市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

赤城大沼のらんたん祭りイベントに群馬県台湾総会も参加・・・好評を博した文化体験コーナー

2023-08-06 22:27:08 | 国内外からのトピックス

赤城山の夏まつり 600個のランタンや台湾文化楽しめるコーナーも 群馬・前橋市(23/08/05)

群馬テレビ:https://www.youtube.com/watch?v=vWVUggyPLzk

 

■昨年に引き続き、今年も赤城山大沼湖畔でらんたん祭りが8月5日(土)と6日(日)にかけて開催されました。群馬県台湾総会も、文化体験コーナーを担当し、午前10時から午後3時まで、台湾式の習字とウーロン茶の淹れ方の体験を来場者の皆さんに楽しんでいただくために、数日前から準備を進め、当日朝、会場となった赤城山の覚満淵に流れ込む覚満川のわきに設置されたブースで、待機しました。

 

 朝8時に安中を出発したのですが、赤城山に登る道路は、すでにかなり混んでいて、ヒルクライムの練習中とみられるサイクリストのかたがたにも大勢すれ違いました。9時半すぎに現地に到着して、さっそく準備作業を開始しましたが、10時のスタートを前に、ブースに立ち寄る来場者もいらっしゃいました。

 

 海抜1345メートルの大沼は、麓の前橋市街地より10度は気温が低いと言われていますが、それでも日中は28度くらいとなり、日陰はまずます快適ですが、直射日光を受けるとかなり肌への刺激は答えます。

 

 筆者は、台湾式習字を担当しました。用意したのは、赤色の半紙で、一辺20センチの正方形をした半紙と、幅20センチ長さ1メートルの細長い半紙、それに毛筆、墨汁です。1人300円で、正方形の半紙1枚と、細長い半紙2枚に好きな文字を書いてもらいました。

 

 なぜ、赤色の用紙を使うのですか?という質問が多く寄せられました。めでたい色とされている赤い紙に金色や黒色で縁起の良い字を書いたものは、主として店舗や家の入口の左右に貼り、邪気を払って福を呼び寄せるための縁起物として台湾をはじめ中華圏では一般的です。中華圏の場合、赤色がめでたい色とされており、赤い紙に金や黒の字で書かれています。

 

 正方形は「斗方」と呼ばれ、この半紙を45度傾けて菱形に配置し、そこに「春」「福」「寶」など1文字を書きます。台湾の店舗や民家を訪れると、時々「春」や「福」が逆さまに貼られた状態のものを見かけますが、それは「春倒了(春をひっくりかえす)」が「春到了(春がやってくる)」と同じ発音になることと、春や福は天から地上に向かって降りて来るため、という説明を聞いたことがあります。

 

 細長い形をした半紙は「春條」と呼ばれています。「條」は細長いものという意味があります。この半紙には、主に4文字を書き入れますが、もちろん、それ以上の文字でも構いません。

 

 この「春條」は、入口の両側に2枚1組で使用されますが、縦長の赤い紙を「春聯」とも言います。

 

■漢字の習字というと、台湾の人は全員字が上手と思われがちですが、今回、来場いただいた参加者のかたは、大変上手な人はもちろん、子どもたちも概ね綺麗な字でした。やはり学校で、書道の「とめ」「はね」「はらい」といった基本的な運筆を習ったためと思われます。

 

 他方、台湾の人は、文字は全部漢字で表現するため、早く字を書くことが求められ、それに慣れているためか、いわゆる、くずし字のような漢字をすらすら書くのが得意です。なので、我々、書道の基本を学校でがちがちに教えられている日本人には、台湾の人が書く漢字がたいへんカッコよく、よけい上手に見えるのは無理もありません。

 

 習字体験コーナーでは19組の方においでいただきました。また、ウーロン茶淹れコーナーでは、48組のかたに体験していただきました。

 

 来場者の中には、6月30日~7月2日に道の駅「まえばし赤城」で開催した「台湾フェア」と、7月8日~9日に県庁1階県民ホールで開催した「台湾フェア」に続いて、今回の赤城山らんたん祭りでも台湾のイベントがあるというので、「楽しみにしていた」とおっしゃる声もありました。大変喜ばしいことです。

 

 文化体験コーナー以外にも、台湾に関係した物品販売も行い、すべて完売しました。来年も声をかけていただければ、ぜひ参加したいと思います。

 

【群馬県台湾総会書記からの報告】

 

※関連報道記事

**********高崎前橋経済新聞2023年08月02日

前橋「赤城山らんたん祭り」今年も ランタン600個、台湾料理12店

台湾の伝統的なスイーツ「豆花」。写真は「風の庵」(600円)

 赤城大沼河畔で8月5日、「赤城山らんたん祭り」が開催される。「赤城山夏まつり」(5日・6日)と同時開催。

 ランタンは台湾・台南市の子どもが作り、観光協定を結ぶみなかみ町に贈られたもの。陽の落ちた山に灯されたランタン。昨年、大きな告知は行わなかったが想定を超える集客となった。

 ランタンの数は昨年同様の600個。台湾料理を提供する店舗は9店から12店に増えた。

 メニューは「大根餅」(660円、みやま山荘・新)、「ダージーパイ」(700円、もとき亭・新)、「豆花」(600円、風の庵・新)、「胡椒餅」(500円、Hutte Hayashi)、「台湾カステラ」(800円、トレッカーズカフェ)、「大鶏排」(700円、バンディ塩原)、「台湾風マンゴーかき氷」(500円、ボートハウスカフェ)、「豆花」(700円、青木別館)、「台湾風まぜそば」(850円、青木旅館)、「オーギョーチー」(450円、曽山商店)、「小籠包湯」(700円、名月館)、「ルーローハン」(850円、レークセンター赤城)など。台湾料理は5日・6日に提供する。

 ランタンの点灯時間は18時~20時。

 

**********群馬テレビ2023年08月05日

赤城山に600個のランタン 群馬・前橋市

赤城山の夏まつり 600個のランタンや台湾文化楽しめるコーナーも 群馬・前橋市(23/08/05)

群馬テレビ: https://www.youtube.com/watch?v=vWVUggyPLzk

 群馬県前橋市の赤城山で5日から「らんたん祭り」が始まり、約600個のランタンが訪れる人たちの目を楽しませています。

 この祭りは、大正から昭和にかけて旧富士見村の出身者に台湾の台南市の発展に貢献した人がいたことから、赤城山夏まつり実行委員会が去年から始めたものです。

 会場には、交流のあるみなかみ町に贈られた台南市の子どもたちが絵付した約600個のランタンが飾られました。また、習字や烏龍茶の淹れ方など台湾の文化を体験するブースや、台湾グルメが楽しめるキッチンカーなども並びました。

 輪投げやビール瓶を立てるゲームを楽しめるブースは、来年1月に成人式を迎えるメンバーが、新型コロナの影響で希薄化した交流を取り戻そうと企画しました。また、ブースにはオリジナルの灯籠も用意され、思い思いの願い事が書き込まれています。

 約600個のランタンは夜10時まで点灯され、祭りは6日まで行われます。

 

**********上毛新聞2023年8月6日06:00

赤城山に色とりどりのランタン600個 台湾との縁伝える祭り 群馬・前橋市

あかりがともったランタンに見入る人たち

 台湾文化を楽しむ「赤城山らんたん祭り」(赤城山夏まつり実行委員会主催)が5日、群馬県前橋市富士見町の赤城大沼周辺で開かれた。夜にはランタン600個に明かりがともり、家族連れやカップルが見入っていた。6日まで。

 台湾・台南市の幼稚園児や小学生の作品が並ぶ。防火への願いが発祥とされ、消防士や消防車をモチーフにした絵柄を中心に、ぐんまちゃんや温泉などを描いた色とりどりのランタンが会場を彩っている。

 両親と訪れた伊勢崎三郷小5年の石井佑宜君は「静かな雰囲気できれい」と話した。

 戦中に台南市長を務めた羽鳥又男と台湾の医療に貢献した羽鳥重郎が旧富士見村出身だった縁や、現在に続くつながりを伝えようと、昨年から祭りを実施している。

**********

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【今週末は台南フェア、来週末は台湾フェア】2週続けて台湾に親しめるイベントに注目!

