市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

一般県民のツイートには直ぐに被害届を出すのに身内職員の不祥事を告発しない群馬県人事課の二重基準

2023-05-28 17:25:00 | オンブズマン活動

https://www.youtube.com/watch?v=VlveH3BeNt8

人事課業務内容紹介|人事課|群馬県 アップロード日: 2022/03/22 人事課の業務内容を紹介するものです。○問い合わせ先:人事課(027-226-2071)

■刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めています。そのため、この要件を満たす場合には、原則として公務員には告発義務が課せられていると解されています。いわゆる公務員の告発義務の根拠とされているものです。ところが現実には、公務員は守秘義務を優先して考え行動しています。

 なぜなら一般職の公務員の場合、国家公務員法では第100条第1項、地方公務員法では第34条第1項で守秘義務が課されています。違反者は、国家公務員の場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられ、地方公務員の場合は、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処せられるからです。他方、告発義務の違反には罰則がありません。

 群馬県の場合も守秘義務を最優先にしており、告発義務を守る職員は見当たりません。たとえば、群馬県教育委員会の「群馬県教育委員会懲戒処分指針」(更新日:2022年3月10日)https://www.pref.gunma.jp/page/4447.html を見ると、告発義務について触れていません。

 一方、ほかの都道府県、例えば徳島県教育委員会の「教職員の懲戒処分の指針」には「第3 告発」という条項があり、「教職員が行った非違行為のうち、刑事事件に係る事案については、刑事訴訟法に定めるところにより、告発又は告訴を行う場合がある。ただし、被害者が告発を望んでいない等、特別な事情があると認められるときは、告発しない場合もある。」と記されています。義務という表現ではありませんが、いちおう告発義務を示唆しています。

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/12/25/1412012_16.pdf

 このほかにも、東京都西多摩郡瑞穂町の「瑞穂町職員の懲戒処分に関する指針」(平成17年12月5日、訓令第12号)では「第3 内部通報及び告発関係」として、「1 非違行為の事実を内部機関に通報した職員は、通報したことにより、いかなる不利益も受けないものとする。 2 非違行為の事実を、自ら発覚前に申し出た職員に対しては、懲戒処分の量定を軽減できるものとする。 3 職員が行った非違行為のうち、刑事事件に係る事案については、刑事訴訟法に定めるところにより告発又は告訴を行う。」と定めています。

■ところが群馬県の場合、告発又は告訴を行う場合は、一般県民が対象となっています。まだ記憶に新しい事件として、昨年2022年7月8日に安倍総理が銃撃を受けて死亡しましたが、その日の夕方午後5時20分ごろ、県内在住の男性が、ツイッターの県公式アカウントの投稿に対し「安倍、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と送信しました。すると、山本知事の速記院で固める知事戦略部メディアプロモーション課で、一太知事お気に入りの公費をふんだんにつぎ込んだ動画・放送スタジオtsulunosを運営し、県公式ツイッターやホームページ、県Line、そしてYouTubeチャンネル番組を担当するtsulunos室の職員がこの投稿に翌9日の朝に気付き、一太知事に報告してから、警察に被害届を出しました。

 当会のこれまでの経験では、警察は当事者の被害届でないと受理しないため、その場合、一太知事が被害者として届けたことになります。もちろん、県庁のすぐ隣にある県警本部には県職員がおっとり刀で被害届を持っていたはずです。

 県警は、当会からの告発状は殆ど受理したことがありませんが、一太知事の被害届はすぐに受理され、「知事に危害を加えるような内容をツイッターに書き込んだ」として、群馬県警捜査1課と前橋署などは僅か2週間後の7月26日に、早くも脅迫や異形業務妨害で、投稿した一般県民を逮捕したのでした。

 逮捕された一般県民は、一太知事の県税の私的流用に呆れて投稿しただけなのに、なぜ逮捕されなければならないのか、すぐには事情を呑み込めず、県警の調べに対し、「投稿したことは間違いないが、何かしてやろうという意図はなかった」と供述しており、冤罪も甚だしいのに、略式起訴されてしまい、罰金を支払ったため前科者扱いとされてしまい、職場から解雇されてしまいました。この顛末は以下のブログ記事をご覧ください。

○2022年9月26日:【一太知事の独善】「安倍、竹中の次はお前だな」Twitter投稿に被害届を出した知事の思惑と今後の影響

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/2cc590ebde410757b2c779c1ebd28fc1

■この事件後まもなく、2022年11月18日に、群馬県が職員2名を、非違行為を理由に懲戒免職処分にするというニュースが報じられました。

**********NHK NEWS WEB 2022年11月18日16:53

県職員2人が不適切事務処理や備品持ち帰りか 懲戒免職に

 群馬県は、環境森林事務所で不適切な事務処理を繰り返していた56歳の職員と、県畜産試験場で県費で購入した備品を自宅に持ち帰り使用するなどしていた49歳の職員を、それぞれ18日付けで懲戒免職にしました。

 このうち県の森林保全課に勤務している56歳の男性係長は、吾妻環境森林事務所に勤務していた令和2年度までの4年間に、森林開発の許可や保安林の解除の申請について、上司の決裁を受けずに無断で許可を出したり申請を放置したりする不適切な事務処理を合わせて196件、行っていたということです。

 県は、男性係長を懲戒免職にすると共に、当時の上司など7人を減給10分の1、1か月の処分などにしました。

 また、太田市にある東部農業事務所に勤務している49歳の男性係長は、昨年度まで勤務していた前橋市の県畜産試験場で、県費で購入した作業服や洗剤、家電製品など1147個の備品、合わせて204万円分を自宅に持ち帰り使用するなどしていたということです。

 県は男性係長を懲戒免職にすると共に、当時の上司など6人を戒告処分などとしました。

 県人事課の中島高志課長は「職員個人に根本の原因があるのは当然だが、いずれも4年間という長期間にわたって不適正な行為を許した所属組織の対応にも大きな課題がある。綱紀の保持を徹底したい」と述べました。

 

**********上毛新聞2022年11月18日15:15

「予算使い切るため」公費で購入した約205万円分の物品を私物化した男性係長を懲戒免職 虚偽の公文書を作成した別の男性係長も 群馬県

 群馬県は18日、信用を失わせる行為があったとして、農政部と森林環境部の職員2人を懲戒免職にしたと発表した。農政部の職員は、年度内に予算を使い切る目的で、公費で約205万円分の日用品などを購入し、自らの所有物としていたという。

 県人事課によると、農政部の職員は東部農業事務所に勤務する男性係長(49)。畜産試験場に勤務していた2018~21年度、物品購入の事務を担当する中で、家電製品や家庭用洗剤、作業服など計1147点(計204万2854円相当)を公費で購入し、自宅に持ち帰るなどして所有物としていた。多くの物品の購入額は数百~数千円で、最も高額なもので約2万5000円だった。高圧洗浄機や電子レンジ、洗濯機なども含まれていた。

 外部から県に情報提供があり調査していた。未使用だった約130万円分の購入品は職場に返却、自ら消費した分は男性係長が弁済する。県の調査に対し、男性係長は「年度内に予算を使い切るため、物品を必要以上に購入してしまった。(自宅に持ち帰ったのは)大量の物品の置き場所に困ったことがきっかけだった」と話しているという。

 環境森林部の職員は、森林保全課付の男性係長(56)。吾妻環境森林事務所に勤務していた17~20年度、保安林や林地開発に関する事務を担当する中で、起案や決裁など組織の意思決定を経ていない虚偽の公文書19件を作成して事務を進めた上、公文書の紛失や事務処理の放置などを177件発生させた。男性係長は「家庭事情もあり、悩んでいた。初めての業務で分からないことが多く、その場しのぎの不適切な事務を行ってしまった」と述べているという。

 この不適切な事務処理の影響で、県が吾妻地域で進めている上信自動車道の建設工事が8月17日から中断されていたが、林野庁との間で保安林解除の手続きが完了したため、11月2日に再開された。

 県は2人の法令違反となる行為に関係した職員計15人も減給や戒告などの処分とした。

 

**********読売新聞2022年11月19日16:10

公文書を無断作成・紛失、事務処理を放置…懲戒免職の県係長「家庭の悩みがあった」

 群馬県は18日、森林保全課の課付係長(56)と、東部農業事務所家畜保健衛生課の環境衛生係長(49)を同日付で懲戒免職にしたと発表した。

群馬県庁(当会注:今はこの「群馬県庁」と書かれたモニュメントはない)

 県人事課によると、森林保全課の係長は吾妻環境森林事務所(中之条町)に勤めていた2017~20年度、保安林関係や林地開発許可の公文書19件を無断で作成したほか、公文書を紛失したり事務処理を放置したりする行為が177件あった。この影響で東吾妻町での上信自動車道の工事が8~11月に中断した。「家庭の悩みがあった。初めての事務で分からないことも多く、その場しのぎで処理した」と話している。県は当時の所長ら7人も減給10分の1(1か月)の処分にした。

 環境衛生係長は、県畜産試験場で物品購入事務を担当していた18~21年度、県費で購入した洗濯機や電子レンジなど1147点(204万円相当)を横領した。「年度内に予算を使い切るために買ってしまった。整理に悩み、一部を自宅に持ち帰った」と述べ、弁済の意思を示しているという。

 

**********Security NEXT 2022年11月25日

組織の決裁なしに公文書施行、職員を懲戒免職 - 群馬県

 群馬県は、事務処理を怠り、同県の意思決定を経ず、勝手に公文書を施行したり、文書を紛失した職員に対して懲戒処分を行った。

 同県森林保全課における係長級の職員に対して処分を行ったもの。同職員は保安林の解除や林地開発などの業務を担当していたが、2017年度から2020年度にかけて事務手続きを怠り、組織による意思決定を経ずに公文書を作成、施行していたことがわかった。

 同県によれば、森林計画の策定にあたり、6月から7月にかけて航空写真を撮影したところ、林地開発において許可が出ていない場所に施設が建設されていることが判明。

 調査を行ったところ、同職員の業務において決裁を経ずに公文書19件を作成。また申請書など関連文書177件などを紛失していることが発覚した。

 建設中である上信自動車道の工事に関連した保安林の解除申請についても、組織としての決裁がないまま申請を許可しており、すでに工事が行われていたという。

 保安林の解除については、要件を満たしており、再び工事は再開されたものの、問題発覚後に正式な手続きが必要となり、8月17日より11月2日にかけて工事が一時停止した。

 今回の問題が発覚する契機となった、施設についても、その後安全性が確認され、許可が出ており、森林保全における直接的な影響はなかったとしている。

 職員は事態に至った経緯について、「家庭の事情で悩みがあり、仕事についてもはじめて担当する業務でやり方がわからず、ずさんな処理をしてしまった」と話しているという。

 同県では、決裁を経ることなく公印を用いて虚偽公文書を作成し、信用を失墜させた点などを踏まえ、11月18日付けで同職員を免職とする懲戒処分とした。また管理監督責任として当時の上司7人を減給、2人を戒告処分としている。

*********

 

