■平成25年9月18日から19日にかけて東京ガスが大量の未付臭ガスを高崎市、前橋市、渋川市の需要家に送った挙句、高圧導管内に残った、これまた大量の未付臭ガスを周辺の住民に黙って、深夜から明け方、そして通学時間や昼時にかけて大気中に放出し続け、マスコミ発表時にもそのことを隠していた事件で、当会が9月25日付で、経済産業省宛に提出していた苦情申出に対する回答通知が12月26日付送られてきました。
**********
25商ガ安第19号
平成25年12月25日
小川 賢 殿
経済産業省商務流通保安グループガス安全室
苦情申出について
平成25年9月25日付けの苦情申出書について、下記のとおり通知します。
記
貴殿より、平成25年9月25日付けで提出のありました苦情申出書につきまして、以下のように回答させていただきます。
1.本件に関する当省の対応について
本年9月19日に群馬県の東京ガス株式会社の供給管内で発生しましたガスの未付臭事象につきましては、同日東京ガス株式会社から商務流通保安グループガス安全室あてに本事象の連絡があり、事実関係の確認を行うとともに、引き続き報告するよう伝達しております。
また、9月20日に当室から東京ガス株式会社に対し、本事案に関して、住民への広報など十分な対応を行うよう、口頭にて指示しております。
9月24日に東京ガス株式会社から当室に対して本事案の経緯、概要、原因と対策の報告を受け、その際に口頭による注意と更なる原因究明と対策を行うよう指示しました。
10月7日付けで、当室から東京ガス株式会社に対し文書にて注意するとともに、本事案の原因究明と再発防止策の策定の指示を行うとともに、日本ガス協会に対し、類似事案の発生防止の周知徹底の要請を行いました。
2.東京ガス株式会社による当省への報告・再発防止策
当省が東京ガス株式会社から9月19日に受けた第一報につきましては、法令等に基づくものではなく任意に提出された情報です。加えて、上記の指示に対する返答として、10月9日に本案件の原因及び再発防止策についての報告を受けております。本報告の概要につきましては、東京ガス株式会社の下記ホームページにも掲載されております。
(http://www.tokyo-gas.cojp/important/20131009-01.html)
【経済産業省から東京ガス広域圏営業本部長宛の事案報告指示】
(ご参考)
経済産業省
25商ガ安第13号
平成25年10月7日
東京ガス株式会社
常務執行役員広域圏営業本部長 安岡 省 殿
経済産業省商務流通保安グループ
ガス安全室長 大本 治康
東京ガス株式会社群馬地区における未付臭ガス送出について
平成25年9月18日(覚知同19日)に発生した標記の件について、同24日に事案発生の経緯、概要、原因と対策について報告を受けたところですが、当該事案は、ガス保安の観点から起きてはいけない重大な事案であり、このような事案が起きたことは大変遺憾です。
つきましては、本事案の原因究明と再発防止策を策定し、ガス安全室に報告するようお願いいたします。
【経済産業省から日本ガス協会会長宛の類似事案発生防止指示】
経済産業省
25商ガ安第13号
平成25年10月7日
一般社団法人日本ガス協会
会長 尾崎 裕 殿
経済産業省商務流通保安グループ
ガス安全室長 大本 治康
東京ガス株式会社群馬地区における未付臭ガス送出について
平成25年9月18日(覚知同19日)に、東京ガス株式会社群馬地区において未付臭ガスを送出した事案が発生しました。当該事案は、ガス保安の観点から起きてはいけない重大な事案であり、このような事案が起きたことは大変遺憾です。本件については、別添のとおり東京ガス株式会社に対して、本事案の原因究明と再発防止策の策定を求めております。
つきましては、責団体会員に対して、類似事案が起きないよう、周知徹底をお願いいたします。
【東京ガスから経済産業省宛の報告】※文中、■~■に挟まれた赤文字は当会の予測です
072-25:360
平成25年10月9日
経済産業省商務流通保安グループ
ガス安全室長 大本 治康 様
東 京 ガ ス 株 式 会 社
常務執行役員広域圏営業本部長 安岡 省
群馬地区における未付臭ガス送出の原因及び再発防止策について
(ご報告)
弊社の事業運営につきましては、平素より格別のご指導ご鞭毬を賜り厚く御礼申し上げます。
さて今般、弊社群馬地区において未付臭ガス送出という事態に立ち至ったことは誠に申し訳なく、深くお詫び申し上げます。
弊社は本件を厳粛に受け止め、平成25年10月7日付け25商ガ安第13号によりご指示賜りました原因及び再発防止策につきまして、下記の通りご報告申し上げます。