2023-06-29 22:18:51 | 国内外からのトピックス

■県内最大級の7ヘクタールの敷地に3月21日にオープンした道の駅「まえばし赤城」(前橋市田口町、TEL 027-233-0070)で明日6月30日から3日間にわたり「台南フェア」を開催されます。台南フェアは山本龍前橋市長が、黄偉哲(コウイテツ)台南市長と4月2日に都内で、5月9日に台南市で会談したのをきっかけに、台南市の観光や文化を紹介しようと企画され、この度実現の運びになりました。

 

 台南市と前橋市の両市の交流事業の第一段が、こうしたかたちで実を結べることになった過程において、群馬県台湾総会は大きな役割を果たしました。

 今年の2月に、台南市政府の関係者から群馬県台湾総会に次のような依頼がありました。「3月7日から四日間、東京ビックサイトでフード展があります。是非バイヤー関係の方に紹介して頂いて、見に来ていただきたい。」

 この連絡を受けて、すぐに当会事務局長の頭に受かんだのは、前橋市が3月に開業する新しい道の駅のことです。この道の駅で台南のフードが並べられたら、さぞかし素晴らしい話題作りに貢献できるのではないだろうか。パッと閃いたこのアイデアを、すぐに前橋市議会議員に伝えました。

 幸い同議員は「日台友好」に関心が高く、直ちに行動に移してもらいました。その結果、当会のメンバーが前橋市役所や道の駅の関係者らと同行し、東京で、台南市政府農業局長らと面談して、今後の進め方についても話し合う機会を持つことができました。

 その後、3月末に再び台南市政府から当会に連絡がありました。それは「4月2日、台南市長は、農産物のアピールのため東京にお見えになります。」という内容です。

 その時、当会事務局長は「このタイミングを逃してはならない」と判断し、すぐに、両市の調整役として同議員にこのことを伝え、同議員と相談しつつ、台南市政府に働きかけました。その結果、なんとか4月2日に、前橋市長と台南市長が東京で面談する機会をセッティングすることができたのでした。

 そして、めでたく今回のイベント開催という誠に喜ばしい結果に繋げることができました。

 前橋市と台南市は、これまでの歴史の繋がりに加えて、多様な文化や温和な風土など類似点が多く、弊会としても、両市の友好と交流の相互関係の結びつきがもっともっと強く、盛んになってしかるべきだと思っております。

 群馬県台湾総会は、台南に貢献がある群馬の偉人「羽鳥又男」の顕彰事業を10年前から継続的に実施してきました。それを可能にしたのは、群馬歴史研究家の「手島仁」氏と、台南市の企業家「許文龍」氏、この両氏の功が大きいことは言うまでもありません。

 今回のイベント開催に至る、両市の友好・交流の歴史的な醸成の実現の過程で、群馬県台湾総会が、相互の絆を深める導き役に携われたことは、誠に光栄です。

道の駅「まえばし赤城」。駐車場は小型414台、大型75台、ほか自動二輪などを含む合計528台駐車可能

 今回の台南フェアに、マンゴーやパイナップルなどフルーツの生産が盛んな台南市から「フルーツ」「フルーツの加工品」「胡椒餅」「ルーロンハン」「シーザーパイ」「台湾パイナップルバーガー」「台湾カステラ」など10店が参加します。また、まえばし赤城からも8店が出店します。

 開催時間は10時~17時(最終日は16時)。7月2日まで開催されます。

■この台南フェアの次に、今度は群馬県庁1階ロビーで、7月8日(土)、9日(日)にかけて、群馬県台湾総会が、群馬県と共催で、台湾の文化、観光情報等を広く紹介し、台湾との交流を促進することを目的として、「台湾フェアin群馬2023」を開催します。

 今年度は4年ぶりのリアル(対面開催)イベントとして、「台湾を遊びつくそう『玩遍台灣』」をテーマに、台湾グルメや台湾雑貨の出店、台湾獅子舞や台湾の音楽を用いたダンス等のパフォーマンス、お茶入れ体験や飴細工人形づくり体験といった文化体験など、台湾の文化を楽しめる盛りだくさんの内容で実施いたします。県や県内市町村と台湾の交流を紹介するパネル展示や現地情報満載のポスター・パンフレットの掲示も行います。

 来週末の台湾フェアもぜひお見逃しなく。

【7月3日追記】
**********フォーカス台湾2023年7月1日15:15
群馬県前橋市で台南フェア 国際観光促進に期待=黄市長/台湾
 
台南のイカ団子を楽しむ山本龍前橋市長(右)と黄偉哲台南市長(7月1日撮影、台南市政府提供)
(台南中央社)群馬県前橋市にある道の駅「まえばし赤城」で先月30日から台南フェアが開催されている。これに参加した黄偉哲(こういてつ)台南市長は同イベントを通じて、日本の人々に台南の観光情報を知ってもらい、国際観光促進につながればと期待を寄せた。
 同市が同日、報道資料で明らかにした。同市によれば、日本統治時代に最後に台南市長を務めた羽鳥又男の出身地が前橋で、これが両市の交流のきっかけとなった。
 台南フェアでは市のグルメなどを販売する11の店舗が出店。はちみつ文旦茶やイカ団子、タンツー麺など普段味わえない台南の名物を楽しめる他、会場では台南市のプロモーション動画の放映や前橋市とのつながりなどを紹介する展示会も行われている。
 黄市長は新型コロナウイルス後、群馬県と文化、物産、教育、スポーツなどの分野での交流深化を願う考えも示した。
 同フェアは2日まで。 (張栄祥/編集:荘麗玲)

