和2年(行ノ)第69号住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求控訴事件
申 立 人 小川 賢
相 手 方 群馬県知事 山本一太

          上 告 受 理 申 立 て 理 由 書

                          令和2年8月28日

   最高裁判所 御中

                 申立人 小 川   賢    印

 頭書の事件について,申立人は,次のとおり上告受理申立て理由を提出する。

           上告受理申立ての理由
1 地方自治法第2条の次の各項の解釈の誤り
(1) 同条第14項 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
(2) 同条第16項 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。
(3) 同条第17項 前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。
2 各種法令違反
(1) 大気汚染防止法施行規則の別表第6(法第16条関係)の四の解釈の誤り
  原判決は、前橋バイオマス燃料施設が、騒音基準値を超えていると訴えた申立人(一審原告、二審控訴人)の主張を一顧だにしないまま、「その他、控訴人は、原判決の事実認定等を種々論難するが、その主張するところを踏まえて本件記録を精査しても、原判決の結論を不当とする事情は認められない」旨、二審判決でも判示したが、大気汚染防止法と騒音防止法の解釈を誤ったものである。理由は次の通り。
  前橋バイオマス燃料(株)のチップ加工用建物は平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の支給を受けて建設されている。平成28年5月18日に前橋バイオマス燃料(株)及び前橋バイオマス発電(株)(以下「関電工関連会社」という)が前橋市・群馬県へ提出した前橋バイオマス環境配慮計画に「切削は、一般粉じんが飛散しにくい構造の燃料チップ製造所建屋内で行う。」と明記されている。なお、チップ加工用建物は環境配慮計画で「燃料チップ製造所」と記載されているため以下この名称を使用する。
  しかしながら燃料チップ製造所内で切削を行うと騒音規制法の規制基準値55㏈を守ることが出来ないため、あろうことか関電工関連会社は平成30年8月頃、燃料チップ製造所の北側の建屋外(屋外)で切削を開始した。この建屋外でも平成30年9月7日、前橋市の立入騒音測定結果、規制基準値を超えていたため改善の指導が行われた(甲78号)。
  同補助金で建設された燃料チップ製造所は、その目的を達成できないまま、建屋外でチップ切削を行っており、大気汚染防止法施行規則別表第6の四を遵守できておらず、結果としてチップ切削時の粉塵及び木材に含まれる放射性物資を大気中に放出している。この事実は近隣住民が動画で撮影しており、ゆるぎない真実である。よって、相手方は直ちに補助金の返還を関電工関連会社に求めなければならない。また、このことを看過した原判決は破棄されるべきである。
(2) 群馬県補助金等に関する規則の解釈の誤り
  1) 燃料チップ製造所の違反
    上記(1)により、相手方(一審被告、二審被控訴人)は群馬県補助金等に関する規則(以下「補助金規則」という)の(関係者の責務)第二条の二で定めた「補助金補助金等に係る予算の執行にあたる関係職員は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、補助金等が法令、条例、他の規則及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」に自ら違反している。よって、相手方は直ちに補助金の返還を関電工関連会社に求めなければならない。また、このことを看過した原判決は破棄されるべきである。
  2) 木質バイオマス燃料を集積するための専用運搬車2台の違反
    前橋バイオマス燃料(株)は平成28年度の林業・木材再生緊急対策事業として補助金14,700,000円の交付申請を行い前橋バイオマス発電(株)へ木質バイオマス燃料を集積するため専用運搬車2台を購入した。しかしながら、専用運搬車の1台(登録ナンバー:前橋は198)は週1回の頻度で木質バイオマス燃料を搬入しているものの、同じく登録ナンバー:No.199の専用搬入車は2年もその姿を見かけていない。
    木質バイオマス燃料の運搬は主に横坂運輸の木質バイオマス専用車で2回/日以上搬入されている。この事実は前橋バイオマス発電(株)への木質バイオマス燃料専用運搬車として購入したにも関わらず利用していないか、他の事業に転用している可能性がある。
    いずれにしても、被告は補助金規則の(関係者の責務)第二条の二で定めた「補助金補助金等に係る予算の執行にあたる関係職員は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、補助金等が法令、条例、他の規則及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」に違反しているのは明らかである。よって、相手方は直ちに補助金の返還を関電工関連会社に求めなければならない。また、このことを看過した原判決は破棄されるべきである。また、相手方は、税金その他の貴重な財源を投入したのだからどのように活用されているのか、調査して説明責任を果たす責務がある。
    相手方の順法精神の欠如は著しいものがあり、施設周辺の地域住民が群馬県環境森林部林業振興課あてに、関電工関連会社の前橋バイオマス燃料㈱が保有する補助事業で整備した施設(機器類含む)について、平成30年7月19日付で公開質問状のかたちで問い合せをした。その結果、相手方は、同年8月3日付林新30260-10号で回答をよこした。その内容は「個別事業者の事業活動に関する情報となりますので、回答は差し控えさせていただきます。」であった。(公開質問状および回答は添付参照)
    地域住民が、関電工関連会社による補助事業で整備した施設(機器類含む)の稼働状況、設置場所及び補助事業から逸脱した運用をしている可能性があるため、公開質問状で相手方に問い合せたにもかかわらず、こうした不誠実な回答は補助金規則(関係者の責務)第二条の二第2項に定めた「補助金等に係る予算の執行にあたる関係職員は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、補助金等が法令、条例、他の規則及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」に違反する行為である。よって、相手方は直ちに補助金の返還を関電工関連会社に求めなければならない。また、このことを看過した原判決は破棄されるべきである。
  3) 関電工関連会社が自ら作った環境配慮計画の環境基本法違反
    関電工関連会社は、平成28年5月18日付で前橋バイオマス環境配慮計画を自ら策定して相手方と前橋市に提出している。燃料チップ製造所(環境配慮計画に記載されている呼称)の操業時間は「月曜日~金曜日 午前8時~午後6時」と規定しているがプレス式脱水乾燥機は土曜日、日曜日も稼働している。移動式チッパ―は燃料チップ製造所建屋内で行うと規定しているが建屋外で稼働している。被告は補助金規則 関係者の責務第第二条の二で定めた「補助金補助金等に係る予算の執行にあたる関係職員は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、補助金等が法令、条例、他の規則及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」に違反している。よって、相手方は直ちに補助金の返還を関電工関連会社に求めなければならない。また、このことを看過した原判決は破棄されるべきである。
    この他にも、補助金で調達したボルボ製大型トレーラーも利用頻度が少なく、もともと本事業で必要があったのかどうか疑わしく、当初から関電工関連会社が別の用途に使用することを念頭に、本事業に含めて補助金を不正流用したとみられる。
さらにあからさまに補助金を騙し取っているのは、プレス式脱水乾燥機である。これは関電工関連会社のもうひとつの出資者であるトーセンが自社開発したもので、単なる2000トン油圧プレスなので、せいぜい2000万円のものが、なんと2億5000万円で、関電工関連会社がメーカーの川崎油工から随契で購入した。おそらく巨額の技術料がメーカーからトーセンに支払われているはず。
(3) 騒音規制法の解釈の誤り
  関電工子会社の前橋バイオマス発電㈱は、平成30年3月4日の営業運転開始以来、夜間の騒音が敷地境界で騒音規制法の規制基準値45dBを超過して違法操業をしており、未だに改善されずにいる。
  この間、地域住民は何回も前橋市環境森林課に騒音測定の申請を行い、平成30年12月3日に前橋バイオマス発電㈱の敷地境界で前橋市の騒音測定が実施された。前橋バイオマス発電㈱は送風機が原動機出力7.5kW以上の送風機を設置しているため電気事業法・騒音規制法で定められた「特定指定工場」に該当する。
  前橋市環境森林課は平成30年12月3日21時~翌朝6時まで1時間単位の騒音測定をした結果、いずれの時間帯も45㏈値を満足していないと判定した。明らかに前橋バイオマス発電(株)は営業運転開始以来、違法操業していた。
  然しながら、前橋地裁の一審判決は令和元年10月31日の判決文34項7行から10行で「騒音規制法の基準値内となるように対策を行っていることが認められ、騒音規制法の違法操業状態であると認められず、原告らの上記主張は理由がないから採用できない。」としている。
  騒音規制法の業務を唯一担当している前橋市環境森林課は令和元年5月に騒音測定を実施したがカエルの鳴き声で騒音測定できなかった。その後、令和元年10月31日の判決日まで一切の騒音測定を実施していない。従って「違法操業状態であるとは認められず」との判断は公正な判決と言えない。
  前橋市環境森林課は同年11月21日に夜間の騒音測定を実施した。騒音のベース音の増加、ベルトコンベアの騒音(ギー音と呼称)、45㏈をはるかに超すスパイクが継続して測定されている。前橋バイオマス発電(株)の騒音規制法違反は前記した事実以外に平成30年3月の操業以来、同年6月、同年8月、及び令和2年2月27日に騒音規制値基準を超過する轟音が1時間以上も確認された為、令和2年2月27日の轟音については書類にて違法操業のクレームを申し入れた。前橋バイオマス発電所は原因と対策について書類を送付してきたが騒音「特定指定工場」の認識など皆無であり、自ら定めた環境配慮計画は機能していないと言える。(令和2年2月27日の騒音事件の原因と対策については、控訴審準備書面を参照)
   申立人は騒音について、弁論において例えば次の通り主張した。
   相手方(二審被控訴人)は、控訴答弁書の「18 同17項(その他,一審判決文で誤った解釈がなされた控訴人(一審原告)の主張)」の「(3)(3)(騒音の実態)」で、「原審は事実を証拠等により適切に認定しているから、控訴人の主張には理由がない」などと反論しているが、騒音の実態についての認識が完全に欠如している、として、申立人(二審控訴人)は、関電工が運用中の前橋バイオマス燃料・発電施設が発する騒音の実態について、事実の証拠にもとづき以下のとおり主張した。
  1) 前橋バイオマス発電所からの騒音で生活環境が著しく阻害されている地域住民は騒音規制法違反で操業している苦情を前橋市へ平成31年3月25日に陳情している。(甲89号証)
この陳情に対して前橋市から平成31年4月10日付で「このため、事業者に対して敷地境界で規制基準超過していることを伝え、発生音の改善について行政指導を行いました。今後は事業者に対し対応状況について確認していきたいと考えています。」との回答を頂いた。(甲78)
  2) 前橋市は対応状況の確認として令和元年5月16日、5月22日に敷地境界で騒音測定を実施した。16日は降雨、17日はカエルの鳴き声等により評価できなかった。しかし、スパイク音はグラフより確認出来る。(甲90号証)
    令和2年5月16日以降、令和元年10月31日判決言渡日までに前橋市の騒音測定は一切、実施されていない。従って令和元年10月31日原審は騒音の事実を適切に認定しているとは言えず失当である。
  3) 前橋市は同年11月18日に改善確認のため騒音測定を実施した。しかし、18日は一時降雨があったため21日を追加測定した。一時間単位の騒音グラフによるとスパイク音のみならず、ギー音、ベース音の増加が両日とも顕著に確認されている。(甲91号証)
    前橋バイオマス発電の操業開始以来、騒音改善されておらず、現在まで続いている事実は地域住民の生活環境が著しく阻害されていることを証明している。
  4) 前橋市は平成30年12月3日と令和元年11月18日、21日の午後9時から10時までの騒音値グラフを令和2年1月15日に開示した。このグラフによると平成30年12月3日と令和元年11月18日、21日の騒音値は是正されているどころかベース騒音も増加していることが明確となった。(甲92号証)
  5) 甲90号証~甲92号証は前橋バイオマス燃料・前橋バイオマス発電所による住環境被害を受けている住民団体が前橋市への苦情申入れにより、騒音規制法で定める特定指定工場の騒音測定の実務の結果である。前橋市と地域住民団体との交渉は近藤よしえ前橋市議が立ち合い、第三者の証明があることを追記する。
  このように、前橋バイオマス燃料施設が、騒音基準値を超えていると訴えた申立人(一審原告、二審控訴人)の主張を一顧だにしないまま、「その他、控訴人は、原判決の事実認定等を種々論難するが、その主張するところを踏まえて本件記録を精査しても、原判決の結論を不当とする事情は認められない」旨、二審判決でも判示したが、大気汚染防止法と騒音規制法の解釈を誤ったものである。
(4) 関電工が計算した排ガス量は3万8483ノルマル立方メートルとした空気比1.3の根拠を検証しない行為は地方自治法第2条の解釈の誤り。
  申立人は、排ガス量を計算している空気比に問題があり、前橋地裁にて再議論して頂きたいと主張した。被告は平成30年10月3日の前橋地裁にて求釈明にて「本訴訟の争点の審理に直接関連性がないとして釈明の必要がない」と断じ、根拠を示していない。一方、控訴人は科学的根拠に基づいた空気比を示し、排ガス量の計算値を示している。なお、詳細は控訴人準備書面(1)に記載している。
  この計算値から水分量を考慮した群馬県の運用を採用しても環境アセスメントの実施基準4万ノルマル立方メートルを超過し、52,953ノルマル立方メートルであり、前橋バイオマス発電は条例違反している。環境アセスメントの条例を関電工の事業に運用規定を設定してまで便宜を与えたにも拘わらず、これを検証しない原判決、二審判決は地方自治法第2条の解釈の誤りであり公正な判決と言えない。
  念のため、このことの証左として、次の例を挙げる。
   平成30年10月3日付の被告被告第8準備書面で、被告である相手方は次のように主張した。
    6 原告準備書面(9)第2-4項(「求釈明9について」)における求釈明について
    (1) 求釈明事項
      「・・・だが,メーカーに提出したサンプルの素性や量を明確にした上での試験結果,さらには,先行機の実績データや燃料の素性や条件,ボイラー性能などが明確にされなければ納得できるものではない。さらなる釈明を求めたい。」
    (2) 被告の回答
      空気比の値を「1.3」としたことについて,被告は,第6準備蓄面第2-2項(2)のとおり,木質バイオマス発電で使用される同種のボイラーにおける一般的な空気比として「1.0~l.5」とされていること(乙13)を挙げ,妥当である旨主張した。
      これに対し,原告らは,「あれだけ水分最の多いチップを燃焼させるのだから,燃焼に必要な空気量は,1.5を遥かに超える可能性がある。」 などと反論するものの(原告準備書面(8)12頁),上記空気比の仮定値が不合理であることを示す具体的な現由を主張するものではない。この点,本訴訟の争点は,本件発電事業が条例アセスメントを実施していない違法の有無であり(争点1-(1)-イ),同事業に関する一切の情報を明らかにすることではない。
      したがって,原告らが求める情報が本訴訟の争点の審理に直接関連性を有するものではない以上,釈明の必要性はない。
   このことは行政の基本である説明責任を法廷において相手方が放棄したことの証左である。それを判決で指摘しないことは失当である。
(5) 温泉法の解釈の誤り
  群馬県薬務課によれば、温泉を湧出させる目的で土地を掘削しようとする場合は、温泉法に基づき事前に許可を受ける必要があり、今回は関電工関連会社が「工場の冷却水に使うため」としているが、掘削の目的をあらためて確認する必要があり、その結果によっては温泉の掘削許可申請をする必要があると明言している。また、ポンプなど動力装置を設置して温泉をくみ上げようとする場合にも、事前に許可を受ける必要があり、その他に温泉を採取する際にも、所定の手続きが必要となり、結果的に温泉が出てしまった場合、無許可でそのまま使用することはできないと薬務課ははっきりと説明している。
  申立人が令和元年7月6日の準備書面(11)の4ページから5ページにかけて主張した通り、関電工関連会社が施設の冷却水として使用している地下水のメタケイ酸量が50mg/リットル以上であれば、これは温泉水であり、温泉法に基づく届出をしなければならないが、関電工関連会社はそれを怠り、無許可で温泉を搾取している。このことは、相手方が関電工関連会社の違法行為を黙認しているに他ならず、補助金の不正申請や不正流用に目をつぶり、環境アセスメント条例の運用で特例措置をあたえる相手方が、大企業重視の姿勢を一貫して取っていることを示している。
  こうした違法行為を看過する判決は失当である。
(6) 群馬県北部・西部等の森林からの間伐材の搬出は放射性同位元素等に よる放射線障害の防止に関する法律による管理区域の解釈の誤り
  関電工の親会社の東京電力が引き起こした未曽有の福島第一原発事故により大気中に放出された放射性物質が降り注いだ栃木県北部と群馬県北部・西部は大半の区域が1平方メートルあたり4万ベクレルを超えて汚染されてしまった。したがって、本来、これらの区域は放射線管理区域に指定されなければならない。そうすれば、これらの区域から汚染物質を持ち出す場合にはきちんと放射能を測定して管理しなければならないのは当然である。
  ところが、関電工は、管理結果を公表しておらず、施設の入口にトラックスケールを設置して空間線量を測っているだけで、実効性がみられない。にもかかわらず相手方は何ら対応措置をとっていない。
  この相手方の法令無視の姿勢は、次の事実からも明らかである。
  平成30年6月に多くの市町村で野生のコシアブラ、タラの芽から食品の放射能規制基準(100㏃/㎏)を超えたため国より出荷制限指示が群馬県にされた。同年6月17日、BS NHKで放送された「被ばくの森2018」は福島第一原発由来の放射性物質が樹木を通して循環していることが見えて来たと報じた。
  福島大学ウァシル・ヨシェン特任教授の調査で浪江町津島地区のヒノキの心材:14,085Bq/kg、辺材:22,426Bq/kgの放射性物質が確認されている。赤松は心材:521Bq/kg、辺材:3,235Bq/kgが検出されている。福島第一原発由来の放射性物質は森林の中で樹木を通して循環しているのである。このような森林から未利用材を集め、燃料とすること自体問題である。さらに、群馬県の未利用材の放射性物質の実態調査もせず、事業者に環境影響調査を不要とする特権を特例として与えた相手方は法令違反している。この事実を判決に反映しない原判決は失当である。
3 以上の事実によると,原判決は重要な法令の解釈を誤ったものであり,破棄されるべきである。

附 属 書 類
1 上告受理申立て理由書副本     7通
**********

■提出後、裁判所の外に出ると、さきほどの神奈川アスベスト訴訟の原告団が引き続き集会を開いていました。どうやら勝訴判決が出た後、まだ法廷では裁判長による判決内容の朗読が続いているようです。この裁判については、末尾の関連情報をご覧ください。









 この裁判のように、前橋バイオマス訴訟についてもよい結果を期待したいものです。

■2016年7月15日に前橋地裁に提訴して以降、4年余りにわたって群馬県行政と係争を続けてきましたが、ようやく最終ステージを迎えました。司法が大企業の関連会社と癒着した行政に対して、毅然とした態度を示せるのかどうか、注目してまいりたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