弊社は、これ等再発防止策を的確に実施することにより今後再びかかる事態を惹起せぬよう、最善の努力を傾注する所存でございます。
記
1.本事案の原因及び再発防止策
(1)未付臭ガスを送出した原因及び再発防止策
原因1:バルブ操作訓練参加者が、電動バルブ閉止で付臭ポンプが自動停止するシーケンスとなっていることを把握していなかった。
<再発防止策>
1-①:群馬支社設備グループマネージャー(ガス主任技術者)は、本事象を群馬支社設備グループ員に周知・教育を行う。…9月24日実施済み
1-②:群馬支社設備グループは、■磯部■BVS(当会注:ブロック・バルブ・ステーション)にてバルブ操作を行う際に使用する「■磯部■BVS運転操作要領書」に、電動バルブ閉止で付臭ポンプが停止するというシーケンスについて明記し、適切な操作を徹底する。また、明記後に■磯部■BVS運転操作要領書が適切であることを、群馬支社設備グループマネージャー(ガス主任技術者)が確認する。…9月19日実施済み
1-③:群馬支社設備グループは、付臭装置の設置されている■??■受入基地および■???■■整圧所にて、電動バルブ閉止で付臭ポンプが停止するシーケンスとなっていないことを確認する。…9月24日実施済み
1-④:群馬支社設備グループは、早急に、重大な事象を招く恐れのある、把握していないシーケンスがないかについて調査を行う。また、調査の結果、こうしたシーケンスが判明した場合には、群馬支社設備グループマネージャー(ガス主任技術者)が群馬支社設備グループ員に周知・教育を行うなど、必要な対策を実施する。…平成25年10月末まで
1-⑤:広域圏企面部広域企画グループは、社内の他の付臭設備管理箇所、日本ガス協会、付臭装置を使用している関係会社(TG山梨、長野都市ガス、千葉ガス)へ本事象について周知する。…情報提供は9月20日、周知は9月25日に実施済み
1-⑥:防災・供給部幹線グループは、・操作要領吝作成時のチェックシートに、電動バルブ閉止で付臭ポンプが停止するシーケンスの有無確認、というチェック項目を追加して、適切な要領書の作成を徹底する。…9月24日実施済み
(2)未付臭ガスが送出されたことの発見が遅延した原因及び再発防止策
原因2:付臭設備のアラームがオフとなっており、この状態を1年以上確認していなかった。また、その経緯が明確に判明しない状況となっている。
<再発防止策>
以下の再発防之策を、■磯部■BVS、■藤岡■受入基地、■??■整圧所に対して実施する。
2-①:群馬支社設備グループは、安易にアラーム設定が変更されることを防止するため、「管理者であるグループマネージャー(ガス主任技術者)およびチームリーダーのみがアラームオフ・オンできるように」、また、「アラームオフ・オンの履歴が長期間残るように」、付臭設備のアラーム設定に関するプログラムを改善する。…平成25年12月末まで
それまでの期間は、アラームオフ・オンする際には管理者の承認を得て実施することとする。…9月23日より実施済み
2-②:群馬支社設備グループは、毎日の巡回点検出発時に、群馬支社緊急司令室において付臭設備のアラームオンを確認し、群馬支社日直・宿直供給状況点検表に記載する。群馬支社設備グループマネージャー(ガス主任技術者)は、群馬支社日直・宿直供給状況点検表でアラームオン確認が確実に実施されていることを確認する。…9月23日より実施済み
2-③:群馬支社設備グループは、群馬支社緊急司令室に設置するアラーム設定管理表にてアラームオフ・オンの実施日を管理するともに、アラームオフの札をグループ員全員が視認できるようにする。…9月23日より実施済み
原因3:圖検査バルブ操作訓練終了後に、付臭ポンプの稼動状況を確認しなかった。
<再発防止策>
3-①:群馬支社設備グループは、電動バルブ操作を伴う工事・作業終了後、付臭ポンプが稼動していることを確認し、その記録を残すために工事・作業報告書に記載する。群馬支社設備グループマネージャー(ガス主任技術者)は、工事・作業報告書で付臭ボンプ稼働確認が確実に実施されていることを確認する。…9月23日より実施済み
2.参考資料
①東京ガス株式会社群馬地区における未付臭ガス送出の発生経緯
②群馬支社供給エリア図
③未付臭発生の経緯などに関する詳細調査結果
以 上
【参考資料①】
群馬地区における未付臭ガス送出の発生経緯
1.対象エリアの概要
・行政: 群馬県高崎市、前橋市、渋川市
・需要家件数: 約8万2千件
・エリア図: 参考資料②(右下の群馬南地区、約1万件を除く)
・ガス原: INPEX(当会注:帝国石油)より卸受