**********臺南市政府農業局2023年7月3日 21:42
台南の香りが漂う「台南フェア」 3日間で5万人を魅了台南ブーム前橋市を席巻!

前列左から2人目が李建裕・台南市政府農業局長。同4人目が黄偉哲・台南市長
 台南市政府は6月30日から7月2日まで、日本の前橋市道の駅「まえばし赤城」で盛大な「台南フェア」を開催し、3日間で5万人以上に達し、前橋市に台南ブームが席巻した。このイベントでは台南の各企業が集結し、魅力的な台南風情が会場を沸かせた。そして、精巧な台南出展グルメや多様な台南の農特産品がされ、多くの来場者に台南魅力を発信できたと言えるだろう。
 「台南フェア」イベントは3日間にわたり開催され、道の駅「まえばし赤城」の屋外広場で盛況のうちに終了した。イベントでは10のブースが設置され、9つの台南の企業が台南の飲食文化と自社商品を来場者に紹介した。会場では、新鮮なミルクフィッシュ(サバヒー)スープ、揚げイカ団子、台南の肉そぼろかけご飯などの美味しい料理を楽しむことができる。また、文旦ジュース、ゴボウ茶、文旦のゼリージュース、新鮮なマンゴー、ドライパイナップル、ドライリュウガンなどの特色ある果物の特産品も味わうこともできる。
 特筆すべきなのは、毎日行われた先着100名限定のマンゴーアイスキャンディや、その他のマンゴーシリーズ製品のプレゼントイベントだ。多くの来場者が、夏の暑い日にマンゴーアイスは欠かせない贅沢だと述べており、日本人が台南のフルーツへの愛を感じられたイベントとなったと言える。また、その他多くの台南の農産品は日本のどこで購入できるか尋ねる人も多かったそうだ。本イベントから分かるように、台南のグルメと農産品の魅力が浮き彫りになり、グルメ文化を通じて台南と日本の人々の距離を縮めた3日間と言えるだろう。
   台南市黃偉哲市長は、「日本は本市の主要な農産品の輸出国であり、今年のパイナップルの豊作シーズンでは、約3,000トンが輸出され、その中で2500トン以上が日本へ輸出されています。そして6月から7月は台南のマンゴーの産期で、今回のマンゴーの輸出目標は3,600トンを目指しています。『台南フェア』を通じて、日本の皆さんに台南の美味しい食品を味わい、台南の農産特産品をもって知っていただければと思います。市政府は、これからも様々な形式でマーケティングを展開していくと同時に、農産品の輸出市場を拡大し、農業貿易の経済効益を創出し続けていきます。」と述べている。
   台南市政府農業局の李建裕局長は、「この『台南フェア』を通じて、台南とその農産品の素晴らしさを日本の人々に伝え、台日両地の農業協力を促進し、台日間の経済交流と相互理解を推進していけることを願っています。今後も商品は日本の前橋市道の駅『まえばし赤城』で販売を継続し、興味のある方々に是非ご来店いただきたいです。」と述べている。
**********

 群馬県台湾総会では、当初、黄偉哲・台南市長を交えて7月1日のセレモニーのあと、夕食会を開催する予定でしたが、黄市長は限られた訪日滞在中、7月8日・9日に台南フェアの開催を控えた山形市や、仙台・台南友好交流促進協会のある仙台市を訪問しなければならないということで招待が叶わず、同行した台南市の李建裕・農業局長ら台南市側ミッションのメンバーら10数名との歓迎夕食会を高崎市内の和食料理で開催しました。
 歓談して分かったことは、台南市側では、まさかこれほど大勢の来場者があるとは思わなかったそうで、前橋市側の力の入れようにたいへん感激していました。
 台南市側ミッションには、いろいろな食品を扱う企業関係者も同行しており、草魚(ミルクフィッシュ)の養殖会社や、龍眼(ロンガン)の燻製加工販売会社と方々と交流できました。いずれも20代から30代の若い世代ばかりで、今後の台南市との交流の発展が期待されます。

【群馬県台湾総会書記からの報告】

 

※関連情報「台南フェア」

*********臺南市政府農業局2023年6月27日 12:00

2023年「台南フェア」が前橋市の道の駅「まえばし赤城」で登場 3日間限定のイベントで、本格的な台南の味を堪能

 今年の3月、台湾・台南市政府農業局と日本群馬県前橋市は、「FOODEX JAPAN 2023」から、両市の持続的な文化交流を経て、6月30日に道の駅「まえばし赤城」で「台南フェア」を共同開催することを決定し、7月1日の午前中に開幕式を行う予定だ。本イベントは、豊かな台南農産物や台南料理文化を味わいつつ、台南の風情や音楽パフォーマンスを体験できるイベントとなるだろう。

 今回の「台南フェア」は道の駅「まえばし赤城」の屋外広場で3日間にわたって開催される。台南市の黄偉哲市長は、「このイベントを通じて多くの方々に台南の農産物を味わってもらいたいという思いから、9つの台南の企業を率いて、地元直送の本格的な台南特産品を紹介し、日本の方々と台南の美食文化を共有し、台南の農産物の多様性を伝えていきたい」と述べていた。食べ物では、新鮮なミルクフィッシュ(サバヒー)スープ、揚げイカ団子、台南肉そぼろかけご飯があり、一方の果物は、文旦ジュース、ゴボウ茶、文旦のゼリージュース、新鮮なマンゴー、ドライパイナップル、ドライリュウガンなどの特産品が取り揃えられている。また、台南フェアで商品を購入した人には、毎日先着100名様にマンゴーアイスキャンディや他のマンゴー製品を1つプレゼントするイベントも開催する予定だ。これにより、さらに多くの日本の消費者が台南の農産物に興味を持ち、更には台南と日本人の方々の距離を近づけることが期待できる。

 「台南フェア」の記念セレモニーは、7月1日の午前10時に盛大に開催され、台南市長と前橋市長をはじめ、多くの来賓が出席するテープカットセレモニーも行われる予定だ。会場では、横浜中華学院校友会や勢多農林高校郷土芸能部、市立前橋高校吹奏楽部によるパフォーマンスも予定されており、台日の音楽で会場は一層盛り上がり、 3日間の限定イベントに台南の賑やかな雰囲気を楽しむことができるだろう。

 台南市の黄偉哲市長は、「今回の『台南フェア』は、台南市政府農業局と前橋市の『FOODEX JAPAN 2023』における成果であり、両地域の緊密な交流の継続していくイベントでもある。」と述べている。このようなイベントを通じて、台南の農産物が日本市場でより広く受け入れられる機会が増え、台日両国の農業において相互の利益が促進されることが期待される。

 今回開催されるフェアについて、台南市政府農業局の李建裕局長は、「台南の地元農特産品の展示販売が6月30日から7月2日(午前10時から午後5時)と期間限定であるため、日本の皆様にぜひ『台南フェア』イベントへ是非ともご参加いただき、台南のグルメと文化を共に楽しみ、日台の農業協力の成果を共に見届けることで、台日の農産物貿易の架け橋を築いていけることを心より願っています。そして、台南の農産品を日本の道の駅「まえばし赤城」に持続的に送り、日本の消費者がいつでも台南の味を楽しむことができるようにしたいと思っています。」と述べた。

**********東京新聞2023年6月27日 07:15

前橋の道の駅で台湾グルメ満喫

 前橋市田口町の国道17号上武道路沿いにある道の駅「まえばし赤城」で、台湾・台南市の食を楽しめる「台南フェア」が30日~7月2日に開かれる。台南特産のパイナップルやマンゴーのほか、魚や肉の加工品、麺、カステラなど珍しい品々が並ぶ予定だ。

 前橋市などが主催。同市と縁のある台南市の食や観光を広く知ってもらおうと企画し、山本龍市長はポスターを手に、来場を呼びかけた=写真。

 7月1日午前10時からの記念式典では、黄偉哲・台南市長が出席。台湾獅子舞や、市立前橋高吹奏楽部による台湾音楽の演奏がある。

 台湾に縁のある前橋市関係者では、いずれも旧富士見村出身で、風土病「台湾つつが虫病」を発見し、台湾の医療水準を向上させた医師、羽鳥重郎(1871~1957年)や、日本統治下で最後の台南市長を務め、地元の文化財保護に取り組んだ羽鳥又男(1892~1975年)らがいる。会場では、羽鳥らに関するパネルを展示する。

 フェアは午前10時~午後5時。7月2日は午後4時まで。(池田知之)

**********

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2023年の初日の出を拝謁

2023-01-01 18:19:33 | 国内外からのトピックス


午前7時ちょうど、まもなく日の出。雲もなく晴天に恵まれた。

午前7時1分、ご来光。岩野谷丘陵地の尾根からの初日の出のため、和歌山県潮岬や兵庫県六甲山頂とほぼ同じ時刻となる。

■昨年の元旦は寝過ごしてしまいましたが、今年の元旦は久しぶりに初日の出を見に行きました。とはいえ、丘陵地帯の丘の上に住んでいるため、初日の出は丘陵地の起伏のある地平線から太陽が顔を出す光景を目撃することになります。