※参考情報「神奈川アスベスト訴訟」
**********NHK 首都圏News Web 2020年08月28日18:53
アスベスト訴訟 2審も賠償命ず
 建設現場でアスベストを吸い込んだ元作業員などが健康被害を訴えた裁判で、2審の東京高等裁判所は、1審に続いて国と一部の建材メーカーの責任を認め、あわせて9億円あまりの賠償を命じました。
 神奈川県内の建設現場で働いていた元作業員や遺族あわせて64人は、アスベストを吸い込んで肺がんなどの病気になったとして賠償を求め、1審の横浜地方裁判所は平成29年、国と建材メーカー2社にあわせて3億円あまりの支払いを命じました。
 28日の2審の判決で東京高等裁判所の村上正敏裁判長は「国は遅くとも昭和50年からは粉じんの吸い込みを防ぐ『保護具』の使用を義務づけるべきだった」として1審に続いて国の責任を認めました。
 その上で、国に4億円あまりの賠償を命じ、建材メーカー3社にもおよそ5億6900万円の賠償を命じました。
 また、個人で仕事を請け負っていたいわゆる一人親方の訴えは1審では退けられましたが、2審は国の責任を認めました。
 弁護団によりますと、建設現場でのアスベスト被害をめぐる全国の裁判で国に賠償を命じる判決はこれで13件連続で、基金制度などの救済策を求める声が上がってます。
 また最高裁判所は、一連の訴訟では初めて、ことし10月に双方の意見を聞く弁論を開くことにしていて、判断が注目されています。
 判決後の会見で弁護団長の西村隆雄弁護士は、「1審で認められなかったいわゆる一人親方についても賠償が認められ、すばらしい判決を得ることができた。国は、原告勝訴の判決が続いていることを受け止め、被害者を救済する制度を早くつくってほしい」と訴えました。
 原告の1人で、住宅の引き渡し前の清掃作業を請け負っていたいわゆる一人親方の望月道子さんは、「被害を受けた人たちの中には亡くなる人も多く、命を削る思いで裁判に臨んできた。原告全員が何らかの形で救済され、大変安堵した」と話していました。
 厚生労働省は、「国の主張が一部認められなかったものと認識しています。判決内容を精査するとともに関係省庁と協議しつつ、対応を検討していきたい」とするコメントを出しました。

**********時事2020年08月28日19:34
国、建材3社に9億円賠償命令 石綿訴訟、一審より増額―東京高裁

建設アスベスト訴訟の判決で、東京高裁に向かう原告ら=28日午後、東京都千代田区
 建材に含まれるアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんなどを発症した元労働者や遺族ら計64人が国とメーカー43社に計約16億9700万円の損害賠償を求めた神奈川訴訟第2陣の控訴審判決が28日、東京高裁であった。村上正敏裁判長は国とニチアス(東京都中央区)、ノザワ(神戸市)、エーアンドエーマテリアル(横浜市)の責任を認め、総額9億円余の支払いを命じた。
 建設労働者の石綿訴訟では、各地で国の責任を認める判決が続き、原告勝訴は13回連続。
 村上裁判長は、一審横浜地裁が認めなかった個人事業主の一人親方に対する賠償責任についても、「(国は)労働安全衛生法に基づく規制権限を行使すべき職務上の法的義務を負担する」と判断。賠償額を一審より増額した。
 厚生労働省石綿対策室の話 判決内容を精査し、対応を検討したい。

**********弁護士ドットコム2020年8月28日19:51
建設アスベスト、控訴審で「全員勝利」 一人親方救済、新たに1社の責任も…神奈川2陣訴訟


「全員勝利」の旗を掲げる弁護士(2020年8月28日、東京高裁前、編集部撮影)
 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんや中皮腫などになったとして、神奈川県の労働者や遺族ら64人が国と建材メーカー43社に約17億円を求めた「首都圏建設アスベスト神奈川第2陣訴訟」の控訴審判決で、東京高裁(村上正敏裁判長)は8月28日、国と3社に一審判決の約3倍となる計9億超の支払いを命じた。
 一審判決では認められなかった一人親方らに対する国の責任が先行事件と同じように認められた。国との関係では全員勝訴となった。
 建材メーカーとの関係では、一審よりも1社多い計3社の責任が認められ、原告64人中62人に対する賠償が命じられた。また、弁護団によると解体・改修工に対しても企業の責任が認められるのは初めてだという。
●高裁では「一人親方救済」「メーカー責任」増える
 アスベストをめぐっては、健康への悪影響が指摘されながら、充分な安全管理が行われてこなかった。
 裁判では大きく、(1)一人親方らについて、国の責任が認められるか、(2)建材メーカーの責任がどこまで認められるか、が争点になっていた。
 一審判決では、雇用された労働者ではないことから、国の一人親方らに対する責任が認められなかった。これに対し、控訴審判決では、建設業界の「重層下請け構造」の実態などを踏まえ、労働安全衛生法の観点から国の責任が認められた。
 同種の高裁判決は今回を含めて6つあるが、そのうち5つで一人親方に対する責任が認められたことになる。
 また、建材メーカーにも、アスベストの危険性について、十分な警告表示を行っていなかったという問題があった。どこの建材が健康被害を生じさせたかの立証方法がポイントになっていたが、控訴審判決は、マーケットシェアなどからニチアス、ノザワに加えて新たにA&Aマテリアルの責任を認定した。
 6つの高裁判決のうち、メーカーの責任を認めたのは今回で5回目。
●提訴しないでもいい救済制度を
 同種の訴訟は、今回も含めて13個の地高裁判決が出ており、対象や期間に幅はあるものの、いずれも国の責任が認められている。
 もっとも進んだ事件については、最高裁で10月に弁論が開かれる予定であり、近く統一的な判断が示される見通しだ。
 ただ、今回の訴訟の被災者のうち大半が亡くなっているように、アスベストの健康被害は深刻。提訴しないと救済を受けられないとなると、被害者にとって大きな負担といえる。
 判決後の会見で、原告団長の望月道子さんは、国に対して「謝罪と責任を果たしていただきたい」としたうえで、「被害者自ら訴訟をしなくても良いよう、(国と建設業者らの共同出資による)基金の創設に向けて頑張っていきたい」と話した。

**********神奈川新聞 2020年08月29日 05:00
石綿訴訟、一人親方への責任も認定 9億5千万円賠償命令 東京高裁
 建設現場でのアスベスト(石綿)対策を国などが怠ったため肺がんや中皮腫になったとして、県内の建設労働者と遺族64人が国と建材メーカー43社に計約17億円の損害賠償を求めた「建設アスベスト神奈川第2陣訴訟」の判決が28日、東京高裁であった。村上正敏裁判長は、国と新たに1社を加えたメーカー3社の賠償責任を認め、原告64人に計約9億5千万円の支払いを命じた。2017年10月の一審横浜地裁判決が、保護対象となる労働者に該当しないとしていた「一人親方」と呼ばれる個人事業主に対する国の責任も新たに認定し、賠償範囲を拡大した。
**********

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…なんと福島県でも除染を隠れ蓑にした木質バイオ発電計画が進行中

2020-08-08 23:25:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■前橋バイオマス発電所事業への補助金をめぐる住民訴訟は、6月22日に東京高裁(白井幸夫裁判長)が、住民側の訴えをいずれも棄却する控訴審判決を言い渡しました。住民側は、7月6日に上告の手続きをしたところ、7月9日に上告提起通知書と上告受理申立て通知書が、東京高裁から送られてきました。現在、上告のための上告理由書と上告申立て理由書を作成中です。
 そうした中、7月25日付東京新聞の「こちら特報部」に次の内容の記事が掲載されました。なんと東電原発事故のお膝元の福島県では行政が主体となって、木質バイオマス発電事業を誘致しており、飯館村では4年後の2024年から、田村市では既にバイオマス発電所が建設中で、来年早々稼働開始予定ということです。さっそく記事の内容を見てみましょう。

田村バイオマス訴訟の支援用チラシ

**********東京新聞2020年7月25日 ZIP ⇒ 20200725viocidj.zip
こちら特報部 森林除染対策で脚光「木質バイオ発電」
福島・飯舘村などで誘致計画進行中 汚染された灰飛散不安

 再生可能エネルギーの関連施設として脚光を浴びる木質バイオマス発電所。東京電力福島第一原発事故の被災地でも複数の計画が進行中だ。ただ、放射能汚染が残る木を燃料に使う発電所では、焼却灰の飛散などが懸念され、地元住民が訴訟を起こすケースも。行政側は森林の汚染を取り除くメリットを強調するが、除染効果を疑問視する指摘もある。計画通りに進めていいのだろうか。 (榊原崇仁)
 「冬は山からの西風が強くてね。風上が発電所の方で、うちは風下。あっちは水源地にもなっている。灰で迷惑するのはやっぱり困る。今以上に放射能汚染で悩まされたくない。 造るのを考え直してほしい」
 そう語るのは福島県南相馬市の菅野秀一さん(七九)。「発電所」とは西隣の飯舘村で計画される木質バイオマス発電所のことだ。自宅からは七キロほどの距離。焼却灰の飛散などを心配し、今月十日には環境団体とともに計画撤回を求める要望書を村側に出した。
 飯舘村は六月中旬、木質バイオマス発電所の誘致計画を明らかにした。予定地は村南東部の蕨平(わらびだいら)地区。福島第一原発から北西に三十キロ離れた山間部になる。発電量は五千キロワット以上で、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用して売電する。既に事業者の募集を始めており、二〇二四年の発電開始を見込む。

木質バイオマス発電所の計画撤回を求めた女性ら=福島県飯舘村役場で(青木ー政さん提供)
◎木質バイオマス発電所
一般的には間伐材などを森林から切り出し、チップ状にする。それを燃やし、蒸気でタービンを回して発電する。再生可能エネルギーの固定買い取り制度では、20年間の買い取りが保証されている。「バイオマス」は「生物由来の資源」を意味する。

 村によれば、 地元の森林は原発事故で放射能汚染に見舞われた。人里ではないため、国による除染の対象から外れた。そんな中で村は木質バイオマス発電所の誘致を考えた。汚染された木を地元の森林から持ち出して燃料にし、森林の放射線量を下げることができる。 村を支える新たな産業もできる。こんな一挙両得を期待している。
一方、近隣住民の不安は消えない。心配するのは焼却灰の拡散。それは当然とも言える。灰は放射能濃度が高くなるからだ。
 林野庁のホームページを見ると、薪を燃焼させた場合、灰の放射能濃度は薪の二百倍近くになるとある。林野庁はこの点を踏まえ、一般家庭で使う薪に関しては、焼いても国の責任で特別に管理する指定廃棄物(一キログラム当たり八〇〇〇〇ベクレル超)にならないよう、流通の基準として「一キログラム当たり四〇ベクレル」を示している。
★燃焼で高濃度化 近隣住民 建設撤去求める★
 しかし、木質バイオマス発電所の燃焼に関しては基準値がなく、法規制の抜け穴になっている。環境省によれば、一キログラム当たり八〇〇〇べクレル超の汚染が残っていても、指定廃棄物として扱うには同省への申請が必要になる。この申請をしなければ、汚染された木も燃料に使うことができる。
 飯舘村は独自の基準を設ける考えを持っていない。それどころか、主な燃料として県産木の樹皮を用いると明らかにしている。木の部位の中で樹皮は放射能濃度が高い。行き場がないので、燃料として積極的に活用するということだ。
 環境団体「市民放射能監視センター」(東京都)の青木一政さん(六八)は情報開示請求で得たデータを基に「県産木の樹皮は一キロ当たり数千ベクレルから一万ベクレルになる。焼却前から指定廃棄物クラス。焼却したら驚くほど高い値にならないか」と訴える。「飛散防止のフィルターなどを付けて対応する」と村は言うけれども、青木さんは「完全に遮ることができるのか」と疑う。

木を処理しても効果は限定的
林野庁「放射性物質の9割は土壌に」

★政府が立地推進 焼却灰の後始末は不明★
 福島県によると、県産木を使う木質バイオマス発電所は県南部の白河市と県西部の会津若松市で稼働中だ。営業開始は前者が二〇〇六年、公社が一二年になる。しかし、他の立地計画は迷走した。
 県が一三年三月に策定した「木質バイオマス安定供給指針」では、県東部の南相馬市、飯館村、川内村、県南部の塙町、さらに県中部の一か所で発電所を新設する構想が示された。
 このうち塙町では、飛灰を心配する住民らが強く反対した。東隣の鮫川村で一三年八月、放射能汚染された稲わらなどを処理する焼却施設で爆発事故が起きたこともあり、計画は立ち消えになった。事故の影響で他の計画も下火になった。
 それから数年、計画が再び浮上してきた。一つが前出の飯館村、もう一つが県中部の田村市の計画だ。

建設が進む木質バイオマス発電所=福島県田村市で(大越町の環境を守る会提供)
 同市は東京都の民間企業と発電会社を設け、年明けから発電を始める予定。燃料は一キログラム当たり一〇〇ベクレル以下という自主基準を設ける。地元住民は灰の飛散を懸念し、昨年九月に市を相手取り、建設に関する公費支出の差し止めを求める訴訟を起こした。
 各地でいさかい続きでも、国は原発被災地での木質バイオマス発電所の立地を推進してきた。「福島再生加速化交付金」の対象に木質バイオマス発電所の整備事業を含め、県産木の仕様を条件に建設費の四分の三を負担する。
 ただし、焼却灰対策は事業者任せ。今月二日に都内で開かれた議員有志の会合では林野庁や環境省の担当者が呼ばれ、燃料の規制や飛灰対策について質問を受けた。回答は「事業者が適切に管理する」に終始した。要は性善説に立っているのだ。灰の後始末についても同様の見解だ。
 福島県内の住民グループ「放射能ごみ焼却を考えるふくしま連絡会」の和田央子(なかこ)さん(四九)は踏み込んだ懸念を抱く。1キログラム当たり八〇〇〇ベクレル超の灰は通常、事業者が指定廃棄物の申請を環境省に出した後、国の責任で管理することになる。国は自分たちの負担を抑えたいはずだ…。
 「国側は、指定廃棄物を少しでも減らしたいはず。事業者はその意をくみ、何らかの手段で灰の放射能濃度を薄め、一般廃棄物として扱おうとするのではないか。除染土のように路盤材として再利用を試みるのではないか。そうなれば放射能のバラマキにつながる」
 根本的な問題もある。日本大の糸長浩司特任教授(環境学)は「森林内の放射性物質の九割は土壌に含まれている。林野庁の報告書にもそう書いてある。だから山から気を切り出しても、除染の効果はごくごく限られている」と指摘する。結局のところ、「木質バイオマスでの発電は、森林の汚染を残しつつ、汚染を他へ持ち出すことにほかならない」(糸長氏)ということになる。

「森林内の放射性物質の9割は土に残る」と伝える林野庁の報告書
★「復興や雇用創出 見せかけたいだけ」★
 そんな施策を政府が進める狙いを糸長氏は「経済復興の演出。新しい産業ができ、雇用が生まれると見せかけたい」と推測する。その裏で汚染を広げかねない状況が生まれる。糸長氏は「汚染された燃料を使う発電所が本当に必要なのか、規制が緩いままでいいのか、問い直さなければならない」と訴える。
 人が住んでいないからといって、森林の汚染は放置しておけない状況だ。「除染の為に土を削れば木の根を傷め、斜面の崩壊を招く。だから政府は除染をあきらめ、森林の汚染は残り続けている。その結果、森林に近い人里の放射線量は下がらず、台風なので汚染が流出しかねなくなっている」。糸長氏は「難題ばかりだが目を背けず、対処法の議論を進めるべきだ。木質バイオマス発電所を造れば何もかもが解決するわけではない」と語り、腰を据えた議論を求める。
【デスクメモ】
 総務省行政評価局は一一年、バイオマス事業について関係省庁に改善を勧告した。「効果を十分検証しないまま予算計上されてきた」ということ。二酸化炭素削減の実績より「やってる感」で事業が進んでいたようだ。福島の発電からも、そんな事業のDNAがひしひしと感じられる。
2020・7・25
**********

■福島県中部の田村市で建設中の木質バイオマス発電所は、発電設備の能力が約6,950kW、年間の木質燃料使用量が約8.9 万トンとされています。

 一方、東京電力のグループ会社の関電工とトーセン(栃木県矢板市)が出資して、赤城山の南麓に建設し、2018年3月から営業運転を続けている前橋バイオマス発電所の最大出力は6,750kWで、年間の木質燃料使用量は8万トンです。この木質バイオマス発電所は、群馬県環境アセスメント条例に定める毎時4万ノルマル立方メートルの排ガス量を遥かに超えています。

 ところが、関電工と群馬県が結託して、「燃料となる木質チップの水分が40%あるところ、乾燥させて15%である」と勝手に仮定し、「その水分量の差は、燃焼させても水蒸気だから排ガス量にカウントしない」という全国でも初めての独自の解釈を群馬県が、議会にも諮らず条例運用の特例として当てはめました。

 そして、関電工は群馬県の特例をこれ幸いとし、特例に基づき1時間に燃焼させる木質チップの使用量が、条例の定める排ガス量の基準値である毎時4万ノルマル立方メートルをギリギリ超えない数値に設定し、計算によれば基準値以下なので環境アセスの必要は無いと判断し、群馬県もそれを黙認したのです。

 このため、発電所から僅か150mの場所に住む近隣住民の方々を中心に「赤城山の自然と環境を守る会」(横川忠重代表)が結成され、燃料となる木質チップを圧搾する際の排水や、発電で生じる排出ガス、燃焼後の灰などから、福島第一原子力発電所事故に由来する放射能汚染が拡散する恐れがあるなどとして、この木質バイオマス発電事業に反対し、建設に投じられた補助金4億8千万円の返還を求める住民訴訟を提起し、群馬県と争ってきました。

■裁判の争点の一つは、発電所建設の際に事業者に義務付けられている環境アセスメントの対象事業を規定する基準を、群馬県が緩和したことが適正かどうかです。前述のとおり、排出ガスが毎時4万ノルマル立方メートル(0℃、1気圧時換算)を超える発電所は群馬県環境アセスメント条例の対象事業となっていますが、群馬県は木に含まれる水分(含水率)を差し引いて排出ガス量を計算するよう条例を変更したのです。

 このため関電工は、上記のとおり、排ガス量の机上計算で基準値を超えないとして、同発電所事業は対象外だと群馬県に説明し、群馬県もそれを鵜呑みにしたため、環境アセスは実施されないまま、関電工は既に2年以上稼働させ続けています。

■前橋バイオマス発電所とほぼ同規模の、田村市木質バイオマス発電所の場合は、田村市が自ら20%出資しています。

**********一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)2019年01月16日20:17
廃棄物処理大手タケエイ、福島・田村市で「地産地消型」のバイオマス発電所工事に着工。だが地元住民は、東電福島原発事故の「汚染森林資源」の利用に懸念(RIEF)
 廃棄物処理大手のタケエイ(東京)は、福島県田村市で準備を進めていた木質燃料のバイオマス発電所の建設に着手した。100%県内の森林資源を活用して発電する。出力は7050kW。完成は2020年3月の予定で、同社としては国内5番目の木質バイオマス発電所だ。だが、これまでと違って、燃料とする県内森林資源が放射性物質で汚染されている懸念から、住民の間では反対運動も起きている。

写真は、タケエイが既に稼動させている青森県の津軽バイオエナジー平川発電所
 バイオマス発電所が建設されるのは、田村市大越町上大越にある住友大阪セメント工場の跡地。総事業費は54億円とされる。事業主体は「田村バイオマスエナジー社」。タケエイが80%、田村市が20%を出資して設立した。隣接地に同発電所の熱を利用した農業工場の併設も検討するという。http://rief-jp.org/ct10/82305
 タケエイはこれまで、青森、岩手で、バイオマス発電事業を稼動させているほか、来月には秋田で、さらに10月には神奈川県横須賀市で新たに同発電事業を稼動させる予定だ。同社のバイオマス発電は、100%地域の森林資源等を活用するもので、東南アジアなどからの輸入ペレット等に頼った一部のバイオマス発電とは異なり、地産地消の電力となる。ただ、福島県での事業の場合、その地元の森林資源をめぐる懸念が浮上している。

 発電所で使用する森林資源は、県中地区での間伐材を中心に、産業廃棄物や解体家屋、片付けゴミなどを活用するという。東電福島原発事故による放射性物質の除去は、住宅部分は終わり、現在、「ふくしま森林再生事業」で奥山の間伐を実施中だ。伐採した製材品の放射線量の測定では、福島県の最新のデータ(昨年10月)では、県内工場での製材品の表面線量は最大27cpm(0.001μシーベルト/時)で、「安全」な範囲にあるという。http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/293722.pdf
 ただ、地元住民たちは、今回のバイオマス発電では、白チップ(樹皮をはいだ製材部分)だけでなく、樹皮(バーク)も燃やす方向であることから、表面が放射能汚染された間伐材等が燃料に含まれるリスクがあると懸念している。また産業廃棄物や解体家屋等を燃やすことでの二次汚染の可能性も指摘している。