・受入地点: ■藤岡■受入基地(エリア図南)と■磯部■BVS(エリア図西)の2ヵ所
2.未付臭の発生および対応の概要
9月19日(木)
●11:30 巡回点検時(毎日実施)に■磯部■BVSの付臭ポンプ停止を発見、送出ガスが未付臭であることを併せて確認。覚知後ただちに付臭ポンプの再運転操作を実施。
●12:06 ■磯部■BVS下流の■下小塙■■GS(当会注:ガバナー・ステーション)の流量を減量し、未付臭ガスの送出量の減量を図る。併せて■藤岡■受入基地からの供給を再開(なお、それまで■藤岡■受入基地は修繕工事中のため閉止)。
●13:10 ■藤岡■受入基地からの供給が安定してきたことが確認されたため、■下小塙■■GSからの送出を停止。
●13:20 広域圏営業本部長をトップとする非常事態対策本部を設置。
●14:00 エリア内の付臭状況観測開始。
●14:20 経済産業省へ電話にて報告。
●15:05 エリア内の全ガスホルダーを閉鎖(2箇所:■??■整圧所、■??■整圧所)。
●15:15 付臭状況観測の結果、前橋ビル(エリア北東)、渋川市の大口需要家(エリア北端)にて十分な付臭濃度を確認。
●16:00 警察・消防・行政へ連絡、注意喚起について協議。
●16:07 経済産業省ヘメールにて現状を報告。
●17:00 付臭状況観測の結果、■??■ガバナ・■???■■ガバナ(エリア東端)にて十分な付臭濃度を確認。また、エネスタ前橋北、エネスタ前橋、エネスタ高崎面、エネスタ通町高崎東、エネスタ高崎北にて十分な臭気を確認。エネスタ高崎住吉町にて、臭気が十分でないことを確認。エネスタ高崎住吉町周辺での広報車待機を指示。
●17:20 高崎市にて防災メール(3.8万人登録)による注意喚起。
●17;30 前橋市にて防災メール(1.4万人登録)および防災無線による注意喚起。
●18:30 プレスリリース(内容:事実関係の周知と注意喚起)。
●19:00 付臭状況観測の結果、高崎市■????■■■ガバナ(エリア南端)にて十分な付臭濃度を確認。高崎市■?????■■■■■ガバナ(エリア南西端)にて付臭濃度0を確認。■?????■■■■■ガバナ周辺の需要家への個別巡回準備を開始。
●19:25 エネスタ高崎住吉町周辺での東京ガス群馬支社広報車による注意喚起の広報を開始。■?????■■■■■ガバナ周辺需要家への個別巡回による注意喚起(在宅者の宅内点検も実施)を開始。
●20:30 付臭状況観測の結果、エネスタ高崎西、高崎市■???■■■ガバナ(エリア西端)に加えて、付臭が弱かったエネスタ高崎住吉町近傍の高崎市■??■ガバナと■??????■■■■■ガバナも含めて、十分な付臭濃度を確認。
●21:00 付臭状況観測と個別需要家宅内付臭確認の結果を踏まえて、「復旧」と判断し、非常事態対策本部の体制を縮小(本部体制を縮小するとともに、群馬支社長をトップとする二次体制に移行)。
●21:05 ■??????■■■■■ガバナ周辺にて現場確認中、■??????■■■■■ガバナにおいて未付臭ガスが残っていることを発見し、パージ作業を実施。22:45にパージ完了、23:20に十分な付臭濃度を確認。
●22:09 高崎市にて防災メールによる復旧の広報。
●22:14 前橋市にて防災メールによる復旧の広報。
● 23:30 プレスリリース(内容:復旧)。
9月20日(金)
●9:30~ 東京ガス群馬支社広報車により復旧の広報を実施(行政との調整の結果、深夜を避け明朝実施)。
●14:00 群馬幹線において、未付臭ガスのパージ完了。
●17:15 群馬幹線において、付臭済みガスによる昇圧が完了し、■下小塙■■GSからのガス送出を開始。
●17:58 ■下小塙■■GSからのガス送出が安定してきたことが確認されたため、■藤岡■受入基地からのガス送出を停止。
●18:13 ■??■整圧所ガスホルダーにて十分な付臭濃度が確認されたため開放。
●18:28 ■??■整圧所ガスホルダーにて十分な付臭濃度が確認されたため開放。
3.未付臭発生の経緯
9月18日午前、■磯部■BVSにおいて、翌週に予定されていた■??■(配管検査装置)検査に向け、INPEX群馬ラインからの受入導管上の電動バルブを閉止し、■??■発射のための仮設配管からガスを送出する訓練を実施していた。当該電動バルブを閉止した際に、過付臭を防止するため、付臭ポンプを自動停止するシーケンスが作動した。しかし、付臭ポンプを再運転せず、当該電動バルブを開けて通常のガスの流れに戻し、当日訓練を完了した(参考資料③に詳細を記す)。また、未付臭であることを知らせるアラームが発報されなかった。なお、付臭ポンプの運転状況は巡回点検(毎日実施)にて確認している。
