市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

安中市野殿の放散塔のほか高崎市下小塙ガバナステーションでも未付臭ガスを大量放出していた東京ガスの無神経

2013-11-01 12:28:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■東京ガスが、安全のためにガス事業法に義務付けられているガスへの付臭措置を初歩的な人為ミスにより怠り、9月18日から19日にかけて、高崎市、前橋市、渋川市にわたる8万2千件のガス利用者に不安全なガスを約1日間供給し続けていた事件で、先日、10月9日に県庁記者クラブで謝罪会見を行いました。ところが東京ガスは、この未不臭ガスの完全復旧宣言を9月19日21時にしておきながら、その陰で、地球温暖化係数の高い生ガスを、周辺住民に内緒で大量に大気中に放出し、周辺住民を不安に陥れ、地球環境に対しても悪影響を及ぼしていたことについては、一言も触れませんでした。

 当会と同様に、この問題を追及している地元住民によれば、東京ガスは、安中市野殿にあるバルブステーションに設置した高さ30mの放散塔から約4万立方メートル(東京ガスを取材した新聞報道による)の生ガスを真夜中から翌日の未明にかけて大量に放出させたのに、事前事後に、周辺に住む地元住民に対して一言も広報活動をしていませんでしたが、同様に東京ガスでは、高崎市下小塙のガバナステーションでも大量の生ガスを放散塔ではなく、通常の施設から大気中に放出していたことを、この地元住民への口頭説明や、質問状に対する回答書のなかで明言しました。

 高崎市下小塙のガバナステーションは、安中市野殿と異なり、人口密度の高い市街地に位置しています。しかも付近には小学校も隣接しており、こうした状況下でも平然と、しかも事前事後に何も広報活動をしないまま、爆発の危険を伴う可燃性ガスを大量に放出するのですから、東京ガスという組織の無神経ぶりが如実に現れているといえるでしょう。

■地元住民によれば、東京ガスには都合2回にわたって質問状を提出し、それぞれ次の内容の回答書が東京ガスから送られてきたそうです。

*****【1回目の回答書】*****

                    平成25年10月4日
■■■■様
                    東京ガス株式会社
                     群 馬 支 社
     平成25年9月20日付貴質問状に対する弊社回答
 拝復 中秋の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、平成25年9月20日付貴質問状について、弊社の見解を下記のとおり回答申し上げます。
                    敬具
          記
<貴質問状1について>
 ガス導管中の末付臭の都市ガスを、安中バルブステーションの放散塔から上空に放出する作業を行いました。
<貴質問状2・3について>
 緊急の場合、二次被害防止のため、ガスを安全に上空に放出することを想定しています。なお、法律上の規制は特にございません。
<貴質問状4・5について>
 都市ガスは空気より軽く、放出後は上空に拡散します。そのため、地上でのガス検知は応変ありません。なお、作業を行う際は、安全を確保した上で実施しております。
<貴質問状6について>
 未付臭のガスを放散し、その後、付臭したガスを導管に再充填します。
<貴質問状7・8・9について>
 緊急時は、各時点においてその状況に応じた広報活動を行うとしています。この度は、緊急かつ迅速な作業が必要であったため、周辺住民の皆さまに十分な事前説明ができなかったことをお詫びいたします。
<貴質問状10について>
 事故発生時は、消防・警察へ通報し、付近住民を避難誘導するよう定めています
<貴質問状11について>
 9月19日18時頃から20日午前中にかけて、弊社施設にて緊急作業を行いましたが、作業は無事に終丁しております。
                    連絡先 総務部
                    電話 027-322-2523

*****【2回目の回答書】*****

                    平成25年10月18日(※実際の回答日は同29日)
■■■■様
                    東京ガス株式会社
                        群馬支社
     平成25年10月6日付のご質問状に対するご回答
 拝復 中秋の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 9月19日(木)の夜間における未付臭ガス放散作業に伴う振動・騒音等により、周辺住民の皆さまに多大なご迷惑・ご心配をおかけしましたことについて、深くお詫び申し上げます
 さて、■■様からご恵送いただいた、平成25年10月6日付のご質問状について、10月14日にお宅にお邪魔し直接説明させていただいたところですが、下記のとおり改めて正式にご回答申し上げます。
 本書面をもって、本件に関する弊社からの書面による最終的な回答とさせていただきます。今後につきましては、ご不明な点等がございましたら、ご面談あるいは電話に限り説明させていただきます。何卒ご理解、ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。
                    敬具
          記
<ご質問状2について>
 放散塔は、緊急時等にガスを大気中に安全に放散する施設です。今回は付臭したガス供給への復旧が早期に必要との認識のもと、放散塔を使用しました。
<ご質問状5について>
 放散作業の安全確認ですが、通常のガス工事と同様に、ガス主任技術者の指導のもと、ガス事業法が作成を義務づけている「保安規程」に則って、安全作業で実施しております。また、14日の説明時に■■様からご指摘のあった放散中の着火対策ですが、放散中は計器および目視により常時監視しており、安全に万全を期して作業を実施いたしました。
 なお、放散塔は、様々な気象条件下でも安全に放散できるような設備として設計されております。
<ご質問状6について>
 未付臭ガスを安中バルブステーションおよび下小端ガバナステーションの2箇所で放散し、導管内圧力を大気圧までさげました。その後、残った未付臭ガスを付臭したガスで押し出して、最終的に付臭したガスに完全に置換しております。

<ご質問状7について>
 別の受入基地からの供給(付臭したガスによる供給)に切り替えたことから、9月19日21時に復旧と判断しました。しかしながら、この時点で送出を停止した導管には未付臭ガスが残存しており、ガスの安定供給の観点から、同導管からのガス送出を早期に再開する必要があり、そのために緊急かつ迅速な作業(放散)を行いました。安全に放散するための装置の取り付けなど振動・騒音等を伴う夜間の作業であったにもかかわらず、付近の住民のみなさまには作業のご連絡および完了のご報告ができなかったことについて深くお詫び申し上げます
<ご質問状8について>
 ガス事業法で作成を義務づけられている「保安規程」では、災害発生時等には、各時点においてその状況に応じた広報活動を行うこととされています。夜間作業での振動・騒音等でご心配・ご迷惑をかけたことを考えれば、それに準じた広報活動をすべきだったと深くお詫び申し上げます
<ご質問状9について>
 夜間における工事やガス放散に伴う振動・騒音等により、周辺住民の皆さまにご迷惑・ご心配をおかけすることにつき、安全面ではご心配ないこともあわせて、事前にご説明申し上げるべきでした。事前説明の点につきまして、配慮に欠けたことを深くお詫び申し上げます
<ご質問状10について>
 事故発生時に関係する所轄の消防・警察に連絡するようになっており、連絡先を明確にしています。なお、フローチャートとしてはお示しできるものはありません。
 また、緊急時には、消防・警察等と連携をとりながら周辺住民の皆さまに広報します。
<ご質問状11について>
 ご指摘のとおり、今後は改善を図ります。
<追加質問について>
 周辺住民の皆さまに対する事前説明の点につきましては、今回の件を教訓とし、今後、最善の対応に努めます。
                    連絡先 総務部 栗原
                    電 話 027-322-2523
**********

■当会の公開質問状への回答と同様に、東京ガスは、住民のそれぞれの質問ごとに回答することをせずに、いくつかの質問に対して、ひとくくりにして、わざと質問をはぐらかして、回答をしています。東京ガスの情報隠蔽体質を良くあらわしているといえます。

 そのため、東京ガスに質問状を送り返事をもらった住民は、自分が質問した内容について、東京ガスがどのように回答したのかがハッキリと分からないため、次のようなQ&Aの対比表の作成を余儀なくされるのです。

 当会と同様に、この地元住民の方も次の対比表を作成し、それぞれの質問事項に対して東京ガスがどんな返事をしてきたのかを、確認する作業を強いられたのでした。

*****【東京ガスの回答対比表】*****
9月19日安中バルブステーション緊急工事質問・回答まとめ
第1回目質問;提出日2013.9.20、回答希望日2013.9.26
第1回目回答:回答日2013.10.4
第2回目質問:提出日2013.10.6、回答希望日2013.10.12
第2回目回答:回答日2013.10.29

質問1:今回の工事はどのようなものなのでしょうか。
回答1:ガス導管中の未付臭の都市ガスを、安中バルブステーションの放散塔から上空に放出する作業を行いました。
再質問1:回答了解しました。
▲再回答1:-

質問2:今回の放散塔の使用は、あらかじめ想定していたものでしょうか。
回答2:緊急の場合、二次被害防止のため、ガスを安全に上空に放出することを想定しています。なお法律上の規制は特にございません。
再質問2:放散塔は圧力が上昇した場合のみ、使用すると認識しています。今回の使用は明らかに使用方法を逸脱していると思います。緊急時、二次災害防止とお答えになるならば、「緊急時」とは「二次災害防止」とはなんでしょうか。
再回答:放散塔は、緊急時等にガスを大気中に放散させる施設です。今回は付臭したガス供給への復旧が早期に必要との認識のもと、放散塔を使用しました。

質問3:生ガスを放出する場合は法律上の規制はないのでしょうか。
回答3:質問2の回答に同じ。
再質問3:御社が問題ないと言い切るならば、回答了解いたしました。
▲再回答:-

質問4:無臭のガスを大気に放出する場合、地上のガス検知は必要ないのですか。(都市ガスは空気よりも重いプロパンを含んでいると認識しています)
回答4:都市ガスは空気より軽く、放出後は上空に拡散します。そのため、地上でのガス検知は必要ありません。なお、作業を行う際は、安全を確保した上で実施をしております。
再質問4:大気中に拡散するとの回答了解しました。
▲再回答:-