■この2件とも刑事罰に相当する犯罪行為によるものです。ところが、当会が群馬県人事課に「告発もしくは被害届は警察に出し確認したところ、「懲戒免職処分にしたが、警察に告発ないし被害届は出していないし、出すつもりもない」というので、ビックリしました。

 知り合いの県職員にこの懲戒免職事件の感想をヒヤリングしたところ、「横領を働いた職員は業務面では有能だったと言われており、いわゆる窃盗や万引きを止められずに繰り返してしまう窃盗症もしくは病的盗癖があったのかもしれないが、もう一人の虚偽公文書作成罪を犯した職員の方が何十倍も悪質だと思う」とコメントをいただきました。

 そこで、当会では、今回の2つの懲戒免職事件について、群馬県知事(総務部人事課人事係)に対して、以下のとおり公文書開示請求を令和4年12月23日付、同28日付でそれぞれ行いました。

 

*****12/23情報開示請求(虚偽公文書作成等事件)*****

<開示を請求された公文書の内容又は件名>

 令和4年1月18日付「職員に対する懲戒処分について」で免職とされた田島秀樹職員の処分事由とされた内容(公文書19件+関連177件)がわかる情報。免職処分と判断された理由、決定に至る過程がわかる情報。管理下訓徳責任の対象者とその処分理由がわかる情報。

*****12/28情報開示請求(横領事件)******

<開示を請求された公文書の内容又は件名>

①県職員の懲戒処分について指針が分かる情報

②令和4年11月18日付で元職員茂木浩徳に対して行った懲戒処分の詳しい処分事由(時期、場所、盗品リスト、被害額など含む)

③刑事訴追をしない理由や判断過程がわかる情報

④管理監督責任を判断した経緯と結果が分かる情報

**********

 

■すると、年明けの令和5年1月6日付で、虚偽公文書作成等事件の情報開示については、決定期間延長通知(人第1362-4号)として、横領事件についても決定期間延長通知(人第1362-5号)として、2つの事件とも「令和5年4月1日付人事異動に向けた業務が集中しており、通常の期間内に決定を行うことが困難であるため」を延長理由に「本来1月6日までに開示決定すべきところ、2月3日まで延長してきました。

 そして、待望の開示通知の連絡が2月3日に当会代表宛にあり、2月6日(月)午前9時に2件の開示を受けに県庁2階を訪れました。

 ところが、人事課人事係から開示されたのは、いずれも黒塗りだらけの文書でした。4週間も開示期間を延長したのは、開示文書を黒塗りするための時間が必要だったことになります。

*****ノリ弁状態で開示された情報【田島秀樹分】*****

*****同じくノリ弁状態で開示された情報【茂木浩徳分】*****

 当会は、横領事件については、業務面では有能であった職員がひょっとして魔が差して持病の盗癖に逆らえず、横領をしてしまい、事件発覚後は盗品を返還したり、費消した分は金銭で支払ったから、警察への告発は見送ったのかと思い、そうした本人からの聞き取り内容を踏まえて人事課で懲戒免職処分を決定した過程を検証しようと思っていました。しかし、黒塗りの開示資料を見せられて、そうした気持ちもうせてしまいました。

■当会は、今回の懲戒免職事件で、群馬県人事課がなぜ刑事訴訟法で定めている公務員の告発義務を行使しないのか、いろいろ調べてみました。その結果、群馬県のホームページに「群馬県教育委員会懲戒処分指針」が掲載されていることがわかりました。

※URL「群馬県教育委員会懲戒処分指針」(更新日:2022年3月10日)↓

https://www.pref.gunma.jp/page/4447.html

 これを見ると、他の都道府県の教育委員会が定めている懲戒処分指針には「公務員の告発義務」についての項目があるのに、群馬県教育委員会の懲戒処分指針には、告発義務についてどこにも見当たらないのです。

 そこで、2022年12月28日付の公文書開示請求では、「①県職員の懲戒処分について指針が分かる情報」について、含めました。

■これら2件の開示請求の結果、群馬県は2023年2月3日付で公文書部分開示決定通知を出してきたので、当会は同2月6日午前9時に県庁2階で開示情報の閲覧と写しの交付を受けました。

 

 

 部分開示情報と言っても、懲戒免職となった田島直樹・元職員と茂木浩徳・元職員の懲戒処分の理由がおそらく記載してあっただろう箇所は、個人情報ということで、ほとんどが真っ黒気に塗られたシロモノです。これでは、一帯どのような理由で両名がクビになったのか、その詳らかな経緯がさっぱりわかりません。

 とりわけ、なぜ刑事告発をしなかったのか、その背景や理由についてどのような討議が果たして為されたのか否か、これについても全く把握する術がありません。なにしろ「ノリ弁当」同然の状態なのですから。

■こうしたノリ弁状態で開示された公文書を見て、さらに呆れたのは、不祥事の発生を防げなかった上司らの職位と氏名が黒塗りされていることです。そのため、令和5年3月3日付けで群馬県知事あてに2件の審査請求書を提出しました。

*****3/3田島直樹に係る情報不開示についての審査請求*****

             審 査 請 求 書

                             令和5年3月3日

群馬県知事 山本一太 様

   審査請求人 住所又は居所 〒371-0801群馬県前橋市文京町1丁目15−10

                (電話番号090-5302-8312)

         ふりがな しみんおんぶずまんぐんま だいひょう おがわまさる

         氏  名 市民オンブズマン群馬 代表 小川賢

対象となる処分:以下の処分について不服があるので審査請求をします。

・処 分 庁 群馬県知事 通知日 令和5年2月3日

・処分の内容 「令和4年11月18日付『職員に対する懲戒処分について』で免職とされた田島秀樹元職員の処分事由とされた内容がわかる情報。免職処分と判断された理由、決定に至る経緯がわかる情報。管理監督責任に対象者とその処分理由が分かる情報」にかかる公文書部分開示決定に関する処分

・文書番号等 人第1362-7号

処分があったことを知った日:令和5年2月6日

審査請求の趣旨:「対象となる処分を取り消す。」との裁決を求めます。

審査請求の理由:以下の点から、対象となる処分は違法・不当であるため、処分の取消しを求めます。

1.処分庁は「①職員の氏名、所属、職、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第2号に基づくとし、但し書きの同号ハに規定する公務員と認めながら、「個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

2.人事院事務総長が発した「懲戒処分の公表指針について」(平成15年11月10日総参―786)によれば、「次のいずれかに該当する懲戒処分は、公表するものとする。(1) 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分 (2) 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分」と明示しており、本事案は(1)に該当する。

3.そのうえで「事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする」と明示しており、個人が識別される氏名を除く「所属、役職段階等」の属性に関する情報は公表するものとする、と解される。事実、公務員の不祥事件では管理監督責任が問われることから、報道でも「所属先の部長を減給10%1ケ月」などと報じることは珍しくない。

4.ちなみに神奈川県の場合、懲戒処分等の公表基準によれば、公表する内容は次のとおりである。

 <3 公表する内容>

  職務に関する事案の場合において、公表する内容は、原則として次に掲げる事項とする。

    ア 事案の概要

    イ 該当職員の所属する所属名(被害者に対して特に慎重な配慮を要する場合は部局名とする。)

    ウ 該当職員の職名

    エ 該当職員の年齢及び性別(監督責任の場合を除く。)

    オ 処分の内容

    カ 処分年月日

  このように他県では所属名と職位を公表している。

5.次に処分庁は「②処分理由、人事記録カード、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第6号に基づくとし、「人事管理に関する事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

6.本事案では刑事上の罰が問われており、本来、刑事訴訟法第239条第2項により 「官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と定められていることから、知事は警察もしくは検察に告発するのが本筋である。

7.ところが群馬県の「職員の懲戒処分に関する指針」において、上記6に示した告発義務についての記載がない。実際、本事案について、未だに知事による告発が為されたという報道も見あたらない。

8.知事は、昨年7月8日に県公式ツイッターに「安部、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と送信した県民の行為を脅迫罪及び偽計業務妨害罪だとして、翌9日に県警や前橋署に、被害届を出すことにより告発した。職員でない納税者県民に対して告発し、知事部局所属の、いわば身内である職員に対して告発を躊躇うことがあってはならない。

9.そのため、審査請求人は納税者県民として知事にかわって告発することを余儀なくされているため、処分理由、人事記録カード、報告書等の黒塗りされた情報の開示が不可欠である。

10.よって、今回の処分を取り消すことがぜひ求められる。

教示:○有 ・ 無

(内容)

 なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内であっても、処分の被の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)

 また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。

添付書類等:・対象となる処分の通知書の写し

 

*****3/3茂木浩徳に係る情報不開示についての審査請求*****

            審 査 請 求 書

                             令和5年3月3日

群馬県知事 山本一太 様

  審査請求人 住所又は居所 〒371-0801群馬県前橋市文京町1丁目15−10

                    (電話番号090-5302-8312)

                 ふりがな                 しみんおんぶずまんぐんま   だいひょう おがわまさる

                 氏 名    市民オンブズマン群馬  代表  小川賢

対象となる処分:以下の処分について不服があるので審査請求をします。

・処分庁   群馬県知事 通知日 令和5年2月3日

・処分の内容 「③刑事訴追をしない理由や判断過程がわかる情報 ④管理監督責任を判断した経緯と結果がわかる情報」にかかる公文書部分開示決定に関する処分

・文書番号等 人第1362-8号

処分があったことを知った日:令和5年2月6日

審査請求の趣旨:「対象となる処分を取り消す。」との裁決を求めます。

審査請求の理由:以下の点から、対象となる処分は違法・不当であるため、処分の取消しを求めます。

1.処分庁は「①職員の氏名、所属、職、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第2号に基づくとし、但し書きの同号ハに規定する公務員と認めながら、「個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

2.人事院事務総長が発した「懲戒処分の公表指針について」(平成15年11月10日総参―786)によれば、「次のいずれかに該当する懲戒処分は、公表するものとする。(1) 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分 (2) 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分」と明示しており、本事案は(1)に該当する。

3.そのうえで「事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする」と明示しており、個人が識別される氏名を除く「所属、役職段階等」の属性に関する情報は公表するものとする、と解される。事実、公務員の不祥事件では管理監督責任が問われることから、報道でも「所属先の部長を減給10%1ケ月」などと報じることは珍しくない。

4.ちなみに神奈川県の場合、懲戒処分等の公表基準によれば、公表する内容は次のとおりである。

 <3 公表する内容>

  職務に関する事案の場合において、公表する内容は、原則として次に掲げる事項とする。

    ア 事案の概要

    イ 該当職員の所属する所属名(被害者に対して特に慎重な配慮を要する場合は部局名とする。)

    ウ 該当職員の職名

    エ 該当職員の年齢及び性別(監督責任の場合を除く。)

    オ 処分の内容

    カ 処分年月日

  このように他県では所属名と職位を公表している。

5.次に処分庁は「②処分理由、人事記録カード、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第6号に基づくとし、「人事管理に関する事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

6.本事案では刑事上の罰が問われており、本来、刑事訴訟法第239条第2項により 「官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と定められていることから、知事は警察もしくは検察に告発するのが本筋である。