<アラームオフの経緯>
現時点で、2010年2月に■磯部■BVS供用開始した際にはアラームオンになっていたこと、2012年5月遠隔監視装置を更新した際の完成図書にてアラームオフの設定になっていたこと、を確認した。このため、2010年2月から2012年5月の間にアラームオフにしたと推測される。アラームオフした経緯は以下の2ケースが想定される。
(1)2010年2月22日供用開始後、2010年2月26日ガバナ騒音苦情により■磯部■BVSからのガス送出を停止し、付臭ポンプを停止。この際に、アラームオフとした可能性が考えられる。
その後2010年10月19日ガス送出再開し(当会注:8ヶ月間も群馬幹線に高圧ガスが流れていなかったことは今回初めて知った)、アラームオフのまま付臭ポンプを再運転。
…アラームオフの期間は、最長で2010年2月~2013年9月(3年7ケ月)
(2)2012年1月■磯部■BVSにて逆上弁設置工事のためガス送出を停止し、付臭ポンプを停止。
この際に、アラームオフとした可能性が考えられる。その後2012年11月1日ガス送出再開し、アラームオフのまま忖臭ポンプを再運転。
…アラームオフの期間は、最長で2012年1月~2013年9月(1年8ケ月)
なお、群馬支社内にて付臭設備が設置されている■藤岡■受入基地および■??■整圧所については、アラームオンになっていることを確認している。
以 上
【参考資料②】群馬支社供給エリア図
【参考資料③】未付臭発生の経緯などに関する詳細調査結果
■未付臭発生の経緯
・通常時、■磯部■BVSにおいてINPEX群馬ラインからのガス受入を行っており、この際、付臭ポンプを運転して付臭している。【次頁図 黄色矢印】
・■■発射時には、INPEX群馬ラインからの受入導管上の電動バルブV-17を閉止して、■??■発射のための仮設配管からガスを送出する。
【次頁図 ガスの流れを黄色矢印から青矢印へ変更】
・9月18日午前、■??■検査の事前のバルブ操作訓練において、電動バルブV-17を閉止した。
・一方、電動パルプV-17を閉止した際には、過付臭を防止するために、付臭ポンプを自動停止させるシーケンスが構築されている。
・このため、電動バルブV-17を閉止した11:47に自動停止のシーケンスが作動し、付臭ポンプが自動停止した。しかし、付臭ポンプを再起動しないまま、電動バルブV-17を開けて通常時のガスの流れに戻し、当日訓練を完了した。
■付臭ポンプ自動停止シーダンスの必要性
・ステーション内配管工事などの理由でINPEX群馬ラインからの受入を停止する場合に、電動パルプV-17を閉止する。この際に過付臭を防止するため、「まず付臭ポンプを停止させた後、電動バルブV-17を閉止する」という手順になっている。
・しかし、不測の事態により、付臭ポンプを停止させずに電動パルプV-17を閉止すると還付臭となる懸念がある。これを防止するために当該付臭股備には、「電動バルブV-17の閉止を電動で行った場合に限り、自動的に付臭ポンプを停止する」というシーケンスが構築されている。
・なお、一旦閉止した電動バルブV-17を開ける際には、適正な付臭を行うために、ガス送出量を確認しながら慎重に付臭ポンプを再運転させる必要がある。このため、「自動的に付臭ポンプを再運転させる」というシーケンスは構築されていない。
■???■■検査時の適切なバルブ操作
・■??■検査の際には、INPEX群馬ラインからの受入は停止しないため、電動バルブV-17を閉止させる場合、付臭ポンプは停止せず運転を継続させる必要がある。
・そこで■??■検査時には、電動パルプV-17の閉止を手動で行う。なお、電動バルブV-17を手動で閉止した際には、自動停止シーケンスが作動せず、付臭ポンプは停止しないことを9月20日■磯部■BVSにて確認済み。
<次頁>■磯部■BVSのステーション配置図
**********
■このように、経済産業省からの回答には、肝心の東京ガスが安中市北野殿地区に設置した安中バルブステーションにある放散塔から地域住民に無断で未付臭の生ガスを大量放出した一件にはまったく触れられていません。また、同封された東京ガスから経済産業省宛の報告書にも、生ガス無断放散について、一言も触れられていません。
さらに、経済産業省からの回答書に添付されている東京ガスから経済産業省宛の報告では、たくさんの黒塗り箇所があります。これでは住民をテロリスト視して、危険なガス施設の情報を隠そうとする東京ガスの意向をそのまま役所も踏襲していることになります。
ここはやはり、東京ガスに直接面談して、黒塗りの■■の部分の正しい文字を開示してもらうことが肝要だと思われます。