質問5:無臭のガスを放出する際の危険性についてリスクアセスメントをしていますか。
回答5:質問4の回答に同じ。
再質問5:質問内容がご理解いただけないようです。今回の工事を行うに当たって、想定される危険があったはずですが、地元住民にも危険はあったはずです。「安全に作業するからそんあことは考えなくても良い」ということでしょうか?もしそう考えているならば、それは「まったく何も考えていない」、行き当たりばったりで作業したと言うことではないでしょうか。工事中にどのような危険があり、どのように対処しようとしたのか、箇条書きで具体的にお教え願いたい。また、当日の気象条件を加味して未不臭ガスの拡散をシミレーションしていますか?していないとすれば、何を持って安全と言い切れるのか、根拠をお教え願いたい。
再回答5:放散作業の安全確認ですが、通常のガス工事と同様に、ガス主任技術者の指導の下、ガス事業法が作成を義務付けている「保安規定」に則って、安全作業で実施しております。また、15日の説明時に、ご指摘のあった放散塔の着火対策ですが、放散虫は計器及び目視により常時監視しており、安全に万全を期して作業を実施いたしました。なお、放散塔は、様々な気象条件下でも安全に放散出来るような設備として設計されております。

質問6:有臭のガスと置換しますが、どのような方法でしょうか。
回答6:未付臭のガスを拡散し、その後、付臭したガスを導管に再充填します。
再質問6:有臭ガスと置換するとのことですが、安中バルブステーションの放散塔で導管内圧力を大気圧にした後に、下小塙で有臭ガスを抜き出したということでしょうか。
再回答6:未付臭ガスを安中バルブステーション及び下小塙ガバナステーションの2箇所で放散し、導管内圧力を大気圧までさげました。その後、残った未付臭ガスを付臭したガスで押し出して、最終的に付臭したガスを完全に置換しております。

質問7:マニュアルには、このような深夜にかる工事に対しては、住民に説明するようになっていますか。
回答7:緊急時は各時点においてその状況に応じた広報活動を行うとしています。この度は緊急かつ迅速な作業が必要であったため、周辺住民の皆さまに十分な事前説明ができなかったことをお詫びいたします。
再質問7:今回の工事が緊急工事であった理由がわかりません。緊急とは、人名に関わることで、営業に関るものではないはずです。まして、21時には安全宣言を出しているにも関わらず、緊急工事なのですか具体的にご説明ください。
再回答7:別の受入基地からの供給(付臭したガスによる供給)に切り替えたことから、9月19日21時に復旧と判断しました。しかしながら、この時点送出しを停止した導管には未付臭ガスが残存しており、ガスの安定供給の観点から、同導管からのガス送出を早期に再開する必要があり、そのために緊急かつ迅速な作業(放散)を行いました。安全に放散するための装置のとりつけなど振動・騒音を伴う夜間の作業であったにもかかわらず、付近の住民のみなさまには作業のご連絡および完了のご報告をしなかったことについては深くお詫び申しよげます。

質問8:マニュアルに記載がないとすればその理由。
回答8:質問7の回答に同じ。
再質問8:住民説明はマニュアルに記載されていると言うことですね。それならば、今回の件はあきらかなマニュアル遵守違反ですね。重大なコンプライアンス違反と考えられますが、御社の考え方を示してください。
再回答8:ガス事業法で作成を義務づけられている「保安規定」では、災害発生時等には各時点においてその状況に応じた広報活動を行うこととされています。夜間作業で、振動・騒音等でご心配・ご迷惑をかけたことを考えれば、それに準じた広報活動を行うべきだったと深くお詫び申し上げます。

質問9:一部の住民にだけ情報を伝えたとのことですが、なぜ一部だけなのですか。
回答9:質問7の回答に同じ。
再質問9:御社の工事担当者によれば、過去にいろいろ問題があった世帯のみ説明したと言うことです。これでは、御社の長期にわたる工事に理解をし、振動・騒音を我慢をして協力してきたものにとっては、とても納得出来ません。事実関係を調査士ご回答ください。工事担当者が独自で判断したとは考えられません。
再回答:夜間における工事やガス放散に伴う振動・騒音等により周辺住民の皆さまにご迷惑・ご心配をおかけすることにつき、安全面ではご心配ないこともあわせて、事前にご説明申しあげるべきでした。事前説明の点につきまして、配慮に欠けたことを深くお詫び申し上げます。

質問10:工事に伴う事故発生時の住民の避難誘導はマニュアル化されていますか。
回答10:事故発生時は、消防、警察へ通報し、付近住民を避難誘導するよう定めています。
再質問10:マニュアルがあると解釈しました。緊急時の連絡体制についてフローチャートでお示しください。
再回答10:事故発生時に関係する所轄の消防・警察に連絡するようになっており、連絡先を明確にしています。なお、フローチャートとしてはお示しできるものはありません。また、緊急時には消防・警察と連携をとりながら周辺住民の皆さまに広報します。

質問11:工事は無事に終了したのでしょうか。
回答11:9月19日18時頃から20日午前中にかけて、弊社施設にて緊急作業を行いましたが、作業は無事に終了しております。
再質問11:工事終了したならば、安全に終了した旨を広報するべき。改善を要望します。
▲再回答11:ご指摘のとおり、今後は改善を図ります。

追加質問:今後、このような事態があった場合の対応について説明してください。「今後このようなことは起こさない」では納得できません。
追加回答:周辺住民の皆さまに対する事前説明の点につきましては、今回の件を教訓とし、今後、最善の対応につとめます。
**********

■東京ガスからの第1回目の回答書には、1度しか「お詫びいたします」の言葉がありませんが、2回目の回答書には、4度も、それも「深くお詫び申し上げます」という言葉が使われています。

 最初は上から目線で、そしてマスコミ等に騒がれ出すと、目線の位置が次第に下がり、説明責任を十分果たさないまま、謝罪の言葉を乱発して、その場しのぎをするのです。東京ガスという組織の体質が非常によく、ここにも現れています。

 たまたま、10月31日に東京ガスの無責任、無神経の体質を良く示す次の事件の報道がありました。都合の悪いことは、すぐに隠そうとする東京ガスの体質は、福島第一原発事故でいやというほど思い知らされた東京電力の体質と非常に類似していると言えるでしょう。

**********読売新聞 2013年10月31日(木)14時2分配信
東京ガス、ガス漏れ放置…特定せずに工事完了
 東京ガスは31日、道路に埋設されているガス管で、同社が発注したガス漏れ修理工事8件について、漏れの箇所を特定できないまま作業を完了させる不正が行われていたと発表した。
 問題が見つかったガス管は最大3年間、放置されていたが、ガス漏れによる被害などはないという。
 同社社員が一部で不正を指示していたこともわかり、同社は29日、経済産業省に問題を報告した。
 発表によると、不正があったのは、神奈川県鎌倉、藤沢市、東京都町田市などで2009年2月から今年8月までに行われたガス管のガス漏れ修理工事。同社の定期検査で微量のガス漏れが確認されたガス管について、受注した施工業者が破損した箇所を特定して修理を行っているが、ガス漏れの箇所を特定できなかった場合は、正常なガス管を修繕したことにして作業を終えていたという。
**********

■この地元住民のかたも、「東京ガスの情報隠蔽体質にはほとほと呆れ果てた」と語っておられ、「やはり外圧でないと聞く耳をもたないようだ」と考えて、次の趣旨で、ガス事業法を司る経済産業省商務流通保安グループの保安課ガス安全室に対して、「東京ガスの今回の行状に関して、行政指導で改善を促すための書状を提出するつもりだ」ということです。

**********
経済産業省商務流通保安グループ
保安課ガス安全室
大本 治康 室長殿
     苦情申出
群馬県安中市における東京ガス(株)未付臭の都市ガス大量放出につきまして
 拝啓、貴職におかれましては日頃からスの安全行政につきまして努力傾注して頂き感謝申し上げます。
 さて、ご承知のことと存じますが、東京ガス(株)群馬支社において、未付臭ガスを一般家庭に供給する事故がありました。その際に不要となった未付臭ガスを私が住居する敷地の隣にある「安中バルブステーション」において、放散塔から大量に放出廃棄したことが判明致しました。
(高崎市の小学校が隣接する人口密集地でもガスを大量放出したとの回答も受けております)
 しかしながら、このような重大な放出作業を行うにあたって、住民にはなんの説明もなく、深夜においてもクレーンなどの重機を用いて作業を行いました。このような場合、万一に備えて住民への広報および不測の事態に備えて緊急用具などを準備するものと思いますが、全くそのような配慮が見られません。また、放出工事終了後も住民に説明もなく、健康状態を調査するなどもありません。問題点を東京ガスに対して行いましたが、個人ではなかなか力がおよびません。
 つきましては以下のことを国民のガスの安全を司る貴職から東京ガス(株)に対して、何らかのご指導、アドバイスをお願いできないかと切望しております。
1.緊急の立ち入り検査、および結果の公表。
2.東京ガス(株)の回答では保安規定に住民への広報活動を消防・警察と連携して行うとしていますので、それを盛り込んだ文書が存在し、記載され改訂されているか確認。
3.本来災害時に使用するはずの放散塔等から、今回のようにガス事業者が大量の未付臭ガスを近隣住民に事前通告や事後報告もしないまま二度と安易に排出できないようにするため、ガス事業法の第7節の災害防止命令の項に準じて、「ガス事業者がガス導管施設を設置した地元との間に災害防止協定を締結することを義務付ける」ようアドバイス。同様に、群馬県または安中市と条例でガス保安規定を作成するようアドバイス。
4.都市ガス(未付臭ガス)を大量に放出する場合のガイドラインの策定及びご指導。
以上、お手数をお掛けしますが、なにとぞ、今後の住民の不安を解消する為にもよろしくお願い致します。
     敬具
添付資料
 質問状複写(一葉)、 東京ガス(株)回答複写(一葉)、 再質問状複写(二葉)、 東京ガス(株)再回答複写(二葉)、 質問回答対比表(四葉)
**********