 初日の出について、Wikipediaによると、「1月1日(元日)の日の出(太陽が水平線や地平線から姿を現す様)のこと。日本では一年に一度の最初の夜明けで『めでたい』とされ、多くの人々が初日の出参りを行う。モンゴル、韓国、カナダ、グリーンランド、ロシアと米国でも「初日の出」を見る習慣がある」と説明されています。初日の出を拝む習慣は昔からあったわけではなく、明治以降盛んになったといわれています。それ以前は、「四方拝(しほうはい)」といって、東西南北を拝んでいましたようですが、いずれにしても、本年は明治6年(1873)に太陽暦および1日24時間の定時法を採用してから150年という節目にあたります。それ以前の初日の出は旧暦(陰暦)で行われていたわけですから、初日の出を拝む風習は意外に新しいというべきかもしれません。


霜で真っ白な畑の土

■ちなみに、初日の出の時間は毎年ほとんど決まっていますが、緯度・経度により各地で異なります。日本で最も早い初日の出と遅い初日の出を調べると次のとおりでした。
○南鳥島 - 日本の実効支配地域で最も早いが、一般人が訪れることは不可能である。5時27分頃。
○母島 - 同島最高峰の乳房山山頂が日本国内の定住者がいる地域で最も早い。6時17分頃。
○富士山頂 - 日本本土4島で最も早い初日の出。6時42分頃。ただし冬の富士登山は非常に難易度が高くアクセスは困難。
○犬吠埼 - 日本本土4島の平地で最も早い初日の出。6時46分頃。納沙布岬の方が東にあるが、南東にいくほど早くなるので、犬吠埼の方が早い。
○与那国島 - 日本の領土でもっとも遅い初日の出。7時32分頃。
 

■初日の出の際に、願い事やその年の決意などを祈るとされています。今年は筆者のライフワークである安中市役所タゴ51億円事件の発覚(1995年5月18日)から28年目にあたります。昨年はコロナ禍にありながら、2年ぶりに海外取材を3回経験しました。激動の国際情勢の中、今年も海外取材の機会があるやもしれません。国内的には、東邦亜鉛安中公害の後始末となる重金属汚染地の排客土事業の推進、保守王国群馬県におけるオンブズマン活動など、各方面でどのような進展がみられか、注目していきたいと思います。

 では、あらためて新年快楽!恭喜発財!紅包拿来!

 といっても台湾の今年の正月の本番である春節(旧正月)は1月22日日曜日ですけど。

【市民オンブズマン群馬・市政をひらく安中市民の会・岩野谷の子どもたちの明日を想う会事務局・群馬県台湾総会書記からの報告】

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東アジアで新たな緊張を高める中共を抑えるには、台湾との連携強化が今こそ不可欠

2022-08-11 22:14:30 | 国内外からのトピックス




■台湾の人たちが「6枚のサロンパス」と呼ぶ、中共政府が設定した台湾を取り囲むかたちの6か所の軍事演習区域ですが、なぜ中共は台湾を自分の領土だと言い張るのでしょうか。そもそも、第二次大戦で日本が敗戦国として台湾から撤退すると、戦勝国になった中華民国が統治することになりましたが、蒋介石総統による台湾支配は、汚職や腐敗、犯罪増加など、社会不安を招き、1947年2月28日に起きた二・二八事件を契機に白色テロとよばれる日本教育を受けた知識人らが多数殺害され、1987年7月15日0時まで全土に戒厳令が敷かれました。

 このように中華民国の蒋介石が率いる国民党の支配となった台湾は、戦勝国として国連の常任理事国でしたが、1987年7月14日に国連でのアルバニア決議により、蒋介石の代表を追放し、中共が正式な後継者となることが採択されたため、これに抗議した蒋介石が中華民国の国連脱退を決めたのでした。

 したがって、中共が台湾を自国の領土だと主張するのは不当であり、台湾は、一時的に蒋介石の独裁政治を経たものの、まごうことなき独立国家です。

■こうしたなか、8月2日、アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問しました。このニュースを聞いて、なぜかそれまでにも米国の議会関係者が台湾を訪問しているのに、それまでになく中共が怒り狂ったのでした。

 台湾を自分の領土だと主張している覇権主義国家政府の中共は、このニュースが出た瞬間、いきなり以下の行動を開始しました。

行動その1:ペロシ議長が台湾に着くのとほぼ同じ時間に、21機の戦闘機を発進し、台湾の防空識別圏に侵入。

行動その2:さらに同日、台湾のすぐ向かい側に戦車や軍用車両を集結させ、長距離ミサイルの発射訓練を実施。

行動その3:中国軍の空母「遼寧」「山東」の2隻が母港を離れて南シナ海に出港。

行動その4:ペロシ議長が台湾を離れた後、8月4〜7日の日程で中共が軍事演習の実施。実際には8月10日まで延長。

■中共が軍事演習を実施した場所は、冒頭に示した「サロンパス6枚」で、台湾周辺の海域を6ヶ所、ぐるりと取り囲み、実弾を使った大規模な訓練で、しかも、この場所は台湾の領海に堂々と入っており、日本の排他的経済水域まで含まれていました。

 そして、この軍事演習で中共は、これら「サロンパス」に向けて、8月4日夜、弾道ミサイル9発を発射し、そのうちの、演習対象海域に設定されていた日本の排他的経済水域(EEZ)内に、5発を落下させました。

 さっそくその直後、岸防衛相は「我が国の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題で、強く非難する。中国のミサイルが日本のEEZ内に落下したのは初めてと認識している」と述べました。

 また、防衛省で把握しているうち、ミサイルが最も日本の近くに落ちたのは与那国島の北北西約80キロのEEZ外の海域だという。
 

↑中国軍の弾道ミサイルが落下したとみられる海域↑

■台湾の領土の目と鼻の先で、しかも実弾を使って演習するとは、まさに独裁国家の極みです。あらかじめシナリオを練っていたものと見られます。

 今後の台湾情勢にはますます目が離せません。とりあえず、今回の一連のできごとについて、メディアの報道を末尾に掲げておきます。

【群馬県台湾総会書記からの報告】

※関連情報
**********日経2022年8月4日 17:05 (2022年8月4日 23:20更新)
中国が台湾沖にミサイル、日本EEZ内に5発 外相会談中止

↑中国人民解放軍の東部戦区が4日、ミサイル発射演習の一場面として「微博(ウェイボ)」に投稿した映像=共同↑
【北京=羽田野主】中国軍は4日、台湾周辺で演習を開始した。台湾東部沖へ複数のミサイルを発射したと発表した。岸信夫防衛相は同日夜、日本の排他的経済水域(EEZ)内に5発が落ちたもようだと明らかにした。中国の弾道ミサイルのEEZ内落下は初めてだという。
 中国の軍事演習はペロシ米下院議長の台湾訪問に反発したもので、台湾を取り囲むように6カ所の対象地域を設定した。中国軍は域内への一般船舶や航空機の進入を禁じた。