7.ところが群馬県の「職員の懲戒処分に関する指針」において、上記6に示した告発義務についての記載がない。実際、本事案について、未だに知事による告発が為されたという報道も見あたらない。

8.知事は、昨年7月8日に県公式ツイッターに「安部、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と送信した県民の行為を脅迫罪及び偽計業務妨害罪だとして、翌9日に県警や前橋署に、被害届を出すことにより告発した。職員でない納税者県民に対して告発し、知事部局所属の、いわば身内である職員に対して告発を躊躇うことがあってはならない。

9.ただし、本事案では、該当職員が職務においてそれなりの実績を挙げており、職場関係者からも「とてもあのような非違行為を起こすことは考えられない。なにか、窃盗癖のような病的な原因があったのかもしれない」とするコメントもあり、「畜産試験場職員 横領事案 処分理由」を記した黒塗りの報告書の最後の8ページ目にも「以上のことを総合的に考慮し、本事案については刑事告発を見送ることとする。」と結論付けている。審査請求人は本事案について刑事訴追をしない理由や判断過程を考慮したうえで、処分庁の処分決定の適否を吟味したいと考えていたが、これほど迄に黒塗りされた開示情報に接し、審査請求人は納税者県民として知事にかわって告発することを余儀なくされている。

10.よって、今回の処分を取り消すことがぜひ求められる。

教示:○有 ・ 無

(内容)なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内であっても、処分の被の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)

 また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。

添付書類等:・対象となる処分の通知書の写し

**********

 

■3月3日に審査請求書を群馬県知事に提出してから、来週末で3か月が経過しようとしていますが、県からは今のところなにもこの件について何も反応がありません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

 

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【一太知事の独善】「安倍、竹中の次はお前だな」Twitter投稿に被害届を出した知事の思惑と今後の影響

2022-09-26 23:25:11 | オンブズマン活動
群馬県職員が一太知事に通報して、一太知事が群馬県警に被害届を出した発端になったTwitter投稿

■2022年7月27日に地元紙などが、山本一太知事に対する脅迫事件で、同26日に県民が逮捕されたと報じました。まずは、メディアの報道内容の趣旨を見てみましょう。

**********上毛新聞2022年7月27日(水)18:27
「安倍、竹中の次はお前だな」 知事を脅迫した疑いで県内の男を逮捕 群馬県警前橋署

群馬県知事に危害を加えるかのような内容をツイッターに書き込んだ男が逮捕された
 山本一太群馬県知事に危害を加えるような内容をツイッターに書き込んだとして、群馬県警捜査1課と前橋署などは26日、脅迫の疑いで、県内の男性を逮捕した。
 逮捕容疑は8日午後5時20分ごろ、ツイッター上の群馬県公式アカウントの投稿に対して「安倍、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と書き込み、山本知事に閲覧させて脅迫した疑い。
 県警によると、「投稿したことは間違いないが、何かしてやろうという意図はなかった」という趣旨の供述をして犯意を否認している。県職員が9日に気付き、同署に届け出た。

**********読売新聞2022年07月28日10:54
ツイッターに「安倍・竹中の次は、お前だな」…群馬知事へ殺害予告男を逮捕
 群馬県の山本一太知事(64)を脅迫したとして、県警は26日、県内の男性を脅迫容疑で逮捕した。

群馬県警察本部↑

山本一太・群馬県知事
 発表によると、男性は8日夕、ツイッターの県公式アカウントの投稿に対し「安倍、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と送信し、山本知事を脅迫した疑い。調べに対し、「投稿したことは間違いないが、何かしてやろうという意図はなかった」と供述している。
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■この報道を見て、当会としていくつかの疑問が生じました。それらを列挙してみます。

【疑問その1】投稿メッセージははたして脅迫なのか
 群馬県公式アカウントのツイッターに投稿されたという「安倍、竹中の次はお前だな」という文章には、「殺す」「殴る」「放火する」「爆弾をしかける」「一文無しにしてやる」など、具体的な脅迫行為が記されていません。とすると、この投稿を見た県職員が、一太知事に報告した際、知事は脅迫されたと感じたことになります。
 しかし、例え知事は自身のブログで「『死ね』などの投稿や批判的な投稿が寄せられた場合は、ブロックする」と言っており、なぜこの投稿文を目にして脅迫を感じたのか、矛盾を感じます。

【疑問その2】被害届は誰が出したのか
 報道によると、7月8日午後5時20分ごろこのメッセージが県公式アカウントのツイッターに投稿されていることに「県職員が9日に気付き、同署に届け出た」とあります。当会のこれまでの経験では、警察は当事者の被害届でないと受理しないため、その場合、一太知事が被害者として届けたことになります。
 群馬県がHPで公表している「群馬県Twitterアカウント運用方針について」(本件記事末尾参照)は、「群馬県知事戦略部メディアプロモーション課及びG-SNSチームが運用する」としており、この部署の職員が今回の投稿に気付き、知事に報告したものと想定できます。
 しかし、「当アカウントへ宛てた質問等への回答は行いません」「当アカウントに対し、公序良俗に反する返信やダイレクトメッセージ等を繰り返し行うアカウントや、その他群馬県が不適切と判断したアカウントについては、予告なくブロックする場合があります」としていることから、投稿者を含む閲覧者に予告なく、知事が今回の投稿を見て脅迫と見なし、警察に被害届を出すことは、過剰反応と言えるのではないでしょうか。

【疑問その3】投稿者の言い分が報じられないのはなぜか
 メディアでは、県警からの取材情報として、投稿者が「投稿したことは間違いないが、何かしてやろうという意図はなかった」という趣旨の供述をして犯意を否認している」と報じられていますが、投稿者本人から直接言い分を聞いていません。警察からの発表情報が正しいとは限りませんので、果たして公正な報道姿勢と言えるのでしょうか。

■一太知事と言えば、ちょうど1年前に同じくツイッターに自らのことを「犯罪者」「詐欺師」呼ばわりした投稿者を、誹謗中傷による名誉棄損だとして、発信者を特定するための情報開示を求める裁判を起こし、発信者を特定して謝罪させた事件が思い起こされます。

**********産経新聞2021年9月9日21:30
ツイッターに「犯罪者、詐欺師」誹謗中傷 群馬・山本知事が発信者特定 謝罪受ける

山本一太・群馬県知事(柳原一哉撮影)
 群馬県の山本一太知事は9日、自身の短文投稿サイト「ツイッター」に「犯罪者の一人」「詐欺師」などの誹謗(ひぼう)中傷のリプライ(返信)を多数寄せた投稿者を特定し、弁護士を通じ謝罪を受けたと明らかにした。山本知事は損害賠償は求めないという。
 投稿は「ブログで私腹を肥やしている」「賄賂や不正献金のオンパレード」などいずれも根拠がない内容。昨年の春から夏にかけ頻繁に発信され、知事がアクセスを制限する「ブロック」をしてもアカウントを替えて投稿されたという。
 山本知事は看過できないとして、昨年7月にプロバイダー責任制限法に基づいて発信者情報開示の仮処分を東京地裁に申し立てるなどして発信者を特定。今年5月に謝罪を求め、書面で謝罪を受けたという。
 山本知事は手続きに1年近く要したことを踏まえ「簡素化が必要だ」と指摘。県が全国に先駆けて制定した「インターネット上の誹謗中傷等の被害者支援等に関する条例」を生かし、ネットリテラシー(情報判断力)の向上を図っていくとしている。
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 一太知事本人も、自らのブログで顛末を公表しています。

**********山本一太ブログ「気分はいつでも直滑降」2021年09月13日10:53:09
知事のSNS誹謗中傷裁判:②〜名誉毀損が認められるまでの煩雑かつ長期間に渡る裁判プロセスとは?!
2021年9月13日
 午前7時。眠い目をこすりながらのブログ。昨晩は早めに運動を済ませた。・・・(中略)・・・。
 今回の裁判では、名誉毀損が認められ、発信者の情報が開示された。が、この人物の名前や職業を公開したり、損害賠償請求を行うことまでは考えていない。先ず、そのことを明確にしておく。
 これまでの経緯を少し細かく説明したい。昨年の春頃から、twitterの特定のアカウントからのリプライで、知事である自分に対して、看過出来ない内容の誹謗中傷が頻繁に行われるようになっていた。具体的には、「犯罪者の1人」「本当に腐っていて大馬鹿な人」「本当に小物」「哀れ」「根っからの馬鹿」「馬鹿丸出し」「詐欺師」「発言は嘘ばかり」「癒着」「賄賂や不正献金のオンパレード」といった表現のツイートだ。
 これらの発信は、事実無根の内容か、又は意見や論評の域を超えた人格攻撃そのものだと感じた。何らかの対応を取る必要があると考え、昨年6月頃から弁護士と相談を始めた。ブログの末尾に添付したスライドに、投稿者特定までの一連の流れを整理してある。
 最初に分かったのは、プロバイダのアクセスログ保存期間が3か月から6か月程度とされているため、迅速に対応しなければならないということ。このため、昨年7月に、東京地方裁判所に、「Twitter社に対して発信者情報の開示を求める」申し立てを行った。
 その結果、2ヶ月後の9月に、Twitter社に対して仮処分命令が出され、10月上旬には発信者情報が開示された。これにより、ソフトバンク社の端末からの書き込みであることが判明した。
 さっそく、開示のその日にログ保存の仮処分を申し立てた。アクセスログの保存期間が過ぎてしまったら困るからだ。すると、同月の(10月)下旬にソフトバンク社から任意でログを保存する旨の回答があった。その時点で、仮処分の申立ては、取り下げることとした。
 その2ヶ月後の同年(昨年)12月に、ソフトバンク社に対する発信者情報の開示訴訟を東京地方裁判所に提起した。その結果、今年の4月になって、やっと「発信者情報(氏名・住所・メールアドレス・電話番号)を開示せよ」との判決が出された。
 判決では、リプライの内容について、「社会通念上許される限度を超えた侮辱行為に当たる」として、名誉毀損が認められた。この判決に従い、翌月の5月に、ソフトバンク社から発信者情報が開示された。
 こうした流れを踏まえ、問題のA氏と、弁護士を通じてやり取りした。A氏本人に、「なぜ誹謗中傷するような書き込みを続けたのか?」「どうしてあのような表現になったのか?」を確認すると同時に、知事への謝罪を求めた。
 6月に入り、A氏から返信があった。そこには、「知事のツイッターやブログの内容に関して不満を持ち、道義的に度を超した内容を書き込んだり、感情的な発信となってしまった。今後、意見表明する際には、法とマナーを遵守する」と書かれていた。
 正直言って、この説明に100%、納得したわけではない。が、本人からの謝罪もあったため、今回、損害賠償請求は行わないこととした。
 さあ、そろそろ仕事(公務)を始めないと。この続きは「その3」で。



 

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■この一連の体験が今回の過剰とも思える対応に結びついていると想像するに難くありません。

 そうした中、当会役員のもとに、投稿者のかたからコンタクトがあり、先日、9月17日の当会の10月例会に参加を頂きました。以下は本人から聴取した内容をそのまま掲載するものです。