■今回の未不臭ガス大量放出事件の再発防止のために、通商産業省にはぜひ東京ガスに強く行政指導を行い、温室効果ガスとしての天然ガスの取扱いを念頭に、きちんとガスの放出についてルール作りをしてもらいたいと思います。さもないと、東電と同じように東京ガスも親方日の丸意識が抜けず、住民に対して上から目線の態度がいつまでたっても改善されないからです。

【ひらく会情報部・東京ガス未不臭ガス大量放出問題調査班】


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権力等強い者には容易に屈し大人しい住民に対しては高飛車な態度を示す東京ガスのコンプライアンス

2013-10-26 22:51:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■10月25日当会が東京ガスに確認したところ、今回の未付臭ガス供給問題で、未付臭ガスの処理に際して安中市北野殿のバルブセンターにある放散塔から夜間こっそりと大気中に大量の生ガスを放出した件で、東京ガスは実は一部の地元住民にだけ、作業前に説明をしていたことがわかりました。

 この住民は、東京ガスが4年前に高圧導管を北野殿地区に敷設した際、東京ガスの強引な姿勢に我慢がならず、実力行使で阻止しようとしました。その苛烈な行動に東京ガスは恐れおののいて警察に通報したほどでした。

 今回、東京ガスによれば、深夜のガス放出作業に取り掛かる際に、その住民にだけ、工事着手を伝えたというのです。すなわち住民として、実力行使で東京ガスにプレッシャを掛けない限り、東京ガスは住民にきちんと説明をしてくれないのです。

■たまたま10月25日には東京新聞も東京ガスを取材し、翌26日の朝刊群馬版にその内容記事が掲載されました。

**********東京新聞2013年10月26日群馬版
東京ガス 4万立方メートル上空へ放出
無臭ガス供給問題 住民報告は1週間後
 東京ガスが九月下旬に通常はガス漏れ対策のために付けているにおいが消えたままのガスを供給した問題で、安中市野殿のガス中継施設で約四万立方メートルの無臭ガスを上空へ放出していたことが分かった。社内の保安規定で緊急時の迅速な広報を定めているが、住民らに報告したのは約一週間後で、東ガスは遅れを陳謝している。 (菅原洋)
 無臭ガスが供給された問題は九月十八日に発生。ほぼ丸一日、前橋、高崎、渋川三市の約八万二千件に届いた。安中市磯部のガス中継施設で配管検査中に社員がバルブを閉じた際、においを付けるポンプが連動して自動停止する仕組みを知らなかったために起きた。
 ガスを上空に放出したのは磯部の施設から東へ数キロにある野殿の中継施設で、周辺に民家が点在。無臭ガス問題の復旧作業の一環として、二十日未明から約十時間、高さ約三十メートルの「放散塔」から放出した。放出量は平均的な家庭が1ヵ月に使う分の千二百五十倍。住民への健康被害はなかった。
 東ガスによると、においを付けるポンプの停止中に通過したガスで、改めてにおいを付けるのは困難で、放出しか方法がなかったという。東ガスが空中にガスを放出するのは異例で野殿の中継施設では初めてだった。
 東ガスは放出について九月二十五日に安中市に、翌日に住民に報告。しかし、今月九日に無臭ガス問題を発表した際には放出の事実を公表しなかった。
 東ガス広報部は「ガスは空気より軽く、上空で拡散するため、爆発などの危険はない。しかし、放出作業は騒音も出るので、事前や直後に住民に報告しなかったのは配慮が足りず、申し訳なかった」と謝罪している。
 経済産業書によると、放出はガス事業法で想定しておらず規定がないが、同省ガス安全室は「一般論で言えば、住民への説明は当然だ」と指摘している。
**********

■このように、東京ガスは新聞記者の取材に対しては、野殿バルブステーションの放散塔から放出された生ガスが約4万㎥だということを説明していることがわかります。ところが、当会の公開質問状で同様の質問をしたところ、完全に黙殺されてしまったのです。

 新聞社に発表したと思われる「約4万立方メートル」という放出した生ガスの容積も、当会には秘匿しっ放しです。もっとも、この4万立方メートルという数字の根拠も示されていないので、東京ガスはマスコミに適当に説明した可能性もあります。

 既に当会のブログでお知らせしたとおり、当会の試算では、内径50センチの高圧導管の断面積は0.19635㎡ですから、磯部~下小塙間の全長16.2kmのパイプラインの容積は0.19635㎡×16200m=3180.87㎥となります。

 滞留していた生ガスの放出量が約4万立方メートルであれば、滞留時の圧力は約40000÷3180.87=約12.575気圧となります。この圧力は、約1.2メガパスカル(Mpa)に相当します。

 東京ガスではガスの送出は高圧導管、中圧導管、低圧導管を経て行われるとしています。

 高圧導管は、ガスの工場から都市ガスを輸送するためのパイプで、ガス圧は1Mpa以上。太さは一般的に直径65cm~75cm。都市ガスは、このパイプからガバナーステーションを通って中圧導管に運ばれます。

 中圧導管は、高圧導管からガバナステーションで分岐して、各地区へ都市ガスを送るパイプラインで、ガス圧は0.1Mpa以上、1Mpa未満。太さは一般的に直径10cm~75cm。都市ガスはこの導管から地区ガバナを通って低圧導管に運ばれます。

 低圧導管は、1件1件の顧客に都市ガスを供するパイプで、ガス圧は0.1Mpa未満。太さは一般的に直径5cm~30cm。

 また、ガバナステーションは、ガスの工場から高圧で送出されたガスを減圧して、中圧導管に送り出す施設です。

 こうしてみると、東京ガスが群馬幹線の高圧ガス導管を使って1.2Mpaで送出していることになると、供給量に相当余裕があったことになります。

 にもかかわらず、東京ガスは、群馬幹線によるガス供給がストップすると、藤岡経由で供給される別ルートのガス供給量では能力が足りず、直ちにガス不足を招くので、一刻も早く付臭ガスの供給を再開するために野殿バルブステーションから未付臭ガスを大気中に投棄したという説明をしているのです。どう考えても東京ガスの説明はこじつけとしか思えません。

■もし、東京ガスがこの圧力で常時、磯部~下小塙間の群馬幹線(全長16.2km)のパイプラインを運用していたとなると、まるまる24時間、無付臭のまま高崎、前橋、渋川地区に供給されていたガス量は、10月10日付の上毛新聞や読売新聞記事によれば同9日の東京ガスの記者会見時の発表に基づき、推定約60万立方メートルだったことから、24時間で、群馬幹線内に滞留していたガスの15倍の容積のガスが消費されたことになります。

 となると、磯部~下小塙間の道路に埋設されている内径50cmの高圧ガス導管内を移動するガスの速度は、16.2km×15倍/24時間=10.125km/時となり、毎時10kmで移動していることになります。

 東京ガスは以前当会に対して、パイプラインを移動する高圧ガスの速度は秒速数メートル程度だと説明していました。毎時10km(秒速3m)では少し遅すぎる気がします。となると、大気放出した生ガス量の計算根拠を再確認する必要があります。

 それには、信越化学脇にある磯部バルブステーションで、何気圧のガスを帝石側から受け取っていたのか、チェックする必要がありますが、東京ガスの秘密体質は、住民がいくら質問しても応じないでしょう。

【ひらく会情報部・東京ガス未付臭ガス放散事件調査班】

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大量の地球温暖化ガスを放出しても「これ以上住民への書面回答はしない」と言い放つ東京ガスのCSR

2013-10-25 23:51:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■東京ガスの未付臭ガス送出問題で、当会は直接東京ガスの関係者に事実関係を質すべく面談を申し入れたところ、10月25日の午後2時10分から3時まで、同社群馬支社ビル1階の総合窓口の横にある談話室で、同支社総務部の栗原操部長(Tel:0570-002523)と設備部の柴田睦部長(Tel:027-322-0593)と会うことができました。

東京ガス群馬支社のあるTG高崎ビル1階の同社総合受付。ここで面談した。

 結論から言うと、「放散搭から生ガスを放出する作業に際して地元住民に事前に説明をしないまま行ったことについて誠に申し訳なく謝罪する」というだけでした。

 当会からは、当会への10月4日付のFAXによる東京ガスの回答内容と、その後東京ガスが10月9日に県庁記者クラブでの未付臭ガス送出にかかる記者会見で説明した内容との間でギャップや説明不足の点があるため、あらためて公開質問に対する回答を東京ガス側に要請しましたが、東京ガスでは「文書による回答はこれ以上は無理だ」というばかりで、ただただひたすら頭を下げるのみでした。

東京ガス(TG)群馬支社のありTG高崎ビル。以前、高圧導管敷設問題で東京ガスに呼び出された時は通用門だったが、今回ケービックスの防犯システムが取り付けてあり、面倒なので表の総合受付から入った。

■東京ガスによれば、10月9日の県庁記者クラブでの記者会見で発表した内容は、同社のホームページに掲載されている次の情報であり、それ以外の話は記者会見で一切していないとのことです。