 日本の防衛省はEEZ外に落ちたものを含め計9発の弾道ミサイル発射を確認した。5発は沖縄県・波照間島南西のEEZ内で、中国が設けた演習地域に落下したと推定した。
 発射場所は中国内陸部、福建省沿岸、浙江省沿岸の3カ所だった。4発は台湾本島上空を飛んだ。
 岸氏は防衛省で記者団に「日本の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題で強く非難する」と語った。中国の軍事演習については「非常に威圧的だ」と指摘した。船舶や航空機への被害は「いま確認している限りない」と述べた。
 外務省の森健良次官は同日、中国の孔鉉佑駐日大使に電話で抗議し、軍事演習を即刻中止するよう求めた。
 日中両政府は4日に調整していた外相会談を見送ると決めた。中国側が中止を申し入れた。中国外務省の華春瑩報道局長は記者会見で、主要7カ国(G7)外相がペロシ米下院議長の訪台を巡る共同声明で「不当に中国を非難した」からだと説明した。
 林芳正外相と中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相がカンボジアでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議に合わせて会談を検討していた。取りやめが決まったのは開始予定のおよそ2時間前だった。
 林氏を含むG7外相は3日、ペロシ氏訪台を受けた中国の軍事圧力に懸念を表明した。華氏はこれに「米国による中国の主権侵害行為の片棒をかついだ」と反発した。日本について「台湾問題で歴史的な罪を背負っており、とやかく言う資格はない」とも述べた。
 日中両外相は会談中止に先立つASEANと日中韓の外相会議で同席した。日本側の発表によると王氏が台湾に関する中国側の主張を展開し、林氏は中国の軍事活動に「重大な懸念」を伝えた。
 林氏はASEAN関連会議に合わせてブリンケン米国務長官とも立ち話し、中国のミサイル発射を強く非難することで一致した。

**********JPプレス2022年8月4日
習近平の面目丸つぶれ、ペロシ訪台は第4次台湾危機の始まりなのか?
米国への恫喝は空回り、失敗に終わった戦狼外交
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↑台湾・台北を訪れたナンシー・ペロシ米下院議長(2022年8月3日、提供:Taiwan Presidential Office/AP/アフロ)↑
 先週、本コラム(「米中軍事衝突の引き金に? どうなるペロシ米下院議長の台湾訪問」)でも取り上げたナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問団が、8月2日現地時間午後10時44分、無事に台北市の松山空港に到着した。おそらく多くの人たちが「フライトレーダー24」でペロシ搭乗機を追い、ネットの中継でその無事到着を確認してホッとしたことだろう。
 ペロシはグランド ハイアットで一晩宿泊し、8月3日午前、立法院(議会)を訪問し、蔡其昌副院長と会見。続いて総統府を訪問し蔡英文総統と会見した。午後は国家人権博物館(白色テロ景美紀念園区)の訪問などをしたあと、現地時間午後5時頃、19時間の滞在を終えて次の訪問地に向かった。
 1997年の野党のギングリッチ下院議長(共和党)の訪台がわずか3時間だったことと比べると、この訪台の政治的意義は決して小さくない。
これまでにない米国への恫喝を繰り返した中国
 ペロシ訪台について、中国は恫喝発言を繰り返し、思いとどまるように米国に圧力をかけてきた。7月28日には習近平自身がバイデン大統領とのオンライン会談で「火遊びをすれば自分も燃える」と恫喝した。
 だが、ペロシは現職の下院議長であり、大統領と言えども立法の府のトップの行動を制限することはできない。ペロシは国防省からそのリスク説明を十分に受けたうえで訪台を決断し、米軍はペロシ護衛のために万全の対策をとった。
 中国外交部の戦狼(攻撃的に相手を威嚇する)外交官の趙立堅は8月1日の記者会見で「解放軍も座視してはいない」「我々は刮目して待つ」と恫喝してみせ、2日には外交部として声明を出し「火遊びをするものは自らを焼く」「一切の責任は米国と台湾独立派分裂勢力の責任だ」と繰り返した。
 元環球時報主筆の戦狼言論人の胡錫進はツイッターで、「もし米軍がペロシの搭乗機を護衛して台湾領空にはいれば、これは侵略だから、警告射撃して、その行動を妨害してもいいし、それでも離脱しなければ、撃墜してもいい」などと勇ましいことを書き込んで、アカウントを凍結されたほどだ。
 だが、これまでにないレベルの中国の威嚇発言に米国側は臆することなく、空母レーガン戦闘群を南シナ海に向かわせた。沖縄方面では、強襲揚陸艦2隻も配備、ハワイ方面には空母リンカーンが控え、台湾周辺に35隻の艦船、4隻の原子力潜水艦が集結した。空母や強襲揚陸艦にはF35戦闘機が艦載されている。建前はハワイ沖で行われる米韓日の弾道ミサイル・探知追尾訓練「パシフィック・ドラゴン」や米・インドネシアを中心とした多国籍演習「ガルーダ・シールド」に参加するために集結しているということになるが、ペロシ訪台に対する中国のこれまでにない脅しに対して、米軍として、軍事力を見せつけて威嚇し返したということだろう。
 結局、中国の戦狼外交では、ペロシ訪台を阻止することができなかった。ペロシは蔡英文と会い、「米台は自主自決の運命共同体であるだけでなく、多くの共通の安全保障のテーマをもち、お互いの経済関係も深め、両国人民がさらに素晴らしい暮らしができるようにしていかねばならないのです」「我々は台湾を絶対見捨てない」と発言し、米台の絆をアピールしたのだった。
★ペロシ訪台の4つの意義★
 ペロシの訪台について、自分の政治的信念のために米中台の緊張を不必要に高めたという批判の意見はもちろんあろう。ペロシはなぜ、ここまでのリスクを引き受けて、空母戦闘群まで動かして、台湾訪問を敢行したのか。単なる自己満足なのか。そして、蔡英文総統は、なぜ、軍事的なリスクがあるかもしれないこの訪問を受け入れたのか。