*****投稿者による事件の顛末の報告*****
 私は掲題事件の犯人として逮捕、起訴された者です。以前から山本一太知事の政治姿勢に問題を投げかけていました。
 掲題事件の当事者として、事実をありのままに告白したく、ぜひオンブズマンの皆さんにお話しようと決意し、例会に参加希望をお願いしたところ、こころよく受け入れていただき感謝します。また、この機会に、マスコミ発表には書かれていない山本知事の実態も併せて告発します。
 もしかしたら、オンブズマンの皆さんの方が更に多くの情報をお持ちかもしれませんが・・・。

■1 事件に至る背景

 参議院議員だった当時、山本一太氏は、群馬の自動車利用実態・所有率等を十分理解していると思っていましたが、2008年福田総理の時に、いわゆる「ガソリン国会」において廃止になった暫定税率の強行復活に賛成しました。
 
 これはご存じのとおり、大半の国民も復活に反対していたものです。
(当会注:日本のガソリン価格の約半分は税金。本来のガソリン税(本則税率)は1リットル当たり28.70円で、これに暫定税率25.1円が加わり、トータル53.8円がガソリン税となる。これに石油税2.8円が加算され、さらに消費税10%の二重課税がかかる。ガソリン税などの石油諸税は、長期にわたり道路特定財源として道路を作り続ける原資となっていた。暫定税率は2008年3月末までに一旦現在は廃止されたものの、直後のガソリン国会で福田康夫内閣と衆議院で再議決され、再び暫定税率が復活し、2008年5月1日からガソリン1リットルあたり53.8円と再増税になっている)
 
 また軽自動車税の増税にも賛成し、県民の多くが乗っている軽自動車の税負担を増やしました。
(当会注:平成26年税制改革で、平成27年4月から軽自動車税について値上げが決定。なお、今年4月から「経年車重課」制度として、ガソリン車に限り、最初の新規検査(≒ナンバーがついたとき)から13年を経過したクルマについて、自動車税率を上乗せ。乗用車では、登録車の場合約15%、軽自動車では約20%増税。具体的には、登録車の1リッター以下のクルマであれば本来なら2万9500円のところが3万3900円になり、1リッター超1.5リッター以下で3万4500円が3万9600円となり、1.5リッター超2リッター以下では3万9500円が4万5400円となる。また、軽自動車の場合は1万800円が1万2900円になる)

 こうした一連の、民意を無視した言動により、私は山本議員への信用を完全に無くしました。

 その後、山本氏は2019年に、突如として参議院議員を辞めて群馬県知事に立候補して当選しましたが、当選後の県政について、どうにも納得できないことも多く目につきます。私の気付いたことをいくつか挙げてみます。

○2020年8月ごろ
 コロナ騒ぎになった頃、県民には外出自粛・リモートワークを要請しておきながら自らは県のサッカーチームの応援に出かけたり、リモートで済む様な都内での打ち合わせに出かけて行ったり、挙げ句県内の零細飲食店を脅すような写真(下写真)を載せてみたりと、ひとりよがりな事を行っていました。

2020年8月7日知事ブログ「気分はいつもで直滑降」より

○2021年2月ごろ
 群馬と栃木の県境で発生した山火事の時、県はその事に関する知事の対応をツィッターにはほとんど書かず、無関係なことばかり書いていました。

○2020年4月24日~現在進行中
 彼が作成しているYouTube動画について、県税を使っているのにも関わらず動画の時間の半分は県政とは全く無関係な芸能人やスポーツ選手等を出演させたりしています。当然、出演料やスタッフ人件費、スタジオの光熱費等に県税を流用している可能性が指摘されます。つまりは県税の私的流用に近い事を平然と、現在もなお、やっているわけです。
(当会注:投稿者のこの指摘は、県庁最上階の動画スタジオ設置を巡る無駄遣いで、TBS「噂の東京マガジン」でも取りざたされた通り、当会の考えと共通しています)

○2021年ころより顕著に
 知事自身もツイッターアカウントを持っており、県政についての事をツイートしていますが、そこに苦情・意見をリプライすると、その直後に必ずブロックされてしまいます。次の写真をご覧ください。
 
(当会注:山本一太知事は、このブロックについて、自身のブログで以下の説明をしています。
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Twitterでのブロックの基準〜デマや口汚い言葉、憶測をもとにした自分や第三者への誹謗中傷。
2020-09-10 23:51:34
テーマ:ブログ
2020年9月10日:パート3
 ・・・(前略)・・・
追伸:少し前の記者会見で、ある記者から、「知事のツイッターですが、どんな基準でブロックをかけているんですか?」と聞かれた。この質問自体にちょっと驚いたが、いい機会だ。念のために、説明しておく。
 ブロックするのは、(大きく言って)次の2つの場合だ。
(1)「ブログで小遣い稼ぎ」「○○から賄賂をもらっている」「不正のオンパレード」などのデマを書き込んでいるケース。
(2)「バカ」「犯罪者」「死ね」(4ね、氏ね・・)などの汚い言葉や、憶測をもとに私自身や第三者を誹謗中傷しているケース。)


 もし苦情を書かれるのが嫌なのであれば、リプライを受け付けない設定にすればいいのです。発信専用のアカウントとすれば良いだけです。その方がよほど「公平」です。

 自分にとって嫌な意見は踏みつぶし、心地よい意見だけきく。これは河野太郎氏同様、公人のやることでしょうか。私だけでなく、他にも同じ事をされた人が多数います。もちろん私は納税者であり有権者です。

 細かい事は他にも多々ありますが、概ねこれらが山本知事に対して不信感を募らせていった原因・背景です。

■2 今回の事件の端緒
 前記の背景を基に、私がこれまで山本一太県政について意見を述べようとしてきた経緯とその結果を報告します。

 私は、何度かツィッターのアカウントを新規に取り直し、そこから何度か県政に対する意見を書きましたが、やはりその度にブロックされました。

 県のホームページからも同様に意見を送りましたが、県からも本人からも、何の回答も反応もなくすべて無視されました。

 私が山本知事の事務所に問い合わせてもやはり無視されました。

 以上のように、私は、どうしてもこれらのことについての回答が欲しくて、関係各所に問い合わせを行ったのですが、「いまだに」回答が貰えていません。形式としては、直接メール等で回答を貰うなり、あるいはせめて県のホームページに県民からの意見として載せてもらうなり、私としては、どんな方法でも知事が県民からの意見に耳を傾けて、関心をいただいている、という対応を示してもらえれば、それでよかったのです。
(当会注:当会関係者も、オンブズマンとして一太知事に公開質問やら申入書やら、いろいろと文書で問い合わせをしてきました。しかし、一向に回答が得られていません。したがって、投稿者の指摘は、決して誤りではありません)

■3 事件の本当の真実
 新聞等のメディアには、私が単に脅しの様なツィート(リプライ)を書き、それを「脅迫」として知事(もしくは群馬県)が被害届を出した、とのみ書かれていました。

 もちろんそこには、私からの弁明などの説明が全く記載されておらず、警察からの部分的な発表記事のため、読んだ人には私だけが悪者になってしまっています。

 私は単に、上記■1のようなことをなぜ行うのか、知事からその理由の回答が欲しかったため、その日偶然発生した故安倍総理銃撃事件をヒントに、ブラックジョークとしてあの様なリプライを書きました。

 そうすれば、無視せずに何かしらの反応を見せてくると考えたからです。

 ほとんどの報道等では、リプライの前半部分の「脅し」と取られるところを重要視していますが、私の真意・本心は、むしろあのリプライの後半部分「県税私的流用」にありました。

 もちろん記事にもあった通り、私としては、知事に対して直接的な危害を加えるつもりは一切ありませんでした。実際、警察による家宅捜索が入った時点で、私自身、そのリプライのことは完全に忘れていました。

 もし何か県や知事から反応があれば、それに呼応して、上記■1に書いた内容の質問を再び送るつもりでした。

 しかし後から考えれば、あのリプライの前半部分は、タイミング的に、受け取りようによっては、確かに行き過ぎた文言であり、私は警察や検察の取り調べにおいても、その点は素直に認めて反省しました。

 ところが私は、知事からの「脅迫」を罰条とする被害届のみならず、その後「威力業務妨害」という追加の罰条の被害届を受けました。しかし、それは筋違いではないでしょうか。安倍首相に対するあのような事件があったことで、本当に知事自ら万一のことを考えたのであれば、自らそういった警護などを増やすなどしてしかるべきであろうに、それまで私に責任をなすりつけてきました。これは本当に心外です。

 最終的に検事からの説明では、「初犯でもあり、当事者(私)自身も深く反省している態度が認められるのと、事件としてもあまり大きくないこと、また今後二度と同様な事をしないと確約し、アカウントも削除するとしている」という理由で、一般的には勾留20日、かつ正式裁判にて執行猶予判決になる可能性がありましたが、勾留10日の罰金刑(実質減刑)という判断となりました。

 今回逮捕・勾留に至った理由は、「ネット関係の犯罪のため、釈放した場合に捜査完了までの期間にツィートを削除するなどのいわゆる「証拠隠滅」の恐れがあったため」との事でした。

 このような判断を受けましたが、本来の目的であった上記■1と■2に対する回答はいまだにどこからも貰えていません。

 逮捕勾留され供述調書に書いて貰ったにもかかわらずそれが残念でならないのです。

 特に県税を使用した県政と無関係な動画作成や納税者ブロックにはどうにも納得ができないのです。

 私以外にも、知事からの意見を期待して投稿しても、それが意に沿わなかったり、気に入らなかったりすると、批判的だと見なされるのか、ブロックされてしまうことに戸惑いを感じている人は決して少なくありません。知事としては耳ざわりのよい意見のみならず、耳の痛い意見にも耳を傾ける度量が、公人として、また首長として、当然求められる資質のはずです。

 ところが、納税者が納得できる説明を全くしようとせず、私の場合、あの一文だけで、知事は脅迫されたとばかりに被害届を警察に提出し(実際にはとりまきの県職員が代行したかもしれませんが)、結果的に、知事の政策について関心を抱いている者に、ここまで苦しく辛い思いをさせたことになります。果たして、それが知事の正しい政策の進め方なのでしょうか。

 逮捕・勾留・失職、この辛さは経験した者でないと分からないことでしょう。

 また知事は、1年前にも同じようにツイッターに投稿した県民にブロックし続け、それでもしつこく投稿したら、裁判までして発信者を突き止め、名誉棄損による損害賠償をちらつかせて、謝罪をもとめて、実際にそれを実行しました。そうした県知事と思えない度量の小ささから発せられするのでしょうか、「耳障りのよくない意見をしつこく投稿すると、同じ目に遭わせるぞ」と言わんばかりに、見せしめとして、自由な発言を封じる雰囲気を望んでいるとも受け取れます。そうなると、今後も私と同じような目に遭う県民が出るかもしれないのです。

 来年県知事選挙がありますが、山本氏も再出馬するようです。その前に、こういった事を平然と行っているという「事実」を広く県民の皆様に知って貰いたいとつくづく思います。