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東京ガス「重要なお知らせ」
http://www.tokyo-gas.co.jp/important/20131009-01.html
平成25年10月9日
9月19日に判明した群馬地区における臭いの付いていないガス送出の原因ならびに再発防止策について
東京ガス株式会社
東京ガス株式会社は、2013年9月19日に判明しました群馬地区において臭いの付いていないガス(以下、「未付臭ガス」)を送出した事象につきまして、詳細な原因を究明するため調査を行ってまいりました。このたび、経済産業省から原因ならびに再発防止策について報告の指示を受け、本日、同省に報告しましたので公表いたします。
本件につきましては、お客さまならびに関係者の皆さまに大変なご迷惑とご心配をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。このような事態が発生したことを真摯に受け止め、今後、再発の防止を徹底し、お客さまに安心してガスをお使いいただけるよう努めてまいります。
          記
1.発生した事象について
(1)事象の内容
ガスに臭いを付ける装置(以下、「付臭ポンプ」)が一時的に停止したことに伴い、群馬地区のお客さまに未付臭ガスを供給したものです。
(2)影響のあった地域
群馬県高崎市の一部、前橋市の一部、渋川市の一部
(3)お客さま件数
約8万2千件
2.調査により判明した本事象に至った経緯
9月18日午前、ガスを付臭し送出する設備において、9月末に予定されていた配管検査に向け、ガス導管上の電動バルブ※1を一時的に閉止し、仮設配管を通じてガスを送出する訓練を実施いたしました。訓練実施中、当該電動バルブを閉止した時に、付臭ポンプを自動停止する制御が働き、付臭ポンプが停止しました。しかし、作業に携わった社員が、当該制御を把握していなかったため、付臭ポンプが停止したことに気づかず、訓練終了後も付臭ポンプの稼働状況を確認しませんでした。また、未付臭ガスが送出されたことを知らせるアラーム機能を有しておりましたが、当該アラームの設定がオフになっていたことから、発報しませんでした。その後、翌19日に、弊社の社員が定期巡回点検時に、付臭ポンプが停止していることを発見し、このたびの事象が明らかになったものです。
※1電動バルブ・・・ガスの導管を電動で開閉できる装置の付いたバルブ
3.未付臭ガス送出の原因について
(1)未付臭ガスを送出した原因
作業に携わった社員が、電動バルブを閉止した際に付臭ポンプが自動停止する制御が働くことを把握していなかったため、未付臭ガスを送出してしまったものです。
(2)未付臭ガスが送出されたことの発見が遅れた原因
以下の2点が原因で未付臭ガスが送出されたことの発見が遅れたものです。
(1)未付臭ガスが送出されたことを知らせるアラームの設定がオフとなっており、発報しませんでした。また、アラーム設定の状況を確認する業務基準となっていませんでした。
(2)電動バルブ操作訓練終了後に、付臭ポンプの稼働状況を確認しませんでした。
4.再発の防止について
このたびの事態を重く受け止め、今後、同様の事象が発生しないよう、以下の再発防止策を実行してまいります。
(1)当該電動バルブについて、閉止すると付臭ポンプが自動停止する制御が働くことを関係者に周知し、教育を行うとともに、当該電動バルブの運転操作要領書に自動停止する制御が働くことを明記し、適切な操作が行われるよう徹底いたします。
(2)アラームの設定の操作について、管理者のみが操作可能とするとともに、設定の履歴が長期間残るようにシステムのプログラムを改善いたします。なお、改善までの期間については管理者の承認を得て設定の操作を実施することといたします。加えて、毎日、アラームの設定を確認するとともに、設定の操作の実施日を管理いたします。
(3)当該電動バルブ操作を伴う工事や作業終了後、付臭ポンプが稼働していることを確認し、工事や作業の報告書等に記載することを徹底いたします。
(4)本事象につきまして、他の付臭ポンプを管理する弊社内の担当部に周知し、同様の事象が発生しないよう徹底いたします。
<参考:ガスの付臭について>
天然ガスは無色・無臭のため、漏れた時などにすぐに分かるよう、付臭剤で臭いを付けています。
付臭剤に毒性はなく、ガスが燃焼したあとには臭いは残りません。
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 上記の記者発表内容から分かるとおり、東京ガスが10月9日の記者会見で発表したのは未付臭ガスの原因だけであり、安中市野殿のバルブステーションにある放散搭から生ガスを大量放出した経緯と理由については全く公表していないことになります。

■このため、当会は「なぜ地震など緊急時の安全対策ではなく、人為的ミスによる未付臭ガス送出なのに、放散搭から住民に内緒で大量のガスを放出できるのか」について、東京ガスに理由説明を求めました。

 しかし、東京ガスの側の口は重く、前述のとおり書面での回答は拒絶されました。

■口頭による東京ガスの説明によれば、10月19日午後9時に発令した完全復旧宣言時には、安中市磯部バルブステーション経由で帝国石油のパイプラインから送られる未付臭の天然ガスをシャットダウンして、代わりに群馬県藤岡にあるバルブステーションから付臭ガスを供給するように切り替えて、それが高崎、前橋、渋川地区に行き届いた状態を確認したことから、復旧が完了したと見なし、付臭したガス供給への復旧を日的に、自主的に設置した非常事態災害対策本部(関係部門で構成)を解散し、通常体制である群馬支社長をトップとする指揮系統に移行したのだそうです。

 ところが、供給ラインを磯部から藤岡に切り替えることにより、安中市磯部バルブステーションから高崎市下小塙のガバナーステーションの間にある未付臭ガスが残ることになったため、これを大気中に放出することが復旧宣言の前に決定され、緊急工事の準備が行われたのでした。

 そして、10月19日の深夜から翌20日の昼ごろにかけて、磯部から下小塙まで全長16.2kmの区間にある高圧導管中の高圧ガスを北野殿にある放散搭から大気中に投棄したのでした。

■当会の試算では、この区間にあった高圧ガスの量は約22万ノルマル立方メートルと想定しておりますが、当会が東京ガスに正確な大気中へ投棄したガス量は何立方メートルだったのか、何度も質問しても、結局明らかにしませんでした。

■当会では「22万立方メートルの天然ガスを大気中に放散させることについて、東京ガスに地球環境への負荷の観点から見解を質しました。しかし、東京ガスからは何の返事もありませんでした。

 当会は、天然ガスの生ガスを大気中に放出する場合、天然ガスの主成分であるメタンガスの温室効果係数がCO2よりも遥かに高く、環境重視のはずの東京ガスが、なぜフレアで燃焼させないまま生ガスを放散させたのか、その根拠や理由をなんども質しました。

 しかし、東京ガスからは、「太平洋側から藤岡経由で供給されるガス量は今回未付臭ガスを送出していた地域を十分カバーできないため、なるべく早期に日本海側から帝国石油のラインで磯部経由で供給されるルート(群馬幹線)を使ってガス供給不足の事態を回避する必要に迫られていた。そのため、10月19日午後9時の復旧宣言よりも前から、生ガスの放散作業の準備にとりかかっていた」という口頭での説明に留まりました。

 当会から「生ガスを放散するのにどの程度の時間を要したのか?」と聞くと、「19日の夜中に開始して、翌日20日の午前9時までかかったとのことでした。

■さらに当会から「10月4日付のFAXによる東京ガスからの回答によれば、生ガスの大気中への放散作業時の使用機材として、脱臭装置を現場に持ち込んでいるが、どのような方法で放散搭から生ガスを大気中に放散したのか」と質問したところ、東京ガスは「野殿バルブステーションにある配管から、脱臭装置を介して高さ30mの放散搭から天然ガスを燃焼させずに上空に放出した。安中市磯部から高崎市下小塙までの高圧導管内に滞留していた未付臭ガスには、一部付臭されたガスも混じっていたため、周辺の住民にガスの臭いで心配を掛けないように脱臭装置を使った』と述べました。

 当会は「本来、天然ガスの比重は大気よりも軽いはずだから、脱臭する意味は無いのではないか。それでも脱臭したというのは、気流の関係で生ガスが周辺の民家に降りてきた場合、こっそりと放散搭から生ガスを放出していることが分かってしまうため、それをさとられないように、敢えて脱臭したのではないか」と尋ねましたが、東京ガスからはこれに対しコメントはありませんでした。

 当会から「CO2より遥かに温室効果係数の高い天然ガスを大量に放出するにあたって、なぜフレアにより燃焼させてから放出させなかったのか」と質問したところ、東京ガスは「そのような燃焼装置を準備する時間の余裕は無かった。また、大量のガスをいちいち燃焼させていたら時間がかかり過ぎるため、その間、供給余力の乏しい藤岡バルブステーション経由のルートでは顧客への安定供給がおぼつかないことを懸念して、ガスの燃焼については考慮しなかった」とコメントしました。

 そのため当会から「会社として環境重視の姿勢を打ち出しているはずなのに、大量のメタンガスをそのまま大気中に放出することにためらいを持たないのは問題だ。組織として、CSRの観点から、またコンプライアンスの視点からなんの歯止めもかけられないのは導管敷設の段階で、地元住民として住民の声を聞くように再三申し入れたが、全く聞きいれてもらえず、組織としてそうしたコーポレートガバナンス面が完全に欠如していることを痛感させられたが、今回の事件でその体質がまったく改善されていないことがわかった」と述べました。

 燃焼せずに大気中に放出された温室効果係数の高いメタンガスが自然に分解するには10年近くかかると言われていますが、東京ガスはそうした地球環境の影響については全くわかっていないことが明らかになりました。