 環境省は、福島県内でのバイオマス発電を補助金等で積極的に支援している。間伐材等の処理が進めば、奥山除染がはかどるためだ。住民らの不信感除去のため、田村市では発電所からの粉じん等を取り除くためのバグフィルターやHEPAフィルターの設置を公表した。だが、それらのフィルターを大型のバイオマス発電に適用する例は、過去にないという。
 バイオマス発電では海外燃料に頼らず、地元密着型の発電所を展開しているタケエイだけに、地元の不安を払拭できるような技術の導入や、運営への信頼性を醸成したうえで、取り組んでもらいたい。
http://www.takeei.co.jp/
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2018/09/hepa-a99f.html
**********

■田村市のHPの「市民の声」で、令和2年4月受付分として「バイオマス発電所について」と題して、市民からの「バイオマスとは、何を燃やすのですか?バイオマス反対の看板等がありますが何故、反対されているのですか?」という意見に対して、次の回答をしています。

**********
<回答>
 大越町の田村市産業団地で建設中の田村バイオマス発電所は、木質チップを燃料として発電する木質バイオマス発電事業で、福島県が推進する再生可能エネルギーのひとつです。
 燃料となる木質チップは、主に福島県内で伐出される木材を使用します。現在流通している県産材は、空間線量が毎時0.5マイクロシーベルト以下の森林からしか伐採されません。
 田村バイオマス発電所では、さらに厳しい基準を定め、木質チップの放射性物質濃度が100ベクレル/kg(一般食品と同じレベル)以下のものしか使用しないこととしています。また、念のため当分の間、旧避難区域の木材も使用しないこととしています。なお、廃タイヤや廃プラスチック等のいわゆる産業廃棄物は燃料としません。
 発電施設建設にあたり地元大越町で住民説明会を複数回開催し、多くの住民に理解していただきましたが、放射能を心配する一部のかたが反対運動をされているようです。
 発電施設についても、通常使用されるバグフィルタと呼ばれる集塵装置に加え、安心対策として高性能のHEPAフィルタ(※)も設置することになりました。燃料から排気、焼却灰、排水に至るまで、周辺に放射能の影響が出ることはありません。
 市としても、森林という地域資源を活用する木質バイオマス発電の推進は、森林整備や林業経営の推進にも寄与するものと考え、さらなる持続可能な地域づくりを進めていきます。
(※HEPAフィルタ…空気中からゴミ塵埃などを取り除く高性能のエアフィルタ)
         担当課 産業部 商工課 電話0247-82-6677
**********

■こうしてみると行政の方針でこのような放射能汚染木材を使ってまでも木質バイオマス発電という名の除染設備を人家の近くに立てることに躊躇するかしないか、が決まってしまうことがわかります。

 不幸なことに、群馬県は本来東電福島原発由来の放射能汚染の被害県のはずですが、群馬県も県庁所在地の前橋市も、放射能汚染に対する認識が甘く、原因者の東電のグループ会社による除染施設の設置を受け入れてしまいました。しかも、住民の安全・安心な生活環境を守るための歯止めとなるべき環境アセスメント条例を適用させずに、東電グループに配慮したのです。

 汚染した森林は、放射能が自然減衰するまで外部に持ち出さずにしておくことが重要であり、事実、農林業従事者に対して自治体は放射性物質の濃縮につながる野焼きや剪定枝などの焼却処理を今でも原則禁止しています。

■そもそも森林の除染は、放射能汚染対処特措法に基づき、住居等の近隣の森林と、森林内の日常的に人が立ち入る場所を対象にしており、森林全体を対象にしているものではありません。したがって、放射能汚染された奥山から切り出された間伐材などは対象外のはずです。

*****放射能汚染対処特措法*****
第四十四条 事故由来放射性物質による環境の汚染に対処するためこの法律に基づき講ぜられる措置は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第三条第一項の規定により関係原子力事業者が賠償する責めに任ずべき損害に係るものとして、当該関係原子力事業者の負担の下に実施されるものとする。
2 関係原子力事業者は、前項の措置に要する費用について請求又は求償があったときは、速やかに支払うよう努めなければならない。
**********

 本来、奥山の森林間伐材は放射性廃棄物として、東電の責任と負担で処理しなければなりません。さらに、この放射能汚染対処特措法をもとに環境省が定めた除染ガイドラインでは、森林の除染等の措置として、次のとおり定めています。

*****除染ガイドライン(平成25年5月第2版(同28年9月追補))*****
ZIP ⇒ wkchci25n5228n9j.zip
(P2-104から抜粋)
ウ.森林の除染等の措置
 森林については、住居等の近隣の森林と森林内の日常的に人が立ち入る場所において以下のように除染等の措置を実施します。
<住居等の近隣の森林の除染等の措置>
 住居等の近隣の森林において、落葉等の堆積有機物除去等の除染や必要に応じた土砂流出防止対策を実施します。除染を行う範囲は、当該除染により土壌の流出が生じる可能性に留意しつつ、林縁から 20m 程度の範囲をめやすとして、空間線量率の低減の状況を確認しながら落葉落枝の除去を段階的に実施することにより決定します。
 また、除染実施後の宅地等における事後モニタリングの結果等において、堆積有機物や林床植生などによる土壌の被覆率が低く、勾配が急でかつ汚染度の高い森林から経年的に土壌等が流出した影響と考えられる再汚染により、林縁において除染の効果が維持されていない箇所が確認された場合には、必要な除染を行うとともに、現場の状況に応じて、土壌の流出防止に効果がある箇所に対策工(木柵工や土のう筋工など)を実施します。
<森林内の日常的に人が立ち入る場所の除染等の措置>
 住居周辺の里山等の森林内で日常的に人が立ち入る場所について、地元の具体的な要望を踏まえて、現場の状況を勘案し、追加被ばく線量を低減する観点から、対象範囲や実施方法等を検討し、除染等の措置を実施します。具体的には、ほだ場、炭焼場、キャンプ場、遊歩道・散策道・林道、休憩所、広場、駐車場など、森林内の人々の憩いの場や人が立ち入る機会の多い場所について、立入り頻度や滞在時間、土壌流出のリスク等を勘案し、適切に除染等の措置を実施します。
**********

■ところが国や自治体は、東電にこうした除染にかかる負担を軽減ないし免除するため、本来手を付けてはならない奥山の間伐材を汚染指定域外に持ち出して、焼却するという行為を、木質バイオマス発電という括りで、再生可能エネルギー利用の名目で推進し、多額の補助金を投入して進めているのです。

 これが仮に西日本など放射能汚染指定域でなければ、とくに問題は発生しません。しかし、これを東電福島厳罰事故による放射性物質が降り注いだ東日本で進めるのは問題があります。とくに高濃度に汚染された群馬県や栃木県、そしてお膝元の福島県では決して許されない事業です。当会が「亡国事業」と称しているのもそれが理由です。

■このことを含め、8月21日をめどに、当会では地元住民団体のかたがたとともに、上告理由書及び上告申立て理由書を現在執筆中です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「福島県田村市のバイオマス発電計画」
**********福島老朽原発を考える会(フクロウの会)2019年08月06日
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2019/08/post-b3dcb1.html
地元では訴訟を準備―田村市バイオマス発電第2回学習会
 8月4日田村市大越町行政局にて「第2回木質バイオマス発電を考える学習会」が開かれました。昨年9月につづき2回目の開催です。
※第2回大越学習会チラシ ZIP ⇒ 201908042ocixdlwkv.zip

 田村市大越町では既に田村バイオマスエナジ―㈱(以下田村BE)の基礎工事が進んでいます。


田村BEの予定地ー既に基礎工事が始まっている

 学習会は、報告1としてちくりん舎の青木より「放射能汚染林と木質バイオマス発電」と題して講演がありました。講演内容では、今年4月に行われた第1回地域協議会で田村バイオマスエナジー㈱(以下田村BE)が説明した資料をもとに、田村BEのバイオマス発電計画の問題点の指摘が具体的に行われました。


学習会報告1での講演のようす

 問題点の指摘の第1は、田村BEが放射能を「厳格に管理」するということへの疑問点です。受け入れ木材は空間線量計で「周辺の放射線量と変化がないこと」としているが、これでは事実上無チェックにちかいことが指摘されました。また第2の点として「安全安心のためバグフィルターの後段にHEPAフィルターを設置する」としていますが、計画図ではこれが信頼できるものではないことが具体的に指摘されました。
○プレゼンの録画はこちらから(約55分) URL ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=oMewGUisJh8&feature=youtu.be
○プレゼン資料はこちらからダウンロードできます。 URL ⇒ https://www.dropbox.com/s/3xljt565668jotn/%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E6%B1%9A%E6%9F%93%E6%9E%97%E3%81%A8%E6%9C%A8%E8%B3%AA%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%9E%E3%82%B9%E7%99%BA%E9%9B%BB%28web%E7%94%A8%EF%BC%89.pdf?dl=0

 つづいて特別講演として東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宜弘教授より「民有林・国有林の『盗伐』合法化のねらい」と題して講演が行われました。



 鈴木先生のお話は、バイオマス発電事業に木材を安価で大量に供給できるようにする法律改悪が進められていること、それらは安倍政権のもとで進められている農業や漁業への大資本の進出を促すような一連の法律改悪の一環であることが説明されました。先生のお話は深刻な問題をユーモアたっぷりに説明し聴衆を引き込むものでした。
 学習会の最後に「大越町の環境を守る会」の皆さん、「放射能ごみ焼却を考えるふくしま連絡会」の和田央子さんからお話がありました。そのお話の中で、HEPAフィルターの虚偽説明による公金支出を問題として田村市に対して行政訴訟を考えていること。その準備段階として行政監査請求を行っていることが紹介されました。
 大越町の環境を守る会、ふくしま連絡会、ちくりん舎などが中心となり既に「田村バイオマス訴訟支援の会」が作られています。訴訟支援の会への寄付、会の宣伝などよろしくご協力をお願いします。
※FBページはこちらです URL ⇒ https://www.facebook.com/groups/468923530580459/
※メールはこちらから tamurabaiososyou.sien@gmail.com
※田村バイオマス訴訟支援の会チラシ ZIP ⇒ http://chikurin.org/wp/wp-content/uploads/2019/08/1bffc59cfd53a129737ab52ec655d806.pdf
cocixdiv.zip
※田村バイオマス訴訟支援の会への寄付はこちらへおねがいします。
ゆうちょ振込口座:00270-8-106485
口座名称:田村バイオマス訴訟支援の会(タムラバイオマスソショウシエンノカイ)

**********FFTV 2017年12月14日
汚染木材を燃やしてよいのか!福島県田村市バイオマス発電計画を問う
和田央子さん(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)


https://www.youtube.com/watch?v=f7VlMDBDSFc
**********

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月22日の控訴審敗訴判決により、7月6日最高裁に上告!

2020-07-07 23:35:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■2019年10月31日に前橋地裁で全面敗訴となった東電グループの関電工による前橋バイオマス燃料・発電施設の差止を求める住民訴訟は、原告が直ちに控訴手続きを取り、控訴人として、今年1月6日付で控訴理由書を東京高裁に提出したところ、控訴審第1回期日が2020年3月9日に東京高裁4階424号法廷で開かれ、即日結審しました。そして、5月20日(月)13:10に同じく424号法廷で判決言渡し予定でした。しかし新型コロナの影響で判決が先送りとなっていました。その後、緊急事態宣言解除にともない、あらためて本件事件番号:平成元年(行コ)第316号の判決言渡しが6月22日(月)13:10に決定し、当日当会代表が出頭したところ、一審同様に住民側敗訴の判決が言い渡されました。それから14日を経過し、上告手続期限である7月6日(月)に、東京高裁17階民事受付を訪れ、上告手続きを行いました。


大気汚染防止法が定める毎時4万ノルマル立米以上の排ガスをまき散らす火力発電設備なのに、環境アセスもしないまま、2018年4月24日に関電工が群馬県環境森林部の須藤雅紀・部長と、前橋市の山本龍前橋市長らを招いて運転開始と完成披露式を執り行ってから、既に2年が経過した前橋バイオマス発電施設。住民ではなく原発事故を起こした東電グループ会社側に寄り添っている状況が我が国の行政と司法の実態だ。写真出典:同社HPより。
 なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html
○2019年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3073.html
○2020年1月18日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日が3月9日14:30東京高裁424号法廷で開催
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3113.html
○2020年2月26日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日3月9日が迫り群馬県から控訴答弁書
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3120.html

■ちなみに6月22日の不当そのものの判決文は次の通りです。

*****判決文*****ZIP ⇒ 20200622oocixtir.zip
<P1>
令和2年6月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和元年(行コ)第316号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求控訴
事件(原審・前橋地方裁判所平成28年(行ウ)第27号)
口頭弁論終結日 令和2年3月9日
           判         決

   群馬県安中市野殿980番地
       控訴人(1審原告)      小   川       賢
   前橋市大手町1丁目1番1号
       被控訴人 (1審被告)     群馬県知事 山 本 一 太
       同訴訟代理人弁護士      石   原   栄   一
       同              関       夕 三 郎
       同              織   田   直   樹
       同              安 カ 川   美   貴
       同指定代理人         住   谷   親   介
       同              笛   木   元   之
       同              生   方   宏   久
       同              佐 々 木   俊   一
       同              浅   見       淳
       同              原   澤   徳   衛
           主         文
     1 本件控訴を棄却する。
     2 控訴費用は控訴人の負担とする。
           事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
1 原判決中控訴人に関する部分を取り消す。
2 主位的請求

<P2>
  被控訴人は,前橋バイオマス燃料株式会社に対し,4億8000万円及びこれに対する平成29年5月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を群馬県に支払うよう請求せよ。
3 予備的請求
  被控訴人が,前橋バイオマス燃料株式会社に対して交付した平成28年7月4日付け平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金交付決定に基づく4億8000万円につき,上記補助金交付決定を取り消して返還請求をすることを怠る事実が違法であることを確認する。
第2 事案の概要等(以下,略語は特に定めない限り原判決の表記による。)
1 本件は,群馬県の住民である控訴人が,群馬県の執行機関である被控訴人が前橋バイオマス燃料株式会社(前橋バイオマス燃料)の行う木質バイオマス発 電燃料製造施設等整備事業(本件事業)のために群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金(本件補助金) 4億8000万円を前橋バイオマス燃料に対して交付したことは違法である旨主張して,被控訴人に対し,主位的に,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,前橋バイオマス燃料に対して,不当利得返還請求権に基づき,本件補助金4億8000万円及びこれに対する本件補助金の交付日である平成29年5月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による同法704条前段所定の利息(法定利率につき,平成29年法律第44号による改正前の民法の規定による。)を群馬県に支払うよう請求することを求め,予備的に,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,被控訴人が,本件補助金の交付決定を取り消して不当利得返還請求権に基づき前橋バイオマス燃料に対し本件補助金4億8000万円の返還請求をすることを怠る事実が違法であることの確認を求める事案である。
2 原審は,前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付が違法であるとは認められないとして,控訴人の請求をいずれも棄却する判決をしたところ,控訴人がこれを不服として本件控訴を提起した。

<P3>
  なお,原審においては,控訴人のほかに,羽鳥昌行が原告として被控訴人に対して控訴人と同様の請求をし,いずれの請求も棄却する旨の判決がされたが,控訴を提起していない。
3 本件に関係する法令等の定め,前提事実,争点及び争点に対する当事者の主張については,次のとおり原判決を補正し,次項で当審において当事者が敷衍し又は追加した主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の「1 関係法令等の定め」,「2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)」,「3 争点」及び「4 争点に対する当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する(なお,原審において原告であった羽鳥昌行のみ に関する部分を除く。また,原判決中「原告ら」とあるのを「控訴人」と,「原告羽鳥」とあるのを「1審原告羽鳥」とそれぞれ読み替える。)。
(原判決の補正)
(1) 原判決3頁4行目の「同法232条2項」を「同法232条の2」に改める。
(2) 原判決4頁26行目の「本件要綱第3の1」を「本件要綱第3の1項」に改める。
(3) 原判決6頁19行目の「同規則第一」を「同規則別表第1」に改める。
(4) 原判決7頁9行目から10行目の「1万6千ノルマル立方メートル以上,」を「1万6千ノルマル立方メートル以上」に改める。
(5) 原判決8頁23行目の「関する」を「関して」に改める。
(6) 原判決14頁23行目から24行目までの「6万ノルマル立方メートル」を「5万2953ノルマル立方メートル」に改める。
4 当審において当事者が敷衍し又は追加した主張
(控訴人の主張)
(1) 前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電は,共同して事業を計画し,共

<P4>
同して事業を立ち上げているのであるから,両社が行う事業は事実上一体的事業であり, どちらかの会社に不正があったならば,共同の責任を負うことになる。
(2) 本件運用の策定の経緯について,株式会社前橋バイオマス(商号変更前の前橋バイオマス燃料)は,平成26年10月2日,トーセンとの間で,同社が年間8万トンの間伐材を安定供給する旨の協定を締結し,また,県産材加工組合との間でも,同組合が年間3万トンの製材端材を安定供給する旨の協定を締結していることからすると,既にこの時点で,発電事業の規模は定まっていたものである。したがって,環境政策課が木質バイオマス発電施設に関する条例アセスメントの検討を行っていた平成26年7月10日より前に発電事業の規模が定まっていたことになり,これをその後とする原判決の認定は誤っている。
(被控訴人の主張)
(1) 前橋バイオマス燃料は,木質バイオマス燃料を前橋バイオマス発電に供給しても余剰が生じた場合には,第三者に供給することが想定されること,本件前橋バイオマス事業以外の活動を行うことがあり得ることなどからすると,前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電は,実質的にも別主体である。したがって,仮に前橋バイオマス発電及び本件発電事業が不適格であったとしても,本件補助金の交付決定が違法となるものではない。
(2) 株式会社前橋バイオマスとトーセンとの間で上記間伐材の安定供給協定書が締結されたという事実と,前橋バイオマス燃料において平成28年7月4日に事業の具体的内容が定まったという事実は,矛盾なく両立するから,控 訴人の上記(2)の主張は論理の飛躍であり,失当である。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,原審と同様に,控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,次のとおり原判決を補正し,次項で当審において当事者が

<P5>
敷衍し又は追加した主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第 3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する(なお,原審において原告であった羽鳥昌行のみに関する部分を除く。また,原判決中「原告ら」とあるのを「控訴人」と,「原告羽鳥」とあるのを「1審原告羽鳥」とそれぞれ読み替える。)。
(原判決の補正)
(1) 原判決21頁15行目及び18行目の各「ものであり」の後にそれぞれ「,かつ」を加える。
(2) 原判決21頁18行目の「限る」を「限る。」に改める。
(3) 原判決26頁16行目から17行目の「2億2230円」を「2億2230万円」に,25行目から26行目の「2億4150円」を「2億4150万円」にそれぞれ改める。
(4) 原判決29頁12行目から13行目までの「6万ノルマル立方メートル」を「5万2953ノルマル立方メートル」に改める。
(5) 原判決29頁の末尾に改行して次のとおり加える。
 「補助金規則13条1項本文は,補助事業者等が不正な手段によって補助金等の交付を受けたとき,補助金等を他の用途に使用したとき,交付の決定の内容若しくはこれに付した条件又は法令,条例,規則若しくはこれに 基づく処分に違反したときなどは,知事は補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができることを定めている。そこで,このような観点から,本件事業の補助事業としての適格性について検討する。」
(6) 原判決35頁23行目から24行目までの「交付が違法であるとは認められない」を「交付は適法であると認められる」に改める。
2 当審において当事者が敷術し又は追加した主張に対する判断
(1) 控訴人は,前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電は,共同して事業を計画し,共同して事業を立ち上げているから,両社が行う事業は事実上一体