■なお当会では、経済産業省に対して、このいい加減な回答通知に対して、不服申立をすべきかどうか、検討することにしています。
【ひらく会情報部・高圧ガス導管敷設問題研究班】
**********
25商ガ安第19号
平成25年12月25日
小川 賢 殿
経済産業省商務流通保安グループガス安全室
苦情申出について
平成25年9月25日付けの苦情申出書について、下記のとおり通知します。
記
貴殿より、平成25年9月25日付けで提出のありました苦情申出書につきまして、以下のように回答させていただきます。
1.本件に関する当省の対応について
本年9月19日に群馬県の東京ガス株式会社の供給管内で発生しましたガスの未付臭事象につきましては、同日東京ガス株式会社から商務流通保安グループガス安全室あてに本事象の連絡があり、事実関係の確認を行うとともに、引き続き報告するよう伝達しております。
また、9月20日に当室から東京ガス株式会社に対し、本事案に関して、住民への広報など十分な対応を行うよう、口頭にて指示しております。
9月24日に東京ガス株式会社から当室に対して本事案の経緯、概要、原因と対策の報告を受け、その際に口頭による注意と更なる原因究明と対策を行うよう指示しました。
10月7日付けで、当室から東京ガス株式会社に対し文書にて注意するとともに、本事案の原因究明と再発防止策の策定の指示を行うとともに、日本ガス協会に対し、類似事案の発生防止の周知徹底の要請を行いました。
2.東京ガス株式会社による当省への報告・再発防止策
当省が東京ガス株式会社から9月19日に受けた第一報につきましては、法令等に基づくものではなく任意に提出された情報です。加えて、上記の指示に対する返答として、10月9日に本案件の原因及び再発防止策についての報告を受けております。本報告の概要につきましては、東京ガス株式会社の下記ホームページにも掲載されております。
(http://www.tokyo-gas.cojp/important/20131009-01.html)
【経済産業省から東京ガス広域圏営業本部長宛の事案報告指示】
(ご参考)
経済産業省
25商ガ安第13号
平成25年10月7日
東京ガス株式会社
常務執行役員広域圏営業本部長 安岡 省 殿
経済産業省商務流通保安グループ
ガス安全室長 大本 治康
東京ガス株式会社群馬地区における未付臭ガス送出について
平成25年9月18日(覚知同19日)に発生した標記の件について、同24日に事案発生の経緯、概要、原因と対策について報告を受けたところですが、当該事案は、ガス保安の観点から起きてはいけない重大な事案であり、このような事案が起きたことは大変遺憾です。
つきましては、本事案の原因究明と再発防止策を策定し、ガス安全室に報告するようお願いいたします。
【経済産業省から日本ガス協会会長宛の類似事案発生防止指示】
経済産業省
25商ガ安第13号
平成25年10月7日
一般社団法人日本ガス協会
会長 尾崎 裕 殿
経済産業省商務流通保安グループ
ガス安全室長 大本 治康
東京ガス株式会社群馬地区における未付臭ガス送出について
平成25年9月18日(覚知同19日)に、東京ガス株式会社群馬地区において未付臭ガスを送出した事案が発生しました。当該事案は、ガス保安の観点から起きてはいけない重大な事案であり、このような事案が起きたことは大変遺憾です。本件については、別添のとおり東京ガス株式会社に対して、本事案の原因究明と再発防止策の策定を求めております。
つきましては、責団体会員に対して、類似事案が起きないよう、周知徹底をお願いいたします。
【東京ガスから経済産業省宛の報告】※文中、■~■に挟まれた赤文字は当会の予測です
072-25:360
平成25年10月9日
経済産業省商務流通保安グループ
ガス安全室長 大本 治康 様
東 京 ガ ス 株 式 会 社
常務執行役員広域圏営業本部長 安岡 省
群馬地区における未付臭ガス送出の原因及び再発防止策について
(ご報告)
弊社の事業運営につきましては、平素より格別のご指導ご鞭毬を賜り厚く御礼申し上げます。
さて今般、弊社群馬地区において未付臭ガス送出という事態に立ち至ったことは誠に申し訳なく、深くお詫び申し上げます。
弊社は本件を厳粛に受け止め、平成25年10月7日付け25商ガ安第13号によりご指示賜りました原因及び再発防止策につきまして、下記の通りご報告申し上げます。
弊社は、これ等再発防止策を的確に実施することにより今後再びかかる事態を惹起せぬよう、最善の努力を傾注する所存でございます。
記
1.本事案の原因及び再発防止策