■最後に、今回、正しいバルブ操作を知らなかったという初歩的な人的ミスが原因だったことから、今後の安全対策として、当会が高圧ガス導管敷設の段階から再三にわたって申し入れている地元との災害防止協定について「今回の事件を契機に今後、締結するつもりはあるのか」と迫ったところ、東京ガスは「そのようなつもりはない。安中市から申し入れがあればともかく、(住民相手には)そのようなつもりはない」と明言しました。

 やはり、ガス事業法等で、公益事業者に与えられた特権にあぐらをかいて、地元住民に対する軽視の社風は、東京ガスの組織体質に染み通っており、これを自ら改善するような努力はとうてい望めないことがハッキリしました。

■約50分にわたる面談を終えて、TGビル1階の総合受付を出る際に、東京ガスの責任者2名のかたがたは、入り口ドアまで当会を見送るまで、「この度の皆さまへの事前の通告なしに作業を行ったことに対しまして、深くお詫び申し上げます」と繰り返し、なんどもお辞儀をしました。しかし、何度も何度も謝罪されお辞儀をされても、当会から申し入れている周辺住ら=ステークホルダーへの説明責任が今後もきちんと果たされない限り、東京ガスという世界最大級の組織に対する信頼は得られないことを、東京ガス自ら肝に銘じなければなりません。

 おそらく来週には、東京ガスは、今回の事件を過去のものとして、相変わらずガスパッチョのイメージ広告を世間にふりまき、実態の伴わない企業イメージで私たちを惑わし続けることでしょう。

【ひらく会情報部・東京ガス未付臭ガス放散事件調査班】

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近隣住民に黙って未付臭ガスを大量放散させても記者会見で一切触れない東京ガスの役所体質

2013-10-24 23:33:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題

■東京ガスが法律でガス供給事業者として義務付けられているガスの付臭を怠っていた問題で、当会は平成25年9月23日付けで東京ガス本社に公開質問状を提出しました。ところが、東京ガスは期限の9月27日までに回答をよこさず、10月4日付けで同日午後5時過ぎにFAXで回答を送りつけてきました。

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OCT.04.2013 17:01 027 323 9662   トウキョウガス グンマシシャ ソワムG   #0472 P.001/003
               平成25年10月4日
     FAX送信のご案内
いつも大変お世話になっております。下記のとおり送付いたします。
送付先     小 川  賢 様
FAX番号     027-381-0364
件名   「貴公開質問状に対する弊社回答」のご送付
送付枚数(送付表除く)
A3   枚   備考
B4   枚 
A4  2枚 
B5   枚 
合計  2枚 
発信元  東京ガス株式会社
     群馬支社 総務部
  〒370-0045
  群馬県高崎市東町134-6
  電 話 027-322-2523(代表)
  FAX O27-323-9662


                    平成25年10月4日
小川 賢 様
                    東京ガス株式会社
                    群 馬 支 社
     平成25年9月23日付貴公開質問状に対する弊社回答
 拝復 中秋の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、平成25年9月23日付貴公開質問状について、弊社の見解を下記のとおり回答申し上げます。    敬具
          記
<貴公開質問状1・2・4・5・6・7・8・9・10・11・23こついて>
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。
【参考】
 付臭措置については、「ガス工作物の技術上の基準に定める省令」(以下、技省令と略称)第二十二条に、以下のとおり定められています,
(一部抜粋)ガスの使用者及びガスを供給する事業を営む者に供給されるガス(ガスを供給する事業を営む者に供給されるものにあっては、低圧より供給されるものに限る)は、容易に臭気によるガスの感知ができるように、付臭されていなければならない。

<貴公開質問状3について>
 ターシャリーブチルメルカプタンとシクロヘキセンを混合したものです、技省今に基づき、添加しています。

<貴公開質問状12・13・14・15について>
 異常を検知した場合、アラームを発報する仕組みとなっています。なお、発災時の対応マニュアルは事前に作成してあり、マニュアルを確認しつつ、一連の復旧作業を実施いたしました。


<貴公開質問状16・17・18について>
 緊急時は、各時点においてその状況に応じた広報活動を行うこととし.ています。この度は、緊急かつ迅速な作業が必要だったため、周辺住民の皆さまに十分な事前説明ができなかったことをお詫びいたします。

<貴公開質問状19について>
 地元との災害防止協定については、地元行政との協議を通じて検討するものと考えています。

<貴公開質問状20・21・22について>
 9月19日21時の時点で、供給エリア内の広い範囲の付臭濃度の確認を行ったものです。なお、未付臭ガス送出の間は、上記技省令に適合しない状況が生ずるため、経済産業省に自主的に報告しました。また、付臭したガス供給への復旧を日的に、自主的に設置した非常事態災害対策本部(関係部門で構成)は、9月19日21時に、付臭状況の観測の結果を踏まえて「復旧」と判断し、本部体制から、群馬支社長をトップとする体制に移行にました。
                    連絡先 総務部
                    電話 027-322-2523

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■なぜ東京ガスはいつも当会の公開質問状に対して、それぞれの質問項目ごとに回答せず、十把一絡げで回答してくるのでしょうか。同社の上から目線、住民軽視の体質を象徴しているかのようです。

 上記の回答では質問との関連性が分かりずらいので、あらためて、当会の公開質問状ニ沿って、東京ガスの回答を当てはめてみました。

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                    2013年9月23日
〒105-8527東京都港区海岸1-5-20
東京ガス株式会社
代表取締役社長執行役員 岡本毅 様
(写し)〒370-0045高崎市東町134-6東京ガス群馬ビル
 東京ガス株式会社 群馬支社長 殿
                         〒379-0114安中市野殿980
                          小川  賢
                         FAX:027-381-0364
                         E-mail:ogawakenpg@aol.com
公 開 質 問 状
 貴殿並びに貴社におかれましては、平素より県内のエネルギーの安心・安全・安定な供給に尽力されていることと存じます。
 ところが、平成25年9月19日付の貴社ホームページによれば、ガスの安全な使用のために義務付けられている付臭装置が1日間にわたり作動せず、無臭ガスが供給されていたことが判明しました。また、同9月19日の夜に、地元北野殿地区にある貴社の放散塔付きのバルブステーション施設で、大掛かりな工事が実施されていました。
 これらのことについて、次の質問がありますので、誠意ある回答をお願い申し上げます。
 なお、本質問状及び貴回答は、ひろく公表することを前提としていますので、あらかじめご了承ください。つきましては、平成25年9月27日(金)当方必着にて、書面又はFAXもしくはE-mailにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。

質問1:貴社のホームページでは、現時点で、付臭装置の不作動の原因については調査中との事ですが、調査結果はいつごろどのような形で、公表する方針ですか。
【東京ガスの回答1】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。


質問2:今回、付臭義務が果たせない原因となった作動トラブルを起こした付臭装置が設置されていた施設の所在地はどこですか。
【東京ガスの回答2】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。


質問3:付臭に使用されている物質の名称とそれらの構成割合、また1ノルマル立方メートルあたりの添加量を教えてください。
【東京ガスの回答3】
 ターシャリーブチルメルカプタンとシクロヘキセンを混合したものです、技省今に基づき、添加しています。


質問4:北野殿地区にあるバルブステーションで9月19日の夜から翌日未明にかけて実施された作業目的、作業内容、作業人数、投入機材内訳、作業結果、作業の安全対策措置など、当該作業に関する詳しい情報を教えてください。
【東京ガスの回答4】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。


質問5:当該作業が高圧導管内に滞留していた高圧ガスの除去であった場合、その必要性を判断するに至った経緯と理由を教えてください。
【東京ガスの回答5】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。
 ←当会注:東京ガスは当会の質問に答えていません。

質問6:その場合、高圧導管内からどのように高圧ガスを除去したのか、質問4にも関連しますが、その除去方法を詳しく教えてください。
【東京ガスの回答6】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。
 ←当会注:東京ガスは、」「導管中の未付臭ガスを、配管と脱臭装置を接続し、放散塔から放出した」と言っていますが、具体的な方法が分かりません。図解でも示せるはずです。

質問7:除去した高圧ガスのボリュームはノルマル表記で何㎥でしたか。
【東京ガスの回答7】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。
 ←当会注:東京ガスは当会の質問を完全に無視しています。

質問8:除去した高圧ガスは、フレアとして燃焼させたのですか。それとも生ガスのままでしたか。
【東京ガスの回答8】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。


質問9:除去するガスは、フレアとして燃焼させた場合と、生ガス状態で排出したときの環境負荷の程度と差異について、地球温暖化効果の観点も含めて教えてください。
【東京ガスの回答9】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。
 ←当会注:東京ガスは当会の質問にまったく答えていません。環境重視の社是はいったいどこに?