 事件後の会見で、知事本人は「あのような誹謗中傷は絶対に許さない」などと語っていたようですが、それ以前に首長として、自身がやっている行動を振り返り、反省すべきところは素直に反省をして欲しいものです。

 私は再度、強く弁明いたします。

 私は知事に対して暴力等の危害を加えるためにあのような事を書いたのではなく、あくまでも、納税者県民のひとりとして、県政への問い合わせをしようとしても、ツイッターをブロックする行為を続ける知事に対して、何とかして回答して欲しいという一念で、あのようなブラックユーモアで注目してもらおうと投稿を行っただけです。他意は全くありません。

 逆に言えば、知事から、今までに何かしらの回答を貰えていたら、今回のようなことをする必要は無かったのです。

 もちろん、迂闊にあのようなリプライを書いた私も、浅はかでしたが、何度意見や質問を送っても無視して全く回答をせず、ツイッターもブログもブロックする県や知事にも責任の一端はあると考えています。

 納税者県民のひとりである私からの上記■1と■2の要望等を全く聞かず、いきなり被害届を警察に出して、逮捕し、勾留させたことは、甚だ遺憾であり、自由な発言を封じる土壌を拡げることになりかねません。

 私は、全く無関係な第三者から、ツィッターや掲示板等で私の実名や住所、職業、年齢を拡散され、それを元にいまだに心無い誹謗中傷や侮辱を受けていて精神的にも参っています。また再就職にも影響が出かねない状況が続いています。

 市民オンブズマン群馬の皆さんが、もし少しでも今回の一件について、追及し、調査していただけるのであれば、ぜひとも上記の顛末について、第三者として事実関係を調べたうえで、ひろく納税者県民の皆さんにも公表して欲しいです。

 このままでは私ひとりが、単なる浅はかなおっさんとして、幕引きをされてしまうでしょうし、知事に物申す県民にとって恒常的な脅威となってしまうことすら懸念されます。

 現にツィッター上では、背景や理由を知らない人々によってそのような反応が多数書かれています。

 私にもっと資力があり、知事のように公費で弁護士が頼めるような権限があれば、むしろ山本知事と群馬県を、県民への説明責任放棄による知る権利の剝奪など、公務員職権乱用罪?的なことで告訴したいところです。そうすれば、双方痛み分けの「喧嘩両成敗」とすることができます。しかし、裁判に訴えても、裁判所は行政側に味方するでしょうし、警察や検察も、知事が出した被害届は直ちに受理しましたが、一般県民が出した被害届は決して受理したがらないことでしょう。

 私は、山本氏が、来年の知事選に出馬しても当選してほしくありません。最近の知事の言動は明らかに感情むき出しでみっともなく、度量の小ささが全体的に漏れ出てくる印象を強く感じます。

 どうかこの事実をご承知の上、お集りのオンブズマンの皆様には、何かのご関心やご示唆をいただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

 もし必要であれば、いつでも直接、皆さんからの意見聴取にも対応する所存です。

 何しろこの事件によって失職してしまい、次の仕事を見つけようと日々奮闘中ですが、苦戦しております。

 30万円と言う脅迫罪での「最高罰金」(当会注:投稿者によると、最終的には、脅迫罪に加えて威力業務妨害罪の2つの罪で起訴されたということで、併合罪として30万円の罰金が検事により決められたのか、どちらなのか定かでない)に加え、裁判費用についても私への負担となる旨、前橋簡裁から通知されました。

 収入が少ない非正規の私には、経済的にもかなり厳しい状況に追い込まれています。しかし、知事あるいは群馬県は県民広場のモニュメントを巡り1億3千万円もの公金を平気で無駄に使おうとしています。このようなことをしておきながら、私のような貧乏人を知事は平然と容赦なくいじめてきます。

 しかし、あまりにも行政側から一方的な制裁を受けたまま、この事件に幕引きされることはどうしても納得できません。行政の不当な権限の行使により、同じ目に逢う県民がこれ以上出ないように、私にできることはなんでもするつもりですので・・・。
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 投稿者本人から実体験を赤裸々に語っていただいたあと、その内容をじっくりと聞いていた当会副代表は、次のコメントを発しました。

「警察は、この事件の被害届が県知事から出されて、捜査を始めた当初から逮捕はおそらく決まっていたと思います。ツイッターへの書き込み(ツイート)が7月8日で、逮捕が7月26日夜だったということから、用意周到に逮捕の準備を進めていたに違いありません。なぜなら、警察庁は今年4月1日にサイバー警察局を作ったからです(当会注:関連記事末尾参照)。今回の事件は、警察として、さっそく新設のサイバー警察局の手柄にもなり、群馬県でも4月1日に鳴り物入りでサイバーセンターを発足させたことから(当会注:関連記事末尾参照)、手柄を上げなくては、ということで、それとの関連が見て取れます。」

「サイバー警察局は、今年の4月1日から、警察庁直轄の警察法を改正して発足させたもので、多くの国民が懸念していました。警察庁というのは、捜査機関ではなく指導機関なので、警察庁が直々に捜査局を持ってはいけない、ということで、反対の声が多く出されました。ところが、国会では山本太郎らが質問しただけで(当会注:https://www.youtube.com/watch?v=TpBPr9vxE64)、他は皆OKで通ってしまいました。サイバー警察局は、東京の警察庁の中ではなく、埼玉県所沢の関東管区警察局の中で作りました。その捜査範囲は警察庁管轄なので全国に及びます。その中で群馬県警がとりわけ張り切っていたなかで、今回の事件が目を付けられたことになります」

■投稿者のかたから生々しい体験報告をうかがった当会は、あらためて、冒頭の疑問につきあたりました。群馬県の公式Twitterアカウントに投稿した際、本来であればブロックされるはずの内容なわけですから、県職員はその投稿元のアカウントをまずブロックすることを優先することになります。

 それなのに、県職員が今回の「安部、竹中の次はお前だな」の投稿メッセージを目ざとく見つけ、一太知事にご注進申し上げ、一太知事が自らの名義で被害届を県警に提出したということがうかがえます。

 そうすると、批判的な投稿を本来無視しておきながら、たまたま今回の「安部、竹中の次はお前だな」とするリプライの書き込みに目を付けて、脅迫文だと決めつけて、今回の事態を招いたことになります。あきらかに、群馬県の公式Twitterアカウントにはトラップ(罠)が仕掛けられていたのも同然と言えます。

 たまたま、その罠にはまった投稿者を見せしめとすべく、一太知事は警察に被害届を出たのでしょう。そして警察も、脅迫は親告罪ではないことから、警察が自ら判断して犯罪性の程度を決めるわけで、本来であれば慎重に吟味して判断しなければならないところ、一太知事から出された被害届ということで、なにはともあれ逮捕に踏み切らざるを得ないと判断し、さっさと検察に送検したという事情が、ひしひしと伝わってきます。

■これまでも、今も、そしてこれからも、行政に対して物申すことを目的に活動している当会として、今回ご報告いただいた事件当事者の方が経験したことは、決して他人事ではありません。なぜなら、税金の無駄遣いに敏感な多くの一般の納税者県民が行政に物申したら、いつ何時、見せしめの仕打ちを受けるかもしれないからです。

 なぜ、知事や群馬県は、県民からの耳の痛い意見にブロックをかけて背を向けたり、無視したりするばかりか、発信者個人に対しても攻撃をするようになったのでしょうか。このような県民の知る権利をないがしろにする知事や行政の行為が果たして適切であったのかどうか、疑問点や課題をあきらかにすべく、当会としては公開質問状などを通じて、知事や群馬県に対して意見を求めていくべきと考えています。

 もちろん、これまでも当会として公開質問を知事や群馬県に対してなんども出したことがありますが、真摯に回答をしてもらったことは少ないように記憶しています。本当に県民の声を聴く姿勢があるのかどうか、公開質問を通じて確かめることも有益と考える次第です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報
**********群馬県HP
https://www.pref.gunma.jp/07/b2100542.html
群馬県Twitterアカウント運用方針について
 群馬県では、インターネットを活用し、県政情報をより広く県内外に発信するため、ツイッターに群馬県公式アカウントを開設しています。
 なお、当アカウントの運用については、「群馬県Twitterアカウント運用方針」に基づき行います。
<アカウント情報>
 名前:群馬県
 ユーザー名:GunmaPref_koho
 URL:https://twitter.com/GunmaPref_koho (群馬県Twitter(外部リンク))
<群馬県Twitterアカウント運用方針>
1 目的
 本方針は、群馬県Twitterアカウント(@GunmaPref_koho)の運用に関する事項について定めたものです
2 基本方針
 @GunmaPref_kohoは、群馬県公式ホームページ(以下県ホームページ)等の情報をより広く発信し、多くの方にお知らせすることを目的とします。
3 運用方法
 @GunmaPref_kohoは、群馬県知事戦略部メディアプロモーション課及びG-SNSチームが以下のとおり運用することとします。
(1)主な発信情報
 次に上げるもののうち、県民の生活や群馬の魅力発信などに関する情報
   県ホームページの新着情報、注目情報
   県公式外部サイト等の新着情報
   知事の活動に関する情報
   県が広く周知すべきと判断した情報
(2)運用体制
 運用者はメディアプロモーション課職員及びG-SNSチームとします。
 運用管理責任者はメディアプロモーション課長とします。
 運用時間帯は、原則として、月曜日から金曜日までの8時30分から17時15分までとします(祝祭日及び年末年始を除く)。ただし、それ以外の時間にも必要に応じて情報を発信することがあります。
(3)他アカウントのフォロー等
 原則として、フォロー、リツイート、返信は行いませんが、国・地方公共団体又は公共性の高い機関のアカウントについて、必要に応じて実施することがあります。
 また、県が広く周知すべきと判断した情報について、リツイート等をすることがあります。
4 注意事項
 当アカウントへ宛てた質問等への回答は行いません。各ツイートで紹介している情報については、リンク先ページに記載のある部署へお問い合わせください。その他の群馬県へのお問い合わせ等は、県ホームページの「ご意見・ご質問」をご利用ください。
 当アカウントに対し、公序良俗に反する返信やダイレクトメッセージ等を繰り返し行うアカウントや、その他群馬県が不適切と判断したアカウントについては、予告なくブロックする場合があります。
5 免責事項
 群馬県は、利用者が当アカウントの投稿内容を用いて行う一切の行為及びそれに関連して生じた一切のトラブル又は損害について、何ら責任を負うものではありません。
6 運用方針の周知・変更等
 本方針の内容は、県ホームページに掲載し、周知します。また、本方針は必要に応じて予告なく変更することがあります。