 ペロシの本心はわからないのでここでは触れないとして、客観的にみれば、これはやはり米台にとって、そのリスクを引き受けるだけの重要の意義があったと思う。意義は主に4つある。
(1)米国が台湾をインド太平洋安全保障の盟友と見ていることを世界に知らしめた。
(2)厳しい中間選挙を戦わねばならない米国与党・民主党にとっては、ペロシのパフォーマンスは追い風になった。
(3)中国からの軍事的圧力を受けながらも、ペロシを堂々と歓迎した蔡英文政権の度胸は国際社会から一目置かれることになった。台湾も11月に地方選挙が行われるが、民進党に追い風が吹くだろう。そして少々気が早いが2024年の台湾総統選で民進党が勝つ可能性が高まるだろう。92年コンセンサス(一つの中国原則)を否定する民進党政権が12年、あるいは16年の長期政権を築けば、台湾は中華民国(中国)という国号や憲法のくびきから自由になるチャンスも見出せるかもしれない。
(4)習近平の戦狼外交によってペロシ訪台が阻止できなかった事実は、戦狼外交の限界を見せつけた。有り体にいえば、習近平の戦狼外交は失敗したのだ。今後、習近平の戦狼外交に屈せず、台湾を訪問する政治家が各国で次々と出てくるかもしれない。すでに英国庶民院議会議員団が年内に訪台すると言っている。
 もちろん、習近平の戦狼外交は、実は外交のように見えて内政である、という言い方はできる。人民の米国や台湾の独立派分裂勢力への敵愾心を煽り、しばし目の前の不満、たとえば銀行預金封鎖や理財商品のデフォルトだとか、ゼロコロナ政策による不自由や生活苦など、ややもすると習近平政権に向きそうな不満の矛先をうまく米国や台湾に転換させたという意味では戦狼外交は成功なのだ、という見方もある。
 だが、共産党内の反習近平官僚からみれば、戦狼外交で人民の敵意を外国に向けることで党の求心力を強化するより、米国との関係を少しでも改善して関税を撤廃させ、半導体企業への制裁を緩和させる道を探るほうが長期的に党の求心力を回復させることができると言いたいところだろう。
 一次的に人民の不満が米国や台湾を罵ることで緩和しても、それに続く習近平の外交政策が、口で吠えるだけで、実行が伴わない弱腰のままであれば、再びそれは政権への不満に転換される。また反米反日などの外国へ敵意からくるデモは、いつ何時、社会不満、社会不安と結びついて大規模化しコントロール不可能になるかもわからないから、煽りすぎも禁物なのだ。
★習近平は戦狼外交の失敗をどう挽回するのか★
 ここで日本の安全保障に関係があるのは(1)(3)(4)で、いずれも台湾の民主主義国家としての未来につながる動きであり、日本も積極的にこの方向性を推進してほしい、と私は思っている。
 ただ(4)にからみ、習近平が今後、戦狼外交の失敗をどういう形で挽回するつもりであるか、という点には気をつけねばならない。
 戦狼外交が限界点に達した時、選択肢は2つある。1つは、戦狼外交から国際協調外交にUターンする。もう1つは、戦狼外交をさらにエスカレートさせて北朝鮮的な瀬戸際外交に突き進むことだ。核兵器をちらつかせ、ミサイルを発射してみせ、臨戦態勢をみせつける。戦争にまで行かない軍事行動をとり、一触即発の瀬戸際を演じ続けるやり方だ。
 私が今懸念しているのは、後者だ。中国人民解放軍はペロシ訪台前から東部戦区に対し、「厳陣以待、聴命而戦」(堅陣を敷いて敵を待ち構え、命令が出れば戦え)と号令をかけ、台湾対岸の福建省平潭で実弾演習をして見せた。空母キラーミサイル・東方17号の実験発射映像をCCTVで流したりもした。
 さらに8月4日正午から7日正午にかけては、台湾周辺の6つの海域で実弾演習を行うという。「安全のため、この期間、船舶および飛行機はこの海域および空域に進入してはならない」とも言い、事実上3日間の台湾周辺の海域空域封鎖を行うとした。
 新華社によれば、この演習は解放軍として3つの「初めて」があるという。まず、台湾周辺6地域の同時演習は初めて。さらに東側(日本側)までぐるりと囲む形でミサイル発射演習を行うのは初めて。「演習区域、ミサイル発射演習のドロップポイントが台湾海峡中間線の東側に位置するのは初めて」であり、これは解放軍が海峡中間線は存在しないということを行動上で示したことになる、という。「いったん、台湾軍が応対しようとしても、解放軍は完全に台湾を包囲し、袋のネズミ状態にできる」という。
 また、いわゆる台湾の12カイリ海空域を初めて超えて演習地域を設定した。おそらく台湾沿岸から10カイリの範囲にまで解放軍演習が迫ることになる。「世界にただ一つの中国しかなく、台湾が中国の不可分の領土の一部である」ということを知らしめるのだという。
 この3つの「初めて」が可能となったのは、「解放軍は台湾軍に対して粉砕する実力があるだけでなく、同時にパワー、装備、実戦能力が米軍の挑発に対応できるだけのレベルになったからだ」と軍事専門家の張学峰が環球時報紙上で語っていた。
★第4次台湾海峡危機が始まるのか★
 この演習が3日間の威嚇行動で済むのか、あるいは、ロシアのように演習のふりをして台湾侵攻のタイミングを探っているのか。一部では、1996年の第3次台湾海峡危機の再来、第4次台湾海峡危機が始まるという声も出ている。
 第3次台湾海峡危機では、李登輝の国策顧問で中国共産党と極秘ルートをもつ曽永賢が、中国側から「2~3週間後、弾道ミサイルを台湾に向け発射するが、慌てなくていい」と事前連絡を受けていたという逸話が『李登輝秘録』(河崎眞澄著)で公開されている。危機のように見えて、中国の政治的メンツを守るための国内向け軍事パフォーマンス、いわゆる「筋肉ショー(肌肉秀)」であった。
 今後、台湾周辺海域で展開される中国と米国の軍事パフォーマンスが、第3次台湾海峡危機レベルの「筋肉ショー」なのか、それとも習近平にとって秋の党大会を乗り越えて、毛沢東なみの個人独裁体制を完成させ、「台湾武力統一」という野望のため、戦争の瀬戸際までゆく、第4次台湾海峡危機につながってゆくのか。
 しばらくは緊張感をもって推移をうかがうしかない。
(福島 香織:ジャーナリスト)

**********JPプレス2022年8月4日
警戒レベルを上げる米軍、台湾対岸で中国版「神風特攻機」がスタンバイ
最新鋭ドローンに生まれ変わった“骨董品”J-6戦闘機

↑無人機に改造する前の中国空軍J-6戦闘機(Alert5, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)↑
 ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問を巡って、米中当局者の舌戦がエスカレートしている。このような状況下で、台湾対岸の中国軍航空基地の航空写真に映し出された骨董品ともいえるJ-6戦闘機によって、台湾との戦闘を想定している米軍関係者たちの警戒が一段と高まっている。
 龍田航空基地は、台北に最も近接(およそ200km)している中国軍の航空基地であるが。その龍田基地が大幅に増強された様子が民間の衛星写真に鮮明に捉えられた。

↑龍田航空基地の位置↑
 20年近く前の龍田基地の航空写真には中国軍の「J-6」戦闘機の姿が捉えられていた。今回の写真にもJ-6戦闘機の機影が新型戦闘機などとともに駐機している模様が写っている。
 J-6戦闘機は1950年代にソ連のMIG-19戦闘機をベースに中国で生産され始めた第2世代に分類されるジェット戦闘機だ。中国空軍や海軍航空隊では、航空戦力の近代化成果が軌道に乗り始めた2000年代初頭まで、多数のJ-6が実戦配備されていた。その後、練習機として使用されていたが2010年頃には中国軍から姿を消した。
 しかしながら、中国軍はJ-6戦闘機を無人機に改造して再利用を図り、すでに500機以上のJ-6ドローンが生み出されているとものと考えられている。パイロットが操縦するための装備やパイロットを保護するための設備などをすべて取り払うことができるJ-6ドローンには、より多くのミサイルや爆弾を装填することが可能だ。
 初期型のJ-6ドローンは単純な偵察や攻撃あるいは特攻任務に投入される無人攻撃機であったが、現在、その一部は敵のレーダーを撹乱したり破壊する能力に特化した「J-6W」と呼ばれている無人電子戦機へと進化させられつつあるという。
 今回、龍田航空基地で確認された21機のJ-6戦闘機の機影は、おそらくJ-6ドローンおよび最新型のJ-6W無人電子戦機と考えられる。
皮切りは無人機による飽和攻撃
 龍田航空基地にJ-6W無人電子戦機とJ-11戦闘機などの航空機がスタンバイしているのは、「ペロシ下院議長が台湾を訪問する際に、下院議長が搭乗する航空機に米軍が戦闘機の護衛を付けた場合には、撃墜される覚悟をしなければならない」といった中国側の警告が口先だけでないことを米軍側に見せつけていると考えられている。
 なぜならば、台湾を巡る中国 対 台湾・米国の軍事衝突が勃発した場合、以前は中国軍による第1波攻撃は台湾の戦略要地に対する長射程ミサイル(長距離巡航ミサイルと弾道ミサイル)の飽和攻撃と考えられていたが、その後の高性能無人航空機戦力の充実に伴って、ミサイル飽和攻撃に先立って無人機による飽和攻撃が敢行されるものと考えられるようになっているからだ。
 すなわち、数百機にのぼるJ-6W無人電子戦機による飽和攻撃で台湾軍の防空警戒システムに大打撃を加えるのである。
 同時に、多数のJ-6ドローンや「J-7」ドローンによる囮(おとり)作戦的な特攻飽和攻撃も実施される(中国空軍は、J-6同様に旧式戦闘機のJ-7を無人攻撃機J-7ドローンに改造しつつある。中国空軍はJ-7を600機以上装備していた)。
 これらのJ-6ドローンやJ-7ドローンに対して、台湾軍は多数の対空ミサイルを発射したり、戦闘機や早期警戒機を出撃させることになるが、中国空軍はドローン群とともに新鋭戦闘機も出撃させて、台湾空軍なけなしの早期警戒管制機(「E-2」ホークアイを6機保有)を破壊し、場合によっては戦闘機をも撃墜する。
 さらに中国空軍は、ドローンの後方から「J-16D」電子戦機(有人でJ-6Wより強力)を飛来させ、台湾防空網を麻痺させてしまうことになる。
 このようなドローンによる飽和攻撃に引き続いて、長射程ミサイルによる飽和攻撃が実施されるものと考えられているのである。
航空戦力を温存する中国版神風攻撃
 J-6W無人電子戦機、J-6ドローン、それにJ-7ドローンによる飽和攻撃は、アメリカ製高性能防空システムや、数に限りはあるとはいえ高性能対空ミサイルを装備している台湾軍に対しては、かつての日本軍の神風攻撃のような作戦ではある。
 しかしながら、日本軍の特攻作戦と違い中国版神風攻撃は、極めて強力な長射程ミサイル戦力や後詰めの航空戦力を温存することにより、第2波、第3波攻撃によって台湾軍側を壊滅させるための囮攻撃である点が根本的に相違している。
 また無人機は、たとえ台湾軍の防空ミサイルによって撃破されても中国軍側の人的損害はゼロである。おまけに、J-6ドローンやJ-7ドローンは(高性能かつ多機能の無人攻撃機であるJ-6W無人電子戦機であっても)改造コストが弾道ミサイルや長距離巡航ミサイルの生産コストよりも低価格である。よって経済的損失も極小に抑えられる。
 一方の台湾軍は、ドローンの飽和攻撃に対して数に限りがある地対空ミサイルや空対空ミサイルなどの貴重かつ高価な防空資源を大量に消費せざるを得なくなり、少なくない数の早期警戒機や戦闘機、そしてそれらの搭乗員を失う可能性も高い。それだけでなく戦闘機などの出動によってパイロットや整備補給要員は確実に疲弊することになる。
 上記のような理由によって、骨董品戦闘機がリサイクルされて誕生したJ-6ドローン、J-6W無人電子戦機が台北から200kmの中国軍・龍田航空基地でスタンバイしていることを、中国との衝突を現実のものと想定して準備を進めなければならない人々は大いに危惧しているのである。