質問10:磯部のステーションで付臭装置を使って付臭作業を行っていた場合には、高圧の状態でガスに付臭していたことになります。ガスの使用者がガスを使う場合には低圧で使用されることから、高崎市下小塙町のガバナステーションで減圧した段階で付臭するほうが、すなわちガスの使用者に近い段階で付臭するほうが合理的と考えますが、貴社がそうしない理由について教えてください。
【東京ガスの回答10】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。
 ←当会注:東京ガスは当会の質問を完全に無視しています。

質問11:ガスの安全な使用のために付臭が義務付けられていることを示す法令や規則等がありますか。あれば、どのようなものか、またどういう内容なのか教えてください。なお、付臭義務を怠った場合の罰則等はありますか。
【東京ガスの回答1】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。
【参考】
 付臭措置については、「ガス工作物の技術上の基準に定める省令」(以下、技省令と略称)第二十二条に、以下のとおり定められています,
(一部抜粋)ガスの使用者及びガスを供給する事業を営む者に供給されるガス(ガスを供給する事業を営む者に供給されるものにあっては、低圧より供給されるものに限る)は、容易に臭気によるガスの感知ができるように、付臭されていなければならない。
 ←当会注:どうやら罰則はないようだ

質問12:付臭装置の作動が停止した場合、当該装置にはアラームなど異常を検知する機能はなかったのでしょうか。無い場合は、なぜそうした機能をつけなかったのか、その理由について教えてください。
【東京ガスの回答12】
 異常を検知した場合、アラームを発報する仕組みとなっています。なお、発災時の対応マニュアルは事前に作成してあり、マニュアルを確認しつつ、一連の復旧作業を実施いたしました。
 ←当会注:付臭装置作動停止の場合のアラーム機能の有無を聞いているのに、東京ガスは「異常検知の場合、アラームを発報する仕組みとなっている」としか答えない。何かよほどの答えられない訳があるらしい。

質問13:マスコミの報道によれば、臭いの無いガスが供給されたのは貴社では初めての事態だということですが、今回のトラブルはあらかじめ想定されていましたか。
【東京ガスの回答13】
 異常を検知した場合、アラームを発報する仕組みとなっています。なお、発災時の対応マニュアルは事前に作成してあり、マニュアルを確認しつつ、一連の復旧作業を実施いたしました。
 ←当会注:東京ガスは当会の質問をわざと無視した。

質問14:可燃性のガスの取り扱いについては安全第一が社是だと思われますが、臭いの無いガスが供給された場合の対処マニュアルは、事前に作成してあったのしょうか。
【東京ガスの回答14】
 異常を検知した場合、アラームを発報する仕組みとなっています。なお、発災時の対応マニュアルは事前に作成してあり、マニュアルを確認しつつ、一連の復旧作業を実施いたしました。
 ←当会注:未付臭の場合について質問したのに、東京ガスはわざと回答をはぐらかした。

質問15:今回の北野殿のバルブステーションで深夜にかけて行われた一連の作業は、そうした対処マニュアルに沿って実施されたものでしょうか。
【東京ガスの回答12】
 異常を検知した場合、アラームを発報する仕組みとなっています。なお、発災時の対応マニュアルは事前に作成してあり、マニュアルを確認しつつ、一連の復旧作業を実施いたしました。


質問16:今回の北野殿のバルブステーションで深夜にかけて行われた一連の作業では、事前、事後、作業中のいずれの期間においても、地元住民への広報活動による周知徹底が行われた形跡がありません。実際にはどうだったのでしょうか。
【東京ガスの回答16】
 緊急時は、各時点においてその状況に応じた広報活動を行うこととし.ています。この度は、緊急かつ迅速な作業が必要だったため、周辺住民の皆さまに十分な事前説明ができなかったことをお詫びいたします。
 ←当会注:都市部のガス利用者には未付臭ガスの注意喚起の広報活動をしているのに、ガス放散塔周辺住民はツンボ桟敷ということらしい。しかも緊急かつ迅速な作業が必要だと釈明しており、こういう場合は免責になるらしい。

質問17:対処マニュアルの類がある場合、地元住民等ステークホルダーに対する広報等による周知徹底義務に関する記載がありますか。
【東京ガスの回答17】
 緊急時は、各時点においてその状況に応じた広報活動を行うこととし.ています。この度は、緊急かつ迅速な作業が必要だったため、周辺住民の皆さまに十分な事前説明ができなかったことをお詫びいたします。
 ←当会注:東京ガスは当会の質問を故意に無視した。これは対処マニュアルが不完全か未作成か、あるいは作成していても無視していることを示している。

質問18:それとも、当初から地元住民等ステークホルダーに対する広報等活動による周知徹底は想定していなかったのでしょうか。
【東京ガスの回答18】
 緊急時は、各時点においてその状況に応じた広報活動を行うこととし.ています。この度は、緊急かつ迅速な作業が必要だったため、周辺住民の皆さまに十分な事前説明ができなかったことをお詫びいたします。
 ←当会注:つまり当会の指摘どおり、東京ガスは高圧ガス導管敷設沿線住民のことは眼中にないことがわかる。

質問19:私は、貴社による高圧導管敷設計画が地元で伝えられた当時、こうした事故やトラブル時に地元住民に対する説明責任を明記した災害防止協定の締結を、貴社と地元との間で締結されるべきだと提案していましたが、貴社には全く取り合っていただけませんでした。今回のトラブルを踏まえて、地元との災害防止協定の締結について、再考するつもりはありますか。再考するつもりが無い場合、その理由についてお聞かせ願います。
【東京ガスの回答19】
 地元との災害防止協定については、地元行政との協議を通じて検討するものと考えています。
 ←当会注:高圧ガス導管敷設に先立ち、東京ガスは岡田義弘安中市長と密約を交わし、地元岩野谷地区の代表区長だった赤見秀夫に「必要な手続きは全部済んでるから問題ない」と岡田市長を使って誘導し、高圧ガス導管敷設地域に住む地元区長には一言も説明せず、高圧ガス導管から1キロ近くも離れたところに住む代表区長の合意書を取り付けたとして強引に導管敷設工事を強行した。だから、「地元行政との協議」という言い方をする。親方日の丸という点で東電と同じ体質であることが伺える。

質問20:貴社の9月19日付ホームページに「21:00 臭いの付いたガスへの復旧」とありますが、この意味をわかり易く教えてください。即ち、臭いの付いたガスが末端の使用者まで届けられるようになった時点を指しているのか、それとも、付臭装置の再稼動により臭いの付いたガスの送出がスタートした時点を指しているのか、あるいはその他のどんな事象をさしているのか、など、どのような意味でこのように発表したのでしょうか。
【東京ガスの回答20】
 9月19日21時の時点で、供給エリア内の広い範囲の付臭濃度の確認を行ったものです。なお、未付臭ガス送出の間は、上記技省令に適合しない状況が生ずるため、経済産業省に自主的に報告しました。また、付臭したガス供給への復旧を日的に、自主的に設置した非常事態災害対策本部(関係部門で構成)は、9月19日21時に、付臭状況の観測の結果を踏まえて「復旧」と判断し、本部体制から、群馬支社長をトップとする体制に移行にました。
 ←当会注:東京ガスの回答によれば、規定濃度の付臭ガスが末端の利用者まで行き届いた9月19日21時の時点を復旧と指しているようです。であれば、なぜ北野殿のバルブステーションの放散塔から生ガスを大気中に放出させたのか。

質問21:同様に「13:45 東京ガス本社ビルに『群馬支社未付臭ガス対応非常災害対策本部』を設置」「14:20 経済産業省に第一報を報告」とありますが、非常災害対策本部の設置や経済産業省への報告は、法令・規則等で義務付けられているのでしょうか。もしそうであれば、どのような法令・規則等なのか教えてください。
【東京ガスの回答21】
 9月19日21時の時点で、供給エリア内の広い範囲の付臭濃度の確認を行ったものです。なお、未付臭ガス送出の間は、上記技省令に適合しない状況が生ずるため、経済産業省に自主的に報告しました。また、付臭したガス供給への復旧を日的に、自主的に設置した非常事態災害対策本部(関係部門で構成)は、9月19日21時に、付臭状況の観測の結果を踏まえて「復旧」と判断し、本部体制から、群馬支社長をトップとする体制に移行にました。


質問22:群馬支社未付臭ガス対応非常災害対策本部とはどのような役割を義務付けられ、どのようなメンバーで構成されているものなのか教えてください。また、この対策本部の設置の解除が発表された日時はいつでしたでしょうか。
【東京ガスの回答22】
 9月19日21時の時点で、供給エリア内の広い範囲の付臭濃度の確認を行ったものです。なお、未付臭ガス送出の間は、上記技省令に適合しない状況が生ずるため、経済産業省に自主的に報告しました。また、付臭したガス供給への復旧を日的に、自主的に設置した非常事態災害対策本部(関係部門で構成)は、9月19日21時に、付臭状況の観測の結果を踏まえて「復旧」と判断し、本部体制から、群馬支社長をトップとする体制に移行にました。
 ←当会注:東京ガスは当会がお願いした具体的なメンバー構成について教える気持ちがないらしい。

質問23:今回のトラブルを踏まえて、貴社ではどのような再発防止策を講じましたか。あるいは講じる予定ですか。
【東京ガスの回答23】
 付臭設備が停止した原因は現在調査中です。判明次第、再発防止策と合わせて公表することを予定しています。
 作業としては、ガス導管中の未不臭のガスを、安中バルブステーションの放散塔から、燃焼させることなく放出(配管と脱臭装置を接続し、放散塔を通じて上空へ放出)しました。作業員は7名、機材としては脱臭装置、ラフタークレーン、ユニック車等を使用しております。作業にあたっては、通常のガス工事と同様の安全対策を講じております。
 なお、付臭設備の設置場所は、効率性を踏まえ、適切な場所を選定しており、具体的な場所に関しては、保安上重要な設備であるため、公表できません。
 ←当会注:東京ガスは当会の質問に答えようとしない。原因調査中だということはまだ再発防止策まで至っていないということになる。

                   以 上
**********

■このように、10月4日の時点で東京ガスは、原因調査中を理由に当会の質問のうちの半分はまったく答えませんでした。

 ところが、それから5日後の10月9日に東京ガスが突然「未付臭ガスを供給したのは、作業員がガスに臭いを付ける装置の作動を確認しなかったことが原因だった」と発表したのです。