**********東京新聞2022年4月1日06:00
4月発足「サイバー警察局」に学者ら懸念の声 警察庁初の「直接捜査」に「戦後警察の骨格変わる」 

警察庁が入る中央合同庁舎第2号館=東京・霞が関で
 深刻化するサイバー犯罪に対応するため、警察庁に4月1日、「サイバー警察局」が発足する。「重大サイバー事案」について直接捜査する「サイバー特別捜査隊」も設置。デジタル社会の進展でサイバー犯罪のリスクが増す中、高度なサイバー攻撃に対応し、海外の機関と連携することを目指す。
 皇宮警察本部を除き、国の機関である警察庁が直接捜査を行うのは初めて。戦前の国家警察への批判もあって、戦後は犯罪捜査を都道府県警が担ってきており、警察制度の大きな転換点となる。
 サイバー事案にはこれまで、生活安全局や警備局、情報通信局に分かれて対応してきたが、サイバー警察局(約240人体制)に業務を集約し、捜査指導や解析に当たる。情報通信局はなくし、警察通信の整備などを担ってきた部署は長官官房に移し、技術政策を統括する。
 特別捜査隊(約200人体制)は関東管区警察局に設置するが、全国を管轄する。国や地方自治体、重要インフラに重大な支障が生じたり、海外のサイバー攻撃集団が関与したりした場合を「重大サイバー事案」とし、捜査対象とする。国際共同捜査にも乗り出す。国の機関が捜査することを受け、国家公安委員会に苦情を申し出ることができる規定をつくった。
 警察庁によると、全国の警察が摘発したサイバー犯罪は2021年に初めて1万件を超え、身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウエア」による被害などが深刻化している。
 一方、足立昌勝・関東学院大名誉教授ら刑法や憲法学の学者と弁護士の有志113人は30日、サイバー警察局・サイバー特別捜査隊の創設に反対する共同声明を発表。「戦後警察の骨格であった自治体警察を中央集権的な国家警察に変えるとともに、海外での警察活動を容認するものであり、絶対に許されない」と批判した。

**********群馬テレビニュース2022年4月1日18:37
群馬県警「サイバーセンター」など4つの組織を新設 サイバー捜査一元化は全国初

 群馬県警は、年々増加するインターネットなどを悪用したサイバー犯罪の捜査を強化するため新たに「サイバーセンター」などを設置しました。
 新たに設置されたのは、サイバーセンターや刑事部組織犯罪対策統括官など4つの組織です。県警本部で行われた合同発足式には、千代延晃平本部長をはじめ、新しい組織に配属された職員など11人が出席しました。
 新設されたうちのひとつ、サイバーセンターは、多発するサイバー犯罪に対応するためこれまでの関連部署をまとめたものです。サイバー捜査などを一元化した組織は、全国でも初めてです。
 県警によりますと、去年のサイバー犯罪の相談件数は3411件で、3年連続で過去最多を更新しているということです。センター長を新たに置き、30人体制で、サイバー犯罪の捜査をすることで、県民が安心して利用できるサイバー空間の実現を目指します。
 千代延本部長は「それぞれの使命を深く認識し、安全・安心を誇れる群馬県の実現に向け全力を尽くしてほしい」と訓示しました。県警では、新たに発足した組織により、さらなる体制の強化を図ります。
**********

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前橋地裁におかれている地方裁判所委員会について、地裁総務課にヒヤリング

2022-08-27 01:16:08 | オンブズマン活動

前橋地裁本館。総務課はこの5階。

■当会会員がネットで調べものをしていたら、地方裁判所には地方裁判所委員会というものが存在することが判りました。同委員会には規則があり、第1条として「地方裁判所の運営に広く国民の意見を反映させるため、地方裁判所委員会を置く。」とあります。第4条を見てみると、委員は学識経験者、弁護士、検察官、裁判官しかなれません。

 当会会員は、これで果たして「国民の意見」を反映される布陣なのか、という疑問を呈しています。当会の他の会員の皆さんにこのことを伝えたところ、とりわけ、行政相手に本人訴訟をしている方々は、口をそろえて、「これでは地裁の運営は、広く国民の声とは縁遠いはずだ」と妙に納得されています。

 筆者も、迂闊ながら、この情報を知るまで、地裁に委員会が設置されていることすら知りませんでした。さっそく8月26日の午後4時過ぎに前橋地裁5階の総務課を訪れてヒヤリングを試みました。

■ちなみに、地方裁判所委員会規則は以下のとおりです。原文は縦書きとなっています。

**********平成十五年四月二日最高裁判所規則第九号
          地方裁判所委員会規則
 (設置)
第一条 地方裁判所の運営に広く国民の意見を反映させるため、地方裁判所に地方裁判所委員会(以下「委員会」という。)を置く。
 (所掌事務)
第二条 委員会は、当該委員会を置く地方裁判所の運営(その管轄区域内の簡易裁判所の運営を含む。)に関し、当該地方裁判所の諮問に応ずるとともに、当該地方裁判所に対して意見を述べるものとする。
 (組織)
第三条 委員会は、委員十五人以内で組織する。ただし、最高裁判所が必要と認める場合には、二十五人に達するまで委員の数を増加することができる。
 (委員の任命)
第四条 委員は、次に掲げる者のうちから、第二条に規定する地方裁判所が任命する。
一 当該地方裁判所の管轄区域内において居住し、又は執務する学識経験者
二 当該地方裁判所を設立の基準とする弁護士会に所属する弁護士
三 当該地方裁判所に対応する地方検察庁又は当該地方裁判所の管轄区域内の簡易裁判所に対応する区検察庁の検察官
四 当該地方裁判所又はその管轄区域内の簡易裁判所の裁判官
 (委員の任期等)
第五条 委員の任期は、二年とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 委員は、非常勤とする。
 (委員長)
第六条 委員会に委員長を置き、当該委員会の委員の互選により選任する。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
 (部会)
第七条 委員会は、その定めるところにより、部会を置くことができる。
2 部会に属すべき委員は、委員長が指名する。
3 部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する。
4 部会長は、当該部会の事務を掌理する。
5 部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。
6 委員会は、その定めるところにより、部会の議決をもって委員会の議決とすることができる。
 (庶務)
第八条 委員会の庶務は、第二条に規定する地方裁判所の事務局総務課において処理する。
 (雑則)
第九条 この規則に定めるもののほか、議事の手続その他委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が委員会に諮って定める。
附則
この規則は、平成十五年八月一日から施行する。
**********

 また、現在の前橋地方裁判所委員会の委員は次の14名の方々です。 

*****委員(五十音順,敬称略)***** 
①青柳 恵一:群馬テレビ株式会社報道局長
②岩﨑 泰人:株式会社群馬旅行(群馬バスグループ)代表取締役社長
③小渕紀久男:株式会社上毛新聞社編集局長
④釘島 伸博:弁護士法人釘島総合法律事務所弁護士・公益財団法人群馬県暴力追放運動推進センター理事長
⑤小磯 正康:小磯正康法律事務所弁護士
⑥齊藤 啓昭:前橋地方裁判所所長
⑦佐藤 裕子:群馬県生活文化スポーツ部人権男女共同参画課課長
⑧杉山 順一:前橋地裁部総括判事・前橋家裁部総括判事・前橋簡裁判事
⑨田口 智彦:群馬県立伊勢崎東高等学校校長
⑩田尻 洋子:一般社団法人群馬県女性薬剤師会会長・群馬県社会福祉審議会委員・群馬県女性団体連絡協議会(群馬県ぐんま男女共同参画センター気付)
⑪樋口  努:群馬県商工会連合会専務理事・公益財団法人群馬県暴力追放運動推進センター評議員・群馬県商工政治連盟会計責任者・自由民主党群馬県商工政治鮮明支部会計責任者・群馬県商工会連合会専務理事・(元)群馬県立農林大学校長・(元)群馬県交通政策課課長
⑫三澤紘一郎:群馬大学教育学部准教授
⑬山口 英幸:前橋地方検察庁検事正
⑭山崎  威:前橋地裁部総括判事・前橋家裁部総括判事・前橋簡裁判事
**********

 以上のように15人以内の14名で構成されている前橋地裁委員会のメンバーですが、内訳をみると、学識経験者として7名、弁護士関係として2名、検察関係が1名、裁判官が4名となっていて、一見、学識経験者が半数を占めているように見えます。

 ところが、実際には、学識経験者7名のうち、地元メディア関係者が2名、行政関係者(OBを含む)が3名おり、純然たる民間人は2名しかいません。

 これでは、前橋地裁委員会が民主的に運営されているというのは、単なるポーズでしかありません。また、委員会の開催は、規則によれば、1年に2回程度ですが、令和2年はコロナ感染拡大の為か、一度も開催されませんでした。

 このため、委員の人選や、議題の選定は、いったい誰が決めているのかも疑問です

■地裁本館5階で、総務課に入り、「地裁に委員会が設置されていると思うのですが、このことについてお聞きしたいのでどなたかお願いします」と伝えると、ちょうど、目の前にいた女性職員の方が、「私が担当しています」ということで、話を聞くことが出来ました。

 最初に当会から「このような委員を選考しているのは誰ですか」と質問したところ、担当職員は「第2条の規定により裁判所が決めます」と答えました。当会は「裁判所のどなたですか。総務課ですか」と再度確認を求めたところ、「裁判所のトップです」というので、「では、裁判所の所長さんということですね」と念を押したところ、軽く頷いたので、所長が人選することが判りました。

 各委員の任期は2年ですが、再任は妨げないということで、理論的には最長無制限ということも言えます。当会から「任期は2年ということですが、いつからいつまで、つまり、後継や補充のための委員人事は、いつ行うのでしょうか。たとえば、各年度末ないし年度初めなのでしょうか」と質問したところ、「とくにそういう決まりはありません」との回答でした。つまり、4月1日をもって、任期がスタートするのかどうかすら、わからないとのことです。実に、アバウトな組織だということがうかがえます。

 いずれにしても、委員の選考がこのようなありさまですので、委員会の開催時期も、議題もどのようにして決めるのか、さっぱりわかりません。おそらく総務課がいきあたりばったりでやっているのでしょうが、民主的に運営されているというポーズをとっていれば、それに越したことはないと思っているのかもしれません。

■最後に、一番気になっていた委員の内訳で、偏りが見られることについてオンブズマンとして以下のコメントを差し上げました。すなわち

「メディア関係者や行政関係者を学識経験者に含めているのは、国民の理解が得られないと思います。ですので、報道関係の①③及び行政関係の⑦⑨⑪、さらに既に行政の審議会などのメンバーである⑩の方々は、今の任期が切れたら再任せず、後任は、学識経験者の定義にもどり、各専門分野の学問的業績に対し、相当程度以上の評価を得、かつ社会的にも見識を認められるような経験豊かな人のなかから、慎重に選考するよう、所長さんによく伝えてください」と申入れをしました。

 これに対して、地裁総務課の担当者は「オンブズマンさんの考えに基づくご提案として承っておきます」として、前橋地裁の齊藤所長に伝える姿勢を示しました。

■このところ、当会が提起した行政訴訟や住民訴訟の事案について、立て続けに門前払いの却下もしくは棄却判決を、当会関係者に言い渡している前橋地裁の裁判長裁判官ですが、行政の不正はきちんと公平、公正に裁いてもらう姿勢を裁判所が示さない限り、行政による不当・不正・不法行為はいつまでたっても根絶されず、納税者住民にそのしわ寄せが押し付けられることになります。

 引き続き微力ですが全力で公正・公平・透明な司法実現に向けて取り組んでまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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ブログ移設のお知らせ