(1)未付臭ガスを送出した原因及び再発防止策
原因1:バルブ操作訓練参加者が、電動バルブ閉止で付臭ポンプが自動停止するシーケンスとなっていることを把握していなかった。
<再発防止策>
1-①:群馬支社設備グループマネージャー(ガス主任技術者)は、本事象を群馬支社設備グループ員に周知・教育を行う。…9月24日実施済み
1-②:群馬支社設備グループは、■磯部■BVS(当会注:ブロック・バルブ・ステーション)にてバルブ操作を行う際に使用する「■磯部■BVS運転操作要領書」に、電動バルブ閉止で付臭ポンプが停止するというシーケンスについて明記し、適切な操作を徹底する。また、明記後に■磯部■BVS運転操作要領書が適切であることを、群馬支社設備グループマネージャー(ガス主任技術者)が確認する。…9月19日実施済み
1-③:群馬支社設備グループは、付臭装置の設置されている■??■受入基地および■???■■整圧所にて、電動バルブ閉止で付臭ポンプが停止するシーケンスとなっていないことを確認する。…9月24日実施済み
1-④:群馬支社設備グループは、早急に、重大な事象を招く恐れのある、把握していないシーケンスがないかについて調査を行う。また、調査の結果、こうしたシーケンスが判明した場合には、群馬支社設備グループマネージャー(ガス主任技術者)が群馬支社設備グループ員に周知・教育を行うなど、必要な対策を実施する。…平成25年10月末まで
1-⑤:広域圏企面部広域企画グループは、社内の他の付臭設備管理箇所、日本ガス協会、付臭装置を使用している関係会社(TG山梨、長野都市ガス、千葉ガス)へ本事象について周知する。…情報提供は9月20日、周知は9月25日に実施済み
1-⑥:防災・供給部幹線グループは、・操作要領吝作成時のチェックシートに、電動バルブ閉止で付臭ポンプが停止するシーケンスの有無確認、というチェック項目を追加して、適切な要領書の作成を徹底する。…9月24日実施済み
(2)未付臭ガスが送出されたことの発見が遅延した原因及び再発防止策
原因2:付臭設備のアラームがオフとなっており、この状態を1年以上確認していなかった。また、その経緯が明確に判明しない状況となっている。
<再発防止策>
以下の再発防之策を、■磯部■BVS、■藤岡■受入基地、■??■整圧所に対して実施する。
2-①:群馬支社設備グループは、安易にアラーム設定が変更されることを防止するため、「管理者であるグループマネージャー(ガス主任技術者)およびチームリーダーのみがアラームオフ・オンできるように」、また、「アラームオフ・オンの履歴が長期間残るように」、付臭設備のアラーム設定に関するプログラムを改善する。…平成25年12月末まで
それまでの期間は、アラームオフ・オンする際には管理者の承認を得て実施することとする。…9月23日より実施済み
2-②:群馬支社設備グループは、毎日の巡回点検出発時に、群馬支社緊急司令室において付臭設備のアラームオンを確認し、群馬支社日直・宿直供給状況点検表に記載する。群馬支社設備グループマネージャー(ガス主任技術者)は、群馬支社日直・宿直供給状況点検表でアラームオン確認が確実に実施されていることを確認する。…9月23日より実施済み
2-③:群馬支社設備グループは、群馬支社緊急司令室に設置するアラーム設定管理表にてアラームオフ・オンの実施日を管理するともに、アラームオフの札をグループ員全員が視認できるようにする。…9月23日より実施済み
原因3:圖検査バルブ操作訓練終了後に、付臭ポンプの稼動状況を確認しなかった。
<再発防止策>
3-①:群馬支社設備グループは、電動バルブ操作を伴う工事・作業終了後、付臭ポンプが稼動していることを確認し、その記録を残すために工事・作業報告書に記載する。群馬支社設備グループマネージャー(ガス主任技術者)は、工事・作業報告書で付臭ボンプ稼働確認が確実に実施されていることを確認する。…9月23日より実施済み
2.参考資料
①東京ガス株式会社群馬地区における未付臭ガス送出の発生経緯
②群馬支社供給エリア図
③未付臭発生の経緯などに関する詳細調査結果
以 上
【参考資料①】
群馬地区における未付臭ガス送出の発生経緯
1.対象エリアの概要
・行政: 群馬県高崎市、前橋市、渋川市
・需要家件数: 約8万2千件
・エリア図: 参考資料②(右下の群馬南地区、約1万件を除く)
・ガス原: INPEX(当会注:帝国石油)より卸受
・受入地点: ■藤岡■受入基地(エリア図南)と■磯部■BVS(エリア図西)の2ヵ所
2.未付臭の発生および対応の概要
9月19日(木)
●11:30 巡回点検時(毎日実施)に■磯部■BVSの付臭ポンプ停止を発見、送出ガスが未付臭であることを併せて確認。覚知後ただちに付臭ポンプの再運転操作を実施。