<P6>
的事業である旨主張する。
  本件前橋バイオマス事業は,本件燃料事業と本件発電事業により構成されており,両事業は,それぞれの内容からみて,その実施上,密接に関連するものであるということができる。しかし,前記引用に係る原判決が説示するとおり,前橋バイオマス燃料が本件燃料事業を実施し,前橋バイオマス発電 が本件発電事業を実施しているのであって,明確に内容の異なる両事業を,それぞれ別個の事業主体が実施しているのであるから,本件補助金の交付において,その対象である前橋バイオマスが行う木質バイオマス発電燃料製造 施設等整備事業(本件事業)の適格性を判断するに当たって両事業を一体のものとして捉える理由はないというべきである。
(2) 控訴人は,株式会社前橋バイオマスがトーセンとの間で,同社が年間8万トンの間伐材を安定供給する旨の協定を締結した平成26年10月2日の時点で,発電事業の規模が定まっていた旨主張する。
  控訴人は,本件発電事業について条例アセスメントがされるべきところ,関電工の圧力により本件運用が策定され,違法に条例アセスメントを免れたと主張し,これを裏付ける事情の一つとして上記の主張をするものと解される。しかし,上記(1) でも説示したとおり, そもそも本件燃料事業の本件補助金の対象事業としての適格性は,本件発電事業に関する事情とは別個に検討されるべきであるが,これを措くとしても,本件運用が不合理な内容であることを示す的確な証拠はない。また,前記引用に係る原判決の認定事実のとおり,関電工は,平成27年1月から3月までの間に,計画している木質バイオマス発電施設建設事業について条例アセスメントの対象となるかどうかを担当部局である環境政策課に質問するなどしており,環境政策課においては,平成26年7月頃から平成27年3月にかけて,本件運用の策定につながる種々の検討をしていたのであるが,そのことが直ちに関電工による圧力があったことや本件運用の不合理性を推認させるものでもない。そして,ト

<P7>
ーセンと株式会社前橋バイオマスとの間で,平成26年10月2日,木質バイオマス燃料の安定供給に関し,トーセンが木質バイオマス供給事業者として,株式会社前橋バイオマスに供給する木質バイオマス燃料の種類及び取引量に関する計画を,間伐材等由来の木質チッ プにつき年間5万トン,製材端材由来の木質チップにつき年間3万トンとすること等を合意する協定が締結されている(甲73)が,この協定により,直ちに計画されていたバイオマス発電事業の規模が具体的に定まるものとは解されず,まして,この協定が締結されたことから,本件運用が不合理な内容であることが導かれるものでないことは明らかである。
(3) その他,控訴人は,原判決の事実認定等を種々論難するが,その主張するところを踏まえて本件記録を精査しても,原判決の結論を不当とする事情は認められない。
第4 結論
  よって,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。

     東京高等裁判所第22民事部

          裁判長裁判官 白 井 幸 夫
             裁判官 寺 本 昌 広
             裁判官 伊 藤 一 夫

<P8>
東京(高) 18-004082
これは正本である。
令和2年6月22日
 東京高等裁判所第22民事部
  裁判所書記官 小濱智英
                     東京(高) 18-004082
**********

■この日、傍聴には本事件に関心を寄せ続けていただいているネットマガジン発行会社の㈱オルタナの編集部から堀記者に来ていただきました。

 堀記者には、判決言い渡し前と後で、インタビューを受けました。その中で当会は、東電グループの筆頭子会社の関電工が地元群馬県のシンボルでもある赤城山の南麓に環境アセスもしないまま放射能汚染された森林から伐採した木質燃料を今後20年間にわたり燃焼させて発電した電気を東電に高く売電するという某国事業について、コメントしました。

 とりわけ、一審、二審を通じて、我が国の司法が、権力に対して無力であることが改めて痛感させられたことや、控訴状であれほど、問題点を列挙したにもかかわらず、最後のP7の(3)で「その他、控訴人は、原判決の事実認定等を種々論難するが、その主張するところを踏まえて本件記録を精査しても、原判決の結論を不当とする事情は認められない」として、門前払いしていることは、関電工や群馬県にとって、都合の悪いことは裁判所もすべて取り上げないという、いわば、行政最優先、大企業最優遇の裁判所であることを如実に示していると説明しました。

 とくに、3月9日の控訴審の初回弁論でもオルタナの堀記者に傍聴してもらいましたが、裁判長が結審を宣言する直前に、当会代表が、裁判長に対して「放射能汚染による管理区域(1平方メートル当たり4万ベクレル以上)になっている群馬県山中から間伐材を持ち出すこと自体、 管理区域からの持出基準を満足していないものは持ち出して、バイオマス発電事業をすること自体、法律違反なので、この点についてぜひ判決で判断を示してほしい」とお願いしたところ、「勘案する」と言わんばかりに頷いていた裁判長でしたが、判決文にはそのことは一切なにも触れられていないため、堀記者も判決文を見て首を傾げていました。

■そうした取材を経て、オルタナの堀記者が同社のネットに掲載した記事は次の通りです。

**********オルタナ2020年6月23日(火) 20:15
http://www.alterna.co.jp/31367
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ac9cb927d64757f86e6e2c8a0ddc44cb28d13f0
20200623oocixiiil.zip
前橋バイオマス発電所控訴審で住民側敗訴、上告へ
 前橋バイオマス発電所事業への補助金をめぐる住民訴訟で東京高裁(白井幸夫裁判長)は6月22日、住民側の訴えをいずれも棄却する控訴審判決を下した。裁判は、燃料となる間伐材の放射能汚染の懸念などから地域住民らが群馬県を相手どり2016年に提訴。建設の前に不当に基準を変更して環境影響評価(環境アセスメント)を免れさせたとして、事業補助金4億8千万円の返還を求めた裁判だ。住民側は上告を予定している。(堀理雄)
 前橋バイオマス発電所(最大出力6750キロワット)は、東京電力のグループ会社である関電工とトーセン(栃木県矢板市)が出資して建設し、2018年3月営業運転を開始。年間8万トンの木材を使用している。
 周辺住民らでつくる「赤城山の自然と環境を守る会」(横川忠重代表)は、燃料となる木質チップを圧搾する際の排水や、発電で生じる排出ガス、燃焼後の灰などから、福島第一原子力発電所事故に由来する放射能汚染が拡散する恐れがあるなどとして事業に反対してきた。
 裁判の争点の一つは、発電所建設の際に事業者に義務付けられている環境アセスメントの対象事業を規定する基準を、県が緩和したことが適正かどうかだ。
 排出ガスが毎時4万立方メートル(0℃、1気圧時換算)を超える発電所は環境アセスメントの対象事業となっているが、県は木に含まれる水分(含水率)を差し引いて排出ガス量を計算するよう条例を変更。同発電所事業は対象外となり、環境アセスは実施されなかった。
 2019年10月に出された前橋地裁の第一審判決によれば、含水率を考慮した排ガス基準の運用は、全国の他の自治体では存在しないものの、毎時4万立方メートルという群馬県の基準は厳しいものであり、基準変更による環境アセスの未実施に違法性はないとした。
 これに対し住民側は控訴理由書のなかで、「埼玉県、鳥取県、京都市、名古屋市、北九州市、福岡市、牧方市なども同基準」と指摘。「群馬県の基準は厳しいと装う印象操作は、関電工を環境アセスの実施義務から救うための不正行為」と反論していた。
 原告の小川賢・市民オンブズマン群馬代表は「毎時4万立方メートルという基準は、大気汚染防止法のばいじん排出基準に基づくもの。県は法律や条例の趣旨をゆがめることなく運用してほしい」と強調する。
 燃料となる木材チップの放射能検査に関して、事業者の自主基準に基づくトラックスケール(車両計量器)式や空間線量による計測の妥当性、また基準を超える騒音被害への対応に関する訴えについては第一審同様に棄却され、新たな判断は示されなかった。
 「赤城山の自然と環境を守る会」によれば、発電所付近の騒音に関して2018年に前橋市が実施した測定では基準値を超えていたため、同市は行政指導を実施。その後も夜間騒音などが解決されず、同会は原因と対策について関電工に地元説明会の実施を求めている。
**********

■7月6日の上告手続きは、判決後、地元の住民の皆さんの総意で、このまま不当な判決内容を受け入れることは耐えがたく、住民の生存権、環境権を問うために、最高裁の判断を仰ぐ意味でもぜひ上告すべきだとの声を踏まえて、判決言渡し日から14日目に上告状兼上告理由申出書を提出することにしました。

 当日、自宅から高崎駅に向かう国道18号線が渋滞をきたしており、予定していた新幹線に乗れず、結局午前8時14分発のあさま606号に乗車し、9時25分頃、東京高裁のある裁判所合同庁舎前に着きました。

 すると、裁判所の前でカメラを構えた人だかりが、2、3人の人を囲んでなにやらインタビューをしており、その様子をテレビカメラが撮っている光景を目にしました。最寄りの守衛に尋ねると、ちょうど10分前に文科省官僚だった佐野太らの刑事初公判の傍聴整理券の配布が終わり、当選者番号の発表があったばかりだと言いました。

 筆者もかつて、地元の小渕優子代議士とその秘書で中之条町の折田謙一郎町長の公選法と政治資金規制法の罪で起訴された事件の東京地裁の初公判で、大勢の傍聴希望者の一人として参加したところ、運よく傍聴ができたことがあり、そのときのことを思い出しました。

 実は、本日は長野高専の前校長の石原祐志と早稲田大学大学院の同期で、そして文科省入庁も同期だった佐野太をはじめとする関係者(西野吾一、臼井正彦、鈴木衞、谷口浩司)の刑事事件(事件番号:平成30年刑事(わ)第1936号、受託収賄、贈賄、受託収賄幇助事件)の第1回公判が東京地裁1階第104号法廷で開かれるため、あわよくばこの傍聴券配布を受け、抽選に当たったら、1日中この公判のやり取りを傍聴する予定でした。しかし、残念ながら筆者の事前の読みが甘く、自宅から高崎駅までの国道18号線の渋滞という予期せぬ邪魔が入り、叶いませんでした。





■裁判所合同庁舎に入り、1階ロビー正面にある案内用のDisplayで念のため、法廷番号をチェックしました。その際、ふと思いついて、佐野太の刑事初公判の情報も検索したところ、次の画面表示が出てきました。

**********
時  間:10:00~17:00
場  所:第104号法廷
事件番号:平成30年刑(わ)第1936号
担当部署:刑事第16部
事 件 名:受託収賄、贈賄、受託収賄幇助
被  告:西野吾一、佐野太、臼井正彦、鈴木衞、谷口浩司
**********

 ロビーの右手側にあるエレベーターホールに行くと、その奥に第104号法廷があります。見ると、抽選で当選したラッキーな当選者らや、腕章をしたマスコミ記者らが受付に並んでいました。その光景を横目に後ろ髪をひかれる思いで、エレベーターに乗り、14階の民事第22部に行き、小濱書記官に上告手続きについて持参した上告状兼上告理由申立書を提示し、中身をチェックしてもらいました。

〇上告状兼上告理由申立書 ZIP ⇒ ioocixj.zip

 手数料は予めネットで一審手数料の倍の2万6千円であることを確認済でしたが、通信費として郵券(郵便切手)がいくらなのかわからなかったので、尋ねると上告の場合は5,400円だと教えてもらいました。その他の事項は問題がないとのことで、実際の提出は17階の高裁民事受付で扱っていると指示されました。

 再び地下1階にある郵便局で収入印紙と郵券を手配し、17階の高裁民事受付に行き、正本の上辺に収入印紙を貼り、郵券を渡すと担当書記官が、事件番号リストを調べて事件番号を決めたり、必要な上告手続きを行ったうえで、事件番号を記した紙をくれました。この間、10分ほどかかりました。

 これで上告手続きは全て完了し、1階に降りると、既に佐野太らの刑事第1階公判が10時から始まっており、廊下には見張り役の裁判所職員ら数人と、中にいるマスコミ記者の速報を待つ各社の伝令役の若手記者が数人たむろしていました。

 外に出るとあいかわらずの雨ですが、やや小降りになったため、そのまま傘を差さずに地下鉄の霞ヶ関駅に降り、地元に戻りました。

 さっそく前橋バイオマス発電施設に反対する地元住民のかたがたに報告しました。8月25日までに上告理由書と上告受理申立て理由書の2通を提出すべく、最終的な反論をまとめることになります。

■住民の健康や生活より、関電工の迅速な事業立ち上げを最優先にして、本来実施すべき環境アセスメントを免除した群馬県の環境行政。

 県内山間部の東電福島原発で放射能汚染された樹木から作った木質チップを毎年8万トン燃焼させて、高値で親会社に売電することにより、地元に騒音や放射性物質を含む排煙(廃ガス)、排水(廃水)、焼却灰をまき散らしても、東電グループの利益を最優先する群馬県の環境行政の歪みを象徴するこの事件は、最高裁を舞台に最終段階に突入することになりました。

 ぜひこの官業癒着事件の行方にご関心をお寄せください。

【7月9日追記】
 本日、東京高裁第22民事部の小濱書記官から、上告提起通知書・上告受理申立て通知書が送られてきました。したがって、本日から50日以内に上告理由書と上告受理申立て理由書を提出することになります。即ち、期限は8月28日(金)です。
※上告提起通知書・上告受理申立て通知書 ZIP ⇒ m.zip

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「本件を報じたこれまでのオルタナ記事」
**********オルタナ2016年11月29日
http://www.alterna.co.jp/19736
関電工のバイオマス発電所に批判噴出、住民提訴も
 東京電力のグループ企業、関電工が前橋市で進める木質バイオマス発電計画に対して、周辺住民の反発が強まっている。群馬県内の未利用間伐材などを燃料とする計画だが、住民は「福島原発事故で汚染された木材を燃やすと、放射性物質が環境中に拡散しかねない」と批判。7月には知事を相手取り訴訟も起こした。関電工側の住民説明は不十分で、企業姿勢として誠実でないことも問題をこじらせたようだ。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■県が補助金4億8千万円を支出

「前橋バイオマス発電所」の完成イメージ(関電工ニュースリリースから引用)
 「前橋バイオマス発電所」は関電工、および製材大手のトーセン(栃木県矢板市)が出資。赤城山麓にある電力中央研究所の試験施設から用地を取得し、2017年6月の操業開始をめざす。発電出力は6750キロワットで、木質バイオマス発電としては規模が大きい。燃料には、県内を中心に生じる間伐材ほか未利用木材を年間約8万トン使用する計画だ。
 これに対して、周辺住民らでつくる「赤城山の自然と環境を守る会」が反対。発電で生じる排ガス、および燃焼前に木質チップを圧搾して出た廃水などにより、原発事故由来の放射性物質が拡散する恐れがある、としている。
 住民らは7月、計画に4億8千万円の補助を行う決定をした群馬県を相手取り、支払いの差し止めを求める訴訟を起こした。「森林内に隔離されている放射性物質が、事業が実施されれば人家近くに大量に持ち込まれる」。(木材チップの燃焼で)「放射能汚染の拡散と高レベルの放射能物質発生を招くという脅威に群馬県民が広く晒される」。訴えの中で住民側はこう主張している。
 同会の羽鳥昌行事務局長は「事業を行うのであれば環境影響評価が必要」と訴える。滝窪町自治会長の井上博さんも「子どもたちには100年先もここの自然環境を残していきたい。それなのに、住民が知らない間に環境を汚されるとすればたまらない」と話した。
 環境影響評価について県は、計画の排ガス量が基準値を下回るとして実施の必要性を認めていない。また、事業で生じる排出に含まれる有害物質について、関電工は取材に「県や市が指定する基準値を下回るよう対策を講じる」と答えた。
■発電コスト重視の大規模木質バイオマス
 しかし住民側は同社に不信感を募らせている。「関電工は行動指針で『環境に関する自主基準を制定する』などとホームページで主張しているが、自主基準を制定しようとする姿勢は皆無」(原告準備書面)と厳しく批判。また、「(同社に)こちらが質問しても文書で回答しない」(羽鳥氏)という。
 計画の問題点は環境影響への懸念にとどまらない。前橋バイオマス発電所は地域外の資本が出資する事業だ。地域には燃料木材の売却代が還流するが、売電で得た利益は地域外に持ち出される形だ。また、発電で生じる熱は地域熱供給(熱電併給、コジェネレーション)には活用せず、そのまま捨てられる。
 地域資源の活用で地域経済の活性化が見込める自然エネルギー事業のメリットは、今回の計画では限定的なものにとどまると言える。関電工も「発電所での雇用は予定しているが、(地域経済への波及効果を)数字で示すのは難しい」と話す。
 ちなみに熱電併給を行う際、熱需要は分散しているため、出力2千キロワット未満の小規模木質バイオマス発電が向くとされる。その熱効率は最大で8割とも言われ、エネルギーのムダが少ない。一方、大規模木質バイオマス発電は発電コストで有利だが、熱電併給よりはエネルギー効率で劣る。
 つまり計画は、地域経済やエネルギー効率よりも発電コストを重視していることになる。そして現在、前橋バイオマス発電所と同様、日本各地で大規模な木質バイオマス発電計画が進むが、背景には木質バイオマス利用をめぐる制度上の問題点があるという。
 自然エネルギー財団は25日、木質バイオマス利用に関する提言を発表した。この中で「日本のFIT(固定価格買取制度)は発電のみを対象とし、熱電併給へ誘導する制度設計になっていない」などと指摘。また、木質バイオマス資源の国内需要がひっ迫する可能性もあるとしている。
 財団は、木質バイオマスに大規模区分を設けた上で買取価格を引き下げることなどを提言するが、木質バイオマス利用が地域に受け入れられ、持続可能なものとなるよう、制度の点検が問われている。

**********オルタナ2019年7月24 日
http://www.alterna.co.jp/27694
http://www.alterna.co.jp/27694/2
http://www.alterna.co.jp/27694/3
http://www.alterna.co.jp/27694/4
緊急連載■バイオマス発電の限界と可能性(上)
■県が積極支援の前橋バイオマス発電、住民訴訟が結審
 太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーは、石炭火力発電や原子力発電に代わる重要なエネルギー源だ。しかし、「バイオマス発電」をやみくもに進めることには、大きなリスクがあった。(オルタナ編集委員・栗岡 理子)
■バイオマス発電を巡る行政訴訟が結審
 バイオマス発電は、固定価格買取制度(FIT)(注1)の価格が2019年度も昨年度と同額のまま据え置かれ、2割以上減額された事業用太陽光発電などに比べても注目度が高い。

前橋バイオマス発電所ゲート
 とりわけ、未利用木材を使用する木質バイオマス発電は、FIT上でも優遇されている。間伐材などを利用することで森林保全にも役立ち、低炭素社会に貢献できると考えられてきた。
 そんななか、2016年に住民が群馬県を相手取って前橋地裁に提訴した「前橋バイオマス発電所」の補助金返還履行請求の住民訴訟の判決がまもなく出ようとしている。

前橋バイオマス発電所側面(赤城山の自然と環境を守る会提供)。市の規制基準を超える騒音が確認されている
 前橋バイオマス発電所は2018年3月、東京電力子会社である関電工と、トーセン(栃木県)が出資して建設し、営業運転を開始した。
 群馬県の森林組合などから調達する間伐材などを燃料として、最大出力6750キロワット、年間発電量約4300万キロワット時(一般家庭約8700世帯分)という巨大発電所である。
 この発電所の建設にあたり、発電所のある赤城山南麓エリアの住宅地に住む住民への事前周知は行われず、周辺住民は建設による騒音で初めて知ることになった。
 群馬県の環境影響評価条例では、新設工場の総排ガス量が毎時4万立方メートルを超える場合は環境影響評価(環境アセスメント)を実施しなければならない、と規定されている。
 しかし、県は木材の含水率が20%あるとして、未利用の木質バイオマスを燃料とする場合には排ガス量を計算する際、20%の水分量を考慮してよいと規定を改定した。そのため、この事案は環境アセスメントの対象外であるとされた。
 その結果、環境への影響は評価されることなく発電所の建設が進み、県からこの事業に対し、8億円の事業費の6割にあたる4億8000万円を助成した。建設計画は滞りなく進行したのである。
■発電所建設目的は山の除染か?!