2022-06-26 00:00:00 | オンブズマン活動
 2007年2月から15年余りにわたり当会のブログをご愛読いただきありがとうございます。
 当初はAOLのブログサービスを利用していましたが、その後2009年に現在のteacup.に移転し、これまで行政の知られざる闇をはじめ、世情の暗部を様々な角度から掘り下げるとともに、住民訴訟を通じて我が国の司法の後進性を検証し、のべ116万4618回(2022年6月26日午前0時現在)を超える閲覧を賜りましたことは、当会の最も喜びとするところです。
 このたび、GMOが提供してきたteacup.のブログが遺憾にも2022年8月1日(月)13:00をもって、ブログサービスを打ち切るとの通告がありました。
 そのため、現在、以下に示すgooブログへの移行作業を進めております。

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg

 技術的な問題によりまだ完全な移行には至っていませんが、引き続き完全移行を目指して作業を進めてまいります。
 それでも、すでに相当部分は移設を完了しておりますので、ぜひこれまでの当会の活動をご確認ください。
 そして、今後とも当会のブログをご愛読くださるよう、当会事務局関係者一同、切にお願い申し上げます。

  市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬事務局関係者一同より

【8月1日追記】
 Teacupにおける当会のブログは8月1日13時13分に閉鎖されました。その時点での総アクセス数は1185550でした。引き続きこちらのブログにてご愛読のほどお願いします。

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高齢化社会と行政の役割・・・神奈川県の三浦市で起きた行政ハラスメントの実態報告

2022-02-18 23:12:00 | オンブズマン活動


■現在、日本で進行している社会現象として必ず挙げられる少子高齢化。96歳の母親を持つ筆者も今年古希を迎えますが、この高齢化率の定義は0~14歳を年少人口、15~64歳を生産年齢人口、65歳以上を高齢者人口とした場合、総人口に占める高齢者人口の割合を指しています。そして、高齢化率が7%以上を高齢化社会、14%以上を高齢社会、21%以上を超高齢社会と呼びならわしています。
 総務省が2020年に行った国勢調査の確定値によると、我が国の総人口は1億2614万6099人で、そのうち65歳以上は3533万5805人で、高齢化率は28.01%、平均年齢は47.66歳でした。上述の基準に当てはめると、我が国は完全に超高齢社会に突入している状況にあると言えます。
 こうした中、神奈川県の三浦市で、病の父親を介護する54歳の息子さんから、行政による差別的な不正行為とも言える事件に巻き込まれた状況について、情報提供がありました。


三浦市役所本館

■事件の概要

 息子さんは一人っ子のご長男で一人暮らしの父親(2018年末、86歳にて死去)がおりました。しかし市役所の不可解な言動や、地域包括支援センター (高齢者の暮らしを地域でサポートするための拠点として、自治体などにより設置されている機関) の個人情報漏洩など、違法性をもつのではないかとみられる行政側の言動があり、市役所らの意向により息子さんの父親は数年間、病気治療が受けられない状態が続いてしまい、2018年の暮れに高齢者ドライバーの運転する軽自動車と交通事故にあい亡くなってしまいました。

 この件の問題点は以下の4点ではないか、と息子さんは考えています。
①地域包括支援センターによる個人情報漏洩
②深刻な薬物依存であるアルコール依存症への認識不足
③市役所などによる特定の市民納税者個人に対する実質的な差別・虐待(偏見)
④全国いたるところどこの地方にもある特異な地縁・血縁の弊害



地域包括支援センターは三浦市の特別養護老人ホーム「はまゆう」内にある。

■背景と発端

 息子さんと、息子さんが介護するはずだった父親の身の上に起きた件は、息子さんたちが昔から暮らしてきた神奈川県の三浦市で起きました。今回の件がもとで父親は亡くなり、息子さんは「社会的な信用」も失い、人生も大きく変えられてしまいました。

 今から11年前の2011年当時、息子さんは両親と同居し、病身の母親を息子さんが介護していました。息子さんの父親はアルコールを飲むと暴力をふるうなどのDV問題があり、母親は闘病中も夫からDVを受けていました。

 同年6月、残念ながら母親が亡くなり、相談相手を失った息子さんは、アルコールの問題を抱える父親の生活について、地域包括支援センターに相談しました。その直後、父親が体調を崩したため、地域包括支援センターと市役所職員に久里浜アルコール症センター(現・久里浜医療センター)へ父親を入院させるための手配・同行をしていただきました。そして父親は久里浜アルコール症センターに入院しました。


独立行政法人国立病院機構の久里浜医療センター。昭和38年に日本で初めてアルコール依存症専門病棟を設立し、以来、現在までアルコール依存症の専門治療を行っている。

 息子さんの父親はアルコール依存症だけでなく、アルツハイマー型認知症と食道ガンがあると診断されたため、久里浜アルコール症センターで初期治療を受けたあと、同センターに紹介された公立病院で食道ガンの本格治療を行なうために入院することになりました。そして、退院後に老人介護施設に入所して、息子さんと介護施設と久里浜アルコール症センターとが連携しながら、父親のアルコール依存症と認知症の治療を進めるという方針が決まりました。

 ところが以前から「不可解な言動」をとる父親の妹弟 (きょうだい) の存在があるため、息子さんは父親の入院に対して久里浜アルコール症センター入院中と同様に、入院の前から公立病院側に注意をお願いしていました。しかし、それにも関わらず、公立病院の不注意から、父親の退院日時の情報が妹弟に漏れてしまい、父親は妹弟に連れ去られてしまったのです。

 息子さんの父親を支配した妹弟は、父親を連れて年金事務所や銀行を訪れ、父親の年金口座を確認し、父親を連れ去った後に新たに作った銀行口座に父親の年金の振り込み先を変えたり、他の銀行では「通帳と印鑑をなくした」と父親に言わせて貯金を下ろしたり、父親名義の生命保険を解約しようと企てました。

■事件にまつわる4つの問題点

 このような事態を招いた背景について、息子さんは上述のとおり以下の4つの問題点があると考えています。

①地域包括支援センターによる個人情報漏洩

 このような事態に至ったのは、地域包括支援センターが、父親の久里浜アルコール症センターへの入院直後に息子さんの許可なく、父親の妹弟らに迫られ、「ご親族はお父さんの妹弟です」と勝手に判断し、息子さんの支援センターでの相談内容などの個人情報をコピーして手渡してしまったことが発端でした。この情報漏洩を息子さんが知った経緯は“受け取ったコピーを息子さんの父の妹弟が息子さんの自宅の近隣の家に持って回る騒動”を起こしたことで判明しました。明らかに同支援センターによる個人情報の漏洩です。

 この最初の軽率な対応が、父親の妹弟の身勝手な言動を煽る原因となりました。また同支援センターは、父親の病状を了解しているにも関わらず「息子さんと、お父さんの妹弟、どちらの言っている事が本当なのか分からない」「ご妹弟の許可を頂けなければ何もできません」とも発言しています。息子さんは「父親の妹弟と接触した後の支援センターのこうした言動は、とても高齢者の暮らしを地域でサポートするための拠点として設置された機関の危機管理体制とは思えません」と地域包括支援センターのずさんな個人情報の管理体制に憤りを感じています。

②アルコール依存症への認識不足

 地域包括支援センターを取り込んだ妹弟は、今まで以上に悪質な言動をエスカレートさせました。妹弟の言動に苦しめられた息子さんは、心配するご近所のかたからも励まされて、金銭トラブルでも知られた妹弟も加わっているので、保健所や人権擁護委員にも相談しました。また、人権擁護委員からの助言もあり、妹弟の言動や起こった出来事についての記録を取り、父親が妹弟に連れ去られた際は、地元の司法書士の支援を受けて「成年後見人制度」も申し込みました。

 成年後見人制度というのは、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々にとって、財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割協議などの相続手続など)や身上保護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為をひとりで行うのが難しい場合や、自分に不利益な契約であることがよくわからないままに契約を結んでしまい、悪質商法の被害にあうおそれもあることから、このような判断能力の不十分な方々を法的に保護し、支援するための制度です。成年後見制度には、法定後見制度の他、任意後見制度があります。

 しかし息子さんは、父親本人に代わり財産管理と身上監護に関する、法律行為を行う者(成年後見人)として選任されるため、長男として申し立てを行ったのにもかかわらず、申し立ての最中に一度も発言の場を与えられることはありませんでした。

 それどころか裁判所は、アルコール依存症を患う父親の状況を軽んじて、父親を支配している妹弟の言い分を中心に成年後見人制度の手続きを進めてしまいました。父親の主治医でもある久里浜アルコール症センターの医師が「私が鑑定をします」と書類に署名していても、裁判所は「鑑定医を代えます」と言いだし、息子さんが「鑑定医はアルコールの専門医にして下さい」と裁判所にお願いしても、裁判所はアルコールの専門医に何人も鑑定を断られてしまい、結局アルコール依存症専門の鑑定医を探し出せませんでした。

 あげくに裁判所は、息子さんの父親を鑑定した医師が「高齢で二度とお酒を飲まないと言えるのは立派。現在は妹弟の方の家に同居なさっているので、妹弟の方達のお話で十分。息子さんにお話をうかがう必要はない」と、妹弟からの意見を聞き入れてしまい、アルツハイマー型認知症のアルコール依存症者の成年後見申立とは思えない結果となり、息子さんは成年後見(補佐)の選任を受けられなくなってしまいました。

 裁判所は、成年後見人の申立人の息子さんを置き去りにしたまま、アルツハイマー型認知症のアルコール依存症者の実情を理解しようとせず、必要以上の関わりを強調して主張する妹弟の言動の信憑性に注目することも無く、後見人制度の本来の目的を見失ったかたちで裁定してしまいました。

 その後、息子さんの父親は妹弟に黙って妹弟の家から自宅に戻って来てしまい、酒を飲みだす生活に戻ってしまいましたが、父親の保険証や年金、実印までもが妹弟に持たれたままで、父親の名義の生命保険も(息子さんが自宅を離れた翌月)2014年4月に解約(2020年、弁護士により解約を確認)されてしまいました。息子さんは、そうした一連の事態悪化を防ぐことが出来ず、もし後見補佐が取れていれば、と悔やんでおられます。

③地元市役所などによる差別・虐待(偏見)

 困った息子さんは地元市役所に助けを求めました。ところが、「診断書」があるにもかかわらず、医師でもない市の担当者が、「私は何人もアルコール依存症者を見て来たが、お父さんはアルコール依存症ではありません」と決めつけたのでした。

 市の担当部署は、病を患い支配されている息子さんの父親の言葉を盾に、“診断書”や“家族”を無視して息子さんを排除し、父親に対して法的・社会的に責任を負えない息子さんの従姉(父親の姪)を「父の保護責任者」と勝手に決定してしまいました。それどころか市役所は、長男である息子さんの相談すら受け付けようとせず、あろうことか、息子さんの父親に関する行政窓口での手続きの制限を各部署に“指示”するなど、およそ「ありえない」対応を息子さんに対して執ったのでした。