↑中国空軍の翼竜無人攻撃機と各種搭載兵器(出所:成都飛機工業公司)↑
(北村 淳:軍事社会学者)

**********共同通信2022年8月3日11:55(JST)(12:01(JST)updated)
中国、ペロシ氏の訪台に対抗措置 軍事演習や経済制裁

↑中国軍が演習を実施するエリア↑
 【北京共同】中国は3日、ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け、台湾周辺での軍事演習を展開した。台湾産の農水産物の輸入停止も打ち出し、経済制裁を発動した。中国は米国と「台湾独立勢力」が過ちの報いを負うことになると警告しており、さらなる対抗措置を準備しているもようだ。
 中国軍で台湾海峡を管轄する東部戦区は、ミサイル試射や遠距離の実弾射撃を含む軍事行動を2日深夜に開始。米国を「震え上がらせる」としている。中国軍全体では、4~7日に台湾を取り囲む六つの空・海域で実弾射撃を伴う演習を実施することになる。
 
↑ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け、台湾周辺で軍事演習を開始したことを報じる3日付の中国各紙(共同)↑
**********

 

 

 

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安部元首相銃撃死亡事件をめぐる世界の受け止め方

2022-07-09 22:52:12 | 国内外からのトピックス

■米国であればともかく、銃規制が徹底しているはずの我が国で、このような大胆な犯行が、しかも参議院選挙の投開票日を目前にして、大勢が集う街頭演説会の場で白昼堂々と実行されるなど、誰が想像し得たでしょうか?

 この凶行は世界中で注目され、報道されています。さっそく筆者の親戚筋の台湾や、米国在住の親族から、現地での受け止め方について情報がもたらされています。

↑犯行直後にSPらに取り押さえられる実行犯。時すでに遅し。出典:朝日新聞デジタル↑

↑凶弾に倒された安部元首相↑

■7月末に安部元首相の訪問を心待ちにしていた台湾では同じ言語を話す大陸中国で飛び交っているネット情報が、今回の銃撃テロ事件に対する中共政府の本音を表しているとして、台湾のひとたちのひんしゅくを買っています。

**********新頭殻Newtalks2022年7月8日17:00

https://today.line.me/tw/v2/article/rmkgZkX?utm_source=lineshare

安倍晉三中槍!中國小粉紅群起嘲諷「祝賀」 大翻譯運動向全球揭劣行

↑推特網再度響應「大翻譯運動」,逐句翻譯中國網友對安倍晉三的酸言酸語。   圖:翻攝自推特↑

<和訳>

ツイッターは再び「大翻訳運動」に応え、中国のネチズン(ネット市民)の安倍晋三に関する辛辣な言葉を一文ずつ翻訳した。写真:Twitterから取得

新頭殼newtalk

日本前首相安倍晉三今(8)日上午在奈良市發表演講時,遭一名男子槍擊,當場倒地流血不起。日本警方隨即逮獲凶手,為一名41歲的男子,男子自稱對安倍不滿,想要殺死他。安倍遭槍擊消息一出震撼日本與全球,日本民眾紛紛表達憂心,各國領導人的則接連表示慰問,然而,消息傳到中國後,中國網友卻是瘋狂冷嘲熱諷「祝賀」。

安倍晉三今早在奈良街頭演講時遭遇槍擊,兇嫌從背後開出兩槍,現場白煙竄起,呈現一陣慌亂,安倍被擊中後隨即倒地不起,似乎處於心肺驟停狀態。

消息一出引發全球震撼,世界各國政要紛紛表達慰問之意,總統蔡英文也表示,「台灣與日本同為民主法治國家,我要代表我國政府,嚴厲譴責暴力不法行為。」

不過,安倍中槍的訊息傳到中國後,卻是截然不同的反應,許多中國網友在央視以及相關新聞訊息的微博貼文下方留言大肆冷嘲熱諷,反酸「墓前狀態良好」、「昨天七七事變,今天安倍祭天」,湧入數萬則留言,幾乎全是對安倍的嘲諷。

推特有網友看不下去,決定再度響應「大翻譯運動」,逐句翻譯中國網友的酸言酸語,讓惡行在全世界面前公開。

<和訳>

安倍晋三元首相は8日朝、奈良で演説中に男に撃たれ、血を流して倒れた。日本の警察は、安倍首相に不満を持っていると主張し、彼を殺したいと主張した殺人犯の41歳の男をすぐに逮捕した。安倍首相の銃撃のニュースが日本と世界に衝撃を与えるやいなや、日本人は次々と懸念を表明し、各国の指導者たちは次々と哀悼の意を表した。しかし、ニュースが中国に届いた後、中国のネチズンは「おめでとう」と激しく嘲笑していた。

今朝、奈良市内の街頭でスピーチをしていた安倍晋三が撃たれた。容疑者が後ろから2発発射した際に白煙が上がり、周辺はパニックに陥った。安倍晋三は地面に倒れ、心肺停止の状態に陥った。

ニュースが出るやいなや世界的な衝撃を与え、世界中の政治家が哀悼の意を表した。蔡英文大統領はまた、「台湾と日本はどちらも民主的で法に基づく国である。政府を代表して私は暴力的で違法な行為を厳しく非難する」と声明を発表した。