●12:06 ■磯部■BVS下流の■下小塙■■GS(当会注:ガバナー・ステーション)の流量を減量し、未付臭ガスの送出量の減量を図る。併せて■藤岡■受入基地からの供給を再開(なお、それまで■藤岡■受入基地は修繕工事中のため閉止)。
●13:10 ■藤岡■受入基地からの供給が安定してきたことが確認されたため、■下小塙■■GSからの送出を停止。
●13:20 広域圏営業本部長をトップとする非常事態対策本部を設置。
●14:00 エリア内の付臭状況観測開始。
●14:20 経済産業省へ電話にて報告。
●15:05 エリア内の全ガスホルダーを閉鎖(2箇所:■??■整圧所、■??■整圧所)。
●15:15 付臭状況観測の結果、前橋ビル(エリア北東)、渋川市の大口需要家(エリア北端)にて十分な付臭濃度を確認。
●16:00 警察・消防・行政へ連絡、注意喚起について協議。
●16:07 経済産業省ヘメールにて現状を報告。
●17:00 付臭状況観測の結果、■??■ガバナ・■???■■ガバナ(エリア東端)にて十分な付臭濃度を確認。また、エネスタ前橋北、エネスタ前橋、エネスタ高崎面、エネスタ通町高崎東、エネスタ高崎北にて十分な臭気を確認。エネスタ高崎住吉町にて、臭気が十分でないことを確認。エネスタ高崎住吉町周辺での広報車待機を指示。
●17:20 高崎市にて防災メール(3.8万人登録)による注意喚起。
●17;30 前橋市にて防災メール(1.4万人登録)および防災無線による注意喚起。
●18:30 プレスリリース(内容:事実関係の周知と注意喚起)。
●19:00 付臭状況観測の結果、高崎市■????■■■ガバナ(エリア南端)にて十分な付臭濃度を確認。高崎市■?????■■■■■ガバナ(エリア南西端)にて付臭濃度0を確認。■?????■■■■■ガバナ周辺の需要家への個別巡回準備を開始。
●19:25 エネスタ高崎住吉町周辺での東京ガス群馬支社広報車による注意喚起の広報を開始。■?????■■■■■ガバナ周辺需要家への個別巡回による注意喚起(在宅者の宅内点検も実施)を開始。
●20:30 付臭状況観測の結果、エネスタ高崎西、高崎市■???■■■ガバナ(エリア西端)に加えて、付臭が弱かったエネスタ高崎住吉町近傍の高崎市■??■ガバナと■??????■■■■■ガバナも含めて、十分な付臭濃度を確認。
●21:00 付臭状況観測と個別需要家宅内付臭確認の結果を踏まえて、「復旧」と判断し、非常事態対策本部の体制を縮小(本部体制を縮小するとともに、群馬支社長をトップとする二次体制に移行)。
●21:05 ■??????■■■■■ガバナ周辺にて現場確認中、■??????■■■■■ガバナにおいて未付臭ガスが残っていることを発見し、パージ作業を実施。22:45にパージ完了、23:20に十分な付臭濃度を確認。
●22:09 高崎市にて防災メールによる復旧の広報。
●22:14 前橋市にて防災メールによる復旧の広報。
● 23:30 プレスリリース(内容:復旧)。
9月20日(金)
●9:30~ 東京ガス群馬支社広報車により復旧の広報を実施(行政との調整の結果、深夜を避け明朝実施)。
●14:00 群馬幹線において、未付臭ガスのパージ完了。
●17:15 群馬幹線において、付臭済みガスによる昇圧が完了し、■下小塙■■GSからのガス送出を開始。
●17:58 ■下小塙■■GSからのガス送出が安定してきたことが確認されたため、■藤岡■受入基地からのガス送出を停止。
●18:13 ■??■整圧所ガスホルダーにて十分な付臭濃度が確認されたため開放。
●18:28 ■??■整圧所ガスホルダーにて十分な付臭濃度が確認されたため開放。
3.未付臭発生の経緯
9月18日午前、■磯部■BVSにおいて、翌週に予定されていた■??■(配管検査装置)検査に向け、INPEX群馬ラインからの受入導管上の電動バルブを閉止し、■??■発射のための仮設配管からガスを送出する訓練を実施していた。当該電動バルブを閉止した際に、過付臭を防止するため、付臭ポンプを自動停止するシーケンスが作動した。しかし、付臭ポンプを再運転せず、当該電動バルブを開けて通常のガスの流れに戻し、当日訓練を完了した(参考資料③に詳細を記す)。また、未付臭であることを知らせるアラームが発報されなかった。なお、付臭ポンプの運転状況は巡回点検(毎日実施)にて確認している。
<アラームオフの経緯>