発電所に反対する民家の看板
 建設計画を知った周辺住民は、関電工や県に幾度も発電所について説明を求めた。しかし、満足のいく回答は得られなかったという。燃料となる木材は主に県内調達であるとされているが、県内の森林は2011年の原子力発電所の事故により、広く放射性物質で汚染されている。
 現地では、いまだに野生のタラノメやコシアブラは基準値を超える放射性セシウムが検出されるとして出荷制限されるほどだ。
 そのような場所の木を燃やして、放射能は拡散しないだろうか。また、補助金により購入された脱水プレス機により木質チップが圧搾され、その際に水が出る。その水は適切に処理されるのだろうか。
 さらに、この手の発電所の常として、表向きは地域材使用による森林保全が謳われるが、地域材のみでは原料が早晩回らなくなることは大いにありうる。そうなった場合に、どこからどういう素性のものが調達されてくるのか。いくつもの疑問が重なる。
 地元住民からは「バイオマス発電という名目で放射能に汚染された木を処分することが目的ではないか」という懸念が出ている。バイオマス発電という名の山の除染作業ではないか、という疑念が膨らむ。
■提訴理由は「次世代のために自然を守ること」
 放射能に汚染された木材を燃やすことで、地域が汚染され、次世代に残すべき豊かな自然が汚されるということが、今回提訴した住民団体「赤城山の自然と環境を守る会」(会長:横川忠重)の一番懸念していることだ。同会は、この訴訟をこれから生まれてくる子どもたちへの責任の問題だと捉えている。
 放射能で汚染された木材を燃やすことで、飛灰は100倍程度に濃縮される(ちくりん舎資料、(注2))。飛灰はバグフィルターで100%捕捉できるわけではなく、粒径の大きなもので80%程度、粒径の小さなものでは20%〜40%程度しか取れないとのことである。住民らの心配は根拠のないものではない。
 赤城山は百名山の1つにも数えられる名峰で、その赤城山をご神体とする赤木神社は古くから人々の信仰を集めている。見事な桜のトンネルと菜の花が楽しめる赤城南面千本桜は県内で最も人気の高いお花見スポットだ。
 この美しい自然に惹かれ、赤城山南麓に移住してくる人も多い。環境にやさしいはずのバイオマス発電が、こうした環境を脅かす存在になってよいはずがない。
 4億8000万円の補助金を不正支出であるとして、県を提訴した住民らは、危機感を募らせている。その訴訟が2019年7月17日、前橋地方裁判所で足かけ4年に渡り発電所に翻弄された住民が傍聴するなか結審し、裁判長が判決日を読み上げた。判決は2019年10月31日午後2時だ。住民らの訴えは、認められるだろうか。
■環境団体がバイオマスで共同宣言
 バイオマス発電のリスクについては、気候変動や森林保全に取り組む環境団体が2019年7月16日、制度の問題点を見事に突いた共同提言を発表した。
 提言は、次の8項目である。
 ・温室効果ガス(GHG)の排出を十分かつ確実に削減していること
 ・森林減少・生物多様性の減少を伴わないこと
 ・パーム油などの植物油を用いないこと
 ・人権侵害を伴っていないこと
 ・食料との競合が回避できていること
 ・汚染物質の拡散を伴わないこと
 ・環境影響評価が実施され、地域住民への十分な説明の上での合意を取得していること
 ・透明性とトレーサビリティが確保されていること
 この提言の中で指摘されている事柄を検討することなく発電所を建設するケースが、後を絶たない。環境にやさしいはずのバイオマス発電による環境破壊が懸念される。
【注1】:FITは自然エネルギーを助成するための制度で、再生可能エネルギーで発電された電気を一定期間国の決めた価格で買い取ることを電気事業者に義務付けている。電気事業者の買い取り費用は、電気料金に上乗せされた「再エネ賦課金」によってまかなわれる。
【注2】:ちくりん舎資料「2019.2.10-11 学習交流集会 in 郡山報告集」より


栗岡 理子
1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。

**********オルタナ2019年11月2日
http://www.alterna.co.jp/28498
http://www.alterna.co.jp/28498/2
http://www.alterna.co.jp/28498/3
群馬の木質バイオマス発電所訴訟で住民側が敗訴
 前橋地方裁判所は10月31日、バイオマス発電所に補助金を交付した群馬県を相手取った住民訴訟で、住民側の請求を棄却する判決を言い渡した。このバイオマス発電所は環境破壊の可能性が高く、住民らは控訴を含めて今後の対応を検討している。(オルタナ編集委員・栗岡理子)

前橋バイオマス発電所のゲート
 この訴訟は、福島第一原発事故による放射能で汚染された森林を伐採・焼却することに不安を感じた住民らが「赤城山の自然と環境を守る会」(代表:横川忠重)を結成し、提訴したもの(詳細は「緊急連載・バイオマス発電の限界と可能性
http://www.alterna.co.jp/27694 )。
 放射能汚染を懸念する木質バイオマス発電所に対する地元住民による訴訟は、2019年9月に福島県田村市で建設中の発電所に対しても起こされている。木質バイオマス発電所の増加に伴い、今後このような訴訟は増える可能性がある。
 訴状によると、群馬県が前橋バイオマス発電所に公布した補助金4億8000万円について、住民らが県に対し返還履行請求を行った。住民が特に問題視するのは、県が環境影響評価を行わずに補助金を支給したことだ。
 群馬県は、新規の工場建設にあたり、総排ガス量が毎時4万Nm3を超える場合は環境影響評価を実施することと条例を定めていた。しかし、木質バイオマスを燃料とする場合には含水率を考慮してよいと規定を改定し、当該発電所を評価の対象外とした経緯がある。
 同発電所は、東京電力子会社である関電工と、トーセン(栃木県)による出資で建設。住民らは、環境影響評価を行うことで建設の遅れを心配する関電工の圧力に屈した県が、同社に便宜を図るため条例を改定したと主張している。
 これに対し県は、関電工の計画を知る以前から木質バイオマス発電の活用を推進しており、同規定を再検討していたとして、同社からの不当な働きかけにより改訂したものではないと反論していた。
 住民らは、発電所の近隣住民への建設に関する周知が不十分であったことや、補助金の使途、稼働後の夜間騒音、さらに県産材のみを利用するはずが、県外トラックによる原料チップの搬入が目撃されていることなども問題にしている。
 しかし、今回の判決では、住民らの主張はすべて退けられた。これ受け、原告団の小川賢・市民オンブズマン群馬代表は「すべて県側の主張が採用されてしまった。まるで独裁国家だ。来週にはみんなで相談し、控訴するかどうか検討したい」とのことである。

**********オルタナ2020年3月9日
http://www.alterna.co.jp/29729
前橋バイオマス発電所訴訟、控訴審は「即日結審」
 前橋バイオマス発電所をめぐる住民訴訟の控訴審で東京高裁は3月9日、第1回口頭弁論を開き、同日結審した。この裁判は、同発電所の建設の前に群馬県が不当に基準を変更して環境影響評価(環境アセスメント)の義務付けを免れさせたとして、住民らが事業補助金4億8千万円の返還を求めたもの。判決は5月20日に言い渡されるが、即日結審だっただけに原告側に厳しい内容も予想される。(オルタナ編集部=堀理雄)
 争点の一つは、環境アセスメントの対象事業を規定する基準の変更が適正かどうかだ。群馬県は新規に工場を建設する際、排出ガスの総量が毎時4万立方メートル(0℃、1気圧時換算)を超える場合には、環境アセスメントの実施を条例で義務付けている。
 同発電所の排ガス量は従来の基準では毎時4万立方メートル(同)を超えていたが、群馬県は木質バイオマスを燃料とする場合、木に含まれる水分(含水率)を考慮して計算するよう基準を緩和。同発電所事業は対象外となり、環境アセスメントは実施されなかった。
 前橋バイオマス発電所(最大出力6750キロワット)は、東京電力のグループ会社である関電工とトーセン(栃木県矢板市)が出資して建設し、2018年3月営業運転を開始している。
 訴訟は2016年、福島第一原子力発電所の事故による放射能で汚染された森林から間伐された木材を焼却する同発電所事業に不安を感じた住民らが「赤城山の自然と環境を守る会」(代表:横川忠重)を結成し、前橋地裁に提訴した。
 住民らは、環境アセスメントの未実施や放射能汚染の問題のほか、発電所の建設の際に近隣住民に対する周知・説明が不十分であった点や、稼働後の騒音被害などについても問題にしている。
 2019年10月末の前橋地裁の第一審判決では、住民の主張が退けられ、住民側は控訴。5月20日の判決では、上記の争点などに関する高裁の判断が注目されている。
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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日3月9日が迫り群馬県から控訴答弁書

2020-02-26 22:57:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災


■2019年10月31日に前橋地裁で全面敗訴となった東電グループの関電工による前橋バイオマス燃料・発電施設の差止を求める住民訴訟は、原告が直ちに控訴手続きを取り、控訴人として、1月6日付で控訴理由書を東京高裁に提出したところ、控訴審第1回期日が2020年3月9日(月)14時30分から東京高裁4階424号法廷で開廷となりました。2週間後に迫った2月22日に、被控訴人の訴訟代理人である石原・関・猿谷法律事務所から控訴答弁書が送られてきました。

大気汚染防止法が定める毎時4万ノルマル立米以上の排ガスを出す火力発電設備なのに、環境アセスもしないまま、2018年4月24日に関電工が群馬県環境森林部の須藤雅紀・部長と、前橋市の山本龍前橋市長らを招いて運転開始と完成披露式を執り行ってから、まもなく2年が経過する前橋バイオマス発電施設。住民ではなく原発事故を起こした東電グループ会社側に寄り添っている状況が我が国の行政と司法の実態だ。写真出典:同社HPより。

■関電工の前橋バイオマス発電施設は、東電福島原発事故により群馬県の山間部に降り注いだ放射能雲(プルーム)に汚染された森林から間伐された木材を集めて、あろうことか住民の住む住宅エリアから僅か150mしか離れていない場所に、東電の子会社の関電工が設置して、発電した電気を親会社の東電が高く買い取るという、まさに住民を愚弄する計画です。

 さらに、放射能問題に加え、本来火力発電所として実施すべき排ガス量毎時4万ノルマル立米をはるかに超えるのに、行政が東電グループの関電工に配慮し、環境アセスメントをやらなくてもいいように、勝手にルールを変えてしまいました。

 こうした群馬県のねじ曲がった環境行政を是正するために当会は地元住民の皆様方とともに、地元群馬県の前橋地裁で2016年9月の初回弁論期日から3年以上訴訟を続けてきました。しかし前橋地裁は、全面的に行政側の言い分に沿った判決を言い渡しました。

 したがって、控訴審では、東電原発事故がらみの裁判が頻繁に行われている東京高裁で審理されるため、地裁と違って、きちんとまともな判断をすることを強く期待したいと思います。

 なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html
○2019年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3073.html
○2020年1月18日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日が3月9日14:30東京高裁424号法廷で開催
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3113.html

■この度、被控訴人の群馬県の訴訟代理人から送られてきたのは次の内容の控訴答弁書です。

*****2/21送付書兼受領書*****ZIP ⇒ 20200221ti.zip
東京高等裁判所第22民事部二に係 御中
ご担当書記官 小濱 殿
控訴人 小川賢 殿
                   令和2年2月21日
                   前橋市大手町3丁目4番16号
                   被控訴人訴訟代理人
                   弁護士 織 田 直 樹
                   電話027-235-2040

            送  付  書

    事件の表示:御  庁 令和元年(行コ)第316号
          事 件 名 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求控訴事件
    当 事 者:控 訴 人 小川 賢
          被控訴人 群馬県知事 山本一太
    次 回 期日:令和2年3月9日 午後2時30分

下記書類を送付致します。宜しくお願い申し上げます。
1 控訴答弁書         1通
                            以上

-------------------- 切らずにこのままでお送り下さい --------------------

           受  領  書

上記書類、本日受領致しました。
                     令和2年2月22日
            控訴人  小川 賢     ㊞

東京高等裁判所第22民事部二に係 御中(小濱書記官殿):FAX 03-3580-4885
石原・関・猿谷法律事務所(弁護士 織田直樹)御中   :FAX 027-230-9622

*****控訴答弁書*****ZIP ⇒ 20200221ti.zip
<P1>
令和元年(行コ)第316号
住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求控訴事件控訴人
控 訴 人 小川賢
被控訴人 群馬県知事 山本一太

            控 訴 答 弁 書

                       令和2年2月21日
東京高等裁判所 第22民事部二に係 御中

            371-0026
            群馬県前橋市大手町三丁目4番16号
            石原・関・猿谷法律事務所(送達場所)
            TEL 027-235·2040 / FAX 027·230-9622
            被控訴人訴訟代理人
             弁 護 士   石  原  栄  一
             弁 護 士   関  夕  三  郎
             弁 護 士   織  田  直  樹
             弁 護 士   安 カ 川  美  貴
             同指定代理人  住  谷  親  介
             同       笛  木  元  之
             同       生  方  宏  久

<P2>
             同       佐 々 木  俊  一
             同       浅  見     淳
             同       原  澤  徳  衛

第1 控訴の趣旨に対する答弁
 1 本件控訴を棄却ずる。
 2 控訴費用は控訴人の負担とする。

第2 控訴理由に対する認否及び反論
 1 はじめに
   本件控訴には理由がないことから,速やかに棄却されるべきである。
   被控訴人の反論ないし主張は,原審における主張を援用するが,以下,控訴の理由第 2(一審裁判所ん認定事実の誤認)につき、必要に応じて述べる。

 2 同1項(環境アセスメント条例の適用要件の基本的解釈について)について
   控訴人の主張は,原審が「前橋バイオマス事業計画の経緯」を認定事実すること自体,審理の公平性を歪めるものであるなどというものだが,論旨不明であり失当である。
   なお,原審が「前橋バイオマス事業計画の経緯」について事実認定したのは,控訴人(原審原告)の主張(本件運用は,関電工の圧力に屈した環境政策課が,前橋バイオマス発電が条例アセスメントを実施することなく本件発電事業を開始できるようにするために策定したなどというもの)に対応したからである。

<P3>
 3 同2項(前橋バイオマス発電と前橋バイオマス燃料の法人格の同一性の解釈について)について
   控訴人は,前橋バイオマス発電と訓橋バイオマス燃料とは「事実上,一体事業」だから共同の責任を負うのであって,別の事業主体であると認定した原審の判断は,失当であると主張する。
   しかし,原審が認定するとおり,前橋バイオマス発電と前橋バイオマス燃料は,本店所在地及び株主構成が異なっていること,代表取締役及び取締役の役員構成が異なっていることといった形式的な事情のみならず,前橋バイオマス燃料は,木質バイオマス燃料に余剰が生じた場合には第三者に供給することが想定されること,前橋バイオマス発電事業以外の活動を行うことがあり得ることなどの事情を指摘し,実質的にも別主体である(原判決 30頁1行目~31頁6行目)といえる。
   したがって,控訴人の主張は失当である。

 4 同3項(本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(検討関始時期))について
   仮に控訴人の主張するようにトーセンが間伐材確保に苦慮していたという事実が存在したとしても,同事実から,県内で8万トンの間伐材を新たに確保することが不可能という事実は導かれないから,控訴人の主張には論理の飛躍があり,失当である。

 5 同4項(本件前橋バイオマス事業計両の経緯の解釈について(条例アセス相談時期))について
   控訴人の主張のうち上記標題と合致する部分(第1段落乃至第3段落)は,環境政策課が平成30年4月18日付で作成した唐澤からの「聴取報告書(補充)」(甲86)によれば,「平成26年7月10日から少なくとも一か月以上早く,条例アセスについて話し合いが行われて」いたこと

<P4>
から, 関電工が平成27年1月に環境政策課を訪間した際のやりとりについての原審事実認定は失当であるというものである。
   しかし,関電工と環境政策課が平成26年7月以前に「話し合い」をしたという事実は上記証拠(甲86) から導き出されない。したがって,控訴人の主張は,証拠を誤って解釈し,誤った鮪提事実に基づくものであるから,失当である。

 6 同5項(本件前橋バイオマス事業計両の経緯の解釈について(概要書の交付時期))について
   控訴人の主張は,原審における関電工が平成27年1月から3月までの間に唐澤に対し前橋バイオマス事業において考えられる設備の概要書を交付したとの事実認定が失当であるというものである。
   しかし,その理由として控訴人が主張する内容は,かかる事実に対する反論となっておらず,論旨不明である。

 7 同6項(本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(条例アセスの運用変更時期)について
   控訴人の主張は,被控訴人から関電工に対して運用の変更という形でお墨付きを与えられたものであるから,関電工から環境政策課に対して条例アセスメントの対象とならない旨の連絡をしたとの原審事実認定は失当であるというものである。
   しかし,被控訴人が本件運用を策定した事実と,関電工が唐澤に対し条例アセスメントの対象とならない旨の連絡をした事実とは,矛盾無く両立するから,控訴人の主張は原審の事実認定に対する反論になっておらず,失当である。

 8 同7項(本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(関電工の具体的設計とボイラー選定時期)について

<P5>
   控訴人の主張は,トーセンが平成26年10月2日に前橋バイオマスとの間で8万トンの間伐材の安定供給協定書を締結しており(甲73), この時点で木質バイオマス使用量及び発電設備も決まっていたから,関電工が平成27年8月以降に具体的な設計等を行ったとの原審事実認定は失当であるというものである。
   しかし, トーセンが前橋バイオマスとの間で上記間伐材の安定供給協定書を締結したという事実から,関電工が同時点で具体的な設計,発電施設のボイラー選定等を既に終えていたという帰結にはならないから,控訴人の主張は論理の飛躍であり,失当である。

 9 同8項(本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(関電工の具体的設計とボイラー選定時期)について
   控訴人の主張は,トーセンが平成26年10月2日に前橋バイオマスと8万トンの間伐材の安定供給協定書を締結していること(甲73) などから,既にその時点で発電所の建設は具体化されていたはずであるため, 前橋バイオマス燃料が平成28年7月4日に事業の具体的内容が定まったことから本件事業に着手したとの原審事実認定は失当であるというものである。
   しかし,前項で述べたと同様,トーセンが上記間伐材の安定供給協定書を締結したという事実と,前橋バイオマス燃料において平成28年7月4日に事業の具体的内容が定まったという事実は矛盾無く両立するから,控訴人の主張は論理の飛躍であり,失当である。

 10 同9項(本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(排ガス量の数値根拠)について
 (1) 控訴人の主張
   控訴人の主張のうち標題と合致するものは,概要次のとおりである。まず,甲83号証に記載された計算式を用いると,本件発電所が使用す