 息子さんは、更に市内の社協・保健所などの地域資源(自治体、介護事業者、ボランティア団体、NPOなどが提供する介護サービス)にも助けを求めました。ところがこれらの地域資源はいずれも市役所に同調していて、保健所までもが「『何もするな』と市役所から“指示”が出ています」と放置する始末でした。このように、地域資源の中ですら、息子さん父子が直面している事態についての行政対応が問題視されることはなく、何ら変化・改善が見られることはありませんでした。また地域資源からは、不適切な対応についての陳謝もありませんでした。

④全国至る所どこの地方にもある特異な地縁・血縁の弊害

 こうした市役所らの対応に疑問を抱いた地元の司法書士は、2012年当時、市の社協主催の“成年後見受任関係団体情報交換会”で、「息子さんの件を議題に取り上げましょう」と地域包括支援センターに持ちかけて、一度は議題に決まった経緯がありました。

 ところが地域包括支援センターは、情報交換会当日に突然、「準備不足」を理由に息子さんの件を議題から取り下げてしまい、その後二度と情報交換会で取り上げられることはありませんでした。仮にこの会議で息子さんの件が取り上げられていれば、市役所など地域資源の抱く“先入観”に対して、外部からの目や客観的な意見などで、常軌を逸した妹弟の言動を止められ、改めることが出来たのに、と悔やまれます。

 そもそも、市の社協主催の成年後見受任関係団体情報交換会は、このような困難な事案について話し合う会議であるべきです。ところが、息子さん父子の共倒れを防ぐ機会は、地域包括支援センターにより、情報交換会から取り下げられてしまい、息子さん父子の抱える問題は「うやむや」にされてしまいました。なぜ取り上げなかったのか、その理由は未だに釈然としません。

 「早く成年後見など、法的にするべきだ」と、専門家である地元の司法書士が訴える状態であるのに、実態はこのありさまです。市役所や地域包括支援センターは、息子さんの父親の久里浜アルコール症センターへの入院の「手配・同行」を行い、入院中の父親に面会しているのですから、父親の病状は了解していたはずです。ちなみにその後、「成年後見受任関係団体情報交換会」は、開催回数も減り、現在は自然消滅しています。

 上述のような一連の市内での出来事に直面した息子さんは、父親を支配している妹弟の言動と同調しているかのようだと、違和感を覚えています。そのようなときに、地元司法書士から、父親の妹弟の親戚で地元市役所に勤務している人物が「(息子さんの)父親の妹弟から実は相談を受けている」ことを知らされました。

 今回の件で息子さんを支援している地元司法書士は、地元地域の土地柄について、こう述べています。

 「この地域は、このあたりの他の町に比べて地域の連帯が強い土地柄です。近隣の旧家では今でも隣組があり、冠婚葬祭等は必ず協力しています。住民同士も知り合いが多く、地縁血縁も濃厚です。これは地域で生活する上で暖かい潤滑油として機能します。ただ、その一方で、親族間で揉め事などが起きてギクシャクしたときは、こうした結び付きの強さが裏目に出ることにもなります。古くからの住民で行政機関に勤務している人も少なくないので、福祉のことなどで行政に相談に行くような場合、担当の職員が知り合いだったり親族だったりすると、担当の職員が気持ちの上でやや引けてしまい、本来の対応が出来なくなることもあります」

■この結果、「支援・相談」を求めても、市役所をはじめ市内の社協・保健所などの地域資源の不可解な言動によって、市内における支援を失った息子さんは、父親を治療に繋ぐための活動のほか、父親の銀行預金の管理や保険の継続に加え、問題解決のための支援探しなど、成年後見制度も使えないまま、次々に起こる事態の収拾に追いまわされるはめに陥ってしまいました。息子さんは、アルコール依存症が“再発”してしまった父親とともに、身動きが取れなくなりました。

 何も出来なくなった息子さんは、支援者の方からの助言も受けて、不本意ながら父親を残して、2014年3月、自宅を離れることにしました。

 父親は、市役所ら地域資源の意向により、治療も受けることなく、アルコールを好きに飲み、父親の妹弟に支配されて生活する事になりました。この状況は息子さんの再就職活動にも影響しました。さらに息子さんは、働くための環境作りで父親の介護について疑問を抱かれ、面接で酷い質問を繰り返され、就活への向き合い方にまで注意を受けることとなり「介護に振り回される息子」と判断されてしまい、精神的にも辛く追い込まれ、その日常は困難を極めています。

 息子さんは、市役所など地域資源を始め冒頭の公立病院に対して、数回「書面での説明」を求めましたが、その回答は“あいまい”な内容でした。地域包括支援センターからは一度回答が来たものの、その回答に対して質問を返すと、それ以上の回答は頂けませんでした。そして市役所からは、一度たりとも回答は頂けませんでした。

■そして2018年12月25日 午前9時32分ごろ、息子さんの父親が高齢者の運転する軽自動車にはねられる交通事故に遭い、5日後の30日に亡くなるという最悪の結果に至ってしまいました。

 さらに地元の市役所の対応は、父親のこの緊急事態の時にも弊害と成ったのでした。交通事故に遭った父親の身元がすぐに判らなかった地元警察は、市役所や社協に問い合わせをしました。その際に市役所は、息子さんの連絡先を確認できるのに、「(息子さんの父親の)保護責任者はこの方です」として、息子さんの従姉の連絡先を答えただけでした。

 肉親の安否について一刻を争う際にも、三浦市役所は、およそ行政とは思えない言動を繰り返したのでした。そして、警察から息子さんに「お父さんが交通事故にあい危篤です」の連絡が入ったのは、事故発生当日の午後になってからでした。息子さんの父親が「何かあったときは息子に連絡をしてほしい」とかつて交番に伝えていた息子さんの連絡先を、警察がようやく確認した時は、事故発生からすでに数時間以上経っていました。

 その後、2019年6月20日、息子さんの事件について協力いただいている地元の市議会議員に同行してもらい、息子さんは地元市役所に「情報開示等請求書」を提出しました。しかし、その際にも市役所からは、父親の成年後見人ではないなど制限を受けて、法定相続人であっても自分自身の個人情報開示請求しか許可されませんでした。

 その結果として息子さんに開示された書類は息子さん自身の個人情報であるにもかかわらず、黒く塗りつぶされた部分がたくさんありました。その一方で、黒塗りされていない部分には、以前に息子さんが市役所など地域資源に送った「書面での説明」について、市役所を中心に市内の地域資源が集まり話し合った記録もありました。しかし、その記録から、息子さんの事件について、誰ひとり疑問を抱くこともなかったことが分かりました。

 また息子さんのことを、“隠語”のような表記で書類に記載し、処理していたことも明らかになりました。さらに息子さんが父親の年金を当てに生活を考えている様にもとれる記載や、事実確認もせず息子さんのことを「主の病状に問題がある」と、息子さんを“病人扱い”している記録も確認できました。

 そこでさらに、息子さんは、上記の地元市議会議員の力添えを引き続きいただきながら、前回開示されなかった息子さんの個人情報に加えて、父親のケース記録 (当会注:介護記録・ケース記録とは、介護サービス事業者が利用者にどのようなサービスをしたのかを記録した介護経過記録のことをいいます、介護保険法では、介護記録の作成と保存が義務付けられています) 、まだ開示されていない情報など、家族を破壊し父親が交通事故で亡くなるに至った行政の言動を追及するために、市役所に対して情報開示請求をしたのでした。ところが、不十分な開示結果であったため、それらの非開示処分に関して息子さんは、地元市議会議員と市役所に審査請求を行いました。すると、審査会(第三者委員会)が、2020年3月から開かれ、同10月に終了したので、市役所より翌11月に裁決書が届きました。

 その裁決書の中で、市役所は、「情報開示をしない」とする決定をくだしました。その結果、市役所は、息子さんの父親のケース記録はもちろん、息子さんの黒塗りの個人情報、まだ開示されていない息子さんの個人情報なども含めて、息子さん自身が自分の個人情報を確認できない状態にしてしまいました。つまり、今回の件で息子さんが市役所に対して、何故このような事になったのか、不服申立をする機会をも奪われてしまったわけです。

■「事実と解釈」、地元市役所ら地域資源は、行政と言う公の立場で、息子さんの父親の病を軽んじ、息子さんを排除し、事実確認を怠り、診断書や家族などを無視して先入観で誤った解釈のまま疑問を抱かず突き進みました。

 この事件を放置してしまえば、息子さん父子の共倒れは容易に想像がつくと考えた地元市役所ら地域資源は。地元司法書士の警告も聞き入れず、息子さん父子に対し、地域包括支援センターや保健所までもが加わり、アルコール依存症の父親にアルコールを飲める環境を与え、息子さんの計画をしていた父親の治療の妨害を推し進めました。

 息子さん父子の共倒れを、あたかも楽しむかの様なこうした仕打ちは、およそ行政とは思えない言動です。こうした仕打ちを繰り返し受けた息子さんの父親は交通事故に遭い、息子さんは人生を大きく狂わされてしまいました。息子さんは、行政に対して書面にて説明を求めても、行政は息子さんに回答しようとせず、責任逃れをはかるために情報開示すら拒み続けました。

 息子さんが支援を受けている、元ジャパンマック(多様な依存症からの回復の手助けをする民間の依存症リハビリテーション施設)のワーカーによると、「アルコール依存症は“否認の病”ともいわれ本人は病気を認めたがらない傾向にあり、否認、現実逃避、自己中心、刹那主義、などの傾向がよくみられます」とのことです。そのうえ父親はアルツハイマー型認知症も患っています。

■ここまで述べてきたこの事件の経緯に関して、市役所や地域包括支援センターへの呼びかけなどで息子さんを支援している地元司法書士は、「メディアの方の取材を受けても良いです」と息子さんに伝えています。しかし、メディアはなかなかこうした行政の事務事業に関する事件についてとりあげようとしません。

 息子さん父子が受けた、三浦市役所ら地域資源による不可解な言動から浮き彫りになったことは、住民目線とは異質の行政対応の問題性です。アルコール依存症は、ただの「酒飲み」ではなく、その他の依存症と同様に、当事者の家庭を破壊するほどの深刻な依存症のひとつです。

 息子さんが何度と訴えても取り合わず、息子さん父子家族を破壊する対応を続けた行政のことを、息子さんは決して許すことができません。

■この問題を寄せていただいた当会では、昨年末に実際に息子さんと面談する機会がありました。

 息子さんの在住する神奈川県内のオンブズマン組織では、こうした個々の住民が行政から酷い仕打ちを受けている事案はなかなか取り上げてもらえないということで、群馬県外での事件にもかかわらず、群馬県で活動する当会に情報提供をいただきました。

 少子高齢化が世界トップクラスの速度で進行する我が国において、息子さんの直面しているこの事件は、現在の介護福祉行政が陥りかねない問題を提起していると言えるでしょう。

 引き続き当会は、この問題を広く社会に伝えるために微力ながら支援を惜しまぬ所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※この記事には続報があります。ぜひ、続報もご覧ください。↓
○2024年9月17日:【続報】高齢化社会と行政の役割・・・神奈川県の三浦市で起きた行政ハラスメントから見えて来る行政の堕落




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