現時点で、2010年2月に■磯部■BVS供用開始した際にはアラームオンになっていたこと、2012年5月遠隔監視装置を更新した際の完成図書にてアラームオフの設定になっていたこと、を確認した。このため、2010年2月から2012年5月の間にアラームオフにしたと推測される。アラームオフした経緯は以下の2ケースが想定される。
(1)2010年2月22日供用開始後、2010年2月26日ガバナ騒音苦情により■磯部■BVSからのガス送出を停止し、付臭ポンプを停止。この際に、アラームオフとした可能性が考えられる。
その後2010年10月19日ガス送出再開し(当会注:8ヶ月間も群馬幹線に高圧ガスが流れていなかったことは今回初めて知った)、アラームオフのまま付臭ポンプを再運転。
…アラームオフの期間は、最長で2010年2月~2013年9月(3年7ケ月)
(2)2012年1月■磯部■BVSにて逆上弁設置工事のためガス送出を停止し、付臭ポンプを停止。
この際に、アラームオフとした可能性が考えられる。その後2012年11月1日ガス送出再開し、アラームオフのまま忖臭ポンプを再運転。
…アラームオフの期間は、最長で2012年1月~2013年9月(1年8ケ月)
なお、群馬支社内にて付臭設備が設置されている■藤岡■受入基地および■??■整圧所については、アラームオンになっていることを確認している。
以 上
【参考資料②】群馬支社供給エリア図
【参考資料③】未付臭発生の経緯などに関する詳細調査結果
■未付臭発生の経緯
・通常時、■磯部■BVSにおいてINPEX群馬ラインからのガス受入を行っており、この際、付臭ポンプを運転して付臭している。【次頁図 黄色矢印】
・■■発射時には、INPEX群馬ラインからの受入導管上の電動バルブV-17を閉止して、■??■発射のための仮設配管からガスを送出する。
【次頁図 ガスの流れを黄色矢印から青矢印へ変更】
・9月18日午前、■??■検査の事前のバルブ操作訓練において、電動バルブV-17を閉止した。
・一方、電動パルプV-17を閉止した際には、過付臭を防止するために、付臭ポンプを自動停止させるシーケンスが構築されている。
・このため、電動バルブV-17を閉止した11:47に自動停止のシーケンスが作動し、付臭ポンプが自動停止した。しかし、付臭ポンプを再起動しないまま、電動バルブV-17を開けて通常時のガスの流れに戻し、当日訓練を完了した。
■付臭ポンプ自動停止シーダンスの必要性
・ステーション内配管工事などの理由でINPEX群馬ラインからの受入を停止する場合に、電動パルプV-17を閉止する。この際に過付臭を防止するため、「まず付臭ポンプを停止させた後、電動バルブV-17を閉止する」という手順になっている。
・しかし、不測の事態により、付臭ポンプを停止させずに電動パルプV-17を閉止すると還付臭となる懸念がある。これを防止するために当該付臭股備には、「電動バルブV-17の閉止を電動で行った場合に限り、自動的に付臭ポンプを停止する」というシーケンスが構築されている。
・なお、一旦閉止した電動バルブV-17を開ける際には、適正な付臭を行うために、ガス送出量を確認しながら慎重に付臭ポンプを再運転させる必要がある。このため、「自動的に付臭ポンプを再運転させる」というシーケンスは構築されていない。
■???■■検査時の適切なバルブ操作
・■??■検査の際には、INPEX群馬ラインからの受入は停止しないため、電動バルブV-17を閉止させる場合、付臭ポンプは停止せず運転を継続させる必要がある。
・そこで■??■検査時には、電動パルプV-17の閉止を手動で行う。なお、電動バルブV-17を手動で閉止した際には、自動停止シーケンスが作動せず、付臭ポンプは停止しないことを9月20日■磯部■BVSにて確認済み。
<次頁>■磯部■BVSのステーション配置図
**********
■このように、経済産業省からの回答には、肝心の東京ガスが安中市北野殿地区に設置した安中バルブステーションにある放散塔から地域住民に無断で未付臭の生ガスを大量放出した一件にはまったく触れられていません。また、同封された東京ガスから経済産業省宛の報告書にも、生ガス無断放散について、一言も触れられていません。
さらに、経済産業省からの回答書に添付されている東京ガスから経済産業省宛の報告では、たくさんの黒塗り箇所があります。これでは住民をテロリスト視して、危険なガス施設の情報を隠そうとする東京ガスの意向をそのまま役所も踏襲していることになります。
ここはやはり、東京ガスに直接面談して、黒塗りの■■の部分の正しい文字を開示してもらうことが肝要だと思われます。
■なお当会では、経済産業省に対して、このいい加減な回答通知に対して、不服申立をすべきかどうか、検討することにしています。
【ひらく会情報部・高圧ガス導管敷設問題研究班】