<P6>
る燃料の水分量43.125%の場合,空気比1.3では完全燃焼は不可能であり,空気比 1.75が完全燃焼の条件である。そしてこの空気比1.75を乙12の計算式に代入すると,排ガス量は52,953ノルマル立方メー トル,ここから水蒸気控除分を差し引いても48,487同単位(基準値を超える)となる。したがって,原審が認定した空気比1.3を前提とする排ガス量38,483ノルマル立方メートル(乙12) は誤りである。
 (2) 反論
   しかし,上記控訴人が主張する空気比の値1.75が完全燃焼の条件であるという点について,控訴人が唯一の拠り所とする甲83号証記載の説明文によれば,前提として過剰空気量(空気比)は「燃料や燃焼装置の種類によって異なる」こと,及び,示された計算式は「計算式の1例」であることが認められる。したがって,同計算式によっては,前橋バイオマス発電事業における空気比の値を断定することはできない。
   また, 控訴人が自ら提出した証拠である甲 70号証において,技術専門家による排ガス量の計算が示されているところ,同計算における水分量 (W) は「15.00%」であると同時に,空気比 (m)は「2」とされており, これとも矛盾しているから(水分量15%の場合, 控訴人主張の計算方法を用いると空気比は1.17となるはずである。),かかる計算方法が誤りであることは明らかである。
   このように,控訴人の主張は,甲83号証の計算式を用いて前橋バイオマス発電事業における空気比の値を断定することができないこと,及び控訴人自ら提出した証拠に基づく計算式と矛盾しており計算方法が誤りであることから,理由がない。

 11 同10項(本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(放射能対策)について
   控訴人は,前橋バイオマス燃料において木材受入時の放射能の自主管

<P7>
理基準値をトラック用線量モニタで常時監視するなどにより放射能対策を行っている旨の原審事実認定について,控訴人が主張するトラックスケールの製造事業者の証言を完全に無視するものであり,失当であると主張する。
   しかし,原審は上記事実について証拠等により適切に認定しているのであるから,控訴人の主張には理由がない(原判決31頁7行目~9行目,同19行目~32頁9行目)。

 12 同11項(本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(条例アセス運用策定)について
   控訴人の主張は,環境政策課による平成26年7月の他地方自治体への照会実施前の同年6月には関電工から条例アセスメントについて相談を受け始めたという事実を被控訴人が隠しているから,被控訴人の主張に沿う原審事実認定は失当であるというものである。
   しかし,関電工による環境政策課への相談開始時期について,同年「6月乃至9月頃」(甲86),又は「秋頃」(唐澤証言)という時期に幅のある証拠は存在するが,「6月」(すなわち他の地方自治体への照会実施より前)であったと時期を明確に特定する証拠は存在しないから,控訴人の主張は前提を欠く。
   なお,被控訴人は,原審被告第5準備書面「第3」2項(2)等で平成26年頃に関電工から環境政策課に対する問合せがあったことを認めており,上記控訴人主張の「隠している」というのは事実無根である。この点,唐澤は,陳述書(乙17)3項(3)において,環境政策課が条例アセスメントにおける木質バイオマス発電施設の対象要件の検討を開始した時期に,「関電工から前橋バイオマス発電施設に関する事業計画について相談がありました。」と述べている。更にその詳細な時期について,唐澤証人は,主尋問で「26年の秋頃だったように記憶しています」と証言し(唐澤尋問調書4頁),反対尋問で「平成26年の 6月乃至9月頃」と記載さ

<P8>
れた聴取報告書(甲86) と食い違いがあるとの質問を受けた際,「記憶が定かでないので。期間の蝠を大きくとってしまったのではないかと。」と証言している(同調書18頁)。このように,唐澤は,関電工からの相談時斯について隠すことなく記憶のとおり証言していることは明らかである。

 13 同12項(本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(規模要件策定)について
   控訴人の主張は,被控訴人が実胞したアンケート結果(乙6) で群馬県と同等の規模要件は存在しないというのは明らかに虚偽であることから,原審事実認定は失当であるというものである。
   しかし,被控訴人は「群馬県と同等の規模要件は存在しない」などとは主張していないから,控訴人の主張はその前提を欠き失当である。

 14 同13項(事実認定の補足説明について(本件運用策定時期))について
   控訴人の主張は,関電工とトーセンが平成26年9月に電力中央研究所を視察したこと,その翌月 (10月2日)にはトーセンが前橋バイオマスと8万トンの木質の安定供給協定書を締結し(甲73),同協定書における間伐材の供給量が鮪橋バイオマス発電の使用量と完全に一致しており,この時点で既に発電規模が決まっていたことになることから,関電工が同年6月頃に環境政策課を訪間した時点では前橋バイオマス事業の具体的な事業規模が定まっていなかったという原審の事実認定は失当であるというものである。
   しかし,控訴人の主張は,同年26年10月2日よりも前の時点である関電工による環境政策課への訪問時において具体的な事業規模等が定まっていなかったという事実認定と両立する主張であり,原審の事実認定に対する反論とはなっていないから,かかる控訴人の主張は失当である。

<P9>
 15 同14項(事実認定の補足説明について(本件運用策定時期))について
   控訴人は,関電工は環境アセスメントを実施するとなると2年から3年は事業が遅れ,被控訴人は素材生産の計両が末達成で終わってしまうことから,関電工が環境政策課に圧力をかけたことをうかがわせる事情が認められないとする原審事実認定は失当であると主張する。
   しかし,関電工が環境アセスメントを実施した場合に,被控訴人の素材生産計画が未達成で終わってしまうという因果関係は,何ら立証されていないから,控訴人の主張は前提を欠き失当である。

 16 同15項((本件事業の補助事業としての適格性)について)について控訴人の主張は,トラックスケールが放射能を測定できる代物ではないことは物理的にみても明らかであるから,トラックスケール式の線量システムにより本件自主管理基準値を超える放射能を含有する木材の搬入を防止できないとはいえないとの原審判断は失当であるというものである。
   しかし,前記11項で述べたとおり,原審は上記事実について証拠等により適切に認定しているから,控訴人の主張には理由がない。

 17 同16項(争点3(本件補助金の金額の妥当性)について)について控訴人の主張は, 脱水プレス機の本格稼働は同年3月以降であったことなどから,脱水プレス機は不要であることは間違いのない事実であり,事業者によるチッパー購入を装った補助金搾取であるため,原告らの主張は理由がないとした原審判断は失当であるというものである。
   しかし,仮に控訴人主張の事実が認められる場合であっても,同事実から「脱水プレス機は不要である」という事実は導かれないから,控訴人のかかる主張は失当である。

<P10>
 18 同17項(その他,一審判決文で誤った解釈がなされた控訴人(一審原告)の主張)について
 (1) (1)(前橋バイオマス事業に関する事業者による住民への説明が不十分)について
   控訴人の主張は,関電工が地域住民の説明会開催申し入れを「受け入れ準備が出来ていない」との理由で2回も反故にしているという事実が,環境配慮計画を遵守していない証左であるから,本件事業は不適格であるというものである。
   しかし,原審判示 (33頁)のとおり,関電工は近隣住民に対する個別説明及び説明会を実施していることから,上記控訴人の主張するような事実のみをもって説明が不十分として本件事業が不適格であることを基礎づけるものではない。
 (2) (2)(チッパーの稼働)について
   控訴人の主張は,本件チッパーが「建屋内で木材の切削を行う」(甲52-環境配慮計画5頁)から逸脱して建屋外又は前橋バイオマス燃料用地以外で切削を行っているので環境配慮計画から大きく逸脱しているというものである。
   しかし,原審判示 (22頁)のとおり,本件チッパーは基本的に前橋バイオマス燃料の燃料製造施設構内において使用されており,構外に持ち出されたのは,保守点検のための 1回,前橋バイオマス発電に供給する木質バイオマス燃料を製造する目的で群馬県内の土場で原木を破砕するための1回の計2回であった。このように,構外での使用は必要最小限にとどまるから,環境配慮計画から逸脱するとはいえない。
 (3) (3)(騒音の実態)について
   控訴人の主張は,夜間の騒音が基準値を超えたのは,①前橋市による騒音の測定基準が変更されたためでなく騒音規制法に則り騒音測定を実施した結果であること,②前橋市による対策効果の確認は判決日

<P11>
の令和元年10月31日時点で実施されていないことから,原審判断は失当であるというものである。
   しかし,原審は事実を証拠等により適切に認定しているから,控訴人の主張には理由がない。

第3 結語
 以上より,本件控訴は理由がなく速やかに棄却されるべきである。

                          以上
**********

■このように、原告の主張を一切考慮しなかった原審判決を金科玉条のように正当化し、きちんとした根拠に基づく反論を放棄したかたちとなっています。

 本当にこのような暴論を吐いている輩が私たちの群馬県の環境・林業行政を司っていると思うと、震撼します。

 こうした中、前橋バイオマス燃料・発電施設から昼夜発生する騒音について、前橋市を通じて再三にわたり騒音の実情を訴え続けてきた住民の皆さんが、業を煮やして関電工に次の内容の公開質問状を提出しました。

*****2/2地元住民から関電工あて送信メール*****
---------- Forwarded message ---------
From: 野原
Date: 2020年2月2日(日) 10:23
Subject: バイオマス燃料・発電所の騒音苦情の件
To: 関電工遠藤様
Cc: 横川会長

関電工 遠藤さま

 ご無沙汰しています。赤城ビューの野原です。本メールを前橋バイオマス発電所の福本社長及び関電工の木質バイオマスプロジェクト代田氏へ転送お願いいたします。

福本さま 代田さま

 前橋バイオマス発電(株)・前橋バイオマス燃料(株)からの騒音が一向に改善されておりません。なお、奇しくも昨年2月3日にも同じ騒音苦情を発出しましたが全く改善れていない状況です。立上げ前に福本氏、代田氏があれほど約束された事項が殆ど実施されていないことに心痛みませんか?

添付の公開質問書は別途郵送もしますが真摯に取り組み、期限内の回答及び3月?の定期点検時に根本対策を実施することも併せて要望いたします。
 
    赤城山の自然と環境を守る会  野原潤一

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
2019—2—3のメールを再掲します。

関電工 遠藤さま

  毎々、お世話になります。
お手数ですが本メールを(株)前橋バイオマス発電代表取締役福本正邦氏及び関電工バイオマスプロジェクト代田氏へ転送頂きたくお願いします。

 福本さま 代田さま

 ご無沙汰しています。赤城山の自然と環境を守る会の野原です。
昨年の発電所稼働時から、燃料会社のチッパー騒音、発電所の再稼働時の爆音及び日常の騒音についての再三、苦情を伝えてありますが一向に誠意ある対応がなく、大変遺憾に感じています。

今回、燃料工場と発電所は騒音規制法で定められている騒音規制の特定工場であること確認いたしました。法令で定められている騒音規制値の遵守状況を確認したく早急に打合せを実施お願いします。御社が前橋市へ提出した環境配慮計画に記載されている住民への対応を遵守していただきたくお願いします。

 2月6日までに打合せ日程の回答をください。

   赤城山の自然と環境を守る会  野原潤一

*****2/1関電工あて公開質問状*****
                        令和2年2月1日
〒371-0241 群馬県前橋市苗ヶ島町2550-2
前橋バイオマス発電㈱・前橋バイオマス燃料㈱ 御中
                    〒371-0241 群馬県前橋市鼻毛石町1991-46
                     赤城山の自然と環境を守る会
                     代表者   横川忠重

   公開質問書(バイオマス施に係る騒音等の諸課題について)

 御社は騒音規制法で定められた特定指定工場に指定されています。従って規制基準を遵守する義務があります。私たちは前橋市(環境政策課)から平成30年12月3日の騒音測定結果と令和元年11月18日・21日の騒音測定結果の数値をグラフ比較したデータを令和2年1月15日に受領しました(添付P-2~5参照)。これに関して、次の質問があります。誠意を持って各質問にご回答ください。なお、誠に勝手ながら、回答期限を令和2年2月20日必着とさせていただきます。

質問1:平成30年12月3日に前橋市が測定した前橋バイオマス発電所の夜間騒音は敷地境界で環境規制基準を超えていた。その為、平成31年1月に前橋市は発生音の改善についての行政指導を御社に行いました。前橋市は対策状況の確認のため、令和元年11月18日・21日に騒音測定を実施しました。添付の比較表を見ると前回(平成30年12月3日)の測定値と異なり、ベース騒音レベルが増加していますが、御社はこの原因をどのように考えていますか?騒音発生個所を特定しつつ、騒音レベルが増加した原因を、発生個所ごとに克明に示されたい。

質問2:令和2年1月9日に、前橋市が前橋バイオマス発電所を訪問した際、令和元年11月18日・21日の騒音測定結果(グラフ)を貴社に提示して協議が行われたとのことですが、その時、どのような事項について協議したのですか。協議内容を項目ごとに示してください。

質問3:添付の比較表を見ると、あきらかに騒音が基準レベルを超えています。このような状況は、違法操業状態を示しているように思えますが、御社としてはどのように考えていますか。

質問4:平成31年2月の前橋市による騒音の改善について行政指導を受けたことを踏まえ、御社はどのような対処措置をとられましたか。また、その直後の平成31年3月の定期点検において、騒音についてどのように確認されましたか。その結果は規制値以下でしたか。データを示して説明してください。

質問5:住民側からこれまで何度も申し入れている見学会の開催について、現在、検討していますか。それとも、検討していないのですか。御社は、住民説明会での約束を遵守する意向を持っていますか。

質問6:見学会を検討している場合、御社は、現時点でどのように(いつ、誰を対象に、どんな方法で、どの程度の時間をさいて)実施するつもりですか。

質問7:燃料工場のチッパーは、どのような使い方(毎日・毎週・毎月の稼働時間帯、稼働場所・位置)をしているのですか。

質問8:燃料工場のプレス機は、どのような使い方(毎日・毎週・毎月の稼働時間帯)をしていますか。
                              以上

添付:騒音測定結果
   黒線:H30.12.03前橋市測定  青線:R1.11.18・21前橋市測定







**********

 この公開質問状付きの住民からのメールに対して、関電工から2月3日に次のメールがあり、社長の福本氏や代田氏にも転送したとされています。

*****2/3関電工から住民側へのメール*****
From: 遠藤 文雄
Sent: Monday, February 3, 2020 9:04 AM
To: 野原
Subject: RE: バイオマス燃料・発電所の騒音苦情の件

赤城山の自然と環境を守る会  野原潤一 様

ご無沙汰しております。
本メールを福本・代田に転送させて頂きました
**********

■ところが、地元住民らから提出された公開質問状に対して、関電工からは、2月19日朝、僅か5行のメールでの回答しかありませんでした。

****2/19関電工から住民へのメール******
From: 遠藤 文雄
Sent: Wednesday, February 19, 2020 9:25 AM
To: 野原
Subject: RE: バイオマス燃料・発電所の騒音苦情の件

 赤城山の自然と環境を守る会  野原潤一様

 前橋バイオマス発電㈱からの回答を送信させて頂きます。

 令和2年2月1日付 公開質問書を拝見させていただきました。
 私共といたしましては、住民の皆様からのご意見を真摯に受け
 止めるとともに、引き続き前橋市と連携・情報交換を行いながら、
 皆様が安心して生活できる発電所運営を行ってまいる所存ですので、
 何卒ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
**********

■これではあまりにも住民軽視の姿勢なので、関電工には住民側から次の申し入れをしました。

*****2/20住民側から関電工へのメール*****
From: 野原
Sent: Thursday, February 20, 2020 8:08 AM
To: 関電工遠藤文雄
Cc: 横川会長
Subject: RE: バイオマス燃料・発電所の騒音苦情の件

遠藤さま
 本メールを前橋バイオマス発電・福本社長へ転送お願いします。

福本社長さま
 丁寧な回答頂き有難うございました。地域住民の意見を真摯に受け止めると回答ありますがきちんと福本社長押印の回答書面を郵送、あるいはPDFでメール添付にて2月25日必着で送付ください。それが企業人としての最低限の礼儀かと思います。
 重ねて、いつまで法令違反のままで操業されるつもりなのか?
 いつまで住民説明会の約束事項を不遵守するつもりなのか?

 ご質問させて頂きます。こちらの回答も上記書面に含めてください。

 赤城山の自然と環境を守る会  会長  横川忠重
**********

■しかし関電工からはなしのつぶてです。住民側は、さらに同社の良心を期待して再度文書での回答をお願いしました。

*****2/25住民側から関電工への再度のメール*****
---------- Forwarded message ---------
From: akagi_nohara <akagi_nohara@yahoo.co.jp>
Date: 2020年2月25日(火) 18:42
Subject: RE: バイオマス燃料・発電所の騒音苦情の件
To: 遠藤 文雄 <endou-f01@kandenko.co.jp>
Cc: 横川赤城ビュー <ty.kanto@fancy.ocn.ne.jp>

遠藤さま

 こんにちは。下記の回答書面を郵送して頂けましたでしょうか?
メールでの回答は未受信ですので確認させて頂きました。お手数で
すが返信頂きたくお願いします。

 別件です。2月23日午前中 燃料工場方面からキ~ンという
騒音がありました。この音は間欠的に発生して大変嫌気な大きな
音です。工場の中に入れませんので断定できませんが脱水機
(プレス機)の音かと推察されます。脱水機であれば日曜日の稼働
は約束違反ですので福本社長ご確認頂き回答頂きたくお願いします。
脱水機は燃料工場ですよね。なお、日曜の稼働は23日だけではあり
ません。

  赤城山の自然と環境を守る会

            野原
**********

 残念ながら現時点でまだ返事がこないようです。騒音に悩まされている住民らからの悲痛な回答要請に対して、このような木で鼻をくくった対応を平然とおこなう東電の子会社に対して、群馬県は控訴答弁書の中でも「ちゃんと地元住民説明会をしてきたから問題ない」と評価をしているのです。

 あまりにも酷い対応なので、地元住民は、2月20日に、前橋バイオマス発電所に勤務する関電工の遠藤氏に電話をし、「きちんとメールでなく、文書として責任者が押印したもので回答してほしい」と口頭で依頼しました。すると関電工の担当者は「たぶん、回答しない」と返事をしてきました。さらに住民側から「騒音は規制値を超えていますよ」と話したところ、関電工側は「前橋市から規制値内と聞いている」と言いました。これが本当であれば、関電工や群馬県に加えて、前橋市の対応も信じられないことになります。

■それでは地元住民によりそうべき前橋市の対応はどうでしょうか。

 そこで地元住民らは、2月10日に、前橋市の南雲環境部長や中島職員と面談し、前橋バイオマスから発せられる騒音問題を主体に、予め準備しておいた面談要請レジメをもとに、約30分間ほどにわたり、地元住民らが結成している赤城山の自然を環境を守る会からの要請を説明しました。次に示す通り、前橋市からの回答は2月28日になります。

*****2/10面談要請レジメ*****ZIP ⇒
                             令和2年2月10日
前橋市環境部 御中
                        赤城山の自然と環境を守る会
                         横川 忠重
                         野原 潤一
【本日の面談要請の趣旨】
 令和元年12月23日の貴環境政策課との打合せにて、騒音測定評価結果について説明頂きましたが、納得できない点が多々あり、また、約2年間も騒音改善が見られないことから、本日の面談要請を致しました。南雲部長のご英断により、事業者へ行政指導を再度、実施して頂きたくお願い致します。本日の要請趣旨をまとめたレジメを下記します。
                 記
1.騒音の評価をタイプ4からタイプ3に変えた理由は何か
この理由が理解できません。別紙に環境規制法で定められたタイプ1~4のモデル図を示します。平成30年12月3日はタイプ4、令和元年11月18・21日はタイプ3で判定しています。令和元年11月の騒音グラフはモデル図のタイプ3に見ることが出来ません。騒音値の比較グラフ(令和2年1月18日受領資料)はスパイク音を明確にベース音と区分することが出来ます。しかもスパイク音は規制値を超えています。

2.騒音評価をタイプ4に統一すべきではないのか
 従って、令和元年11月18・21日の騒音評価はタイプ4で行うべきであると判断されます。また、前時間帯の1時間単位のグラフはベース音が45㏈を超えている時間帯が多くみられます。どの様な判断をされているのか開示ください。(各時間帯のグラフに45㏈の横線を入れると基準値越えが明確に分かります。21日:22時15分頃~20分頃、23時10分~18分頃等)