■平成25年10月10日のマスコミ各紙は次のように報じています。

**********上毛新聞2013年10月10日社会面
東京ガス無臭ガス供給 装置の確認怠る 作業員、停止気付かず
 東京ガスが先月、臭いをつけていないガスを県内8万2千軒に供給した問題で、同社は9日、作業員がガスに臭いを付ける装置の作動を確認しなかったことが原因だったと発表した。無臭のガスが送られていることを知らせるアラームは切られていた。同社が無臭のガスを一般家庭に供給したのは初めて。経済産業省ガス安全室も、「このような事案は全国でも聞いたことがない」としている。
 同社によると、磯部ブロックバルブステーション(安中市磯部)で先月18日に仮説の配管を使う訓練をした際、ガスに臭いを付けるポンプが自動停止したのに気付かず、翌19日まで約24時間にわたって無臭のガスを供給し続けた。
 無臭のガスが送られていることを知らせるアラームも、2010年に同ステーションが稼動した直後から、最長で3年間にわたって設定がオフになっていた可能性がある。
 消費者がガス漏れに気付くよう、ガス事業法は事業者がガスに臭いを付けて供給することを定めている。影響があったのは前橋、高崎、渋川3市の一部の約9万2千軒で、供給量は約60万立方メートル。各市は防災メールなどを通じ、喚起をした上でガスを使うように市民に呼び掛けるなどの対応に追われた。健康被害や事故は報告されていないという。
 県庁で記者会見した同社の皆川量一群馬支社長は「お客さまや関係者にご迷惑とご心配をおかけし、深くおわびします」と謝罪。社員教育の徹底やアラーム設定のプログラムの改善などの再発防止策を示した。

**********東京新聞2013年10月10日朝刊群馬版
無臭ガス、供給原因は社内ミス 東京ガス発表
 東京ガスは九日、九月下旬に前橋、高崎、渋川三市の一部で、ガス漏れたい策のためにつけているにおいが消えたトラブルについて、原因は社内的なミスだったと発表した。
 同社によると、トラブルは九月十八日正午前から丸一日、安中市のガス中継施設からガスが無臭のまま供給され、三市中心部の約八万二千軒に届いた。
 同社によると、当時、中継施設でガスの配管を検査中で、社員がバルブを一時的に閉じた際、においを付けるポンプが連動して自動停止。しかし、自動停止する仕組みは同社のマニュアルにはなく、社員も知らず、検査後にポンプの稼動を確認しなかったという。無臭ガスの供給を知らせる警報装置もオフだったが、原因は不明。
 同社は経済産業省に報告後、県庁で記者会見し、群馬支社の皆川量一支社長は「お客さまにご心配をかけ、深くおわびします」と陳謝した。(菅原洋)

**********読売新聞2013年10月10日群馬版
無臭ガス供給 付臭ポンプ停止
 東京ガスが9月、前橋、渋川、高崎市の一部に一時的に無臭のガスを供給した事故は、同社が配管検査訓練のため電動式の開閉バルブでガスを止めた際、臭いを付けたポンプも連動して停止したのが原因だったことがわかった。
 同社が9日、県庁で記者会見で明らかにした。一連の装置を運営する同社群馬支社(高崎市)の社員で、開閉バルブとポンプが連動していることを誰も知らず、社内の引継ぎが徹底されていなかったという。
 同社によると、安中市の中継施設で9月18日午前11時47分、同月末に予定されていた配管検査の訓練のため開閉バルブを止めた際、同時に付臭ポンプが停止し、無臭ガスが仮設配管から供給され続けた。翌19日午前11時30分頃、毎日の定期点検でポンプの停止が見つかるまで、推定60万立方メートルの無臭ガスが3市の約8万2000件に供給された。
 同社群馬支社の皆川量一支社長は記者会見で、「お客様や関係者にご迷惑、ご心配をおかけしました。深くおわび申し上げます」と謝罪した。

**********朝日新聞2013年10月10日群馬版
■ガス無臭の原因発表
 東京ガスは9日、9月18~19日にガス漏れを知らせる臭いをつけず都市ガスを送ったことについて、同18日午前11時45分ごろ、社員が配管検査の準備で導管を閉めた際、臭いをつける装置が連動して停止することを知らず、停止状態でガスを送り続けたことが原因と発表した。翌19日午前11時半ごろ、定期点検で社員が気づいて再起動した。警報装置も止まっていたという。
 高崎市や前橋、渋川で約8万2千件の契約先に無臭ガスを送った可能性があるが、健康被害などの報告はないという。

**********毎日新聞2013年10月10日群馬版
付臭ポンプ停止気付かず 東京ガス ガス臭い付け忘れ
 東京ガスが9月、臭いを付けない都市ガスを前橋、高崎市など約8万2000件に約24時間にわたり供給した問題で、同社の皆川量一・群馬支社らが9日、前橋市内で調査結果を発表した。ガス送出の電動バルブの仕組みを知っている社員が支社内にいなかったのが主な原因。バルブを閉めると、自動的に臭いを付ける装置も停止しアラーム機能も切られていたという。
 同社によると、9月18日午前11時45分ごろ、安中市のガス供給の中継施設で、社員が設備の配管検査を行った際、ガスを送出するバルブを一時的に閉めた。
 その際、付臭ポンプも停止したことに気づかず検査後も放置。同19日午前11時半に、定期点検でポンプの停止が発覚したという。
 電動バルブの仕組みを知っている社員が支社内に一人もいなかったうえ、配管検査のマニュアルでも触れられていなかった。同設備でバルブのみを一時的に閉めたのは初めてだったという。
 また、ガスの未付臭を知らせるアラーム機能が少なくとも約3ヶ月間オフになっていたことも判明。同社によると、約3年前に調節して以来、オフのままだった可能性もあるという。
 同社は今後、バルブとポンプの仕組みを周知することや、ポンプとアラームの稼動状況の確認を徹底するなどし再発防止に努めるとしている。【塩田彩】

**********産経新聞2013年10月10日群馬版
無臭ガス供給 原因は人的ミス
 都市ガス特有のにおいを付ける装置(付臭ポンプ)が停止し、東京ガスが県内約8万2千世帯に無臭ガスを供給していた問題で、同社は9日、装置のシステムを社員が把握していなかったことが原因とする調査結果を公表した。
 東京ガスによると、先月18日、群馬支社のガス中継施設(安中市)で、配管検査訓練を実施するため、ガス管のバルブを閉止。付臭ポンプはこのバルブと連動しており、同時にポンプも停止した。しかし、群馬支社員は誰もこの連動システムを把握しておらず、訓練終了後も付臭ポンプは停止状態となっていた。
 県庁で会見した東京ガス群馬支社の皆川量一支社長は「今後はお客さまが安心してガスを使えるように努める」と謝罪。連動システムを社員に徹底周知するなどの再発防止策を掲げた。
**********

■ガスパッチョ東京ガスが、当会の公開質問状に対しては上から目線で回答していましたが、わずか4日で、低姿勢で記者会見を行ったのはどうした風の吹き回しなのでしょうか。

 おそらく経済産業省あたりから何らかの指導があったため、原因についてしぶしぶ公表せざるを得なくなった事情があるのでは、と推察されます。

 となると、もしかしたら当会が9月25日付で茂木経済産業大臣宛に提出していた苦情の申立を、同省の商務流通保安グループ保安課ガス安全室(直通電話:03-3501-4032)あたりが目にしたのかもしれません。しかし、当会の苦情の申立は、放散塔から未付臭ガスを大量に空中に拡散したにもかかわらず、近隣住民らには一切何の説明もなかったことに対する是正措置を求めるのが目的でしたので、未付臭ガスを送っていた事に関する謝罪の記者会見とは趣旨がことなります。

 東京ガスは、地震など緊急事態に遭遇した際に、安全にガスを空中に放散するために放散塔を設置したと地元住民らに説明してきましたが、今回の人的ミスが原因でなぜ放散塔を使用して生ガスを空中に放出する必要があったのか、きちんと説明していません。

 やはり、直接東京ガスの責任者から説明を聞く必要があるようです。

【ひらく会情報部:東京ガス未付臭ガス放散事件調査班】

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回答遅延を通知してきたガスパッチョ東京ガスに回答を担保すべく経済産業省に苦情の申出を提出

2013-09-28 23:50:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■東京ガスが平成25年9月18日から19日にかけてに高崎市、前橋市、渋川市に及ぶ群馬地区の約8万2000戸のガス使用者に対して臭い付けをしないまま、約24時間、不安全なガスを供給していた問題で、当会は9月23日付で、同27日期限で東京ガスに公開質問状を提出していましたが、東京ガス群馬支社から同27日午後4時8分にFAXで、回答期間の延長を通知してきました。


平成20年10月、東京ガスが地元の一部に配布した野殿バルブステーション建設計画のチラシ。



 これではこの問題の経緯と原因、責任の所在、再発防止策について、東京ガスは本当に肝に銘じて対応を取っているのかきわめて疑わしいため、ガス事業を管轄する通商産業省にも、次の文書を提出しました。