しかし、安倍首相の銃撃のニュースが中国に広まったとき、それはまったく別の反応だった。多くの中国のネチズンは、関連するニュース情報のCCTVとWeiboの投稿の下にメッセージを残し、冷笑した。事件、今日、安倍首相は天国に犠牲になりました」、数万のメッセージ注ぎ込まれ、ほとんど全員が安倍を嘲笑した。

ツイッターの一部のネチズンはもはや我慢できず、「大翻訳運動」に再び対応し、中国のネチズンの辛辣な言葉を一文ずつ翻訳して、悪行を世の前で公表することにした。

延伸閱讀:

(影)安倍晉三中彈 槍手「埋伏身後」多角度畫面全被捕獲承認開槍!嫌犯自稱對安倍晉三不滿:打算殺死他

<和訳>

参考文献:

(写真)安倍晋三が撃たれ、「彼の後ろで待ち伏せした」銃撃者が複数の角度から撮影されていた! 容疑者は安倍晋三に不満を持っており殺害を計画したと主張している。

↑安倍晉三遭槍擊消息傳到中國後,中國網友卻是瘋狂冷嘲熱諷「祝賀」。圖:翻攝自微博↑

<和訳>安倍晋三の銃撃のニュースが中国に広まった後、中国のネチズンは必死に「おめでとう」と嘲笑した。 図:Weiboから取得

 元首相で、現在も政界に厳然たる威光を維持している政治家に対して、これほどまでに酷い言葉をネットで交わしている中共という国家の本質が如実に示されていることがわかります。一方、台湾では国民の大多数が安部元首相の突然の死を悼んでいます。上記のような心ない罵声を浴びせるものは皆無と言えます。

 

■さて、現在ネットで取りざたされているいくつかの話題についても見てみましょう。誰しも思うのが、なぜ凶弾を防げなかったという疑問です。

**********毎日新聞2022年7月8日20:26(最終更新7月9日00:34)

SPいたのになぜ 安倍晋三元首相の銃撃 首かしげる警察幹部

↑演説に臨む安倍晋三元首相の後方で周辺をうかがう山上徹也容疑者とみられる人物(右から2人目)=奈良市で2022年7月8日午前、大谷敏治さんの提供動画から↑

 街頭演説中に銃撃された安倍晋三元首相(67)が亡くなった。安倍元首相の周囲では複数のSP(セキュリティーポリス)らが警護していたが、防ぐことはできなかった。警察の警備態勢に問題はなかったのか。

★「なぜ制止しなかったのか」★

 「安倍さんの背後にも警察官が配置されていたのに、なぜ制止しなかったのか」。安倍元首相と並んで立っていた奈良県議の一人はこう憤る。

 現場にいた記者らによると、山上徹也容疑者(41)=殺人未遂容疑で逮捕=は車道を横切って背後から安倍元首相に接近。数メートルほどの距離で銃を構えて発砲した。さらに数秒後、2発目を撃ったとされる。

★安倍晋三元首相が銃撃された状況★

 今回の警備では、奈良県警の警察官と警視庁のSPが対応に当たった。しかし、銃を構えた山上容疑者の姿に、SPらが瞬時に反応する様子は確認されていない。後方からの銃撃だったため、SPらが気づかなかった可能性がある。

 「演説の映像を見た限り、制服警察官が少なく、不審者が近寄れるスペースが広く空いていたように見える。通常なら考えにくい」。警備経験が豊富な現職の警察幹部は漏らした。

 安倍元首相は四方を道路とガードレールに囲まれた分離帯のような場所で演説していた。道路の中央部分であり、演説中、安倍元首相の後方を何台もの車が通過している。

 街頭演説における警護の場合、一般的に候補者の前方に集まった聴衆に過激な抗議者がいないかを重視する。しかし、後方にスペースがあれば、警戒する警察官を多く配置して不審者の接近を阻止するのが不可欠だ。「隙間(すきま)をつくらないのが警備の基本なのに」と警察幹部は今回の対応に首をかしげる。

 また、1発目と2発目の発砲の間、SPらが安倍元首相をすぐに避難させず、対応が後手に回ったとの指摘もある。ある県議は「当時の警護状況をしっかりと検証すべきだ」と強調した。

 警察庁の担当者は一般論として「後ろから何かあることを念頭に置いた警備態勢を常に取っている」と説明。その上で「かなり広いところでは、背中側だからといって全部(車の)通行を止めるかというとそうではない」と釈明した。

 8日夜に記者会見した奈良県警幹部は、記者から警備態勢の責任を問われると「まずは事実の全容解明と捜査を尽くしたい」と述べるにとどめた。

★街頭演説ならではの難しさ★

↑安倍晋三元首相が襲撃された現場=奈良市の近鉄大和西大寺駅前で2022年7月8日午後0時2分、本社ヘリから↑

 一方、街頭演説ならではの警備の難しさを強調する幹部は少なくない。

 街頭演説は主催者側が自主的な警備をするが、現地の警察も必要な計画を立て、前もって周辺を確認するなどの安全対策を進める。

 警備では聴衆との距離を取ることが基本となるが、握手を求めて接近する支援者は少なくない。警察側には「不用意な接近は避けてほしい」との本音もあるが、「握手の数だけ票になる」と考える政治家も多く、行動の制限はできないという。また、演説場所を決めるのは候補者側で、警備上のリスクがあっても警察から陣営への申し入れはしにくいという。

 有力な政治家の場合、応援演説先は情勢に合わせて変化するため、日程が直前になって変わる場合もある。

 急きょ演説場所が変更になれば、地元警察は深夜まで警備計画を練り直し、担当警察官は要人の動線や不審人物が入り込む可能性がある路地などを急いで頭に入れるという。

 実際、安倍元首相の演説は前日の7日夕に決まり、奈良県警などが急きょ警備態勢を協議した。演説は党の街宣車で有権者に告知され、候補者もSNS(ネット交流サービス)で安倍元首相の来県を案内していた。

 奈良県警は警備部参事官をトップとする態勢を敷いたが、人員など詳細については明らかにしていない。

 ある警察庁キャリアは「選挙活動特有の警備の難しさはあるが、警備は結果が全て。事件が起こってしまった以上、警察の失態だという批判は免れない。しっかり検証しなければいけない」と話した。【久保聡、斎藤文太郎、町田徳丈】

 

■もう一つは、容疑者が警察の事情聴取に対して、安倍元首相を狙った理由に「恨んでる宗教団体と(安倍元首相の)関係が深かった」と供述しているようですが、この宗教団体がどこなのか、未発表であることです。ネット上ではさまざまな推測情報が飛び交っています。

 なぜ容疑者の犯行の動機であるこの宗教団体の名称が明かされないのでしょうか。宗教団体の名称が判明すれば、今回のテロ事件が、どのような背景と動機で行われたのか、効率的に検証が為され、再発防止にも役立つはずです。

 

■今回容疑者が犯行に使用した銃は手製と報じられています。台湾からの情報によると、容疑者は、以下に示す二連式散弾銃「DX-12パニッシャー」を参考にして、凶器を自作した可能性があるということです。

 もちろん、銃弾や炸薬をどのように手作りしたのか、あるいは市販のものを流用したのかどうか、捜査の結果を待たなければなりませんが、今では3次元プリンターを使って銃が作れる時代です。今後、今回の事件を契機に、3次元プリンターの登録義務が課せられることになるかもしれません。

 

■当会が最も懸念しているのは、明日の投票で、有権者の投票行動が今回の事件で大きく影響を受けかねないということです。既に知人らに話を聞いても、予め予定していた投票先を今回の事件で考え直すことにした、という意見が結構多いからです。

 明日の参院選の投開票が平穏に行われることを切に祈らずにはいられません。

【ひらく会事務局より】

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