3.夜間騒音(ギー音)が依然として発生している原因と対策結果について
 平成30年4月20日午前2時5分~7分、夜間騒音測定時に「ギー音が発生した」と環境政策課に苦情申入れしました。近藤市議による議会質問も為され、「騒音は木質チップを搬送するコンベア擦れ音で対策した」と報告ありました。しかし令和元年11月18・21日でも継続発生しているのが確認できます。2年近くも改善されていません。このギー音の扱いはどのようにされたのでしょうか?(令和2年1月9日の打合せ参照)

4.適正な騒音測定地点の検討の必要性について
 騒音測定地点の適正化を検討ください。窪地の測定地点では低くなっている可能性もあります。もう一度適正化を検討ください。(令和元年12月23日根拠資料提出済み)

5.行政と事業者との打合せ内容の市民との共有化について
令和2年1月9日の事業者との打合せ内容を開示してくだい。また、事業者から発生音の音源、低減策等についても情報を開示させてください。

6.騒音数値比較グラフの作成と開示のお願い
 平成30年12月3日と令和元年11月18・21日の前時間帯での騒音数値比較グラフを作成して開示頂きたくお願いします。

 1~6項について別途書面にて2月28日必着で回答頂きたくお願いします。
以上

=====別紙=====
【別紙】騒音規制法における騒音の4つのタイプとその分析  出典:ソーチョーホームページ
○騒音の分類タイプ1
 例えば、変圧器から発生する音やモーターが一定に回転している音など、一般的に定常騒音とよばれているもので、この場合は一定であるまさにその指示値を測定値とします。実際には完全に定常騒音であることは考えにくく、多少なりとも音圧レベルは変化していますが、数デシベル程度の変化の場合は「最頻値」をもって測定値とすることになっています。
○騒音の分類タイプ2
 夏場のエアコン室外機の音、工場の各種機械や建設工事のハンマーなど、極地の値がほぼ一定の高い音圧レベルが一定の間隔をおいて周期的または間欠的に生じるような場合がこれに当たります。この場合は、一定の最大値が繰り返し生じていると考えられ、最大値を数回読み取り、その算術 平均を測定値とします。
○騒音の分類タイプ3
 多数の騒音発生源があり(たとえば機械が稼働している場合)、騒音レベルが大きく変動している場合で、 変動騒音とよばれているものです。この場合は、比較的長期間の測定し、サンプリングが十分な数 (例えば50個以上) になるまで続け、得られた測定データからLA5である90%レンジの上端値(時間率5%値) を算出して測定値とします。1秒間隔で5〜10分程度の測定が実施される場合が多いようです。
○騒音の分類タイプ4
 建築現場のくいうちや、工場における鍛造機など周期的または間欠的に高い騒音レベルが発生しているが、 その最大値が一定でない場合です。この場合は、極地の値を複数個 (例えば50 個以上) 測定値から読み取り。この得られた最大値から LA5である90%レンジの上端値 (時間率5%値) を算出して測定値とします。


**********

 前橋市には群馬県ほど酷い対応はしないことを期待したいものです。

 なお、この他にも、3年間にわたる前橋市役所との交渉の中で前橋バイオマス発電施設からの放射性物質のモニタとして前橋市役所による空間放射線量測定が実施されています。この一環として、前橋バイオマス発電施設近辺の5地点で、2月12日に定期測定を実施しました。

 こうした空間放射線量測定は3年前から年4回、環境政策課による測定が実施されており、地元住民らは今回初めて同行しました。測定結果は次のとおりですが、ほぼ前橋市の測定結果と同じでした。
※2月10日の空間放射線量測定結果:ZIP ⇒

 ちなみに、前橋市の測定結果は同市HPの「赤城山周辺放射線量測定結果2」で掲載されています。次にURLを参照ください。
※URL ⇒ https://www.city.maebashi.gunma.jp/kurashi_tetsuzuki/1/5/5/10500.html

■いずれにしても、こうした行政と特定企業の癒着を打破するには、司法の判断に委ねるしかありません。

 3月9日(月)東京高裁での控訴審第1回弁論期日に向けて、必要な準備を行っていきます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】



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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日が3月9日14:30東京高裁424号法廷で開催

2020-01-18 21:53:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■2019年10月31日に前橋地裁で全面敗訴となった東電グループの関電工による前橋バイオマス燃料・発電施設の差止を求める住民訴訟は、原告が直ちに控訴手続きを取り、この度、控訴人として、1月6日付で控訴理由書を東京高裁に提出しました。その後、高裁で手続きをしていたところ、このほど、控訴審第1回期日が2020年3月9日(月)14時30分から東京高裁4階424号法廷でひらかれることになった、と裁判所から連絡がありました。
 おりしも1月17日に、四国電力伊方原発3号機を巡り、50キロ圏内に住む山口県東部の住民が申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁が運転を認めない決定を出しました。これにならって、前橋バイオマス発電も、東京高裁での控訴審で一審判決を覆す画期的な判決が期待されます。

昨年末、みどり市笠懸町の鹿田山ハイキングコースから赤城ビュータウン方面を望むと、きれいな虹のアーチが輝いていました。いよいよ控訴審が始まりますが、「きっと吉報があるよ」と虹が暗示してくれていると感じたのは筆者だけではないはず。

 1月17日の広島高裁の決定は、山口県南東部にある島に住む3人が愛媛県にある伊方原子力発電所3号機について、地震や火山の噴火によって住民の生命や身体に具体的な危険があるとして、運転を認めないよう求める仮処分を申し立てたところ、昨年3月に山口地方裁判所岩国支部が退けたため、広島高裁に抗告していたものです。
 
 今回の決定で広島高等裁判所の森一岳裁判長は、伊方原発の敷地の近くに地震を引き起こす活断層がある可能性を否定できないとしたうえで「原発までの距離は2キロ以内と認められるが、四国電力は十分な調査をせず、原子力規制委員会が問題ないと判断した過程には誤りや欠落があったと言わざるをえない」と指摘しました。

■関電工の前橋バイオマス発電施設は、放射能云々以前に、本来火力発電所として実施すべき排ガス量毎時4万ノルマル立米をはるかに超えるのに、行政が東電グループの関電工に配慮し、環境アセスメントをやらなくてもいいように、勝手にルールを変えてしまいました。

 東京高裁が、広島高裁と同様、まともな判断をすることを強く期待したいと思います。

 なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html
○2019年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3073.html

■住民が提出した控訴理由書は次のとおりです。

*****控訴理由書*****ZIP ⇒
20200106tiriioj.zip
令和元年(行コ)第316号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求控訴事件
控 訴 人  小川 賢
被控訴人  群馬県知事 山本一太

       控  訴  理  由  書

                          令和2年1月6日

  東京高等裁判所第22民事部二に係 御中

                  控訴人  小 川   賢    印

 頭書の事件について,控訴人は,次のとおり控訴理由を提出する。

           控 訴 の 理 由

第1 虚偽表示無効
 原判決では,原告らの主張のうち,以下に示す事項について,具体的な判示をせずに,あるいは誤った解釈による判示をなした。とりわけ、証人福本及び唐澤の供述について,控訴人(原告ら)が原告準備書面(10)および(11)で主張したことが、まったく判決文に反映されておらず,およそ公正、公明、公平な判断とはいえないことが明らかである。

第2 一審裁判所の認定事実の誤認
 一審判決文に示されなかった原告らの主張の主なものを以下に列挙する。
 1 環境アセスメント条例の適用要件の基本的解釈について
   判決文の「第2 事案の概要」「1 関係法令等の定め」のところのページ5から6にかけて,「(2) 環境影響評価に関する定め」の記載がある。
   このうちページ6に,「(ウ) 環境影響評価条例は,第5条以下で第一種事業の条例アセスメントに関する手続を,第25条以下で第二種事業の条例アセスメントに関する手続をそれぞれ定め,いずれも事業者において第一種事業または第二種事業に該当するか判断することが前提とされている。」(下線は控訴人が付記)との記載がある。
   ところが,他方で,一審裁判所は,判決文のページ17から19にかけて,「本件前橋バイオマス事業計画の経緯」のアからオまで,関電工が共同事業者のトーセンの代弁者も兼ねて,条例アセスメントの要否を判断する規模要件などについて被控訴人とやりとりしたことを,認定事実として縷々挙げている。
   とりわけ,判決文ページ19のイの後段で,「環境政策課内で条例アセスメントに関する事務を担当していた唐澤は,関電工の担当者の質問に対し,1時間当たりの排ガス量4万ノルマル立方メートルが基準となっていること,環境政策課内で木質バイオマス発電施設建設事業の条例アセスメントの要否を判断する規模要件の検討を行っていること」を認定事実としている。
   しかし,一審裁判所は,環境アセスメントに関する手続きは,関連法令に従い「いずれも事業者において第一種事業または第二種事業に該当するか判断することが前提とされている。」と断じているのである。
   しかも被控訴人は,被告として第5準備書面(平成30年4月13日)のページ2の18行目で,控訴人(原告)が主張するとおり,「・・・環境影響評価を行うことが義務付けられていること」は,『認め』と明言している。
   つまり,規模要件を満たす事業は,環境アセスメントを実施する義務があるということを,被控訴人(被告)が認めていることになるのに,なぜ一審裁判所は,判決文ページ17から19にかけて「本件前橋バイオマス事業計画の経緯」を認定事実として縷々掲げるのか。
   そもそも,事業者が規模要件である排ガス量を自らの計画値に照らして,毎時4万ノルマル立米以上か否かで環境アセスメントを判断することが,関連法令の定めであることから,被控訴人(被告)と関電工との排ガス量の修正や調整に伴う経緯を認定事実とすること自体,審理の公平性をゆがめるものである。
   結果的に被控訴人(被告)に忖度した判断が一審裁判所の判決文の主文に反映されたことは、判決理由の正当性について、善良な行政関係者や一般住民としては困惑を禁じ得ず,再考されなければならない。

 2 前橋バイオマス発電と前橋バイオマス燃料の法人格同一性の解釈について
   判決文ページ7に,「(2) 本件前橋バイオマス事業の経緯」として「ア 株式会社関電工(以下「関電工」という。)は,平成25年12月頃,株式会社トーセン(以下「トーセン」という。)と共同して群馬県内で木質バイオマス燃料製造,発電及び売電事業を行うことについて検討を開始した。(乙16,証人福本雅邦(以下「福本」という。))」と明記されている。
   このように、被控訴人は「共同して」と明言していることから、この事業はトーセンと関電工が共同した事業で開始したものであり、これを前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)として、被告のみならず一審裁判所も認めている。
   それなのに、一審裁判所は判決文ページ30の争点1(本件事業の補助事業としての適格性)で、「(1) 前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電について」のアで「上記1(1)ア及びイで認定したとおり,前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電は,本店所在地及び株主構成が異なっていること,代表取締役及び取締役の役員構成が異なっていること(甲5,6)からすれば,前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電は,別の事業主体であると認められる。」と断じている。
   控訴人は一審で,前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電が法律上の事業主体が同じであると主張しているのではない。両社が共同して事業を計画し,共同して事業を立ち上げたということは,事実上,一体的事業であり,どちらかに不正があったならば,共同の責任であると主張しているのである。
   一審裁判所が,法人登記の本店所在地及び株主構成,代表取締役及び取締役の役員構成が異なっていることだけに焦点を当てて「別の事業主体」と認め,前橋バイオマス発電にかかわる排ガス量オーバーによる環境アセスメント条例の適用要件から外れる,とする判断は,本件事業の実態から目をそらしたものであり,「事実上,一体的事業」であることは明らかである。
   これに関連して,第3回口頭弁論速記録の福本雅邦・証人調書ページ16を見ると、福本証人が「基本的には山の中で切り出された木材があるわけですよね。・・・・何検体出してくださいというような指示を発電所とバイオマス燃料の両方事業体の方から各林業事業者さんの方にお願いをしています。」と述べている。バイオマス発電の最も重要な燃料について,福本証言は前橋バイオマス発電と前橋バイオマス燃料が一体となって指示・運営していることの証左である。
   よって、前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電が別の事業主体であると断じた一審裁判所の判断は失当である。

 3 本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(検討開始時期)
   判決文ページ18の「(2) 本件前橋バイオマス事業計画の経緯」のアで,「関電工は,平成25年12月頃,木質バイオマス燃料製造,発電及び売電事業を行うことについてトーセンと共に検討を開始し,前橋市所在の電力中央研究所赤城試験センター敷地内が候補地として浮上したことから, 関電工の担当者が平成26年7月頃に同所を視察した。その際,関電工の担当者は,一般的に大規模事業を進めるに当たっては,関係する行政機関へ事前の相談を行うことが必須とされていたことから,上記視察後,環境政策課を訪問し,群馬県の条例アセスメントの要否を判断する規模要件などについて質問をした。(甲25の1,甲86,乙16,17,証人福本,証人唐澤)」との事実認定がなされているが,失当である。
   なぜなら,トーセンは,平成26年2月28日に株式会社松井田バイオマスを設立し,間伐材5万トンの確保にむけて被控訴人(被告)とやっきになって事業推進を検討していた。そのような状況下では,群馬県内において更に8万トンの間伐材を新たに確保することなど,とうてい不可能である。
   トーセンは,平成26年6月17日に群馬県安中市松井田町で計画していたバイオマス発電事業を断念したが,それ以前の平成25年12月頃に,トーセンが関電工と売電事業を共同で行うことをすでに計画,検討していたなど,およそ有り得ない。
   トーセンが検討を開始したのは,それ以降であることは,被控訴人(被告)の議事録を見ても明らかであることが判断でき,被控訴人(被告)も関電工も虚偽の証言をしており宣誓書に違反している。

 4 本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(条例アセス相談時期)
   判決文ページ18~19の「(2) 本件前橋バイオマス事業計画の経緯」のイで,「・・・唐澤は,関電工の担当者の質問に対し,1時間当たりの排ガス量4万ノルマル立方メートルが基準となっていること,環境政策課内で木質バイオマス発電施設建設事業の条例アセスメントの要否を判断する規模要件の検討を行って いること,検討の結果がどうなるのか,また,いつ頃その検討の結果が明らかになるかは分からないことなどを伝えたところ,関電工の担当者は, 唐澤に対し,関電工が考えていた最大サイズの発電所では,上記条例アセスメントの基準は厳しい数字であり,発電所の建設に時間がかかるかもしれない旨の説明をした。(甲25の1,乙16,17,証人福本,証人唐澤)(なお,太字と下線は控訴人が付記)」との事実認定がなされているが,失当である。
   なぜなら,被告唐澤素子氏は,関電工が条例アセスの相談に訪れたのは,平成26年6月から同年9月頃であったと,松下克環境政策課長から聴取された報告書を高裁に報告している(甲86号証)。被告は,今裁判で,あたかも関電工から最初に条例アセスについて相談を受けたのは,平成27年1月であり,環境アセスの全国アンケートを実施したのは,関電工とは関係なかったことでなければならず,これを詳細な説明等を避けてきた。この聴取は,平成30年4月18日に行われ,唐澤素子氏の記憶が最もはっきりしている時期である。
   したがって,被告は,最初に条例アセスについて関電工と話し合った時期の説明を避けてきたが,アンケートを実施した平成26年7月10日から少なくとも一か月以上早く,条例アセスについて話し合いが行われており,被告は本裁判における真実の究明を,被告が有利になるよう故意的にはぐらかしている。
   平成27年1月頃の相談内容で,「(群馬県の)条例アセスは厳しい」と関電工は被告に発言をしている。これは,東京電力をバックに持った大企業の発言とするならば,被告への圧力と受け止められる。
   また,「発電所の建設に時間がかかる」という発言も,まったくもって,被告に圧力をかけた発言である。
   被告は,平成27年9月初旬の知事査定で,この発電所の計画的な運転により,被告の素材生産計画を達成できると,知事査定の判断の中で明言している(甲41号証)。このことは、関電工は認識して入り,だから「条例アセスを実施したら建設が大幅に遅れる。つまり,被告の計画も未達成で終わるよ」と暗黙の圧力をかけたに他ならない。まさしく,被告に忖度を求めているのは明白である。

 5 本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(概要書の交付時期)
   判決文ページ19の「(2) 本件前橋バイオマス事業計画の経緯」のウで,「関電工は,上記イの後も環境政策課と条例アセスメントの要否を判断する規模要件に関して意見交換を行い,平成27年1月から3月までの間に唐澤に対して本件前橋バイオマス事業において考えられる設備の概要書を交付した。(甲86,乙16,17,証人福本,証人唐澤)」との事実認定がなされているが、失当である。
   なぜなら,被告唐澤素子氏が,条例アセスの運用を起案したのは,平成27年3月30日であり,その前の同年1月から3月までの3か月にわたり,被控訴人(被告)は関電工と条例アセスの要否を判断する規模要件に関して意見交換をしたことを認めており,したがって,複雑な排ガス量計算に影響を及ぼす運用の変更の起案を何の確認もできない翌日に,急ぐように決裁されている。
   証人尋問の際も,唐澤素子氏は,環境アセスの審査を行う際に,事前に事業者に概要等を求めることはないとはっきりと証言している。したがって,関電工に事前に概要書を求めるなんてことは,異例中の異例であり,条例アセスを実施しない方針ありきだったことは明らかであり,逆算して,運用内容を決定したことになる。

 6 本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(条例アセスの運用変更時期)
   判決文ページ19の「(2) 本件前橋バイオマス事業計画の経緯」のオで,「関電工は,唐澤からの上記エの説明を受け,本件運用を適用して本件発電事業の発電施設の排ガス量を計算したところ,1時間当たり3万8483ノルマル立方メートルであったことから,平成27年4月頃,唐澤に対し,本件発電事業は条例アセスメントの対象とならない旨の連絡をした。(乙12,16,17,証人福本,証人唐澤)」との事実認定がなされているが,失当である。
   なぜなら,関電工は,平成28年8月11日に住民の質問に文書で回答し,条例アセスメントの実施は,環境政策課より対象外との見解をもらうと明記している。このことから,被控訴人(被告)が主導となり,条例アセスは実施しなくて済むようお墨付きを運用の変更という形で関電工に示したこととして裏付けられる。

 7 本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(関電工の具体的設計とボイラー選定時期)
   判決文ページ20の「(2) 本件前橋バイオマス事業計画の経緯」のキで,「関電工は,平成27年8月以降,本件前橋バイオマス事業の具体化を行う過程で本件発電事業に用いる発電施設及び本件燃料事業に用いる燃料製造施設の具体的な設計,発電施設のボイラーの選定を行った。(甲69の2,証人福本)」との事実認定がなされているが,失当である。
   なぜなら,トーセンは,平成26年10月2日に前橋バイオマス(実際は,平成26年10月30日に松井田バイオマスは株式会社前橋バイオマスに名称を変更)に8万トンの間伐材の安定供給協定書を締結している。つまり,この時点では,現前橋バイオマス発電の木質バイオマス使用量であり,発電設備も決まっていたことになる。被控訴人(被告)は,「平成27年8月以降」などと全く虚偽の証言をし,裁判所も一方的に被控訴人(被告)の証言だけを,事実に反しているにもかかわらず採用したからである。