**********
                     平成25年9月25日
〒100-0013東京都千代田区霞が関1-3-1
経済産業大臣 茂木敏充 様
                  苦情申立人:
                  〒379-0114群馬県安中市野殿980
                  小川賢
          苦情の申出
 前略 ガス事業法第51条に基づき、一般ガス事業者である東京ガス株式会社によるガスの供給に関して苦情があるため、下記の理由を付して苦情の申立をします。。
          記
1.事象の概要
 東京ガスの9月19日付ホームページやマスコミの報道によると、同日、同社はガス漏れ事故防止の臭いをつけないままの都市ガスを群馬県内で供給したという。
 同社によると、供給地域は前橋、高崎市内の約8万2000世帯と、渋川市の工場だとされる。
 同社は9月19日午前11時半、群馬県内にある付臭装置が停止しているのを定期巡回で発見し、作動履歴を確認したところ、18日午前11時47分ごろから、約24時間停止していたことがわかったため、臭いのあるガスを送り、無臭のガスと順次入れ替わっていくという。臭いのないガスが供給されたのは同社で初めてのことだという。
 ガス漏れに気づかない恐れがあるため、ガス器具使用時に窓を開けて換気する必要があるが、同社が前橋、高崎市に市民への注意喚起を依頼したのは発見から5時間後の午後4時半。両市は同5時20分から防災メールを送信するとともに、フェイスプックなどで周知に努めたが、初めて事態を知った市民からは「危機管理上、時間がかかりすぎる」との批判の声が上がった。同社は「影響が及ぶエリアを確認するのに時間がかかった」と説明している。
 このあと同社は1.9日午後9時にホームページ上で復旧を発表した。また、午後10時12分頃、両市は防災メールで市民に復旧を知らせた。
 同社によると、ガスの供給地域10ヵ所で付臭濃度、7ヵ所で臭いの確認を行い、同日午後9時に「ガスに臭いがついた」と判断したという。同社は、臭いを付ける装置が停止した経緯の調査を進めているが、装置の異常を知らせる警報も作動していないことがわかった。
 ガス事業法で、供給するガスには臭いを付けることが義務づけられている。付臭装置の停止は19日午前11時半に判明し、同社は午後2時20分に経済産業省に第一報。前橋、高崎市への連絡はさらに遅れ、両市が防災メールで市民に注意を促したのは同5時20分からだった。

2.苦情の理由

(1)東京ガスのホームページでは、現時点で、付臭装置の不作動の原因については調査中だといっているが、調査結果をいつごろどのような形で、公表する方針なのかについて示していない。
(2)今回、付臭義務が果たせない原因となった作動トラブルを起こした付臭装置が設置されていた施設の所在地をあきらかにしていない。
(3)付臭に使用されている物質の名称とそれらの構成割合、また1ノルマル立方メートルあたりの添加量に関する情報が提供されていない。
(4)苦情申立人が居住する安中市北野殿地区にある東京ガスの所有施設である野殿バルブステーションで9月19日の夜から翌日未明にかけて目的不明の作業が実施されたが、この作業の目的、作業内容、作業人数、投入機材内訳、作業結果、作業の安全対策措置など、当該作業に関する詳しい情報が地元住民に提供されていない。
(5)当該作業が高圧導管内に滞留していた高圧ガスの除去であった可能性があるが、その場合、その必要性を判断するに至った経緯と理由について、東京ガスから地元住民に情報提供されていない。
(6)質問(4)にも関係するが、高圧ガスを除去する作業であった場合、高圧導管内からどのように高圧ガスを除去したのか、その除去方法の詳細について東京ガスから事前事後の説明がない。
(7)除去した高圧ガスの体積がノルマル表記で何・だったのかについても、東京ガスから説明がない。
(8)除去した高圧ガスは、フレアとして燃焼させたのか。それとも生ガスのまま大気中に放出したのか、東京ガスからの説明が無いので、まったくわからない。
(9)除去ガスが、生ガス状態で排出された場合に、主成分であるメタンの地球温暖化係数は、「21」と大きいため、大気への放出は避ける必要があると思われるが、なぜ東京ガスは、そのような環境配慮をせずに、生ガス状態で大気放出を行えるのか。
(10)東京ガスは、安中市磯部にある磯部バルブステーションで付臭装置を使って付臭作業を行っていた可能性があるが、その場合には、高圧の状態でガスに付臭していたことになる。ガスの使用者がガスを使う場合には低圧で使用されることから、高崎市下小塙町のガバナーステーションで減圧した段階で付臭するほうが、すなわちガスの使用者に近い段階で付臭するほうが合理的と考えられるが、東京ガスはなぜそうしなかったのか。そのために、野殿バルブステーションの放散塔から生ガスを大気放出したのか、それらの理由について東京ガスから説明が無い。
(11)付臭装置の作動が停止した場合、当該装置にはアラームなど異常を検知する機能はなかった可能性がある。異常検知機能が無い場合は、なぜそうした機能をつけなかったのか、その理由について東京ガスから説明がなされていない。
(12)マスコミの報道によれば、臭いの無いガスが供給されたのは東京ガスでは初めての事態だということだが、東京ガスとしては想定外ということで一件落着させるつもりなのかどうか懸念される。
(13)一般ガス事業者として、可燃性のガスの取り扱いについては安全第一が社是だと思われるが、東京ガスは、臭いの無いガスが供給された場合の対処マニュアルを事前に作成してあったのかどうか疑問である。
(14)今回の北野殿のバルブステーションで深夜にかけて行われた東京ガスの一連の作業は、そうした対処マニュアルに沿って実施されたものなのかどうか。
(15)今回の北野殿のバルブステーションで9月19日深夜から20日米明にかけて行われた一連の作業では、事前、事後、作業中のいずれの期間においても、地元住民への広報活動による周知徹底が行われた形跡がない。可燃性のガスが多量に放出されていたにもかかわらず、地元住民への情報不開示が許されるのか。
(16)東京ガスに対処マニュアルの類がある場合、地元住民等ステークホルダーに対する広報等による周知徹底義務に関する記載があるのかどうか不安だ。
(17)それとも東京ガスは、当初から地元住民等ステークホルダーに対する広報等活動による周知徹底は想定していなかったのかどうか、地元住民として懸念がある。
(18)苦情申立人は、東京ガスによる高圧導管敷設計画が地元で伝えられた当時、こうした事故やトラプル時に地元住民に対する説明責任を明記した災害防止協定の締結を、同社と地元との間で締結されるべきだと提案していたが、東京ガスは全く取り合わなかった。今回のトラブルを踏まえて、地元との災害防止協定の締結について、再考するつもりがあるのかどうか、東京ガスの意向が確認できない。
(19)東京ガスの9月19日付ホームページに「21:00 臭いの付いたガスヘの復旧」とあるが、この意味が非常にわかりにくい。即ち、臭いの付いたガスが末端の使用者まで届けられるようになった時点を指しているのか、それとも、付臭装置の再稼動により臭いの付いたガスの送出がスタートした時点を指しているのか、あるいはその他のどんな事象をさしているのか、など、どのような意味でこのように発表したのか東京ガスの真意がわからない。
(20)同様に「13:45 東京ガス本社ビルに『群馬支社米付臭ガス対応非常災害対策本部』を設置」「14:20 経済産業省に第一報を報告」とあるが、非常災害対策本部の設置や経済産業省への報告は、法令・規則等で義務付けられているのか。もしそうであれば、どのような法令・規則等なのか。
(21)群馬支社米付臭ガス対応非常災害対策本部とはどのような役割を義務付けられ、どのようなメンバーで構成されているものなのか、東京ガスのホームページを見ても何もわからない。また、この対策本部の設置の解除が発表された日時も不明である。
(22)今回の北野殿地区にある野殿バルブステーションにおける放散塔からの生ガスの大気放出が為された場合、それは東京ガスが、経済産業省に第一報を報告し、同省の許可をとったうえでなされた措置だったのかどうか、東京ガスから説明がない。
(23)本来、緊急時の安全のためだけに使用される放散塔であるが、今回のトラブルが緊急仕様に該当する事象なのかどうか、安直に放散塔から生ガスを垂れ流すようなことが許されるのか。本来は、高崎市の下小塙町のガバナーステーションで臨時に付臭する措置をとれば、放散塔から大量の生ガスを捨てる必要はなかったはずだ。
(24)今回のトラブルを踏まえて、東京ガスではどのような再発防止策を講じるのか。あるいは講じる予定なのか、全く分からない。
                    以上
**********

■今回の問題で、東京ガスの一般ガス事業者としての安全意識に大きく疑問符が付きましたが、これは同社の体質に起因するものだと考えられます。したがって、自助努力は期待薄なため、ガス事業を管轄する役所に、厳しく同社を監督してまともなコーポレートガバナンスを実現させるために、当会として、上記の苦情の申立をしました。

 東京ガスは、今回の未不臭ガス供給問題で、直ちに原因究明と対策を講じたはずであり、その過程は迅速にステークホルダー(利害関係者)に対して公表する義務があります。だから9月19日(木)のトラブル発生と復旧から1週間の猶予を置いた9月27日(金)には事の顛末について、当会からの公開質問の殆どの項目に対して回答が可能なはずです。

 もし、原因究明が、その時点で完全に掌握できていない場合でも、それまでに判明した事項や今後の見通しについて、回答できる範囲でコメントできるはずです。

 ところが、東京ガスではどうやら、群馬支社の管轄エリアで発生したトラブルを、群馬支社内でかたづけようとしている風情です。本社としては当然、群馬支社からいろいろ報告を受けて、それに対してあれこれ指示をしているはずです。当会はいつも東京ガス本社宛にこうした公開質問状を提出していますが、一度も本社から回答をもらったことがありません。また広報やコンプライアンス担当部署からもなしのつぶてです。

 これは、東京ガスの組織的な体質の問題として、コーポレートガバナンスの欠如が挙げられます。今回、経済産業省を通じて提出した当会の苦情の申出書が、少しでも同社のお粗末な体質改善へのカンフル剤になることを期待したいと思います。

【ひらく会情報部】



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