 8 本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(関電工の具体的設計とボイラー選定時期)
   判決文ページ20の「(2) 本件前橋バイオマス事業計画の経緯」のクで,「・・・そして,平成27年6月22日,関電工とトーセンの共同出資により前橋バイオマス発電が設立され,株式会社前橋バイオマスは, 同年9月25日,群馬県森林組合連合会,群馬県素材生産流通協同組合及び関電工から追加出資を受け,「前橋バイオマス燃料株式会社」(前橋バイオマス燃料)に商号変更した。(甲3,5,6,乙16,証人福本)」とあり,さらにケで「前橋バイオマス燃料は,平成28年7月4日,本件前橋バイオマス事業の具体的な内容が定まったことから,本件事業に着手した。本件事業は平成29年5月19日に完了し,本件前橋バイオマス事業に係る発電所は,平成30年3月頃,稼働を開始した。(甲38,乙11,16,証人福本)」との事実認定がなされているが,失当である。
   なぜなら,トーセンは,平成26年10月2日に前橋バイオマスと8万トンの間伐材を安定供給する協定書を締結し,また,県産材加工組合とも製材端材3万トンの安定供給協定書を締結している(甲73号証)ことから,すでにこの時点で,8万トンの発電所の建設は具体化されていなければ,協定書なんて締結できないはずだからである。この事案も,被告は,自分に有利になるよう真実を誤魔化し,日程の虚偽を行い,一審裁判所はそれを何の疑いもなく採用している。全くもって原告はこの判断を理解できない。

 9 本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(排ガス量の数値根拠)
   本発電事業による排ガス量に関連する判決の誤りを3つの部分に分けて以下に記す。
  (1) 判決文「第2 事業の概要」の4の(2)争点2の「ア 原告の主張」の(イ)(ページ14)において,「本件発電事業による排ガス量は1時間当たり6万ノルマル立方メートル」が原告の主張であると記しているが,これは誤りである。原告は,この排ガス量を記載した甲70-1号証の後に,原告準備書面(10)の第1の1の(19)において,本発電事業の排ガス量は1時間当たり52,953ノルマル立方メートルであると主張している。
  (2) 判決文「第3 当裁判所の判断」の「1 認定事実」の(3)本件バイオマス事業の概要の「イ 本件発電事業」の(イ)(ページ23)において,「発生する1時間当たりの排ガス量は本件運用を前提とすると,3万8483ノルマル立方メートルであると認定しているが,これは誤りである。乙12号証に記載された,本件運用では,発電は1時間当たり9,300kgの木質燃料を使い,この燃料は水分を重量比43,126%相当分含んでおり,燃焼に必要な空気は空気比が1.3に相当する量をボイラーに送りこむものとしている。しかしながら,この空気比による空気量では不十分である。ボイラーの性能にかかわらず完全燃焼を持続させることは,事業者を擁護したいあまりに被控訴人(一審被告)が主張するこの排ガス量では不十分であることは明らかであり,過小評価と控訴人(一審原告)は主張している。判決が認定するような事実は発生しえない。
  (3) 判決文「第3 裁判所判断」の「2 事実認定の補足説明」の(2)排ガス量(ページ29)についての判決は誤りである。
    原告は,排ガス量についての訴状として甲70号に代わるものとして,令和元年7月1日付けの準備書面(10)の第1の1の(19)において,乙12号証および甲83号証に基づいて,次のように要旨を記している。
    「当該発電所が使用する燃料は、水分量(燃料中の水分量の重量割合)は43.125%(被告が使う含水率では43/(100-43)=0.75。つまり75%)である。甲83により,この水分量の場合は空気比m=1.75の空気量が完全燃焼条件となるため,このmの値を乙12の計算式に代入すれば,排ガス量は52,953ノルマル立方メートル/時間であり,乙12の示した水蒸気控除分4,466同単位を差し引いても48,487同単位となり,条例の基準値4万同単位を大きく超える。」
    一審判決は,この書面を無視している。
    一方,一審判決は,被告が採用している空気比m=1.3を信用するとし,その証拠を乙13号証としている。 乙13は文献で,稼働実績のある3つのボイラーの性能比較をしている。当該発電所が使うバブリング流動層ボイラーはその1つであり,空気比の項で値を1から1.5としているが,燃料含水率の項で「許容範囲は他のものより広く」,高水分対策の項では,「ある程度高水分まで対応可能と記されている。事業者はボイラー性能のこれらの特性を生かして,高含水率75%の木質燃料を使用している(乙12)。しかし,文献乙13号証はこのような高含水率に対する空気比mの値を特定する何らの根拠も持たない。
  (4) まとめとして,一審裁判官は,空気比の値(空気比)は第一義的には燃料の水分量(含水率)によって決まるという燃焼化学の法則を理解しておらず,従って一審判決は科学的な根拠を持たない空虚なものであり,控訴人(一審原告)は受け入れることはできない。
    なお,このことは,第3回口頭弁論速記録の福本雅邦・証人調書ページ25にも記載されている。
    さらに,第3回口頭弁論速記録の福本雅邦・証人調書ページ26で,原告の羽鳥が「排ガス量についてもう一度議論する必要がありませんか」と一審裁判長に申し上げた経緯がある。だが,一審裁判長は原告のこの言葉を判決に反映しなかった。
    加えて,もうひとつ。判決には記載されていないが,原告の羽鳥が被告の群馬県環境政策課に問い合わせた2016年3月8日付メール回答(甲27)に「赤城山南面で計画されている木質バイオマス発電に関しましては、条例等の適用により排出ガスとみなされる量が4万立法メートル/時未満であることから、条例対象事業とはなりません。」とある。これは群馬県が、水分量の特例についてはじめて県HP上に掲載した、いわゆる運用適用期日である2018年6月以前に、関電工だけに事前通告していたことを示している。この事実からも、被告と業者の関電工の出来レースは明らかである。
    なお、念のため、当該メールのやりとりを次に示す。
(以下、引用はじめ)
----- Forwarded Message -----
From: 羽鳥 昌行 <roujinnokokoro@yahoo.co.jp>
To: "kanseisaku@pref.gunma.lg.jp" <kanseisaku@pref.gunma.lg.jp>
Date: 2016/3/8, Tue 15:24
Subject: Re: 環境影響評価に関する再度の御質問について
群馬県 環境森林部 環境政策課様

ご丁寧な回答いつもありがとうございます。

関電工様は、排ガス量は4万立法メートル/時と言っていますので、
条例対象事業ではないでしょうか。

これも特例で免除?するのですか。

羽鳥昌行

----- Original Message -----
From: "kanseisaku@pref.gunma.lg.jp" <kanseisaku@pref.gunma.lg.jp>
To: roujinnokokoro@yahoo.co.jp
Date: 2016/3/8, Tue 15:19
Subject: 環境影響評価に関する再度の御質問について

羽鳥 様

お問い合わせいただきました件について、御連絡いたします。

全ての都道府県とほとんどの政令指定都市には、環境アセスメントに関する条例がありますが、地方公共団体の制度は、環境影響評価法と比べ、法対象以外の事業種や、法対象より小規模の事業を対象にするなど、地域の実情に応じた特徴ある内容となっています。
「群馬県環境影響評価条例」においても、対象事業の追加や小規模な事業を対象とする規模要件の設定、配慮地域の規定などがあり、国の制度を補完・拡充する内容になっております。

また、赤城山南面で計画されている木質バイオマス発電に関しましては、条例等の適用により排出ガスとみなされる量が4万立法メートル/時未満であることから、条例対 象事業とはなりません。

以上、回答いたします。今後とも、環境行政に御理解、御協力賜りますよう、よろしくお願いいたします。

群馬県 環境森林部 環境政策課
(以上、引用終わり)

 10 本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(放射能対策)
   判決文ページ23の「(3) 本件前橋バイオマス事業の概要」の「ウ 放射能対策」の(ア)で,「前橋バイオマス燃料は,木材受け入れ時の放射能の本件自主管理基準値を,調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値(農林水産省平成23年11月2日)である1キログラム当たり40ベクレルを参考にして1キログラム当たり40ベクレル以下と定め,木材を搬入するトラックについてトラック用線量モニタで常時監視するなどし,本件自主管理基準値を超過する木材があった場合には,当該木材を含むロットの木材の全量を受け入れていない。また, 本件プレス機による脱水時の廃液を水モニタ検出器において24時間連続測定をすることで廃液に含まれる放射性物質が管理基準値(134Cs測定値(Bq/L)/60(Bq/L)+137Cs測定値(Bq/L)/90(Bq/L)≦1)内であるかを監視している。さらに,製造された木質バイオマス燃料は前橋バイオマス発電に供給する前の時点でサンプリング調査を行い,本件自主管理基準値(1キログラム当たり40ベクレル以下)を超過していた場合には,当該木質バイオマス燃料を含むロットは全量,発電施設に搬入しないとの対策を採っている。(甲52,乙16,証人福本)」との事実認定がなされているが,失当である。
   なぜなら,一審裁判所は,木材及びチップの放射能の自主管理基準をトラックスケールで常時監視するという関電工の証言を100%採用し,原告が主張する,トラックスケールの製造事業者の証言を完全に無視したことは,理解できないし,物理的に検出は不可能である。

 11 本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(条例アセス運用策定)
   判決文ページ24の「(4) 本件運用策定の経緯」のイで,「平成26年3月から4月頃,本件前橋バイオマス事業には関わっていない複数の事業者から,環境政策課に対し,群馬県内における木質バイオマス発電施設建設事業の条例アセスメントに関する問合せがされた。環境政策課は,上記の問合せを契機として,木質バイオマス発電施設建設事業における条例アセスメントの要否を判断する規模要件について具体的な検討を開始した。そして,唐澤は,同年7月10日,上記検討の一環として他の地方自治体の条例アセスメント担当課長に宛てて,上記規模要件等に関する照会を行った。(甲86,乙5,17,証人唐澤)」との事実認定がなされているが,失当である。
   なぜなら,アンケート実施前の平成26年6月から,関電工から条例アセスの相談を受け始めたという事実を,被告は隠している(前出、甲86号証)ことは明白な事実であるからだ。

 12 本件前橋バイオマス事業計画の経緯の解釈について(規模要件策定)
   判決文ページ24~25の「(4) 本件運用策定の経緯」のウで,「上記照会に対する回答を整理したところ,条例アセスメントにおいて木質バイオマス発電施設建設事業に関する特段の規定及び運用を行っている地方自治体は存在しな いものの,群馬県における1時間当たりの排ガス量4万ノルマル立方メートルという規模要件が他の地方自治体と比較して厳しいものであることが判った。そこで,環境政策課は, 上記の経過を踏まえて,平成26年9月以降,木質バイオマス発電施設建設事業に関する条例アセスメントの要否を判断する規模要件の取扱いに関し,独自に対処する方法を検討することになった。(甲43,乙6,17,証人唐澤)」との事実認定がなされているが,失当である。
   なぜなら,原告準備書面11の9ページで反論したが,被告が実施したアンケート結果(乙6号証)で群馬県と同等の規模要件は存在しないというのは明らかに虚偽であり,群馬県の他にも埼玉県,鳥取県,京都市,名古屋市,北九州市,福岡市,牧方市なども同基準であり,あたかも,群馬県の基準は厳しいと装う印象操作は,関電工を環境アセスの実施義務から救うための不正行為であり,地方公共団体や公務員の違法行為である。

 13 事実認定の補足説明について(本件運用策定時期)
   判決文ページ27の「(1) 本件運用の策定について」の「ア 本件運用の契機」の(イ)で,「しかしながら,条例アセスメントの要否を判断する規模要件につき,自己に有利に働くように圧力をかけようとするためには,その前提として,実際に行う自らの発電事業の規模を把握した上でどの程度の要件緩和を要するかを事前に把握しておく必要があるところ,上記1(2)ア及びイで認定したとおり,関電工が平成26年6月頃に環境政策課を訪問した時点では,本件前橋バイオマス事業の事業地や具体的な事業規模等が定まっておらず,事業地等の具体的な事業内容が具体化したのは,平成27年1月頃であって,環境政策課が木質バイオマス発電施設の条例アセスメントの要否を判断する規模要件に関するアンケートを各地方自治体に対して行うなど,木質バイオマス発電施設に関する条例ア セスメントの検討を行っている平成26年7月10日よりも後の時点である。」との事実認定がなされているが,失当である。
   なぜなら,繰り返しになるが,トーセンは,平成26年6月17日時点の被告との協議の中では,その時点では,藤岡(市)も候補(地)であるが問題もある,と答えている(甲62号証)。また,関電工とトーセンは,平成26年9月に電力中央研究所を視察し,その翌月には,トーセンは前橋バイオマスと8万トンの木質の安定供給協定書を締結しており,これは,前橋バイオマス発電の使用量と完全に一致しており,すでに,発電規模はこの時点で決まっていたことになる。このことを裁判所は見ないふりして,被告の証言だけを採用したことは不服である。

 14 事実認定の補足説明について(本件運用策定時期)
   判決文ページ27の「(1) 本件運用の策定について」の「ア 本件運用の契機」の(ウ)で,「上記に加え,関電工が環境政策課に対して圧力をかけたことをうかがわせる事情が認められないことからすると,関電工が,環境政策課に対し,前橋バイオマス発電が条例アセスメントを実施せずに本件発電事業を開始できるように圧力をかけたなどという事実は認められず,上記経緯に照らして合理的かつ自然な唐澤の供述に依拠し,上記1(4) イないしエのとおり認めるのが相当であり,原告らの上記主張は理由がないから採用することができない。」との事実認定がなされているが,失当である。
   なぜなら,関電工は,環境アセスメントを実施するとなると2年から3年は事業が遅れ,被控訴人(一審被告)は,素材生産の計画が未達成で終わってしまうことから,両者の事情は明確であるにもかかわらず,被控訴人(一審被告)の都合の悪い時系列を棚上げし、曖昧に終始した唐澤証言だけを一審裁判所は採用し、原告の主張は全く聞き入れてもらえなかった。このことは,明らかに,偏りのある判断であることから,原告は,一審裁判所の判断を認めるわけにはいかない。

 15 争点1(本件事業の補助事業としての適格性)について
   判決文ページ31~32の「(2) 放射能汚染について」のイ(イ)で,「しかしながら,本件の全証拠によっても,トラックスケール式の線量測定システムにより,本件自主管理基準値(1キログラム当たり40ベクレル以下)を超える放射能を含有する木材の搬入を防止できないとはいえない。また,前橋バイオマス燃料は,本件自主管理基準値を超えた放射能を含有する木材を受け入れていないこと(上記1(3)ウ(ア)からすれば,貯木スペースにおける拡散防止策や 木質チップ加工時の拡散防止策をしていないことをもって放射能汚染対策が不適切であるとは認められない。仮に放射能汚染された木材を前橋バイオマス燃料が受け入れていたとしても,上記1(3)ウ(ウ)で認定したとおり,本件前橋バイオマス事業の事業地内では,常時,空間線量率の監視が行われており,放射性物質の拡散等の防止策が採られていると認められる。さらに,本件プレス機による脱水時の廃液について,管理基準値内であるかにつき,水モニタ検出器において24時間連続監視をしていること(上記1(3)ウ(ア))からすれば,放射性物質を含んだ廃液を未処理のまま地下浸透させているとはいえない。以上によれば,原告らの上記主張は理由がないから採用することができない。」との判断がなされているが,失当である。
   なぜなら,トラックスケールが放射能を測定できる代物ではないからである。このことは物理学的にみても明らかであり,この装置は異常な放射能の持ち込みを検出できるものとして使うことは不可能である。あくまで,トラックスケールはトラックの重量測定がメインであるからであり,トラックを運行させながら,40ベクレル程度の放射能の測定ができるはずもない。このことは,一審裁判所がトラックスケール製造業者に照会すれば判明するはずであった。
   それなのに一審裁判所が,被控訴人(一審被告)や関電工だけの理論の無い主張を疑いもなく100%採用してしまったことは,誠に遺憾である。

 16 争点3(本件補助金の金額の妥当性)について
   判決文ページ35の(2)イで,「しかしながら,上記1(3)ア(イ)で認定した通り,本プレス機は平成30年3月頃,本件燃料事業の操業開始と共に稼働していることから,原告らの上記主張は理由がないから採用することができない。」と判断しているが,失当である。
   なぜなら,上記判断について控訴人(一審原告)が原告準備書面10で陳述した内容が反映されていないからである。念のため以下に再掲する。
   「福本氏は「脱水プレス機の稼働を開始したのは,最近ではない。」などと曖昧な証言をしている。燃料チップ工場の操業開始に先立ち,前橋市環境政策課が施設の立入検査をしようとしたら,プレス機が試運転中の為だと関電工に言われて実施できなかった。そのため,先送りされていた前橋市環境政策の立入検査が,平成31年2月28日に実施されている。したがって,脱水プレス機の本格稼働は,平成31年3月の定期点検以降に開始が持ち越された。この結果,補助金2億数千万円もの補助金で購入した脱水プレス機が,事業開始後の1年間ほとんど稼働していなかった。前橋バイオマス燃料社長でもある福本氏の「脱水プレスの必要な製材端材も搬入されていない」とする証言からも,脱水プレス機は不要であることは間違いのない事実である。即ち,事業者によるチッパー購入を装った補助金搾取である。被控訴人(一審被告)は、直ちに,この補助金1億8,900万円を事業者から回収しなければならない。

 17 その他、一審判決文で誤った解釈がなされた控訴人(一審原告)の主張
(1) 前橋バイオマス事業に関する事業者による住民への説明が不十分
「地域住民に対して本件前橋バイオマス事業に関する説明が十分に説明されていない」旨の控訴人(一審原告)の主張に対し、一審裁判所では「理由がないから採用することが出来ない」と判決が言い渡された。住民説明会で約束された事業開所後の施設見学会の開催申入れを関電工はこれまで2回も反故にしている証拠事実がある。関電工の反故の理由は「受け入れ準備が出来ていない」との回答であり,このこと自体,環境配慮計画を遵守していない証左であり,理由がないとは言えない。
 (2) チッパーの稼働
   一審判決文には「原告らは、本件事業により整備された本件チッパーが、ほとんど企業で使用されている旨を主張する。」と記述されているが,控訴人(一審原告)は、「本件燃料事業以外に使用している」とは主張していない。控訴人(一審原告)は「『建屋内で木材の切削を行う』から逸脱して建屋外又は前橋バイオマス燃料用地以外で切削を行っているので環境配慮計画から大きく逸脱している」旨主張しているのであり,控訴人(一審原告)のこの主張は当然に採用されなければならない。
 (3) 騒音の実態
   「夜間の騒音が騒音規制法の定める基準値を超えていた事実は認められる。しかしながら,証拠(証人福本)によれば・・・前橋市による騒音の測定基準が変更されたためであり,前橋バイオマス発電は,平成31年1月から2月頃、前橋市から騒音の指摘を受け,騒音規制法の基準値内になるよう対策を行っているが認められ・・・違法操業状態であるとは認められず,原告らの上記主張は理由がないから採用することができない。」とする一審判決は失当である。以下に理由を述べる。
① 前橋市による騒音の測定基準が変更されたためでなく騒音規制法に則り騒音測定を実施した結果である。
② 前橋市による対策効果の確認は判決日の令和元年10月31日時点で実施されていない。従って一審裁判所が,「違法操業状態でない」と判断したのは誤りである。
   前橋バイオマス燃料,前橋バイオマス発電は事業に導入した設備により騒音規制法で定められた特定工場等に関する規制の対象工場であり,規制基準を遵守しなければならない。年一回の除夜の鐘音さえ騒音苦情の一つとして取り上げられ中止している寺が多くなってきているご時世である。防音壁は発電所からの騒音対策となっていないこと,除夜の鐘は1回/年であるが発電所の騒音は毎日,常時の騒音であり住民の健康阻害要因の一つである。環境アセスメント評価を実施していれば事前防止できたものである。

第3 結言

以上のとおり,原判決は誤った認定に基づくものであるから,取り消されるべきである。

附 属 書 類

1 控訴理由書副本     1通
***********

*****控訴審第1回口頭弁論期日請書*****ZIP ⇒ 20200109oocixtir.zip

■きちんとルールに基づいて行われない事業に補助金を出すこと自体、許されるものではありません。ましてや、CO₂や放射能に対する環境保全が極めて重要になっているこのご時世です。

 原発事故を起こした企業のグループ会社が、やりたい放題やっているのを見逃している行政の横暴に、ストップをかけられるのは司法の責務であり権限でもあります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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